プラスチックバンクがリサイクルした3Dプリントフィラメントを公開

プラスチック廃棄物を3Dプリント材料にする動き

3Dプリンターの普及と同時に高まっているのがリサイクルに対する意識だ。

3Dプリンター自体、そのオンデマンドという特性から無駄なコストを極力省くという機能性を持っているが、同時にリサイクルに対する意識を普及させつつある。

これはリサイクル技術とリサイクルの概念が広く普及している日本においては、なんら珍しいことではないが、リサイクル後進国、特にプラスチック廃棄物の処理で遅れている欧米諸国にとっては、画期的なことであるし、また環境問題は世界共通であることから、いい影響を与えることは間違いない。

そんな中3Dプリント技術とリサイクルの動きを大々的に行うのがプラスチックバンクだ。

以前もご紹介させていただいが、プラスチックバンクはプラスチック廃棄物に苦しむ開発途上国から廃棄物を回収し、その代りに家庭用品や3Dプリントされたプロダクトと交換するというプロジェクトを行うことを計画している。

プラスチックバンクだが、クラウドファンディングで資金調達に成功し、リサイクルシステムを作り上げることに成功したようだ。本日はプラスチックバンクのリサイクル3Dプリントフィラメントをご紹介。

回収とリサイクルシステムが本格始動

もともとプロジェクト立ち上げ当初は2014年2月に南米ペルーでプロジェクトを開始する予定であったようだが、かなり遅れてのスタートになっている。下記は今回明らかにされたプラスチックバンクのシステムと再生された3Dプリントフィラメントだ。

海岸沿いに打ち上げられたプラスチック廃棄物

大量の廃棄物を回収

プラスチックを選別し分類

リサイクル設備で処理

細かくチップ状にする

押し出し機でフィラメントを生成

3Dプリンターでテストプリント

プラスチック再利用の動画

プラスチックバンクが見据えているのは、巨大なゴミを生み出す海流、太平洋ゴミベルトだ。太平洋ゴミベルトとは、太平洋を中心としたプラスチック廃棄物が周遊している巨大な海域で、北米や南米などの沿岸地域をプラスチック廃棄物で覆っている。

その数はおよそ350万トン以上もと言われている。こうした廃棄物に悩まされる国のうち、とりわけリサイクル比率が低いのが開発途上国であり、かれらが皮切りに行う南米ペルーも、プラスチックのリサイクル率はわずか2パーセント程度。

大幅に遅れてのスタートとなったが、このプロジェクトが起動にのることで、プラスチック廃棄物の有効活用ができれば、多くの人々に恩恵をもたらすだけではなく地球環境への貢献にもつながる取組だ。

巨大なプラスチック廃棄物を生み出す太平洋ゴミベルト

まとめ

太平洋ゴミベルトは、北米と南米を中心に形成されているが、同様の海域は北大西洋にもある。

こうした産業廃棄物の大量投棄は、これまでの大量生産、大量消費の時代を象徴するものだ。

しかし、これからの時代は3Dプリンターに象徴されるように、個別の要望に応じたカスタムオンデマンドの時代だ。そこでは、大量生産、大量消費時代とは全く異なる概念が生まれてくる。

その概念は、無駄をなくそう、効率的に資源を使おうという概念だが、3Dプリント技術が内包するコスト削減と、効率化という特性、機能性と一体となったものだ。

そうした側面から見てみるとプラスチックバンクの取組はこれからの生産消費活動に適合した時代の先を行く取り組みなのではないだろうか。

今はまだ、この再利用プロジェクトが開始したばかりだが、将来、本格的に3Dプリント技術が浸透し、広く普及すればプラスチック廃棄物は世界中の海から消え、彼らの事業は一大企業になっているかもしれない。

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