光造形3DプリンターForm3レビュー【応用編 ペットボトル : クリアレジン】

光造形3DプリンターForm3レビュー応用編です。「ペットボトル」を3Dプリントします。
光造形3Dプリンターで、ボトル形状を3Dプリントするとどうなるのか?
表面のテクスチャのディティールはどこまで綺麗に仕上がるのか?
を検証していきます。

スタンダードレジンの材料であるクリアレジンを使用して3Dプリントをしていきます。
ペットボトルでも少しデザイン性のある形状になります。
光造形3Dプリンターで、空洞のあるカップ形状をプリントする場合の方法や、3Dプリントのディティールの仕上がりを検証していきましょう。

プリントする形状とサイズ

こちらは3Dプリントするペットボトルの3Dデータになります。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。 

サイズ : 38.5mm(幅)×134.1mm(高さ)

使用する光造形3Dプリンターと材料

今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。
ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。
光造形3Dプリンター用の材料はForm3専用スタンダードレジンのクリアレジンを使用します。

3Dプリントで検証したい内容

【検証1】表面ディティールの仕上がり

検証一つ目の内容は、表面ディティールの仕上がりです。
3Dデータの造形がどこまで再現できているのかを検証していきます。今回3Dプリントするペットボトルは、側面に段差がついています。ボトルの口には蓋を閉める為のスクリューの溝がついていて、底面は複雑な形状になっています。デザイン性のある造形になっています。

【検証2】カッピングの影響は出るのか?

検証二つ目は、カッピングの影響は出るのか?です。Form3の光造形法で空洞のある造形を3Dプリントする場合に、注意しなければならない現象でカッピングというものがあります。
今回のボトルは中が空洞になっていますので、カッピングがどこまでプリントに影響するのかも検証していきます。更に高さのある造形になっています。
ボトルの底面にも凹凸があり、直付をする部分が少ない難しい形状になっています。
※カッピングに関しては、光造形3DプリンターForm3レビュー【カップ編:グレイレジン】で詳しく説明していますのでぜひ参考にして下さい。

PreFormのプリント設定

サポート設定と積層ピッチ

サポート設定は、直付プリント(サポート設定なし)
積層ピッチは、100ミクロン
でプリントしていきます。

こちらがPreFormでのプリント画面になります。この内容で3Dプリントをしていきます。
※今回のプリントでは、カップ症状は検出されませんでした。

プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
6h00m 1341層 7.96ml 1個=150円 1個=150円

プリント結果

プリントが終了した所
この後洗浄をしていきます

それでは、3Dプリントの結果を見ていきましょう。

【検証1】表面ディティールの仕上がり 結果

●3Dデータ通りにプリントできている。
●表面全体の仕上がりは、滑らかで高精細にプリントできている。
●ペットボトル表面の大きな凹凸もデータ通りにプリントできている。
●造形の厚みがとても薄い形状でしたが、歪むことなく薄くプリントできている。

積層表面と内側

●スクリュー部分の溝の凹凸が3Dデータ通りにプリントできている。
●積層跡が薄っすら見える。
●ペットボトルの空洞内側も、底まで精細にプリントできている。

[寸法結果]

サイズ : 38.5mm(幅)×134.1mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
幅 : −0.4mm
高さ : −0.3mm
全体的に少し歪みました。

検証2】カッピングの影響は出るのか?

カッピングの影響を見ていきます。

●ボトル底面の凹凸部分の一部のプリントが欠けてしまった。
●プリント時の圧縮により、直付部分の積層跡が側面部分よりも目立っている。
●一部積層部分に歪みが出てしまった。

応用編 ペットボトル クリアレジン 3Dプリントまとめ

今回は、応用編 ペットボトルをテーマにクリアレジンを使用して光造形3Dプリンターで3Dプリントしてみました。
検証結果をまとめると、

●表面テクスチャとディティール
ボトル表面の仕上がり : 滑らかな仕上がり。
ペットボトルの形状 : 側面の凹凸や、ボトルの口の溝も高精細にプリントできた。
ボトルの厚み : 0.4mmで非常に薄い形状だが、内側の細部まできれいにプリントできた。

●カップ症状の影響
サポート設定 : 直付でプリント成功。
カップ症状 : 直付の支え部分に影響が少し見られた。
高さのあるカップ形状だったので、側面の積層の一部に圧迫による歪みが少し見られた。

今回のような、薄くて高さのあるカップ形状で表面に凹凸のある造形の場合は、カッピングの影響が出る可能性があります。造形の形状によってはPreFormでのプリント設定方法を見直すか、プリント前にカップ症状を良く確認してデータを修正する必要があります。

●クリアレジンについて
クリアレジンは、今回のペットボトルのような透明なプロトタイプの試作に最適です。スタンダードレジンの中でも、クリアレジンは内部のディティールを良く見せたい時や、電気カバーのような住宅用LED等を内部に仕込む造形の場合に効果的です。透明な試作品等の3Dプリントにおすすめです。また、3Dプリント後の研磨によって、より透明に仕上げる方法もいくつかあります。研磨に関してもこれから検証していきたいと思います。