部品を組み合わせて家電製品を作るオープンE-コンポーネント

家電製品を自宅でレゴブロックのように組み立てる

インターネット技術と3Dプリント技術によって新しいモノづくりの取組が始まっている。このプロジェクト「オープンE-コンポーネント」は一言で言ってしまうと、レゴブロックのように部品を組み合わせていろいろな種類の家電製品を作ることができるというものだ。

このプロジェクトを立ち上げたのはオランダのデザイナーツェン氏で、50種類以上の家電製品を分解して分析した結果、ほとんどの家電製品が5種類の部品で構成されていることが分かったという。

それは光ソケット、モーター、エアヒーター、浸漬ヒーター、加熱面の5つのモジュールである。ツェン氏が考えたのは、この5種類のモジュールを基本パーツとして組み合わせることで様々な家電製品が簡単に組み立てられるというプロジェクトだ。5種類のパーツ以外に有線ケーブルやそのほかの様々な支援パーツを使って作りたい家電製品を組み立てるというものだ。

ちなみに各パーツはユーザーがダウンロードし3Dプリントして作れるものだ。以下はツェン氏が発表しているこのプロジェクトの考えだ。

まずはじめに、今日の電子機器が全て開けることができない。機器を分解し中の部品を見ることは非常に難しい。

これは簡単に分解されてあけられた場合予期しない危険性があるかもしれないので、安全性の観点から簡単に開かない構造になっている。そのため人々が家電製品を使い故障した場合にできる唯一のことは新しいものを購入することだけである。しかし私はこのことに疑問を持っている。

私はユーザーが生産に関与することができるように製造プロセスを広い範囲で開かれたものにするべきだという思いがある。私は既存の電子機器を生産する新しい方法を模索したい。

私のデザインの出発点は、一つのシンプルなモジュールで始まり、そのモジュールをオープンな設計にすることで個人の要望に応えた無限の可能性を持っている。ユーザーはレゴブロックのようにこのモジュール組み立てられ、他の支援部品や交換可能な部品と組み合わせることで修理、変更、生産の無限の可能性を持つことができる。

従来ユーザーにとってエレクトロニクス製品を生産することは困難であったが、今ではユーザーは個人的なニーズと想像力を生かす機会を持っている。また同時に部分的なパーツの故障はモジュールを交換することによって製品の寿命を延ばすことができる。

(open-E-componentsサイトより意訳)

ツェン氏はオープンEコンポーネントでデザイナーを募集し新たな家電製品化のアイデアをつのり設計を開始しているようだ。以下はオープンEコンポーネントのパーツを組み合わせて作らられた家電製品だ。

まとめ

ツェン氏の取り組むオープンEコンポーネントには既に様々な製品が発表されている。全ての電化製品ができるわけではないが、5種類の基本モジュールと様々なパーツ類を組み合わせることでいろいろな製品が作ることができる。

組み立てるパーツのデザインなどもユーザーの要望に応じてカスタマイズすることができるようだ。こうした点個人の要望に応じた対応も3DCADデータから直接3Dプリンターで出力することで可能になる。

現在製造業の現場で使用されている3Dプリンターの使用用途もパーツ製造と修理品の製造が大きなウェイトを占めつつある。オープンEコンポーネントのパーツ部品からの製品化は現在3Dプリンターが使用されている専門性の強い部分から、よりエンドユーザーに近いパーツ製造の先駆けと言えるような取組だ。

提供される製品のデザイン性やバリエーションなどは現状の3Dプリンターの性能に起因するため限られたものになるが、3Dプリンターの性能が広がりをみせることによってよりユーザーにとって価値を高められるデザインの製品や提供できるバリエーションも豊富になるだろう。

今後の課題とは

ただし、今後の課題として挙げられるのが安全性の問題だ。

従来のメーカー側が提供する大量生産品は製品の提供と同時に安全性やコンプライアンスもメーカー側が担保する形であったが、オープンEコンポーネントのような仕組みでユーザーが組み立てる場合の、安全性の担保はどのように保証されるのだろうか?

また、安全性と同時に課題となってくる部分が品質の問題である。家電製品の場合に当然求められるのが品質の問題である。パーツ交換が簡単にできるから故障が多く起きていいということは無い。

また従来の大量生産品は単純に従来からあるパーツ類を組み合わせて作られるという簡単なものではなく、製品が発売されるまでに多くの検証と改訂を経たうえでエンドユーザーに提供されるのだ。

そのため、安全性や故障に関する実証試験も様々な観点から検証を受ける必要がある。こうした安全性と品質の問題をどのように担保していくかという点は3Dプリント技術による個別生産にとって今後最も重要な課題になっていくのではないかと考えられる。

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。