3Dプリントに詳しくない人のためのワンストップサービスObjectifiers

拡大する3Dプリントサービス

3Dプリント技術の進展に伴い、3Dプリンター本体の販売台数も毎年急増している。

2013年から2014年にかけても出荷台数はほぼ2倍以上に上り、2014年度には10万台近くに達すると言われている。それに伴い関連する3Dプリントサービスもぞくぞくと立ち上がっている状況だ。

特に3Dデータのダウンロードサイトや、3Dデザイナーが自分の作品をアップロードするサービスなどが世界中で立ち上がっている。

最も代表的な3Dサービスとして挙げられるのがShapewaysやMakerBotが提供するThingiverse、CADモデルやCADエンジニアを集めたGrabCADなどだ。

Shapewaysは多くのプロダクトデザイナーが登録し、自分の作品を販売するサービスで、年間で数百万個出荷されている。

またMakerBotが提供するThingiverseやGrabCADは無料でダウンロードできる3Dデータを提供するサービスだ。

日本でのShapewaysやThingiverseを全く模倣するサービスが開始されているがほぼ世界中で展開されている3Dプリントサービスはこの二つの類型に属すると言っていいだろう。

そんな中新たなタイプともいえる3Dプリントサービスを立ち上げる動きが出てきている。

新たに立ち上がったサービスはイスラエルのテルアビブ大学の学生2名が立ち上げたプラットフォームでObjectifiersという企業だ。

イスラエルはもともと3Dプリント技術が盛んな国で、ストラタシス社はイスラエルの3DプリンターメーカーObjet社と合併した経緯は有名。

このObjectifiersが提供するサービスは現在β版で立ち上がっており、概要しかわからないが、3Dプリント技術に詳しくない人のためのワンストップサービスと言える内容だ。

基本的な問題として、ShapewaysやThingiverse、GrabCADなどのサービスに参加する人は3Dプリント技術と3DCADソフトに精通している人がほとんどと言える。

最近では無料で遊べるソフトなども登場しているが、3Dプリントするためには最低限の3DCAD技術の知識や印刷可能な形式に合わせるために必要なノウハウを知っておく必要がある。

そのため、3Dプリンターが普及し広く認知されていたとしても自宅で3Dプリンターを持ってデータを自由にダウンロードしプリントするという行動にはなかなかつながりにくいという面がある。

Objectifiersはこうした課題を前に、3Dプリント技術と3DCAD技術に全く詳しくなくても3Dプリントが利用できる仕組みを提供していくと発表した。

いまだベータ版なので具体的なサービスは不明だが、具体的にどのようなサービスを想定しているのだろうか。

下記はObjectifiersが発表しているサービス概要だ。

サービス概要だけを見てみると、3DデザインができるCADデザイナーを集めたコミュニティを形成し、一般消費者のオンデマンドな要求にこたえるようなサービスだと思われる。

また、コミュニティに参加する3DCADデザイナーには3Dプリント必要な、デザイン、印刷、時間、コスト、価格をより詳細にコントロールできるような機能、アプリケーションを提供するというようなサービスに思われる。具体的には以下のようなことをするとのことだ。

ワンストップ3Dプリントサービス

Objectifiers社はこのサービスを提供するにあたり、現在追加資金50万ドルの調達に入っている状況だ。

彼らの目的は専門的な知識が必要な3Dプリント技術の民主化を進めることだ。

彼らによるとObjectifiersのサービスではここに参加する人にとってはCAD技術、印刷温度やサポート材料に関する知識は必要が無いとしている。

3Dプリンターと3Dプリント技術が注目され、出荷台数は毎年増加傾向にあるが、まだまだ一部の人たちが使う技術という面が強く、世間で取りざたされているほど、一般の消費者になじみがある物ではない。

しかし、3Dプリント技術自体の向上と、Objectifiersのような取組がどんどん進むことで、広く市民権を得て、当たり前の技術として浸透するようになるかもしれない。

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