NOOKAとi.materialiseに見るデザイナーへの3Dプリンターの影響力

デザイナーの表現の幅を広げる3Dプリンター

3Dプリンターは、3Dデータから直接モノを生成するという特長を生かし、様々な業界で導入が検討され始めている。

その多くは航空宇宙産業や自動車製造などの工業用であったり、インプラントやインソールなどの医療用で使用されるケースがほとんどだ。こうした3Dプリンターの工業用、医療用における使用は、製造にかかるコスト削減と、パーツや製品そのものの機能向上といったメリットをもたらすからだ。

このように3Dプリンターは産業用の製造機器としての役割が期待されているが、同時に消費者向けの商品にとっては欠かすことができないデザイナーたちに多くのメリットをもたらすことになる。

3Dプリンター自体の性能が向上し表現できる幅が拡大することももちろんだが、3Dプリントサービスを使用すれば、コストと時間をかけることなく自分の作品をすぐに具現化できるからだ。

例えば「Shapeways」などでは多くのプロダクトデザイナーやファッションデザイナーが自分の作品を販売しているが、こうした動きは本の一部に過ぎない。

今後多くの優れたデザイナーたちが自分の作品を世に打ち出す動きが加速していくだろう。

本日は時計を中心としたファッションデザインブランドNOOKAと、3Dプリントサービスのi.materialiseによるデザイン性の高いプロダクト製造の取組を例にご紹介。

NOOKAが取り組む近未来プロダクトの3Dプリント作品

NOOKAは日本でも販売されている時計を中心とするニューヨークのデザインブランドだ。線と点を使ってデザインするのが特徴とされており、時計以外にアクセサリーや小物なども手掛けている。

もともとNOOKAは他社とのコラボレーションに積極的な企業で、日本でもセイコーと提携してセレクトショップ向けの時計を販売したこともある。

また3Dプリンターについての取組も今回が初めてではない。

NOOKAは昨年11月に3Dsystemsが提供する3DプリントサイトCubifyで3Dプリンターによって製造される時計ZUB40を打ち出している。

今回は、デジタル化が進み、ウェアラブル端末が普及する近未来のライフスタイルに基づいた作品の設計を試みるものだ。

NOOKAはこのプロジェクトで、ZONALという展示会で出展を行うもので、8名の国際的なデザイナーとプロトタイプ作品を作っている。

主なコンセプトは、グーグルグラスやiWatchなど身に着けられるIT端末が普及していく中で、人間が身に着けるもののインターフェースにどう革新を与えられるかがテーマとなっている。下記は展示予定の作品だ。

展示される未来のプロダクト

画像出所:NOOKA

素材と仕上げにこだわる3Dプリントサービスi.materialise

上記の展示される作品は全て3Dプリンターによって作られる。

この3Dプリンターでの製作を行うのが3Dプリントサービスを提供するi.materialiseだ。i.materialiseはベルギーの3Dプリントの専門企業マテリアライズ社が提供する3Dプリントサービス。

17種類もの様々な素材の3Dプリント製造に通じ、仕上げの加工を組み合わせると70通り以上もの仕上がりを提供できる企業だ。

デザイナーにとっても、そして商品を提供される側である消費者にとっても、商品の仕上がりや質感は非常に重要な部分だ。

よく3Dプリンターと聞くと、データでダイレクトに作れることから、人の手が全くかからないというイメージを持つ人もいるかもしれないが、人の手が全く加わらない無機質な機械加工のみの仕上がりというものは、商品としての魅力は無い。

そうした点からすると、3Dプリントによる長年のノウハウと、使い手の立場に立って仕上がりを提供できるマテリアライズのサービスはデザイナーにとっては最適だろう。

i.materialiseが提供する素材

まとめ

デザイナーにとって高度な3Dプリントサービスを利用することは三つのメリットをもたらす。

第一に、多くの製造業で利用されているのと同じで、コスト削減と製造時間の短縮だ。ものにもよるが試作品一つ作るにしても金型を作るのに比べてばはるかに安価に自分の作品を作ることができる。

第二のメリットは、表現できる幅が拡大することだ。3Dデータから物体を作ることができるため、金型では作ることがきわめて微細な表現が可能になる。

第三のメリットは、消費者にダイレクトに訴求し、販売することができる点だ。職人の手作業による1品ものがコアなファンに好まれるように、デザイン性に優れた人に価値を感じさせる商品を1個単位で作ることができる。

その際、重要となってくるのが、3Dプリンターの技術的性能と、プリントを行う3Dプリントサービスのクオリティだ。

当たり前の話だがデータから生成を行うだけではなく、人の手によるしっかりとした後加工が施されることが必要になってくる。

このような3Dプリンターがもたらすメリットによって、今後多くのデザイナーが世に自分の作品を提供できるようになるだろう。

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