三菱電機が高精度金属3Dプリンターを発表

開発が進む金属3Dプリンターの分野

3Dプリンターの種類の中で、最も種類が多く、また新たな開発が進んでいる分野が金属3Dプリンターだ。従来のレーザー焼結(SLS、DMLS)から、レーザー溶融法(SLM)、さらにはXJetのような液体金属など、さまざまな種類が登場している。そして今回新たに三菱電機から新たなアプローチによる高精度な金属3Dプリンターが発表された。

三菱電機のレーザーワイヤー 3Dプリントとは

今回三菱電機が開発した金属3Dプリント技術は、レーザーワイヤーDED(Directed Energy Deposition)という手法だ。この仕組みはレーザー技術と、コンピュータ数値制御(CNC)、コンピュータ支援製造CAM技術の三つを融合させたもので、ワイヤー状の金属を直接溶融して体積する仕組みだ。

この技術は、誤解を恐れずに言うと、金属版のFDM(熱溶解積層法)に近いかもしれない。FDMはストラタシスが開発したプラスチックの3Dプリンターで、金型と同様の本物の熱可塑性樹脂が使用できるのが特長だ。しかし、三菱電機が開発したDEDプロセスは似て非なるものだ。

多軸で動く金属押出ノズルと、レーザーによる制御

まず、第一にDEDのプロセスの材料を押し出すプロセスは、FDMと同様であるが、FDMとは違い、DED 3Dプリントでは、金属ワイヤーを供給するノズルが多軸だという点だ。FDMの場合は、基本的にノズルは、x軸とy軸すなわち平面方向にしか動かず、高さのz軸はプラットフォームが動くことで物体を積層していく。

しかし、三菱電機のDED方式ではアームの方向は特定の軸に固定されておらず、複数の方向に移動することができ、必要に応じて任意の角度から材料をくっつけることができる。3Dモデルの形状は、金属ワイヤーまたは粒子が表面上に堆積される供給速度は、角度を制御することによって制御される。

このDED技術の画期的な点は、高品質な金属パーツを高速で生産することが可能な点にある。そのための仕掛けがレーザー技術の利用だ。従来の手法ではレーザーと堆積した金属の熱によって造形物が歪む傾向にあったが、CNCによってよりレーザーを最適にコントロールすることによって歪みを防止し、高精度な造形を実現した。

最終形状に近いニアネットシェイプも可能

また、形状精度が従来の連続成形技術と比較して60%向上した。また、高温領域が狭い領域に限定されているため、従来課題であった酸化は20%以上低減することができた。

改良前の造形物。歪んでしまう

これにより具体的な用途として、航空機や自動車部品の「ニアネットシェイプ」(最終形状に近い仕上げ)成形、ビルドアップ修理、中空形状やオーバーハング形状など、更には構造部品の修理やメンテナンスなど、非常に幅広い用途での使用ができ、金属パーツの製造の分野で飛躍的に生産性を向上することができる。

まとめ

三菱電機は、2021年3月期に商用化された機種を投入する予定とのことだ。また、三菱電機は、11月1日から2018年11月6日まで東京国際展示場で開催される第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)で6日間のイベントを開催する予定だ。

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