レーザー焼結とは違う、金型を1日で製造する金属3Dプリンター

レーザー焼結ではない新たな金属3Dプリントの製法が登場

3Dプリントの製法の改良が進んでいる。最近では液状のエポキシ樹脂アクリル樹脂ポリウレタンをベースにした紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し硬化させる光造形の製法で新たな技術が登場した。

液体樹脂のプール内で硬化させるCarbon3Dプリンターや、プレートをトップダウンで移動させることで高速化を実現したGIZMO3Dプリンターなど、従来の特許切れの技術に手を加えることで、驚く程の高速性と、高精細を実現している。

このように3Dプリント技術はまだまだ改良の余地があり、全く異なる製法がこれからも登場することが予測される。従来のFDMや光造形、レーザー焼結などの枠を超えた画期的な造形技術が登場するかもしれない。本日ご紹介する金属用3Dプリンターもそんな可能性を感じさせてくれる3Dプリンターだ。

金属用といえば、通常パウダー状の金属粉末にレーザーを当てて焼き固める方法が一般的だが、新たな3Dプリンターメーカー+MFGが発表する+1000Kという機種は、レーザー焼結ではない、全く異なる方法で金属の造形を可能にするという。現在はプレスリリースのみで、動画などは公開されていないが、1時間で2キロの大きさのマルチ金属の造形が可能とのことだ。その概要をご紹介。

高速で高精度のプリント、金型が1日でできるAMD製法とは

今回+MFGによって発表された+1000Kという3Dプリンターだが、レーザー焼結法ではなく、アークメタル蒸着(AMD)と呼ばれる方法で金属3Dプリントを可能にするという。この製法に関する詳細な方法や技術的背景は全く公開されていないが、特許取得の製法で、これまでの金属加工を一気に変えてしまうものだと発表している。

一般的なレーザー焼結とは違い、パウダーを使用せず、時間単位で機能的な金属パーツを作り、1日単位で長期間使用に耐えうる金型すらも製造できるという。またスピードと精度だけではなく、ほかの3Dプリント技術に比べてコストもはるかに抑えられる機械とのことだ。

1時間で2キロのスピードで、複数の金属を使用してプリントすることが可能。また造形サイズは600mm×900mm×1200mmという巨大なものでスチールとアルミニウムの両方の造形に対応している。まるで夢のようなマシーンだが、シカゴで行われたAutomate 2015での発表で、+MFGの広報担当は「このAMDプロセスの利点は、鍛造、鋳造、切削という金属加工のゲームチェンジャー」になるだろうと述べているほど。

まとめ グローバル企業と共同開発、溶接と切断技術が関係か

この+MFGは、AMDプロセスを搭載した3Dプリンター+1000の開発に2年間以上取り組んできたという。そして開発パートナーとして行ってきたのが、パーカー·ハネフィンミラー電機製作所だ。パーカー·ハネフィンは日本にも展開する世界48カ国に展開するモーションコントロール技術のメーカーだ。

その展開分野は航空宇宙産業からモバイル産業まで幅広く、この分野のグローバルリーダーだ。一方、ミラー電気製作所は、ウィスコンシン州に本社を置く切断・溶接装置のメーカーで、こちらもこの分野の加工機械で製造から建設、航空宇宙産業、海洋アプリケーションとあらゆる業界に進出している。

+MFGの開発パートナーから類推すると新たな金属3Dプリント技術であるAMDプロセスとは、溶接と切断が関係しているのかもしれない。いずれにせよ詳細な造形プロセスを示す動画などは未公開であることから、今後の詳しい発表などが気になるところだ。

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