世界的3Dプリント企業がインソール製造に進出
3Dプリント技術のカスタマイズ性を生かしたサービスがぞくぞくと立ち上がっている。中でも人間の身体にフィットさせる商品には3Dプリンターは最適だ。
そのため、医療分野や歯科分野、シューズや自転車などのスポーツ用品業界での使用が盛んになりつつある。とりわけ靴の中に入れるインソール製造に3Dプリンターを利用する動きが盛んだ。
イギリスでは国民健康保険サービスの一貫として、行政機関が足病対策を行っているが、既にインソールの製造は3Dプリンターに切り替わりつつある。
またアメリカでもスマホのアプリケーションを利用したインソールのカスタマイズ製造を行うスタートアップも登場している状況だ。
そんな中、3Dプリントサービスとして世界的な企業マテリアライズが、新たなインソール製造を行う合弁事業を立ち上げている。
マテリアライズは世界中で展開する工業分野、医療分野で3Dプリントサービスとソフトウェアサービスを提供するエキスパート。今回ご紹介する新たなインソール製造は、フットスキャンのハードウェアとソフトウェアを融合させた画期的なサービスだ。
人間の日常の動きから正確なカスタマイズ
今回マテリアライズが立ち上げた事業はRSscanインターナショナルと呼ばれる足裏圧力の測定システムを作る専門企業との合弁になる。
仕組みは極めてシンプルなサービスで、足裏の圧力を測定し、その人に合ったインソールを3Dプリンターでカスタマイズ製造するというものだ。
足裏圧力を測定するスキャンはシート状になっており、実際に人がその上を歩くことで、ウォーキングやランニング時の足の動きの分析を行い、圧力分布を正確に把握することができる。以下はインソール製造におけるスキャニングと製造のステップだ。
ステップ1:RSscanのフットスキャンの上を歩く
ステップ2:重、足の動きに合わせて正確な圧力分布からインソールを設計
ステップ3:圧力分布に基づいて3Dデータ化
ステップ4:3Dプリンターで製造
提供されるフットスキャンは3種類あり、エントリーモデル、上級レベル、ハイエンドレベルあり、販売はハードウェアであるフットスキャンと専用ソフトウェアがセットとなっている。
面白いのが、それぞれ3種類の中でも、さらに長さ違いが3パターン選べるというラインナップ。
例えば、578㎜、1068㎜、2096㎜と3パターンあり、長い方がより歩いた時の正確な足の動きと圧力が測定できるという機能を持っている。主な導入先は病院、医療機関をはじめ、リハビリ施設、ランニングシューズの販売的などを目指しているようだ。
578㎜
1068㎜
2096㎜
まとめ
マテリアライズは3Dプリント技術を通じて、工業、医療、ヘルスケアなどあらゆる業界の製造に革新をもたらしている。
とりわけ医療、ヘルスケア分野においては、外科手術などの専門医と共同で取り組むなど、実際の使用シーンに適したソフトウェア、技術の提供を行っている。
今回新たに立ち上がったインソールの3Dプリントサービスも、歩いて計測できるというより使用者の日常に基づいた方法で計測されている。
インソールのカスタマイズといっても様々な方法があり、例えば既存のインソール製造は足の型を石膏でとる方法が大半だ。
また3Dプリントを使った方法でも、写真で撮影して計測するアプリを使用するという方法論である。しかし、こうした方法は、実際に歩いた時の人間の足の動き、圧力分布がわかるわけではない。
このようにカスタマイズと一言で言っても、さまざまな方法論があるが、使う人の動きにどれだけ正確にフィットしているかで、快適さがきまるのであれば、より人間の日常の動きから測定するという方法論が一番信頼性が置けるような気がする。
マテリアライズのインソール製造とは、そんなカスタマイズとは何かということを問いかけてくれる取組だ。
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