Massivit アルテック株式会社取材第一弾。高速大型造形を実現した3Dプリンター

大型造形物を高速3Dプリント。Massivitとは

年々加速する3Dプリンターの開発。単純に失効した特許を利用したものではなく、新たな製法や材料を開発する動きが盛んになりつつある。特に乱立する3Dプリンター開発において存在感を示しつつあるのが、ある特定の機能や用途に特化した3Dプリンターだ。

今回ご紹介するMassivit 3Dプリンターは、イスラエルに本社と製造拠点を置くMassivit 3D Printing Technologies Ltd.によって開発された大型3Dプリンターだ。これまで大型の3Dプリンターはいくつか登場しているが、Massivitはその独自のテクノロジーと材料によって高速生産を実現し、大型造形物が必要とされる市場において急速にその存在感を示しつつある。

今回は、Massivitの販売代理店であるアルテック株式会社からの取材レポート第一弾をお届けしよう。

Massivit 3Dプリンター
高さ1.5メートルと1.8メートルの2機種。大型高速造形を実現したMassivit

1時間で最大35センチのプリントも可能

Massivitは、高さ1800mmのMassivit1800(シングルヘッド、ダブルヘッド)と、高さ1500mmのMassivit1500の3機種のラインナップを持つ(幅1170mm、奥行き1450mmは同じ)。

そしてMassivitの特長の一つである高速生産だが、その生産性は1時間で35センチ(直径1mの円柱を造形した場合の速度)(Massivit1500は高さ30センチ)もの造形物を作ることが出来る。

Massivit
35センチほどの高さを1時間ほどでプリントできる。

この大型造形と圧倒的なスピードにより、サインやディスプレイなどの立体広告や、大型POPなどの広告物、展示会などの造形物、更には照明や建築ブースなど、さまざまな用途での使用が広がりを見せている。

下記はMassivitで作られた造形物の事例だが、ディスプレイ広告やPOP、照明、建築模型、ブースなどは、これまで多くの時間とコストがかかっていた分野だ。しかし1時間当たり30センチ~35センチもの生産性を誇るMassivitであればリードタイムも数週間から1.2ヶ月かかっていたものが最短数時間で構築することができる。

Massivit
Massivitで作られたディスプレイ。高速造形が可能なため、幅広い用途に使える。
※画像提供:アルテック株式会社

Massivit
ルイヴィトンのPOPアップショップ。巨大なブースもスピーディに造形が可能。
※画像提供:アルテック株式会社

真空成型との組み合わせも可能。巨大なディスプレイ広告が素早く製造できる 
※画像提供:アルテック株式会社

Massivit
巨大な造形物をスピーディに作ることができる。※写真は造形後、研摩、塗装を施したモデル

高速&大型を実現した独自テクノロジー

こうしたMassivitの大型造形と生産性を実現するカギとなっているのがその独自のテクノロジーである。第一が特許にもなっている独自材料であり、第二がそれを実現する独自の造形方式である。

Massivit
巨大な押出ノズルを搭載している。

FDMと光造形の仕組みを融合

Massivitの造形方式は、わかりやすく表現すると熱溶解積層法と光造形法の融合のような方式だ。押出ノズルからフォトポリマージェルを糸状にして押出、紫外線を照射しつつ積み上げて硬化させていく。

熱溶解積層法は熱可塑性樹脂を加熱して溶かして押出し、自然に冷やされて積層されるが、Massivitの場合は、ディスペンサーがアルキメデススクリューからの圧力によってジェルを糸状に出し、UV照射によって瞬時に硬化される。

最大の特長が、このジェル状の樹脂で、粘度と瞬間硬化によって熱溶解積層法のようにサポート構造はほとんど必要ない。また、光造形法のように洗浄や二次硬化も不要だ。

Massivit
FDMと光造形を組み合わせた新たな製法。特許取得の独自開発のジェルで高速造形ができる。
※画像提供:アルテック株式会社

空中で水平積層も実現。サポート不要の材料とは

Massivitの性能を発揮する最大の存在が造形材料である“Massivit Dimengel®”だ。アクリルをベースに独自開発された特許取得済みの材料で、特徴ある粘度によって瞬時に固まる脅威の硬化速度を誇る。それによりほぼサポート構造を必要なく、驚くべきことに空中で水平に積層することもできる。

これは従来のFDM方式では不可能であった造形技術で、軽量の中空構造などをスピーディに尚且つ高強度にプリントすることができる。また余分なサポート構造の不要は、造形時間の短縮に加え、材料コストの削減にもつなげられる。

Massivit
瞬時に硬化することから、FDMのようにサポート材はほぼ必要ない。水平にも造形ができる。
※画像提供:アルテック株式会社

柔軟で高い加工性

この“Massivit Dimengel”のすぐれている点はもう一つある。それが幅広い加工性だ。例えば、大型ディスプレイやPOP、建築ブースなどの巨大な造形物では当然のことながら、Massivit 3Dプリンターよりも大きい場合が多い。

また、Massivitで作られたままの造形物は、当然のことながら積層跡が目立つため、研摩や塗装などの後処理が求められる。この後処理工程も非常に柔軟性が高い加工ができる。

接着剤としても使用可能。複数パーツの接着も同じ物性で

その場合には、設計データを分割してプリントし、プリント後に組立を行う必要があるが、Massivit Dimengelは、この場合の接着剤としても使用することができる。これは瞬時に硬化するMassivit Dimengelの特性を利用したもので、造形モデル同士の間にこのジェルを塗り、ハンディタイプのUVライトで照射すれば、簡単に接合でき一つの物体に同化させることができる。

他の3Dプリンターで作られた造形モデルは接着剤が造形材料とは異なるため、物性の違いから破損する可能性などもあるが、Massivitでは造形材料と同じ物性であるため、破損する心配もない。

Massivit
Massivitのジェルは、造形材料以外に、接着剤としても使用できる。UVライトを照射するだけで瞬時に硬化し接続できる。※画像提供:アルテック株式会社

表面処理や塗装で完成度の高い仕上がり

Massivitで作られた造形モデルは積層跡が残っているため、いくつかの後加工を施すことで、完成度が高い造形物にすることができる。第一にモデルの表面に造形材料を塗ることで表面の凹凸などを無くすことが可能だ。

こちらも接着剤で使用するときと同様、UVランプをあてることで簡単に硬化させることができる。硬化後は電動研磨機やサンドペーパーなどで研磨を行い、プライマーなどで下塗りし、塗装を施せば美しい仕上りが可能となる。

Massivit
造形後、研磨や塗装を施すことで、驚くほど美しい仕上がりが可能に。大型工業モデルの造形にも最適。※画像提供:アルテック株式会社

Massivit 3Dプリンターのスペック

  • 機種:Massivit 1800/Massivit 1500
  • 造形サイズ(WxDxH):1170×1450×1800㎜(1800)、1170×1450×1500㎜(1500)
  • 最大造形重量:150kg
  • 造形速度(Z軸):35㎝/時間、300㎜/秒(1800)、30㎝/時間、250㎜/秒(1500)
  • 造形モード:ノーマル/ クオリティー/ ハイレゾリューション
  • ヘッド数:1、2(オプション:スケールにより増設可)
  • 材料:Dimengel 100(遮光缶 19kg)UV硬化樹脂材料(白)
  • 制御システム:Massivit 独自のフロントエンドソフトウェア 
  • OS:Windows®
  • ネットワーク:LAN接続
  • ソフトウェア:Massivit Smart
  • 機能:STL ファイルの読み込み、サイズ変更、回転、スライス、サポート生成
  • 設置状態寸法(WxDxH):3100×2200×2800㎜/重量:2500kg(1800)、3000×2200×2600㎜/重量:2500kg(1500)
  • 梱包状態寸法(WxDxH):3500×2300×2600㎜/重量:3000kg(1800)、3400×2300×2550㎜/重量:3000kg(1500)
  • 開梱状態寸法(WxDxH):3100×2200×2400 ㎜(1800)、3000×2160×2160 ㎜(1500)
  • 適合規制:CE
  • 供給電源:32A ( 三相) 380 – 400VAC±10%, 50/60Hz
  • 電力消費量:( 50Hz)10KW(造形時)、22KW(最大)
  • 空気圧:6-8 bar
  • 動作環境:16 ~ 30℃(1800)、18 ~ 30℃(1500)

まとめ 工業用途の可能性も大きい

Massivitの他の3Dプリンターにはない生産性と高い加工性は、従来からの広告、POP、ディスプレイといった用途以外でも可能性が見られる。例えば自動車や照明など大きい工業製品のプロトタイピングでは最適だ。

例えば、自動車のバンパーのプロトタイプ事例では、外注で1.5カ月かかっていたプロトタイプがMassivitではわずか半日で作ることが可能となった。また、家具やインテリア、住宅設備関連機器、船舶、建築模型など、スピーディで低コストにプロトタイプの作成ができるMassivitは大きな力を発揮する可能性が高い。

2019.1.23 投稿者:i-maker

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