3Dプリント技術の啓蒙活動
デスクトップ3DプリンターメーカーのMakerBotの企業目標の一つは、全米の全ての学校に3Dプリンターを導入することだ。
この目的のためにMakerBotは様々な取り組みを行ってきている。本サイトでもたびたびご紹介させていただいたが、教師のための資金調達を行なうクラウドファンディングと共同プロジェクトを行い、学校が3Dプリンターを購入するための資金を調達したり、大学内に3Dプリントイノベーションセンターを開設したりと、機器本体の製造販売以外に様々な活動を行っている。
主に3Dプリンターとその利用方法を広く知ってもらうための活動であったり、学生や企業など幅広い人たちに3Dプリント技術の良さや影響を知ってもらうための取組だ。
こうしたある意味社会貢献的な要素が強い取組を行っているのも、創業者の一人であるCEOブリペディス氏がもともと公立学校の教師だったというバックグランドが強く影響しているのだろう。
このMakerBotだが、新たに広く3Dプリント技術を知ってもらうための啓蒙活動として子供向けの絵本を発表した。
MakerBotが発売する絵本「LEO the maker prince」
絵本と3DデータサイトThingiverseとの連動
MakerBotが新たに発表した絵本は「LEO, the Maker Prince.」というタイトルで、子供でも分かるような絵本になっている。
本の内容は至ってシンプルで、子供のころ将来アーティストになる夢を持っていたのに、実際には会計士として働いているカーラがロボットLEO Maker Princeと出会うことで、3Dプリント技術が広がる世界を体験し、ずっとなりたかった芸術家になれるというストーリーだ。
面白い点は絵本の中に出てくるカーラがデザインしたアイテムや、ロボットLEO、LEOの友達のロボット、主人公のカーラ自身をMakerBotが提供する3DデータサイトThingiverseでダウンロードし、実際の3Dプリンターでプリントできる点にある。
実際に絵本の世界だけではなく、現実の世界でも体感してもらうという取り組みだ。
ちなみに絵本自体はAmazonでも購入でき11.98USD。
Thingiverseで無料ダウンロードできる3Dデータ
主人公のカーラ
LEO
まとめ
3Dプリント技術は昨年以降メディアに広く取り上げられ急速に有名になってきているが、まだまだその技術は一部の製造や設計に携わっている人立ちに知らているのみで、広く一般的に正確に認識されているわけではない。
MakerBotは単なる直接的な利益を上げるビジネスだけではなく、広く世界中の人々に対して3Dプリント技術を知ってもらい、ものづくりの現場や製品開発のアイデアに役立ててほしいという意識があることがよくわかる。
今回の絵本と無料データサイトを連動させた取組もある意味自社の広報活動と位置付けることができる。
今回のこうした取り組みや、全国の学校に3Dプリンターを導入し、若い学生にその技術を知ってもらい、将来に役立て欲しいという取り組みはCEOであるブリペディス氏のもつ理念が、公立高校の教師のころから持ち続けているためだ。
しかし、こうした無料で開放したり、感受性に優れた若い世代の共感を得ることは社会貢献的な要素が強いが、自社の取組と製品の普及につなげる最大の広告効果があるのではないだろうか。
営利を追求するのが企業だが最終的にはこうした活動はまわりまわって将来的に企業にとって大きなメリットをもたらすと考えられる。
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