低価格3Dプリンターの熾烈な価格競争
3Dプリンターの低価格化が止まらない。連日キックスターターなどの資金調達サイトで新たな3Dプリンターが登場し、価格競争が激化している。
とりわけ価格帯は10万円を切るところまで行っており、1台5万円から利用できるオープンソースの光造形3Dプリンターが注目を集めるなど、低価格化は予想以上に早く進んでいる状況だ。
こうした動きを受け、3Dプリンターメーカーのリーディングカンパニー3Dsystemsも消費者向けのシリーズCube2の値下げを決定した。その価格は56%も値下げした579ドル(約6万円)という思い切った価格改定だ。
最近の価格競争を見てみると、もはやある程度の性能を保ったまま、10万円を切る価格ではないと製品としての競争力を持つことは難しい。
昨年の1台30万円程度が最も安く、ミスプリントも多いという状況は遥か昔のことだ。激化する低価格3Dプリンターの競争を制するのはいまだ見えない。
この分野で圧倒的市場シェアを誇るのはMakerbotだが、LittleRPのように光造形の高性能で低価格なモデルが登場すれば市場シェアは一気に変わる可能性を秘めている。
このような状況の中、Makerbotが新たな消費者向け市場獲得のための取り組みを開始した。
1台5万円から購入できるオープンソースの光造形3DプリンターLittleRP
3DsystemsのCubeも56%の値下げで579ドル
開発者向けに無料アプリと3Dプリントサービスを提供
Makerbotが新たに始めたビジネスは、消費者向けに3Dプリントサービスを提供する企業に対して、無料でMakerbotの3Dプリントアプリを提供するというものだ。
例えば新しく3Dプリントでカスタマイズできるサービスを開始しようとしても3Dプリンターがなければ商品を提供することは難しいし、そもそも3Dデータのカスタマイズアプリを一から開発しようとすればかなりのコストと時間がかかる。
Makerbotはこうした新たに消費者向けに3Dプリントカスタマイズサービスを開始したい企業や開発者に無料でアプリと3Dプリントサービスの連携を行っている。
このMakerbot開発者プログラムは、今後拡大する消費者向けの3Dプリント市場にいち早く先鞭を付け、同時に自社の3Dプリンターを普及させようという狙いがあるようだ。
Makerbot開発者プログラムではiOSやアンドロイド、パソコンなどの3Dプリントアプリが作れる
消費者向けカスタマイズサービスが開始しやすくなる
このMakerbot開発者プログラムに参加することで、企業や開発者はプログラムの一環として、スマートフォンやタブレット端末で動作する3Dカスタマイズアプリの開発が容易になる。iOSやAndroidと互換性がある。
もちろんデスクトップ向けのソフトウェアとしても機能する。こうしたMakerbotのアプリ開発者向けのプログラムはMakerbotレディアプリといわれ無料で利用可能だ。
またこのアプリケーションを導入することで、Makerbotの小売店で行われている3Dプリントサービスを安く利用することができる。
既に2社新たにMakerbot開発者プログラムに参加し、消費者向けに3Dプリントカスタマイズサービスを開始中だ。
1社は以前もご紹介したおもちゃのカスタマイズサービスを行うModio。iPad上で簡単にパーツをくみあわせることで、自分だけのオリジナルなフィギュアを作ることが出来るといったものだ。ModioのiPadアプリケーションはこのMakerbotレディアプリを使ってつくられている。
もう1社はiPhoneケースのカスタマイズ製造を行う企業Fraemes。こちらもModio同様Makerbot開発者プログラムを利用し、消費者向けにオリジナルなスマートフォンケースを提供するサービスを開始した。
iPadアプリでおもちゃを3DプリントカスタマイズするModio
iPhoneケースのカスタマイズを提供するFraemesも利用
まとめ
低価格モデルの3Dプリンターはこれからも続々と登場するし、開発競争と価格競争は今以上に激化するだろう。こうした市場を制するために各社さまざまな取り組みを行っているが、どのメーカーが手動的地位を占めるかはいまだわからない状況だ。
3Dプリント技術がいまだ発展途上という段階ということもあるし、多くの企業や消費者がその利用方法をいまだ見いだせていない状況だからだ。
しかし時代の流れは確実に、カスタマイズサービスの方向に向かっており、そうした時代の流れを読んでビジネスを行うことは企業にとって絶対的に必要なことになる。
Makerbotの開発者プログラムは、高まる消費者のカスタマイズニーズと、新たに時代を読んで3Dプリントサービスを開始したい企業の要望にいち早く答えるものだ。
こうした取り組みは、低価格3Dプリンターの分野で最も早く事業を開始したMakerbotならではの取り組みだと言える。新規参入する企業の多くが、資金調達をクラウドファンディングに頼っている状況の中、Makerbotはその流通量と、開発者支援のプログラムでまだまだ市場シェアを維持するかもしれない。
あとは他社に劣らない高解像度やミスプリントがない高品質という基本的な部分が担保されると言うことはない。
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