拡大するパーソナルファブリケーションの動きMaker Faire
11月23日と24日の二日間、東京ビッグサイトでMaker Faire Tokyo 2014が開催された。今年で9回目を迎えるMaker Faireは、前回の盛況ぶりもあってか、前回の日本科学未来館から東京ビッグサイトに移っての開催だ。
今年も前年度を上回る盛況ぶりで、入場には長蛇の列と制限がかかるほど。メイカームーブメントにふさわしい、個人のモノづくりを促進させる様々な企業が登場している。
来場者は多くの家族連れが多く、子供から大人まで楽しめる展示会となった。メイカームーブメントと言えば、とりわけ注目されるのが二つの技術、3Dプリント技術とモノのIT化、ウェアラブル端末の技術だ。
将来のモノづくりだけではなく、個人のアイデアをカタチにする技術として注目され本展示会でも、この二つの技術に関連した企業の出展が多くみられた。本日はMaker Faire Tokyo 2014から見る、拡大市場、3Dプリント関連とウェアラブル端末の概況をご紹介。
3Dプリントの普及拡大と浸透
最も注目されるのが3Dプリント関連の技術だ。わずか1年前には試作製造のためだけにとらえられていたこの技術も、テクノロジーの発展とメイカームーブメントによって、さまざまなサービスが登場してきている。Maker Faire Tokyo 2014でも多くの3Dプリント関連サービスが出展していたが、その代表的なサービスをご紹介しよう。
17種類の素材と高性能な仕上げに特化した3Dプリントサービスi.materialise
さまざまな3Dプリントサービスが群がり起こる中、マテリアライズは最も古くから3Dプリント技術に携わってきた企業だ。その歴史は古くこの技術が注目されるはるか昔25年以上も前だ。i.materialiseはそんなマテリアライズが立ち上げたオンライン3Dプリントサービス。その最大の特長は17種類の豊富な素材バリエーションと、高性能な仕上がりだ。今回のMaker Faire Tokyo 2014のブースでは、プラスチックから金属まで幅広い種類の材料17種が展示され、欧州最大の3Dプリント工場で作られた高性能なプロダクトが展示されている。
3Dソフトウェアの民主化を図るAUTODESK
3Dプリント関連では最大のソフトウェア会社AUTODESKも出展している。AUTODESKの展示内容では、より3Dプリントと3Dソフトを身近に感じてもらえるような内容になっている。3Dソフトウェアと言っても従来は専門のCADオペレーターや、一部のプロダクトデザイナーしか使いこなせなかったものだが、AUTODESKはスマートフォンで写真から3Dモデリングを作るアプリのアプリ123D Catchのイベントなど、多くのエンドユーザーが身近に感じてもらえる催しを展開している。また、ブースには精巧に作られた3Dプリントモデルも飾られている。
3Dプリントの普及を図るデスクトップ3DプリンターのMakerBot
3Dプリンターメーカーで出展していたのはデスクトップ3Dプリンターで最大の市場シェアを誇るMakerBotだ。個人向け3Dプリンターの代表格としてRepRapとともにFDMタイプの低価格3Dプリンターとしては世界シェアでトップ。多くの個人向けの低価格3Dプリンターが登場してきているが、その多くがいまだ市場に登場しておらず、本格化するのは来年2015年以降と言われている。そんな中、特許切れとともに、市場に先鞭をつけてきたのがMakerBotだ。現在はストラタシス傘下の企業として、パーソナルファブリケーションやデザイン事務所、教育関連など、最も普及しているといっていい。展示ブースでは3Dプリンター本体や3Dデータ共有サイトThingiverseとの連動や、低価格3Dスキャナー『MakerBot Digitizer』との連動など、個人向けの「作る」方法を展示している。
爆発的に成長する市場:モノのIT化ウェアラブル関連
3Dプリント関連とともにMaker Faire Tokyo2014の目玉となるのがモノのIT化、ウェアラブル関連のブースだ。会場では、Arduinoやラズベリーパイといった物を無線でつなぎ、ソフトウェアでコントロールする新たな時代の電子工作などが多く登場している。グーグルやソニー、インテル、東芝などの大手企業も、このモノのIT化に関する市場が拡大するとにらみ、スポンサー出展している状況だ。
また、大手企業以外にさまざまな企業や教育機関が出展している。とりわけ今後の製品開発に置いて、無線とソフトウェアでコントロールする技術は必須の技術。今回のMaker Faire Tokyo 2014の盛況ぶりからもその市場の成長ぶりがうかがえそうだ。例えば今後開発される多くの家庭用品、ホームデバイスはほぼそのすべてがIT化され、スマートフォンなどでコントロールされるのが当たり前になる。
ビジネスリサーチを行うBIインテリジェンスの予測によると、ウェアラブルホームデバイスの普及拡大は、スマートフォンやタブレット端末よりも早いスピードで拡大し、2015年以降、年率67%という驚異的な成長市場になると予測している。こうしたことから、Maker Faire Tokyo 2014に見られるようなソフトウェアと連動した電子工作関連のニーズはますます高まることになるだろう。
まとめ
Maker Faire Tokyo2014は、今後の製品開発の可能性を感じさせてくれる展示会であった。今はまだ電子工作レベルやおもちゃのようなレベルであるが、その中身は3DプリントやArduinoなどの最先端技術が使用されており、未来の製品開発の種が見て取れる。とりわけ特長的だったのは来場者の多くが家族連れであるということ。こうした点からも多くの子どもたちがモノづくりに興味を持つ展示会だと言える。
今先進国では学校教育のカリキュラムに3Dプリントやプログラミングの授業を取り入れようという動きが盛んになりつつある。そのような時代の流れを見ると、Maker Faireは、子供たちが普段学校の授業では見ることができないものにたくさん触れられる貴重な機会だし、彼らの将来選択する道のきっかけにもなっている。
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