LED照明のデザインを広げる3Dプリント技術
以前もたびたびご紹介させていただいたが、「LUXeXcel」はオランダ発の光学レンズを3Dプリントする企業だ。これまで将来成長市場として注目されているLED照明市場を見据え、3Dプリント製造への体制を整えつつある。
今年の頭に500万ユーロもの資金を調達し、カリフォルニア州に広大な敷地の3Dプリント工場を建設している。その「LUXeXcel」が新たに3Dプリント技術を使った超薄型のLEDテーブル照明を作ったと発表している。
今回発表された取組はドイツの照明会社「FSIGN」から依頼があったもので、これまでは実現不可能であった非常に困難なプロジェクトだったとしている。下記が今回つくられたオフィスなどの机の上で使用するテーブル用のLED照明器具だ。
「LUXeXcel」が手掛けた超薄型LED照明「one LED」
画像元:FSIGN
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従来不可能であったデザインが製造可能
見ていただくとわかると思うが、このテーブル用LED照明は超薄型設計となっており、何と厚さはわずか4㎜しかない。主な使用場所はスモールオフィスや机の上で使用されることから、その配光パターンは60度から120度のビーム角を持つように設計されていなければならない。
厚さがわずか4㎜ということは、光学レンズが配置されるプラスチック基盤の厚さはたった500ミクロンになってしまう。
従来の光学レンズの製法では鋳型を使って製造しているため、これほど薄い製品にレンズを設置することは不可能であった。
しかし、「LUXeXcel」の3Dプリント技術では、500ミクロンのプラスチック基板にはめることが可能な36個の高解像度の薄型レンズを生成することに成功した。
また、「LUXeXcel」の3Dプリント技術の凄い点は、生成後の後処理を全く必要としない点にあるとされる。
通常3Dプリンターで生成した場合には、少なからず人の手による後加工や処理を施すのが当たり前だが、「LUXeXcel」がつくる光学レンズは全く後処理は必要ないという。
光学レンズを配置するプラスチック基板の厚さはたった500ミクロン
高精度な3DCADソフト「オートデスクInventor®」
今回の超薄型レンズを3Dプリントするにあたり使用されたソフトウェアはオートデスクがリリースしている高精度な3DCADソフト「オートデスクInventor®」。精密なパーツ類や金型等の設計に使用されるものだ。
今回のわずか500ミクロンの薄さにはめ込む6×6の薄型レンズの設計にも非常に役に立ったとLUXeXcelのCEOリチャード氏は語っている。「オートデスクInventor®」はCAD上で試行錯誤するうえでも効果的で、特に光学レンズの設計には必要不可欠だという。
まとめ -3Dプリンターは商品開発の幅を拡大する-
今回の「LUXeXcel」が作った超薄型LED照明は、ものづくりにおける3Dプリンターの二つの効果を最大限見せつけている。それは製品設計、プロダクトデザインの幅をはるかに広げてくれるという点だが以下の二つの効果がある。
第一はデザインと機能の両立だと思われる。従来の鋳型を使った製法では、これほど薄いデザインで、求められるLEDとしての機能を担保することは不可能であった。
第二はコスト面の効果があげられる。今回の光学レンズの設計に使用された高性能3DCADソフト「オートデスクInventor®」を使うことで、設計の微修正、試行錯誤が用意になり、最終品が3Dプリンターで作られると、全く修正や後処理が不要であるということからも言える。
これまであれば、試作品を生成して何度も試行錯誤し、完成された後も加工が必要であった。しかし、「LUXeXcel」の設計製造方法では、こうしたコストと時間が最大限短縮される。
まさに製造業やものづくりの場において最大限3Dプリンターの効果を生かし、製品改良とデザインの挑戦につなげている取組なのではないだろうか。
光学レンズと分野は限定されるが、多くの企業が3Dプリンターの今後の使用方法に注目する中、商品開発における効果的な運用方法を示してくれる。
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