3Dプリンターで電気自動車を作る
以前にもたびたびご紹介させていただいたがローカル・モーターズは自動車関連のオープンコミュニティ―だ。
多くのデザイナーやエンジニア、加工メーカーやパーツメーカーが参加するコミュニティで、自動車製造の分野で新たな取り組みを行っている。今年2月に世界で初めて、電気自動車を3Dプリンターで作るという取り組みを発表したが、今回正式にデザインアイディアの募集が開始された。
ローカル・モーターズは9月8日から13日にシカゴで開催される予定の国際製造技術展に車両全体を展示することを発表している。
応募されたデザイン案は上位3位までが選考されることになり、一般投票と専門家によって審査されることになる。5月13日までが応募期間で、5月17日までが投票期間、結果は5月30日に発表される予定。
ローカル・モーターズはデジタルデータと3Dプリンターを組み合わせる新たな「デジタル・マニュファクチャリング」を体現する取組として、今回の3Dプリント電気自動車を作るつもりだ。既に2月に3DプリンターメーカーのMakerBot CEOのプリベディス氏を取締役に招いている。
今回のデザインチャレンジに関してローカル・モーターズのCEOジェイ・ロジャーズ氏は下記のように述べている。
「歴史的に、新しいデザインの新型車を生産するためには、複数の構造物やパーツを製造するために金型を製造する必要があります。そのために投資する費用は莫大であり、時間も大幅に使用することになります。しかし、このデジタル技術と新たな製造プロセスを使った最初のデザイン車両は、自動車を設計·構築するプロセスの速度を大幅に変更することができます。」
エントリーされたデザイン





ローカル・モーターズのデザインチャレンジの動画
3Dプリント電気自動車デザインチャレンジの目的
今回の取組の一番の目的は、3Dプリンターを使用して、車両の大半の構造物を製造することだ。
そして、最終的に完成した車両をシカゴ国際車両技術展で展示し、既存の製造方法に比べてより経済的で、可能性があることを実証することだ。賞金は優勝者には5000ドルの賞金と国際車両技術展への招待だ。2位と3位にはそれぞれ5名ほどを予定し、各1000ドルずつの賞金が授与されることになる。
3Dプリント電気自動車デザインの必要条件
- 二人乗り。モーター、バッテリー、乗客の位置は固定。提供されるCADファイルでこの部分は変更してはならない。
- 4つの車両を入れる必要がある。ホイール、タイヤ、バッテリーやサスペンションパーツは変更しない。
- ドアやボンネットなどの機械的な開口部は搭載不可
- フロントガラス/風偏向器のいくつかをもっている必要がある
まとめ デジタル製造の経済効果を実証するチャレンジ
この電気自動車の3Dプリントデザインチャレンジは、既に10エントリーほどデザインが応募されている。ローカル・モーターズはまさに3Dプリンターとデジタルデータを使った未来の製造システムを構築し始めているようだ。
オープンにされたWEB上のコミュニティに世界中からアイデアやデザインが集まり、一定の方法のもとに集約され、人々に価値を与える製品が作り出される。まさにこれまでのメーカー主導型とは明らかに異なる方法だ。既に数々のデザインコンテストを実施してきているが、実際に3Dプリントされて実用化されるのは今回が初めて。
最も注目に値するのは、どれだけの経済効果が期待できるかだ。一番は、金型を使った従来の製造方法に比べて、どれほどコストが安く、リードタイムが短くなるかだ。
また、設計段階における機能性と構造の変化も注目だ。パーツ数がどれだけ削減されるかということも重要な要素になっている。さらには3Dプリント技術の最大の特長であるカスタマイズ性だ。パーツ変更やデザイン変更の効果をどの程度見せてくれるかが期待だろう。
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