ローカルモーターズは2015年に3Dプリント自動車を販売開始

今年中に2カ所で3Dプリント自動車のマイクロファクトリをオープン

昨年、展示会開催中に電気自動車を3Dプリントすることに成功し一躍注目を浴びたローカルモーターズ。彼らの目的は全世界中に3Dプリント自動車のローカル製造をもたらすことだ。設計データをオンライン上で共有し、好きなデザインの車を好きな場所にデータで送り、巨大3Dプリンターで製造し現地で組み立てるという計画だ。

その展開地域は100カ所の予定。しかしこの本格的な生産体制を構築するためにはいくつかの課題がある。昨年の国際製造技術ショーでは44時間かけて1台の電気自動車を組みたて走行するところまで成功しているが、本格的な生産体制にこぎ着けるまでにはこの巨大3Dプリンターによる生産性をより高速化する必要がある。

前回の「ローカルモーターズの次の計画、世界100カ所進出と3Dプリンター1000倍高速化」という記事でご紹介したが、ローカルモーターズは着々とこの計画を進めつつあり、既に44時間かかっていた3Dプリントの時間も24時間まで短縮することに成功したという。また、新たに今年中に巨大高速3Dプリンターを配備したマイクロ工場を2カ所オープンさせることを発表した。

コミュニティの製品開発スペースが無料開放、ショールームも併設

ローカルモーターズは自動車のマイクロファクトリの拠点ともなる工場を2015年の第三四半期にオープンさせることを発表した。オープンする場所は、テネシー州ノックスビルとワシントンDCのナショナルハーバーの2カ所になる。

テネシー州の工場ではローカルモーターズのパートナーで、巨大3DプリンターBAAMを開発するアメリカの国立研究機関、オークリッジ研究所の近くに開設される。また、ワシントンDCの第二工場では、初となる3Dプリント自動車の正式販売を開始するとのことだ。同社の発表によるとこのマイクロ工場の開設で、100名以上の地元雇用を創出しし、物流コストや貨物などから発生する廃棄物を97%削減することができるとしている。

この物流面と雇用創出を視野に入れたことからローカルモーターズのマイクロファクトリは主要都市の中心部から100マイル以内に設置される計画だ。ちなみにマイクロファクトリの内部構造は、コミュニティのための共同研究やクリエーティブ、教育といったコミュニティサービスが無料で利用することが可能で、オンラインで行われている自動車のアイデアや製品開発がリアルコミュニティで行われる仕組みだ。

また、製品開発のスペースと同様に設置されているのが自動車の組みたてを行なうスペースや、小売り用としてのショールームも設けられる仕組み。いよいよ3Dプリンターを使用した本格的な自動車のカスタマイズ製造が開始される。

ローカルモーターズ 巨大3Dプリンター
改良が進み高速化する巨大3DプリンターBAAM

まとめ 3Dプリンターとローカル製造の典型が登場

ローカルモーターズの始動により、いよいよ本格的な3Dプリント自動車の生産が開始になる。これまでの自動車メーカーとは全く異なる、コミュニティが作り出す自動車メーカーだと言えよう。これによるこれまでオンラインでしか行われてこなかったアイデアの共有や共同開発が実際の工場で行うことができる。

既にこの仕組みはローカルモーターズが協力するGEのFirstBuildで行われているが、ローカルモーターズは、その場で生産と販売も同時に提供する仕組みを提供する予定だ。面白いのが研究開発や教育のスペースをコミュニティに無料で開放しており、すべては自動車開発の製造販売を売り上げの核に置く仕組みだ。

そのため参加者は何のハードルもなく、コミュニティに参加することが可能。また、ローカルモーターズはこのマイクロファクトリによる雇用創出も発表しており、新たな時代の製造拠点として恰好の例だと言えよう。この動きが本格化すれば、いよいよ製造や、物流などを含めたサプライチェーン全体に影響を及ぼすことになる。ローカルモーターズの動きには今後も注目が集まりそうだ。

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