急速に拡大するローカル3Dプリントサービスまとめ、地方分散製造の台頭

ローカル3Dプリントサービスの普及

3Dプリンターはかつてないほどに広がりを見せている技術だ。ある調査報告書によれば2018年度までには、消費者向けの低価格3Dプリンターで100万台以上が出荷されるとも報告している。

また、新規で3Dプリンターを製造する企業が続々と登場するなど、従来は製造業の試作用機器として認識されていたものが、違うとらえ方をされるようになりつつある。こうした急速な3Dプリント技術の拡大は様々な業界に影響を与えているが、とりわけモノの流れ、バリューチェーンに大きな変革をもたらすとされている。

本日は最近になって急速に拡大しつつあるローカルネットワークを構築する3Dプリントサービスをご紹介するとともに、ローカルの製造への影響を考察する。

グローバルネットワーク化する3Dプリントサービス

3Dプリンターの最大の特長は3Dデータから物体が作れることにある。そのためわざわざ物体を送るよりも、データで送り現地生産した方がはるかに効率がいいとされる。

こうした3Dデータとインターネットによる技術特性から、3Dプリンターは物流だけではなく、地域の製造にまで影響を与えることが予想される。

とりわけ最近になって急速に拡大しつつあるのがクラウド上でネットワークを構築するローカル3Dプリントサービスだ。こうしたサービスは地域を超え、国を超えて急速に浸透しつつある状況。以下代表的な3Dプリントサービスのネットワークをご紹介。

全世界4600の3Dプリントサービスが登録する3DHUBS

ローカルな3Dプリントサービスを結ぶネットワークとして最大の存在が3DHUBSだ。

3DHUBSは本サイトでもたびたびご紹介させていただいが、今では(2014年5月9日現在)4600近いローカルの3Dプリントサービスが登録をしている状況。

ちなみに約半年前の2013年10月の段階で登録するローカル3Dプリントサービスは1100社であった。わずか半年で、4倍以上の登録になっている。

3DHUBSでは自分の住んでいる地域の3Dプリントサービスを選択し、データを送りプリントしてもらうという仕組み。登録者の大半がMakerBotやReprapといった低価格な3Dプリンターを所有している。

3DHUBs

17カ国で展開するグローバル3Dプリントネットワーク makexyz

Makexyzも急速拡大するグローバル3Dプリントネットワークだ。

既に17カ国で展開しており、ローカルな自分の家に近い3Dプリントサービスが利用できる。ちなみに17カ国とはアメリカ、英国、オーストラリア、カナダ、スペイン、ドイツ、インド、スイス、ベルギー、マレーシア、イタリア、ポルトガル、ブラジル、トルコ、オランダ、フランス、デンマーク。

Makexyzの特長はプリンターの種類だけではなく、扱っている材料や印刷クオリティ、デザイナー検索までできる点だ。

makexyz

2500名のデザイナーも参加する巨大ネットワーク maker6

3Dプリントサービスのグローバルネットワークでもう一つ忘れてはならないのがmaker6だ。

Maker6はアメリカとイギリスなど主要10都市のローカル3Dプリントサービスを結ぶグローバルネットワークだが、最大の特長は2500名ものデザイナーが参加している点にある。

まさに3Dプリント、3Dデザイン、3Dデータ販売が一体となった3D関連のトータルサービスを展開するネットワークだ。

maker6

地域限定 南カリフォルニア限定のローカルネットワーク SyncFab

上記でご紹介してきたサービスは全てグローバルワイドに展開するサービスだが、一方で地域限定でローカルネットワークを築こうという動きも登場している。

SyncFabは南カリフォルニア限定でローカルネットワークを築こうというスタートアップ。SyncFabの特長は3Dプリンターだけではなく、低コストのCNCフライス盤、レーザーカッターなどデータからダイレクト製造できる工作機械全般を含んでいる点だ。

資金調達に成功し、現在、南カリフォルニアで登録するデザイナーや企業を募集中。

SyncFab

まとめ ‐地方分散型の製造を促進‐

既に欧米を中心にグローバル規模で展開する3Dプリントサービスが登場してきている。今後数年間で低価格な3Dプリンターは爆発的に普及すると言われているが、それでも今の二次元プリンターやパソコンと同じように一家に1台というように普及するにはかなりの時間がかかるだろう。

それは現状の3Dプリンターの使用方法には様々な専門知識が要求されるためだ。とりわけ低価格帯の3Dプリンターは周囲の使用される環境やデータによって性能が左右されやすく、全く知識や経験が無い人が誰でも簡単に使用できるようなものではない。

誰でも簡単に故障なく使えるような民主化がされるまでにはかなりの時間を要すると思われる。そのためこのようなローカルな3Dプリントサービスを結びつけるグローバルネットワークを利用することは大いにメリットがあるのではないだろうか。

しかし、その一方で、現状の低価格3Dプリンターで作れるものは材質、仕上がりなどを見ても、試作品の域を出ない状況。

とてものこと最終品としては使用できるレベルではない。ただこうしたローカルサービスを結ぶグローバルネットワークは3Dプリンターの技術が進めば進むほど大きな力を発揮するようになるだろう。

あきらかに物で送るよりははるかに安価に製品やパーツを手にすることができるようになるし、製造や試作のスピードも従来とは比べ物にならないくらい早くできるからだ。

例えば、ある特定地域での製品の販売を想定した場合、1か所の工場で製造して完成品を郵送で送るということは無くなるだろう。現地の3Dプリントサービスにデータを送り、現地で製造、加工した方がはるかに効率が良くなるためだ。

もちろんこうした例は、著作権や秘密保持という点が担保されたうえで行わなければならないが、極端な話近い将来はそのようになると言える。

まさにIT技術と3Dデータが合わさることで、今後のバリューチェーンは新たな段階に変化するだろう。

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