続々と登場する光造形3Dプリンターの低価格モデル
ここ1年で登場した3Dプリンターの量は驚異的な数に上る。
次から次に、ほぼ毎月様々な3Dプリンターが登場してきている状況だ。その中でもとりわけ盛んなのが低価格モデルの3Dプリンター。大幅に造形スピードを向上させたものや、2色グラデーションが可能なもの、さらにはこれまでにない素材に対応したものなど、多岐にわたる。
しかし続々と登場する低価格タイプの中でも最も注目を集めているのが、光造形タイプのモデルだろう。光造形とは加熱すると硬化し、冷却しても元に戻らない熱硬化性樹脂の代表、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ポリウレタンなどをベースにした紫外線硬化性樹脂に、紫外線を照射して造形化する製法のこと。
昨年、「Form1」が登場して以来、その造形精度の美しさから、一躍期待が集まっているタイプだ。事実、光造形タイプの低価格モデルは、いくつかの機種が登場しており「Form1」以外にも5万円のオープンソースタイプ「LittleDLPer」や、Autodeskが発表したオープンソースモデル「スパーク」、最近キックスターターで登場した「Sedgwick」などが存在する。
いずれも、1台5万円から30万円程度の価格帯だが、低価格タイプで一般的なFDM製法に比べればはるかに精度も高く、性能に比べて決して高くはない。
そして今回新たに、また新たな光造形タイプの低価格3Dプリンターがリリースされた。本日はスペインのメーカーが開発する積層ピッチ30ミクロンを誇るSLA3Dプリンター「LionCrewer 1.0」をご紹介。
1台約25万円で最高30ミクロンの解像度を誇る
今回登場する「LionCrewer 1.0」は、スペインの会社LEÓN3DがリリースしたSLA光造形タイプの機種で、9月に発売する予定だ。驚異的なのがその価格帯で、なんと1台1700ユーロから1800ユーロ、約25万円程度になるという。
これまでも一般的な低価格タイプの3Dプリンターは組み立て式のもので5万から10万円ほどで、完成品はどんなに安くても30万円から50万円程度はする。
まだ最終の販売価格は不明だが、リリース時にこの価格であれば、大差ないとみていい。
ここ最近は新商品が登場するたびに、性能向上と低価格化が進んでいる状況だ。しかし、この「LionCrewer 1.0」、特長はなにも低価格だけではない。
造形精度がきわめて高いことが特長と言える。最高解像度は0.03㎜、30ミクロンであり、通常の最適解像度でも0.05㎜、50ミクロンの精度を誇っている。ちなみに造形サイズは80㎜×80㎜×80㎜だ。
「LionCrewer 1.0」の動画
「LionCrewer 1.0」

最高30ミクロンの解像度を誇る

まとめ -低価格タイプの主流は光造形か-
光造形タイプの3Dプリンターの最大の良さは、作られたものが綺麗だということだ。
積層式のFDMタイプも高性能なものだと綺麗だが、どうしても樹脂の層がみえてしまう。しかし光造形タイプはほぼ積層がみえない完成度を誇っている。
現在市場に流通している低価格タイプの3DプリンターはFDM方式のものが圧倒的に多いが、近い将来、低価格モデルの主流は光造形タイプが制するのではないだろうか。
ただし、光造形は使える材料がエポキシ樹脂が主流であり、FDM方式のような熱可塑性樹脂の豊富なバリエーションはない。また、FDMではストラタシスのような高性能モデルでは、低価格モデルとは違い、最終品で使用することができるレベルで造形できる。一方光造形ではエポキシ樹脂のみでプロトタイプの域は基本的に出ないだろう。
既にAutodeskの「スパーク」や「LittleDLPer」などのオープンソースモデルが登場していることから、世界中で独自の改良版が生まれる可能性を秘めている。3Dプリンターの製造開発は、オープンソースの流れから急速に発展し、昨日の機種がもう古くなるということも起こりうる状況だ。
いまだどこのメーカーが市場を制するのかは定まらず、各社のリリース情報に注視したい。
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