どんな立体物にも直接電子回路をプリントできる3DプリンターLBS 45XE

電化製品の3Dプリント製造の可能性

3Dプリンターの開発と同時に、ここ最近研究開発が盛んなのが、電子回路の3Dプリントだ。

電子回路をデータからオンデマンドでプリントすることができれば、利用できる産業分野が更に拡大し、電気で動くモノが自由に作れるようになるだろう。

こうした電子回路の3Dプリントは、電化製品の製造開発の幅を拡大する可能性が、高いが今だ実用化にいたっていないのが現状。また、開発中のものも、その全てが平面上に電子回路をプリントする方法であり、物体を生成する3Dプリントとは別個に考えられている。しかしいま、この分かれている二つの技術を統合させる動きが登場した。

それはなんと立体物に直接電子回路をプリントするという驚きの取り組みだ。本日は物体に直接電子回路をプリントする新技術Light Beam Sintering (LBS)と、その実用化に成功したドイツ企業Neotech社をご紹介。

三次元の立体物に直接プリントが可能

まずは論より証拠というわけではないが、細かい技術的説明の前に下記の動画を見ていただければと思う。下記の動画は、卵形の立体物の表明に直接電子回路をプリントする動画だ。

立体物に直接電子回路をプリントする動画

この技術はNeotech社が独自に開発した5軸加工技術に、あらたに光ビーム焼結技術を加えたもの。これにより、指定された物体や場所に電子回路をプリントすることが可能だ。その範囲は幅広く、ほぼどんな三次元表面にプリントすることができる。プリントされるインクは銀ナノ粒子で構成される導電性の物体でポリカーボネートのような低温材料上にプリントするのに最適だ。

実際に透明なポリカーボネートにプリントされた回路基板

卵形の立体物に電子回路をプリント

物体の表面を傷つけることなく電子回路をプリントできる

そのプリント技術はかなり高度なもので、物体の表面を全く傷つけることなくプリント可能。Light Beam Sintering (LBS)技術により、なんとそれぞれの物体の表面の吸収波長に同調し、光源を調節することができる。

Neotech社はこの新技術を搭載した機種LBS 45XEをリリースしたが、その汎用性は高く2mから数センチ単位まで、さまざまな立体物に直接電子回路をプリント可能だ。このLBS 45XEの最初の導入先は、自動車産業での電子部品や、携帯電話のアンテナ製造に利用される予定だ。

ちなみにこの技術は、一般的な3Dプリンターとは異なり、量産化を目的として開発されたもので、低コストで生産可能だ。LBS 45EXはこれまでの平面上での電子部品プリントとは異なりあらゆる立体物に直接電子回路を組み込めることが最大の特長。

まとめ

電子回路は一般的に緑色やグレーなどのプリントボードに配線図が描かれ、半田付けされ、半導体などの電子部品が設置される。これまでの回路基板のプリントは導電性インクがメインで、半導体等の電子部品は配置されてこなかった。

LBS 45XEは以前もご紹介した電子回路の3DプリンターSquinkと同様、電子部品も配置できるもの。また、用途として自動車製造や、携帯電話のアンテナといった量産用機器としての使用が期待されることから、性能はかなり高いと思われる。

もともとドイツは工業製品や電化製品のクオリティは日本と同等かそれ以上の高い水準を誇る国だから、かなり回路基板の精密さやクオリティも高いいレベルを保っているのだろう。

また、ドイツは金属用の3Dプリンターの市場シェアでも世界一を誇るほどのレーザー技術、3Dプリント技術の高い国。将来的には物体を生成する3DプリントとこのLBS 45XEのような電子回路のプリントが融合し、1台でなんでも動く電化製品を作ることができるオールインワン機器が誕生するかもしれない。

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