新たな3Dプリントマーケットプレイス
オンライン上で商品をカスタマイズし注文すると、その商品が3Dプリンターで製造されて納品される、こうした3Dプリンターを使った販売サイトが増えてきている。こうした3Dプリントマーケットプレイスで最も代表的な企業がShapewaysやi.materialise、Sculpteoなどだ。
上記のサービスは大手ECサイトのamazon とも提携しサービス拡大を図っている。また最近ではデザイナーが個人で運営したり、特定の商品に特化した企業が3Dプリンターを使ってカスタマイズするなど徐々に広がりつつある。こうしたサービスの多くは、全て製品で納品され、データで購入することはできない。
その理由の多くは、一般家庭に3Dプリンターが普及していないことも挙げられるが、著作権保護の体制が整っていないことも挙げられる。ネット上に一度データが流出したら、それを回収することは不可能だ。
勝手に改変されたり、そのデータをもとに生産されるという危険性が大きい。こうしたことから多くのデザイナーはデータで自分の商品を販売することに抵抗を持っているようだ。
過去にご紹介したが、有名デザイナーの約80%が自らの作品の3Dデータの提供に抵抗があると回答している。このような著作権保護の対策は、3Dプリントサービスを開始するにあたって解決しなければならない課題だが、データをストリーミングすることによってデータ本体の流出を防ぐという方法をとる企業が登場している。
3Dデータのストリーミングで著作権保護
3Dデザインのストリーミングサービスはappaloza.comというサービスも開始しているが、本日ご紹介するKwambioはよりデザイン性に特化した3Dデータのストリーミングサイト。データでのダウンロードは不可能で、全ての3Dデザインをオンライン上でカスタマイズし、自宅の3Dプリンターで製造するという仕組み。
現在はβ版だが、Kwambioは他の3Dプリントマーケットプレイスとは異なりいくつかの利点があるようだ。その第一が提供される商品が全て高品質なデザインの商品であること。
ストリーミングという著作権保護の機能によって出品を嫌がるデザイナーを集めることに成功したという。デザイナーが作った3Dデザインのデータはサイト上にアップされる前に慎重に検証され流出が起こらない方法をとる。第二の利点は、ユーザーがオンライン上で3Dデザインを簡単にカスタマイズすることができる点にある。
テキストを入れたり形をカスタマイズしたり、全くCADや3Dソフトの知識がない人でも簡単に操作ができる仕組みをオンライン上で提供する。Kwambioはデザイン、ファッション、ガジェット、インテリア、アートといった5つのカテゴリーで製品を提供する予定だ。
高品質な商品をストリーミングで3Dプリント
Kwambio動画
デザイン、ファッション、ガジェット、インテリア、アートの商品を用意
まとめ
著作権保護という観点から見るとストリーミングという方法はデータの流出を防ぎ、デザイナーの作品を保護することにつながる。
ただストリーミングで行った場合、製品のクオリティは現在の家庭用3Dプリンターのクオリティに直結してしまうということが課題として挙げられる。
低価格タイプの3Dプリンターは今年に入り続々と登場してきているが、現在流通しているモデルは積層ピッチも粗く、ミスプリントが多い機種もある。このような場合の対策として、Kwambioは別の3Dプリンターでのストリーミングプリントか、返金という対応をとるようだ。仮に3Dプリンターの性能が向上し、広く普及するようになったとしても、作品を提供するデザイナーはユーザーのもとでプリントされる自分の作品の仕上がりを見ることはできない。
このように見てみると、データだけのストリーミングという方法は多少抵抗が残る感じがする。
例えば、あるデザイナーはデータ販売は1ドルで、しっかりと仕上げまで完成した状態で納品する場合は100ドルで販売していたりする。
あくまでもデザイナーであるならば、細かい部分の仕上がりまでこだわるだろうし、素材やクオリティに対するこだわりも持っているはずだ。そのため完全データのみの販売よりはデザイン性に特化するのであれば、仕上がりまでこだわって納品するほうがいいように思われる。
デジタル化が進むことは時代の流れとして絶対的に必要だが、人間の手が加わらないモノづくりにどの程度の価値を見出せるかは多少疑問が残る。
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