3Dプリンター用木材フィラメント材料

3Dプリンター用木材フィラメントとは

3Dプリンター用木材フィラメントは、デスクトップタイプや家庭用(低価格)のFDM ® 3Dプリンターの材料として使用することができます。業務用のハイエンド3Dプリンターでは登場していません。

FDM(熱溶解積層法)の特許が切れることで、安価な3Dプリンターの開発が進み、フィラメント材料のバリエーションも年々増加しています。

中でも木材フィラメントは木の質感の造形モデルを作ることができ、アートやオブジェ、建築モデルなどに最適なフィラメント材料です。

デスクトップ3Dプリンターの可能性は、アートやオブジェ、作品作りなどまでものづくりを広げてことになりますが、木材フィラメントはその象徴的な材料と言えます。

造形後に研磨などを施せば美しい仕上がりが可能です。その反面、木材という異素材が配合されている種類は、ノズル詰まりなどが頻繁に起きる可能性があります。

今回も3Dプリンター用木材フィラメントの特長や種類、プリントする際に注意点などをご紹介します。

3Dプリンター用木材フィラメント

3Dプリンター用木材フィラメントの強みと弱み

3Dプリンター用木材フィラメントには2種類あります。第一がPLAフィラメントに本物の木材を配合しているもの。第二がPLAフィラメントのみで“木材調”を表現しているものです。それぞれで強み弱みが異なります。

木材フィラメントの強み

木材フィラメントは、PLA樹脂をベースに本物の木材粉末を配合しているフィラメントです。従来の切削などで用いられるケミカルウッドをフィラメント化したような材料です。

木材調の造形ができる:

木材の含有量は、材料の内の30%から40%程度木材が配合されています。(メーカーやフィラメントの種類によって異なる。残りの60%から70%の材料はPLA樹脂)。そのため最大の特長が“木目調”の造形ができるという点です。

木の香りがする:

本物の木材を配合していることからほのかに木の香りがします。

造形後の後加工ができる:

造形後にはサンディングで研磨し、塗装などを施すことで美しい質感を表すことができます。

PLAと同じ設定でプリントできる(PolyWoodのみ):

PolyMakerのPolyWoodのように100%PLA樹脂で作られており、木材を含まない木材フィラメントの場合は、PLAフィラメントと同じ設定でプリントでき、ノズルつまりを防ぐことができます。

木材フィラメントの弱み

本物の木材粒子が配合されているフィラメントでは、押出ノズルに粒子がたまりやすく、目詰まりを引き起こしやすくなります。

そのため、木材フィラメントを使用する場合にはノズル径が大きいものを使用する必要があります。木材フィラメントのノズル詰まりについては後程詳しくご紹介します。

木材フィラメントの特性

  • 木材が30%から40%配合されている
  • PLAのみで木材風のフィラメントもある
  • 木目調・木質の質感ができる
  • 木の香りを含む
  • サンディングや塗装で美しい表面仕上げが可能

3Dプリンター用木材フィラメントでできること

3Dプリンター用木材フィラメントを使用すれば、外観が木の質感を持つモデルを作ることができます。また、本物の木材を含有するフィラメントで作られた造形モデルはサンドペーパーなどを用いて研磨することで、滑らかな表面処理が可能です。

汎用的なオブジェクト

3Dプリンター用木材フィラメントは、木の質感をもつさまざまなオブジェクトを作ることができます。アート、教育モデル、ワークショップなど3Dプリントを身近に感じる汎用的な用途に使用できます。

DIYオブジェクト

木材フィラメントはDIYにも最適です。木目調の美しい質感や手触り、PLA樹脂と木材による環境に優しい材料、本物の木の香りによって、家庭用の装飾品などDIY用のオブジェクトに適しています。

建築モデルのパース・プロトタイプ

木材フィラメントは独得の質感から、建築モデルのパースやプロトタイプを作るのにも使用することができます。特に木造建築物の質感などを再現するのにも最適です。

3Dプリンター用木材フィラメントで作れるもの

3Dプリンター用木材フィラメントの主な用途として、木材の質感が求められる模型や、おもちゃ、アート、小物、装飾品などを作ることができます。

植木鉢・ガーデニング

木材フィラメントは、木の質感をリアルに再現できることから、ガーデニングの用途にも利用できます。本物の木材粉末を配合したフィラメントで植木鉢などを作ることもできます。こちらはPolyMakerのPolyWoodで作った植木鉢です。

3Dプリンター用木材フィラメント

スマートフォン用スピーカー

木材フィラメントでは、家庭用の小物やアイテムを作ることもできます。こちらはスマートフォン用のパッシブアンプです。

PolyMakerのPolyWoodで作られたスピーカーです。PolyWoodは本物の木材を含まずPLA樹脂のみで木の質感を表しているので、ノズル詰まりもなく、安定して木の質感の造形モデルを作ることができます。

3Dプリンター用木材フィラメント

花瓶

木材フィラメントで作れるものの一つに花瓶もあります。木材という自然由来の素材や木材ならではの質感は、花などを飾るのにも最適です。こちらは、PolyWoodでプリントされた花瓶です。

3Dプリンター用木材フィラメント

木の伝統工芸品(コップ)

木材フィラメントは、木で作られた伝統工芸品などの模型にも最適です。こちらは木材フィラメントで作られたクスカです。クスカはフィンランドの伝統工芸品で、白樺の木をくりぬいて作られたコップです。

3Dプリンター用木材フィラメント

建築モデル

木造建築などのモデルやパースなどの3Dプリントにも木材フィラメントは最適です。写真はPolyWoodで作られた木造の家のプロトタイプです。

3Dプリンター用木材フィラメント

3Dプリンター用木材フィラメントの種類

3Dプリンター用木材フィラメントは家庭用(低価格)3Dプリンターでの使用が一般的です。業務用のハイエンドタイプの3Dプリンターでは基本的に使用できません。

家庭用(低価格)・デスクトップ3Dプリンターの木材フィラメント

デスクトップタイプなど、家庭用(低価格)3Dプリンターの木材フィラメントは、さまざまな種類が登場しています。

基本的にPLA樹脂をベースに開発されており、に本物の木材粉末が30%程度含有されているものと、100%PLA樹脂で作られている材料に分かれます。

3Dプリンター用木材フィラメント

PolyWood (PolyMaker製)

木材フィラメントの代表的な存在がPolyMaker社のPolyWoodです。PolyWoodは、100%PLA樹脂によって作られたフィラメント材料です。

一般的な木材フィラメントは、本物の木材粉末が配合されていることによってノズル詰まりが起きる可能性があり、その課題をPLA樹脂のみで生成することで克服しています。

PLAフィラメントと同じ設定でプリントが可能で、比較的大きい造形モデルもプリント可能です。

3Dプリンター用木材フィラメント

PolyWoodのスペック
  • 重量:600 Kg
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:190℃~210℃
  • プリントスピード:50mm/s
  • プリントベッド温度:40℃~50℃
  • 冷却ファン:ON
  • 価格:7,980円(税込み)
PolyWoodの物性
  • ヤング率:なし
  • 引張強さ:23.2±0.4 Mpa
  • 曲げ強さ:52.9±0.3 Mpa
  • シャルピー衝撃強度:2.1±0.2 kJ / m 2
  • ガラス転移温度:62℃
  • ビカット軟化温度:60℃
  • 融解温度:151℃
  • 乾燥設定:70℃で8時間
  • 推奨サポート材料:水溶性サポートPolyDissolve™S1

Premium PLA木材 (AFINIA)

木材フィラメントは、デスクトップタイプのAFINIA 3Dプリンター専用材料でも登場しています。AFINIAのWoodフィラメントは、PLA樹脂をベースに木材粉末を配合したスペシャルフィラメントです。

本物の木材の質感が再現でき、木の香りが漂うフィラメント材料です。造形後は、サンディングの研磨や、塗装などがおこなえ、高い質感の木材モデルを作ることができます。

3Dプリンター用木材フィラメント

Preimum PLA木材のスペック

  • フィラメント径: 1.75mm ±0.4mm
  • 推奨プリント温度:190~240℃
  • 推奨プリント速度:15mm/s
  • 造形プレートの加熱:なし
  • 価格:4,104円(税込)

3Dプリンター用木材フィラメントの注意点と対策

3Dプリンター用木材フィラメントを使用する際にはいくつかの注意点があります。具体的にはノズル詰まりといった不具合を発生させる可能性があります。

100%PLAフィラメントで構成されているPolyWoodなどではノズル詰まりの心配はありませんが、その他の木材粉末が配合されている木材フィラメントは、ノズル詰まりが頻繁に起きる可能性があります。

ノズル詰まり

木材フィラメントの不具合として代表的な症状がノズル詰まりです。木材フィラメントには本物の木の粒子が配合されているため、プリント中にノズルの奥深くまで粒子が入り込み、詰まってしまい正常に押出ができなくなってしまいます。

対策

木材フィラメントでより良いプリント性能やノズル詰まりを解消するための対策は以下の通りです。

大きいノズルを使用する

一般的な押出ノズルは、0.3mmや0.4mmですが、本物の木材が配合されているフィラメントを使用する場合には直径0.5mm以上のノズルを使用することをおススメします。

また、0.5mm以上のノズルを使用することで、ノズル詰まりは大きく減らすことができますが、定期的にノズル内に形成された粒子による詰まりを取り除く必要があります。

フィラメント吸湿ボックスを使用する

木材フィラメントも、よりよいプリント結果やノズル詰まりを防止するためには湿度からの吸湿を防ぐことが大切です。そのためプリント中だけではなく保管中もフィラメント吸湿ボックスなどを使用して、乾燥した状態をキープする必要があります。

PolyMakerのPolyBoxは、大型の吸湿材を入れることが可能で、常にフィラメントの状態を一定に保ちます。湿度計が搭載されており、部屋の除湿と合わせて使用することで、より良いプリント結果を得ることができます。

PolyBox

まとめ

3Dプリンター用木材フィラメントを使用することで、アートや置物、模型などのさまざまな用途に3Dプリンターを使用することができます。また100%PLAフィラメントで構成されているPolyWoodなどを使用すればノズル詰まりの心配もなく快適に3Dプリントを行うことができます。木材フィラメントは用途に合わせて選択したい材料の一つです。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントとは

3Dプリンターではゴム(エラストマー)のフィラメント材料も登場しています。

これまでゴムの加工も金型を使った量産が中心でしたが、3Dプリンターの材料として登場することで、靭性や柔軟性が求められるプロトタイピングや、パーツ製造に広がりを見せています。

その一方で、ゴム(エラストマー)フィラメントを正確にプリントするためには、さまざまな注意点があり、専用押出ノズルの使用や温度設定、ノズルのスピードなど、最適化しなければならない点が多数あります。

ここでは3Dプリンター用のゴム・エラストマー、ゴムライク材料の特長や種類、更には注意点と対策などについてご紹介します。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントの強みと弱み

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントには、他のフィラメント材料には無い機能があります。耐摩耗性、耐衝撃性、柔軟性、引張強度、耐薬品性に優れる素材です。

TPU(熱可塑性ポリウレタン)が一般的な素材で、3Dプリンター用フィラメントになることで、1個単位からゴムパーツを作ることが可能です。

工業用ゴムパーツの試作からエンドユーザー向けの消費者製品のプロトタイプまで幅広い用途に使用できます。

ゴム(エラストマー)フィラメントの強み

ゴム(エラストマー)フィラメントの最大の強みが柔軟性です。そのほか柔軟性からくる耐衝撃性、靭性などを持っています。

柔軟性:

ゴム(エラストマー)フィラメントの一番の強みが、他の材料には無い弾力性や柔軟性です。ベースはTPU(熱可塑性ポリウレタン)で作られていることが多く、柔軟性もさまざまな軟らかさのものがあります。この柔軟性を活かした機能性プロトタイプや試作品を作ることができます。

耐衝撃性:

ゴム(エラストマー)フィラメントで作られた造形モデルは、その軟らかさから優れた耐衝撃性を発揮します。この耐衝撃性を活かし、カバーやケースなどの機能性プロトタイプにも使用されます。

振動吸収:

ゴム(エラストマー)フィラメントは同時に振動吸収性がある造形モデルにも最適です。

ゴム(エラストマー)フィラメントの弱み

ゴム(エラストマー)フィラメントの最大の弱点が造形自体が難しいという点があげられます。このゴム(エラストマー)フィラメントの注意点と対策はのちに詳しくご紹介します。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)の特性

  • 耐摩耗性:高い耐摩耗性を誇る。
  • 耐衝撃性:衝撃などに強い特性を持つ。
  • 耐薬品性:酸やアルカリなど薬品による変化が少ない。
  • 引張強度:引っ張った時にも破れにくい。
  • 靭性・曲げ疲労性:ねじったり曲げたりした時にも壊れにくい。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントでできること

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントでできることはさまざまです。自動車業界や機械製品、航空宇宙産業の工業用や、消費者向け製品など、さまざまな分野の製品開発を効率化してくれます。

製品開発の効率化:リードタイムの短縮

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントを使用することで、製品開発の効率化を実現できます。従来ゴム製品の試作には、金型や鋳型を使用して行われるのが一般的でしたが、TPU(熱可塑性ポリウレタン)を使用することで、大幅に効率化できます。

3DCADデータから1個単位で3Dプリントすることができるため、データから最短で数時間で試作品をアウトプットすることが可能です。

さらに、形状違いやマイナーチェンジのプロトタイプも、一度に3Dプリントすることが可能です。特に、柔軟性や耐久性などが求められるゴムパーツでは、3Dプリンターを利用することで、試作品のプリントと検証が驚くほど迅速にできます。

リードタイムの短縮は必然的にコスト削減につながります。また製品開発のサイクルが早まることで、より高品質で競争力のある製品開発が可能となります。

製品開発の効率化:コスト削減

TPU(熱可塑性ポリウレタン)などのゴム(エラストマー)フィラメントを製品開発に使用することでコストを削減することができます。3Dデータから1個単位から作ることができるので、型を作るよりもはるかに安価に作れます。

また微妙なデザインバリエーションを作る場合も、型を余分に作る必要がなく、造形に必要な分の材料費だけで済み、低コストで実現できます。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントで作れるもの

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントは柔軟性が求められるパーツやプロダクトの試作や製造に使用することができます。

特にTPU(熱可塑性ポリウレタン)のフィラメントは、靭性や耐摩耗性、耐薬品性などに優れていることから、自動車や航空宇宙などのゴムパーツの試作や、シューズ、サンダルなどのソール・靴底といった履物のプロトタイピングなどに最適です。

工業用ゴムパーツの試作・製造

TPU(熱可塑性ポリウレタン)などのゴム(エラストマー)フィラメントは、自動車や航空宇宙産業、機械産業といった工業用のパーツ製造、試作品を作ることができます。

こうした工業用途、特に自動車業界などでは、さまざまなゴムパーツを使用します。また、工業用のゴム・エラストマー素材として優れた耐摩耗性、引張強度、靭性を持ちホースやカバー、キャップ、パッキンといった柔軟性が求められるさまざまなパーツの3Dプリントに最適です。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

靴、シューズ・サンダルなど消費者向け製品の開発

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントは、消費者向けの製品のプロトタイピングもできます。例えば、弾力性が求められるシューズのボディやソールには3Dプリント用ゴムが最適です。

これまでシューズのソールなどの試作は金型で作られていましたが、TPUフィラメントのようなエラストマー材料を使えば、コストやリードタイムをはるかに効率化することができます。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

機能性試験用パーツ

3Dプリンター用のゴム(エラストマー)フィラメントは基本的に耐摩耗性や耐衝撃性に優れる造形ができることから、機能性試験用のパーツにも最適です。

TPU(熱可塑性ポリウレタン)フィラメントの造形は、作るパーツの形状や太さなどによっても、物性がことなるため、幅広い用途に使えます。

因みにTPUフィラメントの硬さは、ポリマーの配合具合によって異なるため、フィラメントの種類やメーカーによってショア硬度が異なります。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

軟らかいゴム製品

ゴム(エラストマー)フィラメントはまた、柔らかいゴム製品の製作に最適です。特にその特性である柔軟性や耐衝撃性を活かした製品を作ることができます。例えばスマートフォンケースなどのカバーや、伸縮性が求められる製品などに最適です。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

ゴム(エラストマー)フィラメントの種類

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントは、低価格な家庭用3Dプリンターで登場しています。種類はメーカーごとにさまざまですが、プリント安定性などにバラつきがあり、使用する3Dプリンターも制約があります。

デスクトップや家庭用(低価格)3Dプリンターのゴム(エラストマー)フィラメント

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントは、これまで家庭用(低価格)3Dプリンターの材料が中心でした。そのほとんどがTPU(熱可塑性ポリウレタン)フィラメントで、メーカーはさまざまです。ここではPolyMakerのPolyFlex TPU95をご紹介します。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

PolyFlex TPU95(PolyMaker製)

PolyFlex TPU95は、PolyMakerのTPU(熱可塑性ポリウレタン)フィラメントです。ショア硬度95Aの硬さを持つフィラメント材料で元の長さの3倍以上伸びる(400%を超える大きな破断伸びを誇る)伸縮性に富んだゴム材料です。

紫外線硬化性樹脂のゴムライクな材料と比べると、非常に柔らかく柔軟性を持つ造形モデルのプリントに最適です。

特にPolyMaker製のフィラメントは、プリント適正が高く、8段階の品質管理プロセスと厳格な室内試験を経て生産されるため、正確な造形モデルを作ることができます。

カラーはホワイト、ブラック、イエロー、オレンジの4色をそろえ、デスクトップで手軽にゴム製品の造形が可能です。

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメント材料

PolyFlex TPU95のスペック
  • カラー:ブラック、ホワイト、イエロー、オレンジ
  • 重量:750g
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:220℃~235℃
  • プリントスピード:30mm/s~90mm/s
  • プリントベッド温度:0℃~60℃
  • ベッド表面:のり付きガラス、ブルーテープ、BuilTak®
  • 冷却ファン:ON
  • 価格:7,980円(税込み)
PolyFlex TPU95の物性
  • 100%モジュラス:9.4±0.3 Mpa
  • 引張強さ:29±2.8 Mpa
  • 破断点伸び:330.1±14.9 Mpa
  • ショア硬度:95A
  • 乾燥設定:70℃で12時間
  • 推奨サポート材料:PolyDissolve™S1

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントの注意点と対策

安価な家庭用(低価格)やデスクトップの3DプリンターでTPU(熱可塑性ポリウレタン)などのゴム(エラストマー)フィラメントを使用する場合には、いくつかの注意点があります。

不具合の種類

ゴム(エラストマー)フィラメントで3Dプリントすると以下のような不具合が起きる可能性があります。

造形物のゆがみ

ゴム(エラストマー)フィラメントの不具合として発生しやすいのが造形物のゆがみです。TPUは柔軟性と弾力性がある柔らかい材料であることから、積層の過程において歪む可能性があります。

ノズル詰まり

TPU(熱可塑性ポリウレタン)などゴム(エラストマー)フィラメントの不具合としてノズル詰まりもおきます。

FDM タイプの3Dプリンターは、ノズルの内部にフィラメントを押し出すギアがついており、フィラメントも柔らかいためギア部分に絡まりノズルが詰まる不具合がおきます。

対策

歪みやノズル詰まりを防ぐためには、最適な温度設定の他に、専用の押出ノズルを使用したり、プリントスピードの設定を最適化したりすることが求められます。以下の設定をおススメします。

専用押出ノズルを使用する

ゴム(エラストマー)フィラメントを正しくプリントするためには、専用の押出ノズルを使用するのがベストです。

TPU(熱可塑性ポリウレタン)などのゴムフィラメントは、他のプラスチックとは違い、フィラメントそのものが柔らかく、非常に不安定です。そのためTPUに求められる冷却効率やノズル径が最適化された押出ノズルが必要です。

例えば、UP 3DプリンターのUP 300では、TPU専用に冷却効率を高めた押出ノズルを使用することができます。冷却効率は、加熱して柔らかくなったTPUを瞬時に硬化させるのに必要です。

UP300 3Dプリンター

ノズル温度とプリントベッドを最適化する

ゴム(エラストマー)フィラメントでは、ノズル温度と造形プレートであるプリントベッド温度のバランスも大切です。例えば、UP 300とTPU専用ノズルでPolyFlex TPU95を使用する場合には、ノズル温度を230℃、造形プレートの温度を50度にするとミスが無い造形が可能になります。

プリントスピードを最適化する

TPUフィラメントは他のフィラメントと比べて柔らかいため、プリントスピードも遅いスピードに設定します。メーカーごとにプリントスピードは異なりますが、20mm/s、30mm/sから早くても35mm/sが理想的です。

プリントスピードを上げると、フィラメントがノズルのギアに絡まりやすくなります。また、ゆっくりと積層されることで、しっかりと密着しゆがみもすくなくなります。

フィラメントスプールの位置を最適化する

フィラメントスプールの位置を最適化することで、ノズル詰まりを解消できる可能性があります。押出機の駆動ギア(ホイール)は少しずつフィラメントをノズルに取り込もうと回転しますが、フィラメントスプールの動きは引き込みつつ少量を巻き戻す動きをとります。

TPU(熱可塑性ポリウレタン)は弾性があることから、引っ張られながら引き伸ばされてしまいます。一例としてスプールをプリンターの上などに取り付けて、フィラメントが引っ張られる抵抗を減らすことで改善することがあります。

まとめ

3Dプリンター用ゴム(エラストマー)フィラメントは、他の硬質プラスチックにはない独得の柔軟性でゴム製品の試作などに利用することが可能です。その反面、プリント設定や造形安定性には、細心の注意が求められます。

またフィラメント材料と3Dプリンターの互換性などもあり(押出ノズルや造形プレート、プリント速度など)、PolyFlex TPU95とTPU専用ノズルを持つUP300 3Dプリンターのように、最適な組み合わせを見つけることが重要です。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントとは

3Dプリンター用フィラメント材料の中で、エンジニアリング・プラスチックの部類に入るのがポリカーボネート(PC)フィラメントです。

エンジニアリング・プラスチックとは、通常のプラスチックよりも高強度で耐熱性にすぐれる材料です。ポリカーボネートはいわばその代表的な材料と言えるでしょう。

これまでポリカーボネートは、金型や切削でしか利用することができない材料でしたが3Dプリンターのフィラメント材料として登場することで、ものづくりの幅が大きく広がりつつあります。

また最近では、安価なデスクトップタイプのFDM®(熱溶解積層法)3Dプリンターでもポリカーボネート(PC)フィラメントが登場しており、新たな製品開発を広げてくれる材料として期待されています。

その一方で、ポリカーボネート(PC)フィラメントは、扱いが難しく、使用できる3Dプリンターも限定されます。

そこで今回はポリカーボネート(PC)フィラメントについて、その特長や用途をご紹介するとともに、フィラメント材料の種類や、注意点をご紹介します。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントの強みと弱み

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントは、その優れた物性から、さまざまな用途に使用することができます。

その一方で、デスクトップタイプのFDM 3Dプリンターで取り扱う際には、反りや糸引き、にじみなど、さまざまな注意点がある材料です。

ポリカーボネート(PC)フィラメントの強み

ポリカーボネート(PC)フィラメントの最大の強みは、その機械的特性です。高強度と耐熱性はさまざまな用途に使用することができます。

耐衝撃性:

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、金型などで使用されるポリカーボネートと同様、高い耐衝撃性、靭性、強度を持った造形モデルをつくることができます。

こうしたエンジニアリング・プラスチックとしての高い性能は、フィラメント材料の中ではトップレベルの性能を誇ります。また、フィラメント材料のなかでは、ABSフィラメントと同様靭性などにも優れているため、加工後の研磨や塗装なども施すことができます。

耐熱性:

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、最高レベルの耐熱性をもっています。通常110℃程度の熱たわみ温度を持っており高耐熱のパーツ製造や、機能テストモデルを作ることができます。

透明性:

ポリカーボネート・フィラメントは、他のフィラメントとちがい、透明性を持つフィラメント材料でもあります。FDM(熱溶解積層法)の積層跡が残るため、完全な透明性は再現することは難しいですが、造形後の研磨などにより、透明性を高めることもできます。

ポリカーボネート(PC)フィラメントの弱み

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、優れた物性の反面、取り扱いにはさまざまな注意点が必要になり、繊細な管理が求められます。

繊細な設定が求められる:

ポリカーボネート(PC)フィラメントの欠点が、造形に繊細な設定が求められる点です。のちの注意点と対策の部分で詳しくご紹介しますが、ポリカーボネート(PC)フィラメントで正しい造形を行うためにはノズル温度やプリント速度、フィラメントの管理まで適切な設定が必要です。

ポリカーボネート(PC)フィラメントの特性一覧

  • 耐久性:長く劣化せずに安定して使用することができる。
  • 耐熱性:高温の環境(100℃程度)での環境にも強い。
  • 耐衝撃性:衝撃などに強い特性を持つ。アクリル樹脂(PMMA)のおよそ10倍
  • 耐薬品性:酸やアルカリなど薬品による変化が少ない。
  • 引張強度:引っ張った時にも破れにくい。
  • 靭性・曲げ疲労性:ねじったり曲げたりした時にも壊れにくい。
  • 透明性:透明性を持つ。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントでできること

ポリカーボネート(PC)フィラメントは100℃以上の高温化に長時間さらされたとしても、一定以上の強度を保つことができるエンジニアリング・プラスチック材料です。

特にポリカーボネートは非常に高い耐衝撃性をもち、同時に美しい表面が特長的なことから、さまざまな工業製品やパーツ、治具などに使用されています。例えば身近な製品では、iPhone5の筐体などにも使用されたこともあります。

強度・耐衝撃性が求められる造形

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、エンジニアリング・プラスチックであることから強度や耐衝撃性が求められる造形に使用することができます。

一般的なABSフィラメントなどと比べ材料費も高額であることから、特別な機能性を求められるもの、機能性試験用のプロトタイプや、固定具などの治具に最適です。

パーツの軽量化

ポリカーボネート(PC)フィラメントでできることの一つが、パーツの軽量化です。従来金属が使用されていたパーツなどをポリカーボネートでつくることで、強度や耐久性を保ったまま軽量化することができます。

またポリカーボネートは金属よりも素材として安いため、コストの削減にもつなげられます。

オンデマンド製造

ポリカーボネート(PC)フィラメントのすぐれた強度、耐衝撃性、耐熱性は、最終品のオンデマンド製造にも最適です。

3Dプリンターでデータを管理することができ、必要に応じたオンデマンドのパーツ製造に利用することができます。余分な在庫を持つ必要もなくビジネスを効率化してくれます。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントで作れるもの

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントでは、さまざまなものを作ることができます。ここでは具体的な作れるものについてご紹介します。

試作・機能性プロトタイプ

強度や耐衝撃性、耐熱性に優れたポリカーボネート(PC)フィラメントの用途として最適なのが機能性プロトタイプです。

機能性プロトタイプとは、見た目だけの形状確認のモックアップとは違い、一定の機能性テストに使用するために作られるプロトタイプのこと。パーツの物性や機械的特性の試験には、ポリカーボネート(PC)フィラメントは最適です。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント

冶具・工具

ポリカーボネート(PC)フィラメントの優れた物性は、治具や工具の作製にも最適です。ポリカーボネート(PC)フィラメントは、アクリル(PMMA)に匹敵する最大引張強度を有し、引張破断強度もABSフィラメントなどよりも優れています。

つまり、ポリカーボネートの能力は、強くて硬いと同時に、ねじり応力に耐える能力が、他の熱可塑性樹脂をはるかに上回っている点です。

こうした特性により、何度も取り付け作業や固定を行う治具・工具に最適なフィラメント材料なのです。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント

最終品パーツ

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、強度、耐久性、耐衝撃性などの優れた物性から最終品の製造にも使用することができます。

パーツや筐体など、実際の使用を想定した機能を発揮することが可能です。また、ポリカーボネートの特性として、加工性の高さと光沢がありますが、造形後に研磨や塗装、磨きなどを行うことで、ポリカーボネート本来の光沢が表現でき、消費財の筐体などにも利用できます。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントの種類

ポリカーボネート(PC)フィラメントが使用できる3Dプリンターは、FDM(熱溶解積層法)タイプの3Dプリンターです。FDM(熱溶解積層法)は、加熱すると柔らかくなり、冷えると固まる性質を持つ熱可塑性樹脂を材料とする3Dプリンターです。

ポリカーボネート(PC)フィラメントはFDM(熱溶解積層法)3Dプリンターの中でも業務用のハイエンドタイプが中心です。また最近では、家庭用(低価格)などデスクトップタイプの3Dプリンターの材料も登場しています。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント PolyMax PC

家庭用(低価格)・デスクトップタイプ3Dプリンターのポリカーボネート(PC)フィラメント

ポリカーボネート(PC)フィラメントは家庭用(低価格)から中価格帯のデスクトップタイプのFDM 3Dプリンターで使用することができる種類がフィラメントメーカーのPolyMakerから登場しています。

PolyLite PC(PolyMaker製)

PolyLite PC (旧PC-Plus)は、PolyMaker社が開発するポリカーボネート(PC)フィラメントです。PolyLite PCは、優れたプリント性能をもち、優れた耐衝撃性に加え、破壊靭性を備えています。

耐熱性は110℃を持ち、他のほぼ全ての3Dプリント材料と比べてもより高い耐熱性を持っています。またPolyLIte PCのカラーは半透明で、ポリカーボネートの特長である光沢をもっています。

造形後には、サンドペーパーなどで研磨しクリアスプレーやラッカー塗料などでコーティングすれば、ガラスのような透明性と、美しく滑らかな表面を再現することが可能です。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント PolyLite PC

PolyLite PCのスペック
  • カラー:半透明
  • 重量:1000g
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.02~0.05 mm
  • プリント温度:250℃~270℃
  • プリントスピード:30mm/S~90mm/s
  • プリントベッド温度:80℃
  • 冷却ファン:OFF
  • 価格:6,480円(税込み)
PolyLite PCの物性
  • ヤング率:2307±60 Mpa
  • 引張強さ:62.7±1.3 Mpa
  • 曲げ強さ:100.4±2.7 Mpa
  • シャルピー衝撃強度:3.4±0.1 kJ / m 2
  • ガラス転移点:113℃
  • ビカット軟化温度:119℃
  • 溶融温度:なし
  • 乾燥設定:80℃で8時間
  • 推奨サポート材料:PolySupport

PolyMax PC (PolyMaker製)

PolyMax PCも、PolyMaker製のポリカーボネート(PC)フィラメントです。PolyMax PCは、ポリカーボネートの持つ機械的強度をそのまま再現したフィラメント材料で、ABSフィラメントを超える強度を実現しました。

PolyLite PCと比べても耐衝撃性が大きく向上し、更に高強度なパーツを作ることができます。またエンジニアリング・プラスチックとして高温下での使用にも絶えることが可能です。

耐熱性はPolyLite PCと同様、110℃を持ち、他のほぼ全ての3Dプリント材料と比べてもより高い耐熱性を持っています。

またポリカーボネートの加工性も反映されており、プリント後は、研摩や塗装、クリアスプレーなどでの後加工も可能です。ブラックとホワイトの2色のラインナップです。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメント PolyMax PC

PolyMax PCのスペック
  • カラー:ブラック、ホワイト
  • 重量:750g
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.02~0.05 mm
  • プリント温度:250℃~270℃
  • プリントスピード:30mm/S~90mm/s
  • プリントベッド温度:80℃
  • 冷却ファン:OFF
  • 価格:6,480円(税込み)
PolyLite PCの物性
  • ヤング率:2048±66 Mpa
  • 引張強さ:59.7±1.8 Mpa
  • 曲げ強さ:94.1±0.9 Mpa
  • シャルピー衝撃強度:25.1±1.9 kJ / m 2
  • ガラス転移点:113℃
  • ビカット軟化温度:117℃
  • 溶融温度:なし
  • 乾燥設定:80℃で8時間
  • 推奨サポート材料:PolySupport

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)のプリント設定

安価な家庭用(低価格)やデスクトップタイプの3Dプリンターでポリカーボネート(PC)フィラメントを使用する際にはいくつかの注意点が必要です。

ノズル温度

ポリカーボネート(PC)フィラメントを正しくプリントするためには、ノズル温度を約260℃から300℃にあげる必要があります。(例えば上記でご紹介したPolyLite PCやPolyMax PCは250℃~270℃)

このノズル温度の設定は3Dプリンターの種類によって異なりますが、一般的には260℃から310℃程度の高温が求められます。理想的は、300℃程度といわれていますが、この温度設定はフィラメントメーカーや材料の種類によって異なります。

デスクトップ3Dプリンター用のポリカーボネート(PC)フィラメントは、ポリカーボネート以外にも混ぜ物や配合が異なり、プリント温度はそれぞれで異なります。プリント速度などが遅い場合には290℃やそれ以下のホットエンドでもプリント可能です。

プリントベッド温度(造形プラットフォームの加熱)

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、ABSフィラメントと同様反りがあるため、造形プレートの加熱も必要です。

一般的な推奨プリントベッド温度は110℃程度です。ただしプリントベッド温度も材料の種類によって異なるため、最適な温度を設定します。

冷却ファン

ポリカーボネート(PC)フィラメントでプリントする際には、冷却ファンはオフにします。ポリカーボネート(PC)フィラメントは260℃~310℃の非常に高温でプリントされるため、冷却ファンによって急速に冷やされることで糸引きなどの不具合が起きる可能性があります。

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントの注意点と対策

3Dプリンター用ポリカーボネート(PC)フィラメントにはプリント時にさまざまな注意点があります。既に弱点の部分でもご紹介しましたが、ここではより詳しく起きうる不具合と対策についてご紹介します。

温度コントロール:

ポリカーボネート(PC)フィラメントは非常に高温なノズル温度が求められます。材料の種類によってノズル温度は異なりますが、250℃~310℃の範囲の温度が必要です。

そのため温度が低い場合などは層間接着性が低くなり、造形モデルが正しく積層されない可能性があります。その一方で高すぎると、糸引きやにじみなどの不具合も発生します。

最適な温度設定は材料の種類によってことなりますが、5度単位でテストプリントを行い、造形モデルの品質を確かめます。

反り:

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、ABSフィラメントと同様、造形中に歪む反りが起きやすいフィラメント材料です。反りに対してはポリカーボネート(PC)フィラメント専用のタックシートなどが有効です。

剥がれない:

ポリカーボネート(PC)フィラメントは温度設定や3Dプリンターの種類によっては造形モデルがプレートから離れない場合やサポート材が一体化してしまい剥がれないケースがあります。

この場合の対策として、積層専用シートを使用することで解消することがあります。また、押出ノズルが2本あるデュアルヘッドの3Dプリンターの場合は、1本のノズルにサポート材を使用することで、造形後の除去が楽になります。

例えばPolyMakerのPolyLite PCやPolyMax PCは、サポート材専用フィラメントPolysupportを推奨しています。

対策:積層造形シートを使用する

ポリカーボネート(PC)フィラメントで正しくプリントするためには、専用の積層造形シートを使用することもおススメです。

これは3Dプリンターによって必要かどうかが異なりますが、ポリカーボネート(PC)フィラメントはFDM(熱溶解積層法)では造形プラットフォームにくっつきすぎることがあり、造形後の着脱を容易にしてくれる専用シートがあります。

この積層用シートは、フィラメントのくっつきをよくし、反りを防止する効果があります。ただし、温度設定によっては逆に造形モデルが反ってしまうため、テストプリントを行い最適な温度に設定する必要があります。

吸湿によるプリント不良:

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、非常に吸湿性が高く、空気中の水分を吸収することでプリント不良を引き起こす可能性があります。開封後は、乾燥剤などと共にフィラメントボックスでの保管が必要になります。

対策:フィラメント専用ボックスを使用する

フィラメントは、吸湿性があるため十分に除湿されていない空間や、湿気が多い空間に長期間置いておくと、空気中の水分を吸収してしまい、溶着力が弱くなり、反りが起きやすくなります。

そのため、日常からフィラメントを乾燥剤と共に保管するなど除湿された空間で保管する必要があります。中でも、ポリカーボネート(PC)フィラメントは、特に吸湿性が高く、空気から水分を吸収やすいことから、保管やプリントに注意が必要です。

保管は、乾燥剤などを使い十分に除湿した状態で保管する必要があります。またプリント時も部屋の湿度を除湿し、温度を一定にするなど注意が必要です。密閉型の3Dプリンターでの造形をおススメします。

PolyMakerが提供するPolyBoxを使用すれば、造形中も保管中も常に吸湿した状態をキープすることが可能です。

糸引きやにじみ:

ポリカーボネート(PC)フィラメントは、押出ノズルの温度が非常に高温になります。そのため、プリント時のノズルのスピードによっては糸引きやにじみといった不具合が起きやすくなります。

糸引きやにじみを防ぐためにはプリントスピードをゆっくりすることで解消する場合があります。

まとめ

ポリカーボネート(PC)フィラメントを使用することで、デスクトップタイプの3Dプリンターでも最終品やそれに近い高強度の造形が可能になります。その反面、取り扱いにはさまざまな条件があり、ノズル温度やビルドプラットフォームの調整、フィラメントの吸湿管理など、高品質でミスのない造形を行うためには、3Dプリンターの性能と合わせて調整が必要です。

3Dプリンター用PETGフィラメント材料

3Dプリンター用PETGフィラメントとは

3Dプリンター用PETGは、FDM®(熱溶解積層法)、特に家庭用(低価格)3Dプリンターのフィラメント材料として開発された材料です。PETGのもととなるPET(ポリエチレンテレフタレート)は、ペットボトルの材料として、世界で最も利用されているプラスチック材料です。

PETGは、PETの改良版で、PETよりも丈夫で耐衝撃性に優れる素材です。さらに3Dプリンター用フィラメントとなることで、ABSフィラメントPLAフィラメントと同じぐらい汎用性の高い材料として期待されています。

その最大の理由がABSフィラメントとPLAフィラメントのいいとこどりと言える性能です。
一般的に、ABSフィラメントとPLAフィラメントは反対の物性をもつといわれています。その両者の強みを併せ持つことで、PETGフィラメントは、高い汎用性をもたらします。

そこで今回は3Dプリンター用PETGフィラメント材料の特長やできること、おススメのフィラメント材料までご紹介します。また、PETGフィラメントを使用する際の注意点や対策についてもご紹介します。

3Dプリンター用PETGフィラメントの強みと弱み

3Dプリンター用PETGフィラメントは強度と造形安定性にすぐれる万能材料ともいえる強みがあります。PETGは、もともとペットボトルの材料として知られるPETの改良版で、強度や衝撃性に強く、同時に優れたプリント特性を発揮します。

PETGフィラメントの強み

PETGフィラメントは機械的特性に優れると同時に優れたプリント安定性を持っています。

耐衝撃性:

PETGフィラメントの強みの一つが耐衝撃性です。PETに加えられたグリコールによって、材料が結晶化し壊れやすくなるのを防ぎます。因みに、PETGの「G」はグリコールのGです。

プリント安定性:

PETGフィラメントは、ABSフィラメントとPLAフィラメントの良い点が組み合わさったフィラメント材料です。ABSフィラメントは持つ耐衝撃性や耐熱性、靭性に優れるが、造形中に反りなどが起きる可能性があります。しかし、PETGフィラメントはPLAフィラメントのように反らず、接着性もよく、高いプリント安定性を誇ります。PETGフィラメントは、いわばこの二つのフィラメント材料のいいとこ、強度と造形安定性を両立させたフィラメント材料といわれています。

PETGフィラメントの弱み

PETGフィラメントは、際立った弱点はありませんが、いくつの弱点とプリント時の注意点があります。

表面が若干弱い:

PETGは、PETに比べて表面が若干弱いです。PETよりも若干傷がつきやすく、UV光によって弱くなります。そのため外部での使用にはあまり適していません。

糸引きが起きる:

フィラメントの吸湿状態やノズル温度などによってはプリント中に糸引きという現象が起きる可能性があります。糸引きについては後述する「3Dプリンター用PETGフィラメントの注意点と対策」で詳しく紹介しています。

PETGフィラメントの特性

  • 強度に優れる
  • 耐衝撃性に優れ耐久性が高い
  • 耐熱性(80℃程度)
  • 半透明で光沢のある見た目
  • 優れたプリント適正(反りやゆがみが少ない)

3Dプリンター用PETGフィラメントでできること

3Dプリンター用PETGフィラメントは、プリント適正が高く、強度や耐衝撃性、柔軟性に優れる材料です。またいろいろなシーンで利用することができ、万能材料といえます。基本的にはデスクトップタイプの家庭用(低価格)3Dプリンター用に開発されています。

製品開発の効率化:リードタイムの短縮

PETGフィラメントは、ABSフィラメントのような耐久性を持ち、同時にPLAフィラメントのような高いプリント性を持っています。またABSフィラメントで起きる“反り”などの不具合が少ないため、プロトタイピングなどの製品開発に最適です。
 
製品企画からラフデザイン、そこから形状や機能を確認する試作品(プロトタイプ)の作成は、デザインをブラッシュアップするために何度も作り直すのが一般的です。

PETGフィラメントは、他のフィラメント材料と比べて比較的安価で、材料コストにも優れています。プリント安定性が高く、繰り返しプリントする試作品開発には最適な材料です。

試作品の作成は、これまで切削加工が一般的でしたが、PETGフィラメントと3Dプリンターでつくることで、リードタイムも1週間から数週間かかっていたものが数時間から数日で作ることができます。

製品開発の効率化:コスト削減

PETGフィラメントを使用することで材料代などのコスト削減効果も期待できます。切削加工では、ブロックの塊から削り出して試作品をつくるため、材料代もブロックごとの費用がかかります。

しかし、3DプリンターとPETGフィラメントでプリントすれば、材料の無駄を削減することができます。

カスタマイズ

PETGフィラメントでは、パーツのカスタマイズなどにも適しています。デザインの微妙な違いなど、3DプリンターとPETGフィラメントを使用すれば、3D CADデータを作れば簡単にアウトプットすることができます。

オンデマンド製造

PETGフィラメントは、耐久性、耐衝撃性に優れていることから、造形物によっては最終品を作ることができます。

3DプリンターとPETGフィラメントで製造することで、オンデマンドでプリントすることができ、在庫を持つ必要もなくビジネスを効率化してくれます。

3DプリンターPETGフィラメントで作れるもの

3Dプリンター用PETGフィラメントは、耐久性、耐衝撃性、半透明という特性から、さまざまなものを作ることができます。ここでは具体的な作れるものについてご紹介します。

半透明な造形物

PETGフィラメントは、PETの改良版であることから、半透明で光沢がある見た目が特長です。またABSフィラメントを超える耐久性、耐衝撃性を持っていることから、半透明な試作品やプロトタイプなどの造形モデルを作るのに最適です。

PETGフィラメント材料

冶具・工具

PETGフィラメントは治具や工具も作ることができます。ABSフィラメントよりも耐久性や強度に優れているため、ものづくりの現場で使用される治具には最適です。

治具とは生産プロセスの中の組立や検品の工程で使用される道具のことで、主に部品を固定したりとめたりするのに使用します。

そのため治具そのものにも一定の強度と耐久性が求められるため、PETGフィラメントのような強度に優れる材料は最適なのです。

PETGフィラメント材料

スナップフィット・組み込みパーツ

PETGフィラメントの強度はスナップフィットの作成にも使用することができます。スナップフィットとは、金属やプラスチックの接合方法の一つで、材料の持つ弾性を利用してはめ込み固定する方式のことです。

接着剤を使用せずに組み立てられる手法で、材料には耐久性や強度がある素材が使用されます。PETGフィラメントが持つ耐久性や強度はスナップフィットなどの造形に最適です。

PETGフィラメント材料

機能性プロトタイプ

PETGフィラメントは、機能試験用のプロトタイプにも使用することができます。機能性プロトタイプは、外観の形状を確認するプロトタイプとは違い、パーツや製品の物性を試験するためのプロトタイプです。

PETGフィラメントの特性である耐久性や耐衝撃性は、カバーや筐体などの機能性テストに最適です。この機能性プロトタイプも、形状と合わせて何度も検証のためにつくるので、材料コストの面からもPETGフィラメントは最適です。

PETGフィラメント材料

3Dプリンター用PETGフィラメントの種類

3Dプリンター用PETGフィラメントは、安価な家庭用(低価格)3Dプリンターの材料が中心です。業務用のハイエンド3Dプリンターでは登場していません。

家庭用(低価格)3DプリンターのPETGフィラメント

家庭用(低価格)やデスクトップタイプの3DプリンターのPETGフィラメントはさまざまな種類が登場しています。ここではPolyMaker製のフィラメントを中心にご紹介します。

PolyLite PETG (PolyMaker製)

PolyLite PETGは、家庭用(低価格)3Dプリンターのフィラメント材料として、最も汎用性が高いフィラメント材料です。PolyLite PETGは、PLAフィラメントの優れたプリント性能と、ABSフィラメントの強度や耐久性を両立した材料です。

価格も同じラインナップのPolyLite ABS、PolyLite PLAと同じ値段で利用することができるため、コストパフォーマンスにすぐれる材料です。

PETGフィラメント材料

PolyLiet PETGのスペック
  • カラー:半透明、ホワイト、ブラック、ブルー、グレー
  • 重量:1 Kg
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:230℃~240℃
  • プリントスピード:45mm/S
  • プリントベッド温度:80℃
  • 価格:4,479円(税込み)
PolyLite PETGの機械的特性
  • ヤング率:1472±270 Mpa
  • 引張強さ:31.9±1.1 Mpa
  • 曲げ強さ:53.7±2.4 Mpa
  • シャルピー衝撃強度:5.1±0.3 kJ / m 2

PolyMax PETG (PolyMaker製)

PolyMax™PETGは、ベーシックラインであるPolyLite PETGを更に強化したPETGフィラメントです。Polymaker独自のナノ補強技術によって開発された材料で、優れた機械的特性とプリント品質を両立することに成功しました。

通常のPETGフィラメントに比べ、靭性が向上し、耐衝撃性がより強化されています。PolyMax PETGは更に幅広い用途に使用でき工業用途などにも使用が適しています。

PETGフィラメント材料

PolyMax PETGのスペック
  • カラー:ホワイト、ブラック
  • 重量:750 g
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:230℃~240℃
  • プリントスピード:30mm/S
  • プリントベッド温度:70~80℃
  • ベッド表面:BuildTak®、PEIシート
  • 価格:5,980円(税込み)
PolyMax PETGの機械的特性
  • ヤング率:1523±50(MPa)
  • 引張強度:31.7±0.1(MPa)
  • 曲げ強度:58.3±4(MPa)
  • シャルピー衝撃強度:9.7±2.6(kJ / m 2)

3Dプリンター用PETGフィラメントのプリント設定

3Dプリンター用PETGフィラメントを使用する際には、いくつか留意する点があります。

ノズル温度

PETGフィラメントをする際のノズル温度は、220℃~250℃の範囲です。最適な温度はフィラメントのメーカーや種類によっても異なるため、最適な温度を見つける必要があります。

例えば上記でご紹介したPolyMakerのPETGフィラメントは230℃~240℃としており、若干の幅があります。テストプリントを行う際には、5℃程度ごとにテストプリントを行い、仕上がりの違いを見極めましょう。

それによって最良の結果が得られた温度で設定します。また、設定温度が高すぎると、造形物が溶けて歪んでしまいます。

プリントベッド温度(造形プラットフォームの加熱)

PETGフィラメントは、ABSフィラメントのように反りませんが、造形プラットフォームの加熱も必要です。こちらもメーカーや材料の種類によって異なりますが、およそ50℃から100℃程度です。

大体が70℃前後を推奨しており、PolyMaker製のPolyLIte PETGフィラメントは80℃、PolyMax PETGフィラメントは70℃~80℃となっていますで。プラットフォームへのくっつきが悪いと、プリントベッドの温度が低すぎるかもしれません。

こちらも最適なプリントベッド温度を5度単位で検証します。

冷却ファン

PETGフィラメントは、ABSフィラメントのような反りが起きにくいため、押出ノズルに冷却ファンがついている場合には、オンにするのがおススメです。造形物全体の品質が向上し、張り出しなどが改善します。

3Dプリンター用PETGフィラメントの注意点と対策

PETGフィラメントは、ABSフィラメントやPLAフィラメントと同じように、比較的簡単にプリントすることができます。ただ、最良のプリント結果を得るためには何点か注意点があります。

糸引きと対策

PETGフィラメントではしばしば糸引きが発生することがあります。糸引きとは、余分なフィラメントがノズルが移動する際に造形物の間に蜘蛛の糸のように張り付く現象です。

糸引きの原因の一つが押出温度の高さです。温度が高すぎるとフィラメントが溶けだす可能性があります。

ただし、温度が低すぎるとフィラメントが硬くなり、押出にくくなります。そのためプリンターとフィラメントの種類に応じてノズルの最適な温度を見つける必要があります。

吸湿性対策:フィラメント専用ボックスを使用する

PETGフィラメントのミスプリントの原因の一つが、吸湿性があるかもしれません。PETGは他の材料よりも吸湿性が高く、空気中の湿度がフィラメントの品質に影響しプリントへ悪影響を及ぼします。

つねに乾燥した環境で保管するようにしてください。また、吸湿材などを使用したPolyBoxのような専用の除湿ボックスで保管することで、フィラメントの状態を寄り良い状態に保ってください。

PolyBoxは、PolyMakerが提供するフィラメント専用ボックスで、常にフィラメント材料を除湿した状態にキープしてくれます。

部屋の湿度を下げ、尚且つPolyBoxを使用することで、フィラメント材料は常に安定した状態を得られ湿度によるミスプリントを防いでくれます。またPolyBoxは、ボックスに入れた状態でプリントが可能です。

まとめ

3Dプリンター用PETGフィラメントは、優れた造形安定性に加え、耐衝撃性や強度に優れる特性を発揮します。また価格帯もABSフィラメントやPLAフィラメントに近く、コストパフォーマンスにも優れる材料です。PETGフィラメントを使いこなすことで、ものづくりの幅が大きく広がります。

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメント材料

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントとは

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメント材料は、植物由来のPLA樹脂をベースとして開発された3Dプリンター用材料です。植物由来とは、主にトウモロコシやジャガイモ、タピオカといった天然素材から抽出して作られたバイオプラスチックのことです。

PLA樹脂そのものは、石油由来のABS樹脂の代替品として開発されましたが、3Dプリンター用の材料では多数の種類が登場しています。そして、3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントは、ABSフィラメントと共に、最も一般的な材料として知られています。

一般的にはABSフィラメントの反対の物性を持つ材料として認識されていますが、実は、新しい材料として進化を遂げており、さまざまな種類も登場しています。

ここでは3Dプリンター用材料としてのPLA(ポリ乳酸)フィラメントについて、できることや作れるもの、特長や特性、更には代表的なPLAフィラメントの種類から、使用する際の注意点まで、をご紹介します。

寸法安定性にすぐれスピーディなプリントができるPLAフィラメンは、製品開発にうまく取り入れることでその真価を発揮します。

3Dプリンター用PLAフィラメント材料

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントの強みと弱み

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントは、他の材料よりも優れた特性を持っており、製品開発のプロトタイピングには最適です。また初心者でも簡単に扱える材料です。

PLAフィラメントの強み

PLAフィラメントは安価で安定しており、初心者でも手軽に扱うことができます。

寸法安定性:

PLAフィラメントの一番の強みは、その寸法安定性です。ABSフィラメントとは違い、熱収縮性がそこまで高くないため反りなどの不具合も起きにくく、大きい造形モデルも安定して造ることができます。スピーディなプロトタイピングに最適です。

プリント安定性:

PLAフィラメントのもう一つの利点が、優れたプリント安定性です。プリントが非常に簡単で、歪みやノズル詰まりといった、低価格な家庭用3Dプリンターで起きる問題があまり起きません。そのため誰でも手軽に扱うことができます。

最も低価格:

PLAフィラメントは、3Dプリンター用のフィラメント材料の中で、最も低価格です。その使い勝手の良さと共に最も重宝する材料の一つです。

環境に優しく臭わない:

PLAフィラメントは植物由来で作られていることから生分解性を持ち環境にやさしい材料です。またABSフィラメントのように造形中に臭いを発しない材料でもあります。

PLAフィラメントの弱み

その一方で、PLAフィラメントは弱みもあります。

熱に弱い:

PLAフィラメントは、一般的に熱に弱く60℃程度でも簡単に柔らかくなります。耐熱性が求められるパーツの造形には不向きなフィラメント材料です。

強度が低く脆い:

PLAフィラメントは、硬くて脆いという性質があります。そのため曲げ強度や引張強度などが低く壊れやすいです。

PLAフィラメントの特性一覧

  • 硬くて寸法安定性に優れる
  • 大きい造形モデルにも最適
  • 臭気が少ない
  • 壊れやすく脆い
  • 熱には弱い

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントでできること

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントは、FDM®(熱溶解積層法)3Dプリンターの材料です。PLAフィラメントは、ABSと共に最も古くからある材料で、デスクトップタイプなど、家庭用(低価格)3Dプリンターでは最も重宝されるフィラメント材料です。

ラピッド・プロトタイピングに最適な材料

PLAフィラメントで最も多い用途が、試作品やモックアップなどのラピッド・プロトタイピングです。

ラピッド・プロトタイピングは3DCADデータから物体を迅速にアウトプットすることを指しますが、PLAフィラメントの高い寸法安定性や、造形安定性はラピッド・プロトタイピングに最適です。

特にABSフィラメントのような熱収縮性が少ないため、“反り”などの心配もなく、データ通りに3Dプリントすることが可能です。

大きい造形モデル

PLAフィラメントでできることの一つが大きい造形モデルのプリントです。熱収縮性がそこまで高くなく、寸法安定性に優れるため、ABSフィラメントで反ってしまう大きさの造形物も、PLAフィラメントならば正確に作ることができます。

また、PLAフィラメントはABSフィラメントのようにプレートの加熱やプリント中の密閉も不要で、手軽に使用することができます。

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントで作れるもの

PLAフィラメントの三つの強み、①寸法安定性、②スピード、③手軽さは、いろいろな造形物を作るのに役立ちます。

試作品・モックアップ

PLAフィラメントで最も多い用途が試作品、プロトタイプやモックアップの作製です。

PLAフィラメントが持つ寸法安定性、スピード、手軽な環境といった強みは、作った3Dデータの形状確認をスピーディに行いたい場合には、早くて間違いがないPLAフィラメントが最適です。

特に製品開発の過程において、素早く形をアウトプットすることは、開発サイクルやスピードを高めることに大きなメリットになります。

これまでは、プロトタイプやモックアップの作製は、プラスチックの塊を削り出す切削加工が中心で行われていましたが、最近ではデスクトップ3DプリンターとPLAフィラメントを使った方が、外注による切削加工で行うようよりも、コスト、リードタイムの面でメリットがあります。

3Dプリンター用PLAフィラメント材料

プロトタイピングに最適な安定性を持つ。PolyMaker製PolyLite PLA

学校教育用モデル

PLAフィラメントは学校教育用モデルでも使用される素材です。デジタルファブリケーション教育や、STEM教育など、実際に3Dデータから物体がそのままできる仕組みを学ぶには、迅速でミスのないプリントができるPLAフィラメントが最適です。

3Dプリンター用PLAフィラメント材料

技術やものの構造など、教育用モデルに最適。PolyMax PLA

模型・おもちゃ

PLAフィラメントは簡単な模型やちょっとしたおもちゃをプリントするのにも最適です。

学校教育用モデルにも共通しますが、小学生など低学年の子供たちに興味を持ってもらい、3Dプリントの仕組みを学んでもらうには、おもちゃなどを正確にプリントできるPLAフィラメントが最適です。

3Dプリンター用PLAフィラメント材料

ちょっとした模型やおもちゃにも使える PolyMaker製PolyWood

機能性プロトタイプ

機能性プロトタイプとは、耐久性や耐衝撃性など機械的な特性を持つプロトタイプのことです。

従来、PLAフィラメントは耐久性や耐衝撃性などの物性はABSフィラメントよりも低く、モックアップやプロトタイプが主流でしたが、最近ではPLAフィラメントの開発が進み、耐久性に優れ、ABSフィラメントに匹敵する物性を持つフィラメント材料が登場してきています。

こうした耐久性や耐衝撃性に優れたPLAフィラメントでは、従来の外観のみのモックアップだけではなく、機能性試験用のプロトタイプなどにも利用が可能です。

3Dプリンター用PLAフィラメント材料

強度が高いPLAフィラメントは、機能試験用プロとタイプにも使用できる PolyMax PLA

治具・工具

機能性プロトタイプご紹介したように、耐久性や耐衝撃性が強化されたPLAフィラメントでは、ABSフィラメント同様に治具や工具などのツール類の造形にも利用することができます。

治具は製造工程における加工組立を行う際に、部品を固定したり、検品を行う際に、検査するパーツの位置を決めて固定したりする道具のことです。

こうした用途から治具には主な機能として、“とめる”機能が求められ、しっかりと固定する強度や耐久性が求められます。強度や耐久性、あるいは靭性がABS並みに強化されたPLAフィラメントはこうした治具の作製にも適用しています。

また、摩耗などへの耐久性も強化されているため、ボルトナットやネジなどの工具類にも利用可能です。

3Dプリンター用PLAフィラメント材料

強度が高いPLAフィラメントは治具や工具にもつかえます。

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントの種類

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントは、開発によってさまざまな種類が登場しています。そこでは機能性が強化されたPLAフィラメントから、異素材を配合されたPLAフィラメントまでさまざまな材料が登場します。

家庭用(低価格)3DプリンターのPLAフィラメント

PLAフィラメントは、安価な家庭用(低価格)3Dプリンターで最も多用される材料です。またPLAフィラメントとして開発が進むのもデスクトップの分野で、幅広い性能のPLAフィラメントが登場しています。

PolyLite PLA(PolyMaker)

PLAフィラメントは、さまざまなメーカーのものが登場していますが、お手頃な価格で、高品質なプリント性能を誇るのが、PolyMakerのPolylite PLAです。

PolyLite PLAは、プリント性能と層間接着性に優れるフィラメント材料で、ノズル詰まりもなく、ミスプリントが無い安定した造形性能を誇っています。また、1Kgというボリュームをお手頃な価格でお買い求めいただけます。

PlyLiet PLAのスペック
  • 重量:1 Kg
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:200℃~220℃
  • プリントスピード:60mm/s
  • プリントベッド温度:60℃
  • カラー:全11色 ホワイト/ブラック/レッド/ブルー/グレー/オレンジ/グリーン/ティール/パープル/イエロー/ナチュラル
  • 価格:4,479円(税込み)

Poly-Max PLA(PolyMaker)

PolyMaker製のPLAフィラメントで、通常のPLAフィラメントの最大9倍の耐衝撃性を餅、ABSフィラメントを超える機械的強度を実現した強化PLAフィラメントが、PolyMax PLAです。

一般的にABSフィラメントは、耐久性や靭性、耐衝撃性に優れる特性をもち、PLAフィラメントはその逆の性能といわれていますが、PolyMax PLAは、ABSフィラメントの特性をPLA樹脂で再現したフィラメント材料です。

特に耐衝撃性は、通常のPLAフィラメントの9倍、ABSの20%増を実現しました。これによりPLAフィラメントの持つ寸法安定性やプリント性能で、反りやノズル詰まりのないプリントが可能です。

PolyMax PLAのスペック
  • 重量:1 Kg
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:220℃
  • プリントスピード:60mm/s
  • プリントベッド温度:60℃
  • カラー:全10色 ホワイト/ブラック/レッド/ブルー/グレー/オレンジ/グリーン/ティール/パープル/イエロー
  • 価格:5,979円(税込み)

PolyWood (PolyMaker)

PLAフィラメントの開発の一つに、異素材と配合することで、さまざまな質感を表現する種類が登場していますが、PolyMaker製のPolyWood PLAは、異素材を配合することなく、純粋なPLAフィラメントのみで、木の質感を再現したPLAフィラメントです。

一般的な木質フィラメントは、PLAフィラメントにパウダー状の木材を配合していますが、PolyWood PLAは、100%PLA樹脂のみで忠実に木材の質感を表現しています。

これによりノズル詰まりなどの不具合を無くし、高いプリント性能によって安定した木質モデルを造形できます。

PlyWood PLAのスペック
  • 重量:600g
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:200℃
  • プリントスピード:60mm/s
  • プリントベッド温度:60℃
  • カラー:ウッドブラウン
  • 格:7,980円(税込み)

プレミアム PLAフィラメント(AFINIA)

プレミアムPLA フィラメントは、AFINIA 3Dプリンターに最適化されたPLAフィラメントです。

その最大の特長は、反りとノズルつまりを防止することで、大きな造形物のプリントに最適な性能です。高い寸法公差を誇っており、迅速なプロトタイプ作製に真価を発揮するPLAフィラメントです。

Afiniaプレミアム PLAフィラメントのスペック
  • 重量:600g
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.1 mm
  • プリント温度:200~210℃
  • プリントスピード:15mm/s
  • プリントベッド温度:50℃
  • カラー:7色、ホワイト/ブラック/グレー/ブルー/ナチュラル/オレンジ/バーガンディー
  • 価格:4,104円(税込み)

スペシャルPLAフィラメント 銅、アルミ、木(AFINIA)

PLAフィラメントの開発の一つの例として、プラスチック以外のさまざまな材料を配合し、独特の質感を表現するPLAフィラメントが登場しています。

その代表的な素材が、銅、アルミ、木です。Afinia スペシャルPLAフィラメントは、粉末状の異素材をPLA樹脂に混ぜ合わせることでフィラメント化に成功しました。

また、異素材を配合することで、造形後の研磨や塗装なども可能になり、異素材の特長を再現できます。モックアップやアートなど、多様なプリントに最適です。

プレミアム PLAフィラメントのスペック
  • 重量:600g
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.4 mm
  • プリント温度:190~240℃
  • プリントスピード:15mm/s
  • カラー:3色、銅/木材/アルミ
  • 価格:4,104円(税込み)

3Dプリンター用PLAフィラメントのプリント設定

3Dプリンター用PLAフィラメントのプリント設定は他のフィラメント材料よりも簡単です。

ノズル温度

PLAフィラメントは、他のフィラメント材料よりも溶融融点が低く、一般的に180℃~210℃程度です。木材や金属などの異素材が配合されているPLAフィラメントは240℃程度のものもあります。

こちらは使用するフィラメント材料に応じて変わります。PLAフィラメントはノズル温度が高すぎると、非常に柔らかくなり造形モデルが汚くなります。

プリントベッド温度(造形プラットフォームの加熱)

PLAフィラメントは、造形プラットフォームの加熱は基本的には必要ありません。しかし、プレートが加熱できる場合には、プリントベッド温度を50℃~70℃程度にすると造形がより安定します。

こちらは使用する3Dプリンターの種類やPLAフィラメントの種類によって変わります。

フィラメントの保管

PLAフィラメントは、外気温の影響を比較的受けにくいフィラメント材料ですが、空気中の湿度を吸収してしまうため、高温多湿の環境を避け、保湿剤などを使用して保管することをおススメします。

PLAフィラメントも吸湿すると材料が脆くなり、プリント中に切れたりします。PolyMakerが提供するPolyBoxを使用すれば、常に除湿した状態でフィラメントを保つことができます。

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントの注意点

3Dプリンター用PLA(ポリ乳酸)フィラメントを扱う際の注意点として、ノズル温度があります。ノズル温度は高すぎると、造形モデルが溶けて仕上がりが汚くなります。

また、基本的にPLAフィラメントは、造形部分がむき出し(囲まれていない)状態の3Dプリンターで使用することができますが、なるべく使用する環境の温度と湿度は一定にする方が望ましいです。

PLAフィラメントの食品安全性について

PLAフィラメントは植物由来で作られていることから食品安全性が高いと考えられています。3Dプリンター用材料ではない、PLA樹脂そのものは、米国食品安全基準に則った検査に適合していますが、3Dプリンターで使用する場合には、注意が必要です。

例えば、PLAフィラメント以外のABSフィラメントなどを使用していた場合、ノズルに他の材料の化学物質が付着している可能性があります。

また、仮にPLAフィラメントのみでプリントしたものであっても、安価なFDM 3Dプリンターの場合、層と層の間に食品が付着すると雑菌が繁殖する恐れがあります。

特に食洗器のような高温での洗浄にはPLAフィラメントは耐熱性が低いため耐えられず、殺菌もすることが出来ません。そのため、PLAフィラメントで作られた造形モデルを食品用に使用できるかどうかはあまりおススメできません。

まとめ

PLAフィラメントは、その特長である寸法安定性とプリント性によって、製品開発の試作サイクルを早めることができます。反りが無く安定して造形できることから、小さいプロダクトから大きい造形モデルまで幅広い分野の試作に最適です。

3Dプリンター用ABSフィラメント材料

3Dプリンター用ABSフィラメント材料とは

3Dプリンター用材料の中で、最も一般的な樹脂素材がABSフィラメントです。ABSフィラメントは、耐久性や耐熱性に優れ、粘り強い性質を持っていることから、プロトタイピングから治具・工具、更には最終品まで非常に幅広い用途で使用される3Dプリンター用材料です。

また3Dプリンター用材料としては最も初期からあるフィラメント材料で、さまざまなFDM (熱溶解積層法)3Dプリンターで使用されます。特にデスクトップ型の3Dプリンターが登場してからは、最も安定して使用されるフィラメント材料です。

そこで、今回は3Dプリンター用ABSフィラメント材料について、できることや作れるもの、特長や特性、更には代表的なおススメのABSフィラメントについて、幅広くご紹介したいと思います。

またABSフィラメントを使用する際の注意点にも触れ、造形でお困りの方やミスプリント時の対策の一助につなげて頂ければと考えております。

3Dプリンターを使用するすべての方々がより良いモノづくりができるようになれば幸いです。

3Dプリンター用ABSフィラメント

3Dプリンター用ABSフィラメントの強みと弱み

最初に3Dプリンター用ABSフィラメント材料の強みと弱みについて簡単にその特長をご紹介します。

ABSフィラメントの強み

優れた機械的特性:

ABSフィラメント材料の最大の強みは、優れた機械的特性です。安価である上に、強度や耐久性にすぐれています。特に、耐衝撃性、耐摩耗性、引張強度、靭性・曲げ疲労性が高く、耐熱性にも優れています。またキズなどもできることが少なく、「消耗品」に最適です。

プリント適正:

ABSフィラメントは、正しい設定と適切な温度、湿度管理を行うことで優れたプリント適正を発揮します。大きい造形モデルでなければ層間接着性もよく、綺麗な造形ができます。また、一般的にサポート材がつくとされる45℃の角度まで作ることもできます。

後加工が簡単:

ABSフィラメントの強みとして、造形後の後加工が比較的容易です。表面の研磨や接着、塗装なども対応しています。またアセトンを使用すれば表面を加工することもできます。

ABSフィラメントの弱み

温度管理:

ABSフィラメントは、プリント時に適切な温度管理が求められます。温度設定が適切ではないと、層間接着性が悪くなったり、造形モデルに日々が入る場合があります。そのため、造形プレートの加熱や周囲が密閉された3Dプリンターでの使用をおススメします。

反り:

ABSフィラメントの最大の欠点、弱みが造形中の“反り”です。ABSフィラメントは熱収縮性が高く、造形時に3Dプリンターの種類によっては形状が反ってしまいます。この“反り”については、PolyBoxなどの吸湿ボックスを使用するなど、常に乾燥させる対策が必要です。反りについてはのちにその症状と対策についてご紹介します。

耐候性に弱い:

ABSフィラメントは、直射日光などにはあまり強くありません。耐候性や野外での使用を想定する場合には、耐候性が強化されたASAフィラメントや、PETなどが最適です。

臭い:

ABSフィラメントの課題として、造形中に独得の臭気がします。

ABSフィラメント材料の特性一覧

耐久性:長く劣化せずに安定して使用することができる。
耐熱性:高温の環境(70℃~100℃程度)での環境にも強い。
耐衝撃性:衝撃などに強い特性を持つ。
耐薬品性:酸やアルカリなど薬品による変化が少ない。
引張強度:引っ張った時にも破れにくい。
靭性・曲げ疲労性:ねじったり曲げたりした時にも壊れにくい。

3Dプリンター用ABSフィラメントでできること

まずはじめに、ABSフィラメントでできることをご紹介します。ABSフィラメントは、FDM®(熱溶解積層法)タイプの3Dプリンターの材料として幅広い用途に使うことができます。

製品開発の効率化:リードタイムの短縮

ABSフィラメントでできることの第一として、製品開発の効率化があげられます。具体的には製品開発にかかるリードタイムの短縮です。

一般的な製品開発の工程では、製品企画からデザイン案が起こされ、モックアップやコンセプトモデルなどの試作品が作られます。試作品の検証では、機能や形状が何度も検討され、改良やブラッシュアップが行われます。

従来、この試作品の検証工程では、切削加工によって行われるのが一般的でしたが、ABSフィラメントで試作品を作ることで、切削加工よりも早く検証と改良を行うことができます。

大体切削加工の場合に1週間から数週間程度かかりますが、3DプリンターとABSフィラメントであれば数時間から数日で設計データからアウトプットすることが可能です。

リードタイムの短縮によって、よりスピーディに製品開発が進められ、更にはデザインの検証に時間を注力することができ、製品の精度を高めることが可能となります。

製品開発の効率化:コスト削減

第二に、3DプリンターでABSフィラメントを材料として使用することで材料代などのコスト削減効果があります。切削加工で試作品をつくる場合、ブロック状の樹脂を削り出して物体にすることから、ブロックごとの材料費がかかります。

しかし、3DプリンターとABSフィラメントであれば、必要な分だけ使用することから材料コストの削減にもつながります。

パーツの軽量化

ABSフィラメントを使ってできることとして、パーツの軽量化を実現できます。ABS樹脂は粘り強い靭性に優れ、耐久性や耐熱性も高いことから、金属パーツの代わりの素材として使用されるケースもあります。

その場合、耐久性を保ったまま、金属よりも軽く、扱いやすくすることが可能です。

カスタマイズ

ABSフィラメントと3Dプリンターを使うことで、カスタマイズも容易です。例えば試作開発の現場で、微妙に形状が異なるデザインを見たい場合にも、3Dプリンターならば柔軟に作ることが可能です。

オンデマンド製造

ABSフィラメントは優れた物性から最終パーツも作ることが可能です。3Dプリンターであればデータで管理することができ、必要に応じてオンデマンドで作ることができます。余分な在庫を持つ必要もなくビジネスを効率化してくれます。

3Dプリンター用ABSフィラメントで作れるもの

3Dプリンター用ABSフィラメントでは、さまざまなものを作ることができます。ここでは具体的な作れるものについてご紹介します。

試作品(プロトタイプ)

3Dプリンターの最も一般的な用途がプロトタイピングでの利用です。3Dプリンターを使った試作品開発は“ラピッド・プロトタイピング”といわれ、3DCADデータから物体を迅速に作りだすことを指します。

ABSフィラメントは物性や豊富なカラーバリエーションから迅速な試作品づくりに最も適している材料の一つです。

3Dプリンター用ABSフィラメント

冶具・工具・取付具

ABSフィラメントで作れるものとして、治具や工具などでの利用があります。治具とは加工や組立、検品などを行う際に、部品や工具の位置を決めて固定したり誘導したりする道具のことです。

治具には主な機能として、“とめる”機能が求められ、しっかりと固定する強度や耐久性が必要です。

こうした点から強度や耐久性、靭性に優れるABSフィラメントの作製にも利用ができます。また、ボルトナットやネジなどの工具類にも最適です。

3Dプリンター用ABSフィラメント

機能性プロトタイプ

ABSフィラメント材料の用途として、その特性が最も活かされる使い方が機能性プロトタイプの作成です。機能性プロトタイプとは、外観だけのモックアップとは違い、機能性を持ったプロトタイプです。

例えば、ABSフィラメントの特性の一つである耐久性や靭性などは、駆動性などを持つ機能性プロトタイプに最適です。また耐衝撃性などは、カバーや筐体などの機能性テストに最適といえるでしょう。

この機能性プロトタイプは、最終品を作る前の物性試験(繰り返し落下させたり、反復動作を何度もさせたりなどの)にも使えますし、デザインや形状の検証などにも利用することができます。

3Dプリンター用ABSフィラメント

最終品パーツ

ABSフィラメントは場合によっては最終パーツを作ることもできます。ABSフィラメントは強度と耐衝撃性、靭性などがある材料なため、強靭なパーツを作ることがっできます。

3Dプリンターの製造での利用は“ラピッド・マニュファクチャリング”と言われ、3DCADデータから迅速にパーツを製造することができます。最終品の製造は、クラウド製造や分散製造という新たな生産体制を開きます。

3Dプリンター用ABSフィラメント

3Dプリンター用ABSフィラメントの種類

ABSフィラメント材料が使用できる3Dプリンターは、FDM(熱溶解積層法)タイプの3Dプリンターです。FDM(熱溶解積層法)は、加熱すると柔らかくなり、冷えると固まる性質を持つ熱可塑性樹脂を材料とする3Dプリンターです。

ABSフィラメントはFDM(熱溶解積層法)3Dプリンターの中でも最も一般的な材料になります。

家庭用(低価格)3DプリンターのABSフィラメント

ABSフィラメントは、FDM(熱溶解積層法)3Dプリンターの特許が失効することで安価な家庭用(低価格)3Dプリンターでも利用することができます。

低価格3DプリンターのABSフィラメントは、主に2種類、3Dプリンターメーカーが提供するものと、フィラメントメーカーが提供するものに分かれています。

PolyLite ABS 1kg(PolyMaker)

PolyLite ABSは、フィラメントメーカーとして有名なPolyMkaerのABSフィラメント材料です。PolyMakerはフィラメント専用メーカーとして、独自ノズル詰まりを防止するテクノロジーで高品質なフィラメント材料を作っています。

PolyLite ABSは、ABSフィラメント材料の注意点である反りを防止し、また独得の臭気を抑えることに成功したフィラメント材料です。

また高品質でありながら、1㎏で4,479円(税込み)というお手軽な価格で利用することができます。

PlyLiet ABSのスペック
  • カラー:ホワイト、ブラック、レッド、ブルー、グレー、オレンジ、グリーン、ティール、パープル、イエロー
  • 重量:1 Kg
  • フィラメント径:1.75 mm ±0.05 mm
  • プリント温度:245℃~265℃
  • プリントスピード:40mm/S~90mm/s
  • プリントベッド温度:80℃~105℃
  • 価格:4,479円(税込み)

Afinia専用 バリューABSフィラメント 1kg 

デスクトップタイプの3DプリンターAfinia専用のABSフィラメント材料の中でも手頃な価格で利用できるのが、バリューABSフィラメントです。こちらもABS樹脂の特性である強度と耐久性を再現したフィラメントです。

Afinia バリューABSフィラメントのスペック
  • カラー:ホワイト、ブラック、レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ゴールド、蛍光グリーン、グレイホワイト、ナチュラル、オレンジ、ピンク、パープル、シルバー、透明
  • 重量:1㎏
  • フィラメント径:1.75mm
  • 交差:±0.1mm
  • 推奨プリント温度:210℃~250℃
  • 推奨プリント速度:15 mm/s
  • 造形プレートの加熱:90℃
  • 価格:6,264円(税込み)

Afinia専用プレミアムABSフィラメント 1kg

デスクトップタイプの3DプリンターAfinia専用のABSフィラメント材料で、おススメなのがプレミアムABSフィラメントです。

プレミアムABSフィラメントは、強度と耐久性を更に向上させただけではなく、造形後の後処理で課題となっていた、サポート材の着脱などをより剥がしやすくし、運用面でのユーザービリティを飛躍的に向上させたABSフィラメントです。

Afinia プレミアムABSフィラメントのスペック
  • カラー:ホワイト、ブラック、レッド、ブルー、イエロー、グリーン
  • 重量:500g×2
  • フィラメント径:1.75mm
  • 交差:±0.1mm
  • 推奨プリント温度:260℃~270℃
  • 推奨プリント速度:15 mm/s
  • 造形プレートの加熱:90℃
  • 価格:10,260円(税込み)

Afinia プレミアムプラスABSフィラメント 1kg

デスクトップタイプの3DプリンターAfinia専用のABSフィラメント材料で、大きい造形モデルを作るために開発されたのがプレミアムプラスABSフィラメントです。

ABSフィラメントの課題である反りは、大きい造形モデルを作るときに発生しやすいですが、プレミアムプラスABSフィラメントは、フィラメントの粘着力を高めることで、反りを最小限に抑える特性を身につけ、造形中のラフト剥がれを防止します。

AfiniaプレミアムプラスABSフィラメントのスペック
  • カラー:ホワイト、ブラック、レッド、ブルー、イエロー、グリーン
  • 重量:1㎏
  • フィラメント径:1.75mm
  • 交差:±0.1mm
  • 推奨プリント温度:260℃~270℃
  • 推奨プリント速度:15 mm/s
  • 造形プレートの加熱:90℃
  • 価格:10,260円(税込み)2-2-3. ABS(UP専用)

業務用と家庭用(低価格)3DプリンターでのABSフィラメントの違い

業務用のハイエンド3Dプリンターと、家庭用の低価格3DプリンターのABSフィラメントの違いは3Dプリンターの精度によって異なります。

最近では家庭用(低価格)3Dプリンターでもそこそこの性能の機種が登場しています。

造形安定性

ストラタシスの3Dプリンターでは、造形を安定させるためにさまざまな機能が施されています。

造形部分が密閉されており、造形プレートやプリンターの内壁を加熱することによって、ABSフィラメントの不具合としてたびたび起きる“反り”などが起きないような仕掛けが施されています。

その一方で、安価な家庭用(低価格)3Dプリンターは、機種によって性能が異なり、安定性は劣ります。

AFINIAシリーズやUPシリーズはデスクトップタイプでありながら造形プレートの加熱などが可能で、積層跡が目立たない高品質な造形が可能です。

サポート材の取り外し

高精度なハイエンドと安価なFDM(熱溶解積層法)3Dプリンターの最大の違いの一つが、サポート材の取り外し安さです。

ストラタシスのABSフィラメントは、全て水で簡単に溶ける水溶性サポート材でプリントするため、造形後のサポート材の取り外しがとても簡単です。

また、簡単にサポート材が取れることで、造形モデルそのものを痛めることなく取り外しが可能です。

その一方で、安価な家庭用(低価格)3Dプリンターの多くが、サポート材を取り外すのが大変です。

しかし、デュアルヘッドのようにノズルが2本ついている場合は、一つのノズルをサポート材専用にすることで取り外しやすくできます。

その一方で、機種によっては造形モデルとサポート材が一体化してしまい、造形ごとにストレスになります。上記でご紹介したAFINIAシリーズやUPシリーズはサポート除去も純正材料であれば最適化されているため取り外しが容易です。

3Dプリンター用ABSフィラメントの反りと対策

ABSフィラメント材料は汎用性に優れさまざまな用途がある一方で、3Dプリントする際にはいくつかの注意点があります。特に、安価な家庭用(低価格)3Dプリンターで使用する場合にはいくつか注意点があります。

3Dプリンター用ABSフィラメント 反り

反りとは?

反りとは、FDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターで起きる不具合の一つで、造形モデルの四方が反ってきてしまう減少です。

これはプラスチックが持つ熱収縮性によるもので、とくにフィラメント材料を加熱して柔らかくし積層するFDM(熱溶解積層法)3Dプリンターでおきる典型的な不具合です。

FDM(熱溶解積層法)3Dプリンターではフィラメント材料がノズルを通り、加熱されて柔らかくなり積層後に自然に冷却されて固まるという造形プロセスをとりますが、プラスチック材料は冷却時に収縮して固まるという特性を持っています。

この収縮する特性を熱収縮性といい、ABSフィラメントは、この縮小性が大きいため、造形モデルの四方が収縮によって引っ張られて反りかえってしまう現象が起きることがあります。

反りが出やすい造形モデルとは

この反りですが、造形モデルの形状やサイズ、プリント方向などによって異なりますが、一般的に大きい造形モデルで起きやすく、モデルの端が剥離してしまう場合があります。

反りを防止する方法

ABSフィラメントで反りを防止するためには、いくつかの方法があります。ここではその具体的な方法についてご紹介します。

造形プレートを綺麗に清掃する

第一に、基本的な前提条件として、造形プレートを綺麗な状態に保つことが必要です。ほこりや、脂、また前回のプリント時の残留物などが無いか確認し、汚れているのであれば清掃します。

清掃にはペーパータオルとイソプロピルアルコール(IPA)、IPAが使用できない場合にはエタノールなどの消毒液を使って造形プレートを綺麗にふき取ります。

フィラメント除湿ボックスを使用する

フィラメント材料は、吸湿性があるため十分に除湿されていない空間や、湿気が多い空間に長期間置いておくと、空気中の水分を吸収してしまい、溶着力が弱くなり、反りが起きやすくなります。

そのため、日常からフィラメント材料を乾燥剤と共に保管するなど除湿された空間で保管する必要があります。

フィラメント材料の保管では、PolyMakerが発売しているPolyBoxがおススメです。フィラメント材料を2本まで収納可能で、常に低湿度に保つことができます。

また、除湿したボックスから3Dプリンターにセット可能なため、ABSフィラメント材料を使用する場合にはおススメです。

3Dプリントする環境を除湿する

第二に、反りを防止する基本的な設定ですが、3Dプリンターを使用する環境を十分除湿し、湿気を無くした状態にすることが必要です。

上記のフィラメントの吸水性にも影響を与えるため、なるべく湿度が排除された一定の環境にすることが必要です。

造形プレートの加熱

3Dプリンターの種類によって異なりますが、第一には造形プレートの加熱と密閉を行うことで、ABSフィラメント材料の反りを防止することができます。

造形プレートが十分加熱されることで、押出ノズルからプリントされる際にしっかりとくっつくため、反りが防止されます。

造形プレートの加熱はABSフィラメントの接着を安定させるのに効果があり、プリントベッド温度を大体90℃~110℃程度に設定を行います。

上記でご紹介したAFINIAシリーズやUPシリーズは密閉と造形プレートの加熱が可能です。

ノズル温度の設定

同時に押出ノズルの温度を最適化します。一般的にABSフィラメントのノズル温度は、210℃~230℃、場合によっては260℃まで必要です。

あまりにノズル温度が高すぎると、造形プレートであるベッドとの温度差が大きくなり、硬化する際の熱収縮が大きくなってしまうため、反りを起こしやすくなります。

ABSフィラメントの種類によって温度も異なるため、大体5℃ずつ微調整を行い、最適な設定を探ります。

密閉する

造形中の3Dプリンターをしっかりと密閉し、熱を逃がさないで一定の環境にすることが反りを防止することにつながります。上記でご紹介したAFINIAシリーズやUPシリーズは造形部分が筐体に覆われているため、密閉されています。

積層用造形シートを使用する

FDM(熱溶解積層法)の反りを防止するための造形シートを使用する方法もあります。この積層用シートは、フィラメントのくっつきをよくし、反りを防止する効果があります。

最近では、3Dプリンターメーカーや、ポストイットで有名な3Mなどが開発するシートがあります。

プリント方向を変える

反りは、造形モデルのサイズによって起きやすくなります。先にご紹介したように大きいモデルは反りが起きやすくなるため、プリント方向を変えるのも一つの方法です。

なるべく造形プレートとの設置面積が少ない方が反りが起きにくくなります。

造形モデルを分割する

場合によっては造形モデルを分割してプリントし、造形後にアッセンブルする方法もあります。

まとめ:手頃な価格で高い汎用性で、いろいろな造形に最適

ABSフィラメントは、最も安価で使い方も正しく使用すれば驚くほど正確にさまざまな用途に使用することができる材料です。プロトタイピングから治具、工具、更には最終品の製造まで、ものづくりの可能性を大きく広げてくれることでしょう。

ニコン取材。小型金属3Dプリンター「Lasermeister 100A」

小型&高品質を実現したニコンの金属3Dプリンター

3Dプリンターの開発において、ひときわ注目される分野が金属3Dプリンターの開発だ。特に2014年に特許が失効したレーザー焼結(SLS 3Dプリンター)は、最終品レベルが製造できる造形技術として世界で開発が進んでいる。

その一方で、異なるアプローチから金属造形を開発しようという動きも登場している。金属を造形する技術はSLS以外にもSLM(レーザー溶融法)やMIMの技術を応用した金属3Dプリンターが登場している。

今回は株式会社ニコン半導体装置事業部開発統括部次世代開発部の長坂博之氏にお話しを伺った。

独自の「光利用技術と精密制御技術」によって開発されたニコンの小型&高性能金属3Dプリンター「Lasermeister 100A」をご紹介しよう。

 

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A
ニコンの開発した小型金属3DプリンターLasermeister 100A

大きさ・価格・安全性をクリアし小型化を実現

ニコンが開発した金属3Dプリンター「Lasermeister 100A」は、高さ1.7メートル、床面積は85cm×75㎝の非常にコンパクトなサイズである。また重さは310kgで、このサイズは加工現場はもちろん、一般的なオフィスなどにも対応しており、6人乗りのエレベーターにも入るサイズだ。

また付帯設備は、窒素装置以外不要 。価格も3000万円と従来の金属3Dプリンターよりもはるかに低価格を実現している。

多用途に使用できる3Dプリンター

ニコンの「Lasermeister 100A」の最大の特長が、多種多様な金属加工が可能だという点だ。3Dプリントの積層だけではなく、溶接やマーキングなどにも利用することができる。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

既存の金属に積層できる3Dプリンター

ニコンの金属3Dプリンターのもう一つの特長が、既存の金属に盛ることができる点だ。付加積層造形といって、ゼロから作るだけではなく既存のものに加えることができる。

これは平面だけではなく局面にも積層することが可能で、従来の切削などの金属加工と融合して使用することができる。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A
既存の金属に盛ることができる。写真はドアノブに積層したサンプル
ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

金型や切削のノウハウと合わせて使用できる

ニコンが金型メーカーなどからヒアリングを行ったところ、今まで培ってきた金属加工のノウハウを、全て金属3Dプリンターに置き換えることには抵抗があると話していたという。

しかし、ニコンの金属3Dプリンターであれば、金型本体は従来のノウハウを使って作り、必要な部分だけ付加積層加工などを行うことが可能ということである。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

従来の金型や切削と合わせて使用が可能。あらかじめ作った金属パーツを入れて積層し盛ることができる。

この機能により金型や金属パーツの欠けた部分の補修などにも使用できるほか、
ワークの位置を変えることで、90度に曲がった配管なども、置き換えながら積層することでサポートなどをつけずに作ることができる。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A
配管などのような複雑な造形物も置き換えを行うことで、サポート材をつけずに造形が可能

スキャニングで正確な位置合わせを実現

例えば、切削加工機では、1台の機械ではなく複数の装置にまたがって作るということがよくある。その際、最初の装置で作った位置と次の装置で作る位置を正確に合わせることが求められる。

ニコンの金属3Dプリンターではスキャニングによって正確な調整が可能だ。「数十~数百ミクロンのレベルであわせる職人の技を、内部のステレオカメラで、位置を割り出し、ソフトウェア上で、位置を設定できる 」と長坂氏は語っている

マーキング&溶接。多彩な使い方が可能

また、ニコンの3Dプリンターは、1台でマーキングや溶接などもできる。例えば溶接などは、これまで専用の設備や職人が必要であったが、万力などで軽く抑える程度でパーツを簡単に溶接することができる。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

二つのパーツを固定することで、溶接もできる

更にマーキングでは、平面だけではなく局面にも刻印が可能だ。研磨では、レーザー研磨を行うことが可能で、表面を再溶融させることで、表面のざらざら感を少し滑らかにすることができる。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A
マーキングでは局面にも可能

金属3Dプリンター導入に関する3大ハードル

新たなニコンの金属3Dプリンターはこれまでの金属3Dプリンターとは一線を画す、コンパクト&高品質、安全性が高い革新的な3Dプリンターだ。

一般的にこれまでの粉末積層の金属3Dプリンターは巨大で、価格も非常に高額だ。導入するにはさまざまなハードルがあり、手軽に利用できるものではない。

最大のハードルの第一が大きさである。基本的には工場などの1階にしか入れられることができず、場合によっては床の補強工事なども必要になる。いわばオフィスビルなどで手軽に利用できる”3Dプリンター“ではなく完全な製造設備だ。

第二のハードルが価格である。金属3Dプリンターは、機種にもよるが数千万円から1億円以上かかる。また導入時に補強工事などを行った場合には更にコストがかかることになる。

そして第三のハードルが安全対策である。金属3Dプリンターの粉末材料は、種類によっては、日本の特定化学物質に指定されており、粉塵対策の設備や防塵服、取扱の資格者などが必要となる。

ニコンの光利用技術と精密制御技術が小型化を実現

しかしニコンは、光学レンズメーカーとして、また半導体露光装置のメーカーとして長年培われた独自の技術力によってこのハードルをクリアしている。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

エレベーターにも乗る小型サイズ

レンズの小型化で装置全体の小型化を実現

ニコンの開発担当である長坂氏は、レンズの小型化こそが、金属3Dプリンターの小型化につながると語る。

「私たちは光学レンズメーカーなので、内部に弊社の独自設計のレンズが組み込まれています。その最大の違いが大きさです。他社製品を調べたら、その多くが、ペットボトルほどの大きさのレンズを使用していることがわかりました。しかし、私たちのレンズはその半分ほどのサイズです。また枚数も無駄がない枚数で、基幹部の小型化に成功しました」。

レンズを軽量にすると必然的に3Dプリンターそのものの基幹部が小さくなるという。
「レンズが重くて大きいと、必然的にそれを支える構造が大掛かりなものになります。ベルトやモーターも大きくなります。更に外側の構も大きくなり、3Dプリンターそのものが大きくなってしまう」。

この大きさの問題は、製品全体のコストにも関わってくる部分だ。大きければ大きいほど装置を構成するパーツも大きくなりコストが高くなる。しかし、ニコンはレンズを極力小さくすることで、全体的にコンパクトでも高性能に収まるように開発している。

レーザー装置の小型化で装置全体の小型化を実現

小型化を実現したもう一つの要因がレーザー装置の小型化だ。因みに金属3Dプリンターではレーザー装置が最もコストが高いとされる。長坂氏はこの部分も徹底的に小型化とコストダウンを図ったという。

「金属3Dプリンターは通常ファイバーレーザーが使用されます。これは半導体レーザーにそれを増幅させるための光ファイバーを加え光を強くする仕組みです。しかし、私たちは半導体ダイレクトレーザーを使用することで、安価で高品質なレーザーを実現しました」。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

レーザー装置そのものを小型化することで、装置全体を小さくする

冷却装置の小型化も半導体レーザーのノウハウで実現

また、その周辺の冷却装置の小型化も半導体レーザーのノウハウが活かされている。
「一番こだわったのが空冷方式のレーザーです。他の3Dプリンターのレーザーは発熱が大きく、素子を守るための冷却機構が巨大です。しかしニコンでは空冷方式によりこの部分の小型化にも成功しました」(長坂氏)

通常のレーザー機構には冷水を使用した冷却機構が設けられており配管、ラジエーターの機構、更にはそれを保護する筐体など必然的にレーザー周辺が大きくなってしまう。

しかし、ニコンでは高効率な空冷方式のレーザーを採用している。空冷方式とはパソコンなどの冷却に搭載されている方式で、空気との熱交換によって冷やされる仕組み。これによってコンパクトで安く、高品質な金属3Dプリンターを実現している。

徹底した安全対策で誰でも使える

ニコンは、半導体チップを作るための半導体露光装置を作っており、その経験から安全性に対する高い基準を持っている。その経験が金属3Dプリンターの安全対策にも発揮されている。

レーザーポインターよりも高い安全なレーザーを採用

その代表的な例がレーザー出力の安全対策だ。一般的にレーザーの出力は危険度がクラス1からクラス4で区分されるが、ニコンの3Dプリンターは製品としてはクラス1に分類される。これは典型的なレーザーポインターのクラス2よりも低く高い安全性を示している。

粉塵爆発対策

また粉塵爆発の対策も十分にとられている。「Lasermeister 100A」は、中に材料を入れた状態では絶対に発火しない徹底した防爆設計が施されている。

もともと標準の提供材料は極めて爆発しにくい粉であるが、万が一違う粉を入れた場合でも内部で着火することはない。

更に内部のロック機能も徹底している。金属3Dプリンターはチャンバーの内部が窒素で満たされているが、中の酸素濃度が上がるまでドアが内部からロックされてあかないようになっている。

これによって、訓練された人が使用しないと扱えないというハードルをクリアし誰でも扱えるようにしている。

材料SUS316Lも専用品。大がかりな防塵設備は不要

ニコンでは材料の面からも安全性、誰でも利用できる環境を用意している。「日本の法律ではマンガンやコバルトなどが1パーセント以上入っている粉体は、特定化学物質に当たります。例えば海外製のSUS 316 Lでは日本では特別な設備がないと使えない場合があるのです」。

そのため、ニコンでは、特定科学物質に該当しない材料を採用している。そのため、大掛かりな防塵設備も必要なく導入が可能だ。また、爆発などの安全対策も徹底して検証している。

「ニコンでは材料の開発にあたり爆薬と混ぜて発火させる試験をして、爆発しないことを確認済みです」と長坂氏は語っている。

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

温度のモニタリング機能でレーザーを自動調節

ニコンでは造形品質を高めるオプションも開発している。造形中の温度分布を分析し、造形精度を向上するレーザーの自動調節機能だ。ここにも半導体露光装置のノウハウが活かされており、3DデータをGコードにした段階で、熱解析をかけ、造形中の温度分布をあらかじめ予測する。

それによって温度が高くなる部分はレーザーを弱く、温度が低くなる部分はレーザーを強くし、常に一定で高いクオリティの造形を実現することができる。

まとめ レーザーマイスターテクノロジーセンターで見学も可能

光加工機「Lasermeister 100A」は、ニコン熊谷製作所にある「Lasermeister Technology Center」でデモや見学、開発チームとの詳細なディスカッションも可能です。

  • 住所:埼玉県熊谷市御稜威ケ原201-9
  • 営業時間:10:00~17:00(土日祝日/年末年始、夏季休業など当社休業日を除く)
  • 半導体装置事業部 事業企画部 03-6433-3639 ※事前予約

ニコン 金属3DプリンターLasermeister 100A

第24回建築再生展2019でも展示中
6月11日(火)~13日(木)
東京ビッグサイト青海展示棟Bホール、Nikon ブースで実機展示があります。

Form 3とForm 3 Lが発表。Formlabsの次世代3Dプリンター

全世界4万台以上。4000万以上のプリント実績を誇るForm 2の次世代機

全世界で4万台以上、プリントされたパーツ数は4000万以上、世界最多の販売数を誇る3Dプリンター、Form 2。Formlabsが2015年にForm 2を発表してからおよそ4年の歳月を経て、新たに次世代機ともいえるForm 3と大型造形が可能なForm 3Lを発表された。

プリント成功率を90%以上を誇り、さまざまな分野で利用されているForm 2だが、新たなテクノロジーによって、更に進化することとなる。

Form 3, 3Dプリンター
4年の歳月をへて登場したForm 2の次世代機 Form 3

Form 3へ進化。高品質を更に高めるLFSテクノロジー

Form 2は、デスクトップで高精細な造形が可能なSLA(光造形法)方式の3Dプリンターとして優れたプリント品質を誇っているが、Form 3では、新たにLFSといわれる手法が採用された。

これはLow Force Stereolithographyの略で、均一な高密度のレーザースポットによって、表面仕上げやディティールが更に向上するという。

さらにレジンタンクも進化し、Form 3とForm 3Lでは、フレキシブルタンクによって、レーザーの剥離力を低減し、プリントの表面品質を改善される。また、サポート構造もより取りはずしやすくなる。

Form 3のプリント可能サイズは、現行モデルのForm 2ほぼと同じ145mm×145mm×185mmだ。

From 3, Formlabs,
Form 2からさまざまな面で進化したForm 3

Form 3の特長

1.完璧なプリントを実現:モジュール式コンポーネントの Light Processing Unit(LPU)が、正確で高密度のレーザーを実現。プリント精度がより正確で再現性のあるものに。

2.サポートが更に除去しやすい:サポートのタッチポイントをより小さくすることで、簡単に除去できて、パーツ表面のなめらかさを保ちます。

3.造形安定性の向上:20 以上のセンサーを搭載し、造形を常時監視。安定したプリントパフォーマンスを維持します。

4.稼働時間が向上:アップグレード可能なモジュール式コンポーネントと失敗しにくい設計により、稼働時間の向上を実現。

5.リモートプリント:オンライン Dashboard を通じてどこからでも 3D プリントが可能。

※Formlabsプレスリリースより

Form 3、Formlabs
外観はForm 2のシルバーからブラックに変更。
Form 3, Formlabs
ビルド・プラットフォームやレジンカートリッジはForm 2と互換性がある。
Form 3, Form 3 L
Form 2の次世代機であるForm 3と大型の造形ができるForm 3 L

Form 3L 5倍の造形サイズで高速プリントを実現

今回同時に発表されたのが、大型の造形が可能なForm 3Lだ。Form 3Lは、Form 3と同じ造形クオリティでありながら、200mm×335mm×300mmの大型造形が可能で、Form 3の5倍の造形サイズを実現している。

更にForm 3のレーザーを2基搭載することによって、高速プリントを可能にする。

プロトタイプ専用ドラフトレジン(Draft Resin)もリリース

Formlabsはプロトタイプ作成に特化したドラフトレジンもリリースしている。このドラフトレジン(Draft Resin)は、300ミクロンの層で積層するように設計されており、標準的な樹脂よりも3倍から4倍、高速でプリントが可能。

従来、安価なFDMでプロトタイプ作成が盛んにおこなわれてきたが、ドラフトレジン(Draft Resin)は、X軸Y軸の寸法精度を犠牲にすることなく、高速生産が可能となる。

まさにラピッド・プロトタイピングに特化したレジンとして、重宝しそうだ。このドラフトレジン(Draft Resin)は、Form 3とForm 3LだけではなくForm 2でも利用可能になる。

ドラフトレジン Draft Resin
3倍から4倍の高速プリントができるドラフトレジン。ラピッド・プロトタイピングに最適な性能を発揮する。

Form 2との共通点。レジンカートリッジなどの互換性はあり

今回Form 3とForm 3Lが発表されたが、これまでのレジンカートリッジとは互換性がある。またビルド・プラットフォームやForm WashForm CureはForm 3でもForm 2と同様のものが使用可能。(※Form 3 Lは大型なため、専用のビルド・プラットフォームを搭載)

日本国内は2019年後半に発売予定

Form 3はアメリカで6月に発売予定。価格は単体で3499ドル、二次硬化のFormCureと自動洗浄ツールのFormWashとのセットのコンプリートパッケージとして5999ドルの予定。
また、大型造形が可能なForm 3Lは、アメリカで2019年第四四半期に出荷予定で基本パッケージで9,999ドル予定となっている。
因みに日本での価格は未定で発売開始は2019年後半の予定だ。

Form2事例 竹中工務店のオープンイノベーション「ミライのたてもの工務店」

 一般的に3Dプリンターの役割として注目されているのが、リードタイムの短縮やコスト削減などの、生産プロセスの効率化だ。しかし、それと同時に、大きく期待されているのがオープンイノベーションでの利用である。

竹中工務店は、Form 2とコンピュテーショナル・デザインを使うことで、建築設計の現場にさまざまな活用方法を見出している。今回は二つのデジタル技術で、新たな挑戦を行う竹中工務店の「ミライのたてもの工務店」とForm 2の利用方法について竹中工務店設計本部コンピュテーショナルデザイングループの石津氏にお話しを伺った。

限られたデザインフェーズをスピードアップ

 竹中工務店は2016年に設計本部内にコンピュテーショナル・デザインの導入を支援するチームを設置し、建築設計の分野で新たな試みを始めている。またFormlabsの光造形(SLA)方式3Dプリンター「Form 2」を導入し、さまざまな活用を開始している。

Form 2では、主に設計の意匠や道具づくりでの利用を行っている。特に活躍しているのが、建築では欠かすことができない模型の作成だ。

「現在Form 2は、実プロジェクトでの使用とともに ロボットアームを使ったプロジェクト、エンドエフェクターの自作などで、さまざまな用途で利用されています。特に、建築模型によるデザインの検証で大きな力を発揮しています」。(石津氏)
 建築模型はスタイルフォームやスタイル模型などと言われ、スチレンボードなどの断熱材をカッターで切り手作業で作るのが一般的であった。しかし、Form 2であれば、設計データからダイレクトに作ることができる。

従来は外注によって2週間ほどの期間をかけて作っていたが、Form 2に切り替えることで、さまざまなメリットがあるという。

「これまでは、外注だと模型ができるまで2週間かかっていました。また、模型が上がっても1回目だとうまくいかず、デザインの検証なども限られた時間しか使うことが出来ませんでした。しかしForm 2を導入したことで、デザイン検証の繰り返しを短縮することができ、チーム内での検証もでき、改善がより早くなりました」と石津氏は語る。

  現在、竹中工務店では大阪にもForm 2を導入しており、設計やプロジェクトに向けて使われている。特に、設計・施工の全工程からみると、デザインのフェーズは非常に短くなる。形だけのデザインではわずか1週間から2週間で決めなければならない。

予算と限られた期間の中で、最大限よりよいデザインにするために検証を行わなければならない。この検証を従来の手作業からForm 2の試作に切り替えることで、スピードを圧倒的に早め、最終段階の模型に至るまでの精度をより向上させることができたという。

Form 2とリジッドレジンの高精細モデルがデザインを広げる

 外注する際のコストやリードタイムの短縮も大きいが、3Dプリンターとコンピュテーショナル・デザインが合わさることで、従来では実現できなかったさまざまな可能性が登場している。それがデザインの新たな挑戦だ。

3Dプリンターが登場することで、これまで実現することが難しかった意匠やデザインが可能になる。ちなみにコンピュテーショナル・デザインとは、建築物のデザインを、構造などを踏まえて自動でシミュレーションできる手法のこと。 これによって、これまで作ることが難しかった複雑な形状やディテールをアウトプットすることができる。

「これまで3Dプリンターやレーザーカッターが無かった時代には、複雑なデザインや意匠を検討するために、粘土を手でこねて作っていました。粘土でつくられたものを実際に作ろうとすると、かなりハードルが高い。しかし、3Dプリンターでアウトプットされた物理的なモデルだと、社内も施工者の関係者も、みな作ってみたいと思う。難しいけれど新たなデザインに挑戦したいというマインドになります」。(石津氏)

  実際に、意匠検討を行う際に、Form 2で造形モデルをプリントすることで社内のさまざまな人間がデザインの検討に参加するようになったという。

「3Dの画面ではなく、実物としてデザインを目の当たりにできるため、あらゆる世代の人が、デザインプロセスに参加するようになりました。Form 2は、まさに社内のマインドを変える新たなコミュニケーションツールとして機能しています」。(石津氏)

また、コンピュテーショナル・デザインだと多数のバリエーションを出すことができ、 小さな違いのデザインでも手軽に3Dプリントすることができる。一度に数千パターンものデザインができるが、代表的なものに絞ってForm 2とリジッドレジンで出力している。

もともと建築で作られる模型は白模型であることから、ホワイトで細かくて薄いディテールが出せるには、ガラス繊維が配合されているリジッドならではだと言えよう。Form 2の高精細なモデルがより発展的な議論を生んでいる。

オープンイノベーションのプラットフォーム「ミライのたてもの工房」

これまでご紹介したような、Form 2とコンピュテーショナル・デザインを軸にした取組は、新たなオープンイノベーションのプラットフォームへと動き始めている。それが、竹中工務店が新たに立ち上げた「ミライのたてもの工房」だ。

「ミライのたてもの工房」は、コンピュテーショナル・デザインや3Dプリンター、AIやBIMなど、これからのデジタルテクノロジーによって、今後の建築がどう変わるかということを検証する、新たなオープンイノベーションのプラットフォームだ。ものを作るためのテクノロジーが進化すれば、それによってデザインも新たなカタチに変化していく。

「従来の伝統的な手法に加え、建築の分野ではコンピュテーショナル・デザインが浸透してきています。また、デジタルを基軸にした、BIMや3Dプリンティングなどのテクノロジーも注目されてきました。

作られ方が変われば、これまで合理的であった形が変わり、基準も変わってきます。今は模型で使用していますが、未来は、新たな造形手法が建築自体にも及ぶため、これまで安いとされてきた形自体が変わるかもしれません。将来的には建築のデザインが変わってきます」。

「ミライのたてもの工務店」では、第一弾のプロジェクトとして、石津氏が手がけたコンピュテーショナル・デザインでデザインされたパラメトリックシェルが登場している。

このデザインは自然界の形状をモデルにして、パラメーターを変更することで、形状を変化させる試みだ。このシェルは貝殻の螺旋をベースにして、造形空間設計でどのように活用されるかの取組である。

Form 2とガラス繊維配合のリジッドレジンでプリントされた造形モデル
デザイン・モデリング:石津優子氏
モデル印刷協力:デジタルファクトリー株式会社

まとめ 社外にも広がるオープンイノベーションの開発

 「ミライのたてもの工務店」は、Form 2でプリントしたパラメトリックシェルと、第二弾である「曲げながらつくる強くて軽い構造シェル」が登場している。そして、今後も第三弾、第四弾と未来の建築に関わるプロジェクトが始まるとのことだ。

また、オープンイノベーションの取組としては、社内だけではなく、社外にも広がりを見せつつある。大学間協定によって他の大学と所属を超えた、開発プロジェクトも動き出している。

「Form 2は、新たなアイデア創出のコミュニケーションツールとしての役割を担い始めています。こんなに簡単に使える、ということが、建築に参加する、さまざまな人の意識を変え始めています。『ミライのたてもの工務店』はよりオープンなものとして、今後も建築に関わっているすべての人に、コンピュテーショナル・デザインや3Dプリンターによって簡単に、身近になっているということを感じてもらいたい」と、デジタルが建築に及ぶす影響と、今後の未来について石津氏は語ってくれた。

進化するForm 2。新材料の登場やイージーモールドも展示

デスクトップで圧倒的な存在に

デスクトップタイプの3Dプリンタで圧倒的な人気を誇るForm 2。Form 2の発表によると全世界で導入実績ナンバー1ともいわれている。特許の失効によって多くのデスクトップモデルが登場したが、Form 2ほど後発の3Dプリンタメーカーとして成功している企業はないだろう。

新たに投資を受け、ユニコーン企業にも成長している。そんなForm 2だが、今回のTCT Japanと、次世代3Dプリンタ展におけるForm 2の展示をご紹介しよう。

Form2 ユーザー事例
Form2で作られたさまざまな事例が展示された。

Form 2の実例が拡大。最終品での展開も登場

 Form 2の最大の特長は、高精度な仕上がりに加え、ミスプリントがほぼ起きない優れた安定性にある。一派的に、安価なデスクトップタイプの3Dプリンタの注意点として、安定性が極めて悪いという点があげられる。

さまざまな理由によってプリント中の停止や、造形ミスなどが起きる。特に安価な熱溶解積層法の3Dプリンタではそれが顕著だ。それだけプラスチックの硬化という化学的作用をコントロールするにはノウハウが必要なわけだが、Form 2ではそのノウハウを全て自動的に行ってくれる。

例えば、材料の種類が異なれば、その材料ごとに最適な温度、粘度、レーザーの当て方、プラットフォームの動かし方が必要だが、Form 2ではそのあたりを自動的に行ってくれるため、どの材料も高品質でミスのない造形が手軽にできる。こうしたことから、新たにForm 2で作られたモデルを最終品として販売する展示も登場している。

Form2使い方完全ガイドはこちら

Form2 最終品 事例
最終品しての製造に使用が拡大している。
電動車いすWHILLのパーツ
オートデスクブースのWHILL本体

シリコーンのようなエラストマー材料が登場

 そんな性能から、Form 2では新たな材料が続々と登場している。既に、スタンダードタイプから透明性があるクリアタイプ、エンジニアリング用のタフデュラブルフレキシブル、ハイテンプに加え、鋳造用のワックスモデルが作れるキャスタブルワックスまで、豊富なラインナップを持っている。

そして今回の展示会では、あらたにシリコーンのような透明なエラストマー材料が登場している。こちらの材料は、日本での発売はまだこれからだが、先行して展示が行われた。Form 2では硬い透明レジンと黒いゴムレジンはあるが今回登場したElastic Resinは、より柔軟性が高く、広範なテストに耐え高いストレスにも耐えうる材料だ。

ゴムの弾性を表すショア硬度50A(フレキシブルレジンは80A)の柔らかさで、シリコーンで製造された部品などの試作品に最適である。これまで「シリコーンのような」部品や造形物は、金型で作るか高額な3Dプリンタでしかつくることが出来なかったが、Form 2のラインナップに加わることで、高精度に安価に作ることができる。

このElastic Resinは米国では既に使用が開始され、ウェアラブルデバイスや製造ライン用のロボットグリッパーなど、シリコーン部品の試作が求められる分野で利用されている。

Form2 Elastic Resin ゴム
シリコーンのように柔らかいゴム材料Elastic Resinが登場。

卓上超小型射出成型機 EASYMOLD(イージーモールド)との連携も

今回の展示では、Form 2の使用を拡張する使い方も展示された。デジタルファクトリーが提供するEASYMOLD(イージーモールド)と、Form 2のハイテンプレジンで作られた樹脂型を組み合わせることで、手軽にハンドサイズで射出成形を行うことができる。

小型の射出成形機 イージーモールド。Form2とのハイテンプレジンの組み合わせが可能

ハイテンプレジンは金型のプロトタイプなどにも利用できる高耐熱性に優れる樹脂。このハイテンプレジンで作った小型の金型を使えば、EASYMOLD(イージーモールド)で熱可塑性樹脂の射出成形ができる。使い方はとてもシンプルで、Form 2で樹脂型をつくり、EASYMOLD(イージーモールド)にセットする。そして材料をセットし加熱されて樹脂が柔らかくなったらレバーをひくだけだ。

ハイテンプレジンで作られた樹脂型

ハイテンプレジンは透明性が高いこともあり、射出時の樹脂の流れなども確認できる。手軽に金型の材料が試せるのも大きな強みだ。

LINEアプリと連携する試みも登場

近年、アプリの発展によって、3Dプリントをスマートフォンアプリでコントロールする開発が進んでいる。今回Form 2では、あらたな試験的な試みとして株式会社岩間工業所とともにLINEアプリを用いてForm 2本体をコントロールする取組が発表された。

モバイルアプリとの連携も開発がすすむ。

操作はシンプルでプリントのスタートや停止、更にはカメラでのモニタリングが可能だ。また、複数台のForm 2を管理することができ、分散的に使用することができる。LINEの友達追加のようにForm 2を追加することで利用可能だ。

LINEのサーバーを経由するため、接続性も強い。まだ試験的な試みだが、将来的にモバイルアプリケーションとしてより手軽にコントロールができるかもしれない。

まとめ

Form 2は、高品質とその安定性から高い運用面での性能を誇っている。ミスすることはなく、小型ながらも常に高品質なプリントで造形が滞ることがない。年々拡大する豊富なレジンの種類によって、1台でさまざまな用途に活用ができる。

プロトタイプから治具、鋳造、ゴム、EASYMOLD(イージーモールド)との併用による金型、更には最終品まで、幅広い用途に対応している。またメーカーのFormlabsはユニコーン企業としてスタートをきったばかりであり、今後更なる進化と発展が期待される。今後の開発からも目が離せなさそうだ。