EOSの射出成形レベルの生産用3Dプリント「LaserProFusion」

EOSは金型いらずの射出成形となる新たな3Dプリント技術を発表

3Dプリンターの発展は、徐々に大量生産の領域まで踏み込みつつある。HPのMulti Jet FusionMetal JetCarbonのCLIP製法など、大量生産を実現する製法が開発され、マスカスタマイゼーションが実現し、開発から量産という製造プロセスの領域を大きく変えようとしている。

そして新たにまた一つ、3Dプリンターによる生産を実現させようとするテクノロジーが登場した。それはプラスチック加工の王様といわれている射出成形に置き換えることが出来ると言われている新たなテクノロジーだ。今回はドイツのレーザー焼結(SLS)3DプリンターメーカーEOSが開発したLaserProFusionをご紹介しよう。

EOS LaserProFusion 3Dプリンター

EOSによるDigital Factoryのコンセプト。EOS経由の画像

レーザー焼結のリーディングカンパニーEOSが新たな発表を行う

EOS 2018年11月13日から16日にかけて開催されるドイツのフランクフルトで開催される3Dプリント展示会、Formnextによって発表される。この展示会はおよそ550社のアディティブマニュファクチャリング関連の企業が出展し、昨年2017年には2万2000人以上が来場した一大展示会だ。そこで発表される予定のLaserProFusionとはどのような技術なのだろうか。

LaserProFusionとは?レーザー燒結法の10倍

開発元であるEOSは、金属3Dプリンターメーカーの代表的存在で、レーザー燒結法であるSLSとDMLSの主要なメーカーで、この分野では世界一の市場シェアを誇っている。

ちなみにレーザー焼結法とは、炭酸ガスレーザーや高出力のイッテルビウムファイバーレーザーを使用し、金属粉末やナイロンパウダーを“焼結”させ形にする技術だ(詳しくは、「金属3Dプリンターの原理と仕組み」をご参照ください)。

この技術は昨年以来、ドイツで最も関心を集めた業界全体の主要テーマとして、注目が集まっていた。このLaserProFusionとはEOSの開発した新たな3Dプリント技術で、従来のレーザー燒結法のように単一のレーザービームで焼結させるのではなく、100万個のダイオードレーザーによって層ごとに一気に溶融して物体を造形する技術とのことだ。

EOS LaserProFusion 3Dプリンター

無数のレーザービームが照射される

EOS LaserProFusion 3Dプリンター

従来の1本のレーザービームとは違い10倍のスピードがある。

これにより、従来のレーザー焼結法の10倍のスピードで造形が可能だという。LaserProFusionについてEOSのCTOであるTobias Abeln博士は次のように述べている。「LaserProFusionは、さまざまなアプリケーションに対応でき、射出成形の代替となりうる技術です。いわば、金型フリーの射出成形が可能になります。これは、将来のまったく新しい工業用3Dプリンターです」。

造形モデルのレベルの検証も可能(検証から~シリアル製造まで)

このLaserProFusionは、現在のEOSの3Dプリンターで、4つのレーザーを持つクワッドレーザーシステムを採用しているEOS M 300-4メタル・システムで利用することが出来るという。また、EOSでは、3Dプリンターによる生産を実現させるために、NASAによって開発された生産レベルをチェックするシステムを導入する。

このシステムはレディネスレベル(TRL)といわれるもので、工業用3Dプリントと従来の製造技術や他の3Dプリント技術と比較できるように、情報の可用性と透明性を提供するものだ。材料の状態をレベルによって識別することが可能となる。具体的には二つのカテゴリに分類されており、レベル3~6は、コア製品に分類され、レベル7~9では、シリアル製造に最適なプレミアム製品として使用することが可能となる。

一例をあげるとレベル5では、技術的ソリューションの検証を意味しており、レベル9では最高レベルで完全な生産レベルを意味するという。EOSは従来から3Dプリンターで作られた造形物の“基準”を設けるなど品質を確保する取組にいち早く取り組んできた。このチェックシステムによって本当の3Dプリント生産が可能となる。

EOS LaserProFusion 3Dプリンター

材料の検証もできる。 EOS経由の写真

3Dプリンターの品質基準を作るEOS、信頼性の構築と他社の参入防止

工場と統合し、エンドツーエンドの生産管理に適用

さらに、EOS M 300-4では、EOSPRINT 2、EOSTATE Monitoring Suite、EOSCONNECTなどのソフトウェアソリューションを使い、工場に統合することが可能となる。これにより3Dプリントプロセスのエンドツーエンドな管理が可能となる。

まとめ。インダストリー4.0に組み込まれ真価を発揮

今回のEOSの発表は、長年レーザー燒結法の分野でトップを走り続けてきたメーカーからの発表とのこともあり、大きな期待が集まるテクノロジーだ。HPによるMulti Jet Fusionや、Carbonなどとは異なるアプローチだが、レーザー焼結(溶融というべき)による大量生産を実現することで3Dプリンターによる生産体制の実現が更に広がる。

また、3Dプリンターによる生産は、単体でのみ力を発揮するわけではなく、インダストリー4.0の中に組み込まれてこそ進化を発揮する。3Dプリンター、即ちアディティブマニュファクチャリングは次世代製造技術の中の1分野だ。

これ以外に工場全体の生産体制がセンサー技術とIoTによって完全にモニタリングされ、生産データがモニタリングされることで、データが収集されAIによって解析され更に“未来の工場”へと進化していく。

例えば、造形モデルごとに、なぜこのモデルだとスピードが遅いのか、なぜ失敗したのか、などがビッグデータとして蓄積され、それがAIによって改善され3Dプリンターそのものの機能も進化してくだろう。こうしたIoT、AI、3Dプリンティング、ロボティクスの融合によって、大手企業の生産体制はデジタル化し、更なる競争力を増していく。

金属3Dプリンターで時計ベルトを作るUniform Waresの挑戦

最終品の3Dプリントが盛んな金属3Dプリンター

金属粉末のレーザー焼結3Dプリンターのメリットの一つが、材料特性をそのまま発揮できる点にある。チタンやスチールなど、モノづくりで多用される金属素材の精度を発揮し、航空宇宙産業や、医療などの分野で最終品をつくるのに利用されている。

そんな金属3Dプリンターの利用だが、意外な分野に利用が開始されている。それが今回ご紹介するスイス製のラグジュアリー時計ブランドUniform Waresだ。

Uniform Waresは、2009年設立の時計ブランドで、企画や開発などはロンドンで行われ、最終的にはスイスで仕上げられる。モダンでシンプルなデザインが特長だが、今回は3Dプリントを使用してユニークなチタン製のストラップを作成している。

金属3Dプリンター 時計 UniformWares

3Dプリンターで時計ベルトを作る新たな挑戦

Uniform Waresは、従来からの伝統的な製品開発プロセスによって腕時計をデザインし製造してるいるが、Uniform Waresのクリエイティブディレクター、マイケル・カー氏は、「物事を進化させたい」と語り、今回3Dプリントによる挑戦的な試みを行った。

3Dプリント製造にあたっては、3Dプリント製造企業であるBetatypeと提携して行っている。Uniform WaresとBetatypeのパートナーシップは2012年以来のもので、今回の取り組みでは、チタンの腕時計ベルトストラップのデザインが採用された。

もともとUniform Waresは、既にプラスチックや金属のプロトタイプを開発していたことから、最終品に移行するにはスムーズに行われたとのことで、デザインは、メッシュブレスレットと呼ばれる形状が採用されている。

Uniform Wares

メッシュブレスレットのベルトをレーザー燒結法で製造

このメッシュブレスレットは、以前からUniform Waresの製品として作られていたものだが、切削と溶接によって作られており、その結果多くの材料の無駄が生じていた。それをレーザー焼結法の3Dプリンターで作ることで、より少ない労力で余分な材料の廃棄を削減し、製造プロセス全体を簡素化することに成功している。

わずか10.5グラム。強化と軽量化に成功した新たな構造

これにより、メッシュブレスレットと同様のスタイルで作られた新しいT5チタンストラップは、新しいPreciDrive M-Lineウォッチコレクションに採用されることになった。ストラップは4,000以上のリングで構成されており、より強力で軽量な構造を実現している。その重量はなんとわずか10.5グラムだ。

Uniform Wares

デザインの有り方も変える新たな設計を生み出す

3Dプリンターによって作られるメリットは材料コストだけではなない。アディティブマニュファクチャリングを使用してストラップを作成することにより、デザインの概念も変わってきたという。事前にデザインの段階で、ストラップ自体の織り方と連動する指向性クラスプ設計を組み込むことが可能となった。これは従来の方法では実現できなかったものだという。

「ブレスレットのすべての要素は、機能するように正確に設計されています。曲線の半径、各点の柔軟性と剛性 – リンクごとに微調整が組み込まれています。これは、あらゆる点で特注のエンジニアリングを表しています。」と Carr氏はデザインの概念の変化について説明している。

Uniform Wares

まとめ。材料廃棄を削減し受注生産の形も確立

また、3Dプリントでは、材料廃棄物の量が削減されるだけでなく、何千ものオーダーを事前に注文するのではなく、必要に応じて時計を製造することができるのも大きい。

同社は今回のコラボレーションが成功した後、両すでに次のプロジェクトについて動き出している。今回の3Dプリンターの利用方法は、コストを削減し、効率化を図るだけではなく、デザインのあり方や、生産体制にいたるまで変えつつある。

Form2とジレットの3Dプリントカスタムシェーバー

髭剃り・シェーバーのジレットの新たな挑戦

シェーピングメーカーの代表でもあるジレット。日本でも有名なマサチューセッツ州の企業だ。ジレットが急成長したストーリーの背景には、カミソリの刃を付け替えられて、刃を使い捨てにするというビジネスモデルがあげられる。そんなジレットが新たに3Dプリンターを使った画期的なマスカスタマイズの取り組みを発表している。それがForm2によるオンデマンド製造だ。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2の生産システムFormCellを使ったオンデマンド生産

Form2は、Formlabsが提供する高性能な光造形3Dプリンターだ。昨年、Formlabsは、Form2の3Dプリンタの生産性と製造能力を向上させた自動生産システムであるForm Cellを発表した。

このエンドツーエンドのソリューションは、多数のForm2を配備し、ソフトウェアにおいて一元管理することで、3Dプリンターによるオンデマンドな少量生産を実現するものである。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

シェーバーのハンドルをカスタマイズ。48種類のデザインが登場

そして、今回行われた3Dプリントプロジェクトは、新たなRazor Makerコンセプトのパイロットモデルだ。エンドユーザーからのパーソナライズしたオーダーに対して、持ち手の部分をForm2で個別に製造する取り組みだ。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

7種類の素材から選べる

顧客は、Razor Makerウェブサイト上で独自のハンドルを作成できるようになり、デザインとカラーを選んで購入することができる。そこでは、Form2でのみ製造可能な非常に複雑な48のデザインを選択することができる。カラーはブラック、ホワイト、レッド、ブルー、グリーン、グレイ、クロムの7種類だ。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

エンドユーザー向け商品の3Dプリントカスタムメイドの幕開け

FormlabsのDávidLakatos最高財務責任者は次のように述べている。「3Dプリンターによる大規模なカスタマイズは、消費者がプリントされた最終品を使用するのが現実になりつつあります。歴史的に、3Dプリンターは、製品開発のプロセスや、製造プロセスに関わってきましたが、消費者は3Dプリントそのものとの関わりはほとんどありませんでした。我々はジレットと提携することに興奮しています。これらの新たなカスタムカミソリハンドルは、そのダイナミックを変え、3Dプリントされた製品を直接消費者の手に渡すための次のステップです」。

オンラインストアでカスタマイズし、Formlabsで生産

ジレットのRazor Makerハンドルは、注文を受けるとFormlabsのボストン本社にあるForm2、およびFormCellで3Dプリントされ納品される。ちなみにこのカミソリハンドルは、同社のMACH3およびFusion5 ProGlideカミソリカートリッジと互換性があるため、刃を付けかえれば何度も使用可能だ。現時点では、カスタマイズ3Dプリント剃刀ハンドルは、米国内のお客様のみ利用可能となっている。

まとめ

Razor Makerコレクションの価格は、部分的に3Dプリントされたハンドルの場合は19ドルから、完全に3Dプリントされたハンドルの場合は25ドルで利用可能。更に注文されたすべてのハンドルには、カミソリカートリッジが付属する。7種の素材のうち、クロムの場合のみ39ドルと45ドルで提供している。納期は注文から2〜3週間かかるとのこと。

Form2の完全使い方ガイドはこちらです

金属3DプリンターのXJetがイスラエルで世界最大の3Dプリントセンターを開設

3Dプリントセンターを開設する世界的な動き

現在、世界中で新たに3Dプリントセンターを開設する動きか盛んだ。特に金属3Dプリンターの分野でその動きが顕著だ。レーザー焼結方(SLS、DMLS)などの金属3Dプリンターは、プラスチックの3Dプリンターと違い、材料特性をそのまま再現することが可能で、最終品の製造にも利用できるためだ。

プロトタイプから最終品まで一貫して製造できれば、製造業の競争力は飛躍的に向上する。今回ご紹介するXJetは、液体金属のインクジェット製法により、金属やセラミックを作る3Dプリンターのメーカーだ。そして今回新たにイスラエルに大規模なアディティブマニュファクチャリングの3Dプリントセンターを開設した。

Xjet 金属 セラミック 3Dプリンター

Xjetの記事はこちら「液体金属のインクジェット3DプリンターXjet。滑らかさと高速生産を実現

液体金属とセラミックによる巨大3Dプリントセンター

今回新たに開設されたXJetの3Dプリントセンターは、その投資額が1000万ドルを超え、Rehovot Science Parkに8,000平方フィートの広さで作られたものだ。このセンター施設にはXJet の3Dプリンター、Carmel AMシステムで構成された世界最大の金属、セラミックの3Dプリンタコレクションが設置されている。

XJetの3Dプリンター、CarmelラインAMシステムとは、XJetの特許取得済み技術、ナノパーティクル・ジェッティング(NPJ)技術を利用したものた。

この造形方式は、インクジェット製法の一種で、材料をナノレベルの粒子のインクにして噴霧し使用して物体を構築する。材料は液体状で、液体中にナノレベルの金属粒子、もしくはセラミック粒子が配合されており、これらが3Dプリンタに装填されビルドトレイ上に造形モデルとサポート材が噴霧され超微粒子滴が堆積される。

ビルドトレイの内部では高温で加熱されインキの液体懸濁液を蒸発させる。あとは体積されたセラミックまたは金属の部分が残る仕組みだ。最後に、プリント工程が完了したあと、部品を焼結させることで、サポート材料を除去し完成となる。

この手法は、HPのmulti jet husionなどににているが、XJet独自に開発されたもので、造形物の特長としては細かいディテール、滑らかな表面、正確な精度で非常に複雑な部品を生産することができる点だ。今回登場したThe AM Centerは、更に新たな3Dプリント材料やアプリケーションの開発も行われるとのこと。

金属とセラミックによる最終品生産の道

XJetのHanan Gotha最高経営責任者(CEO)は、次のように述べている「新しいAMセンターは、幅広いマルチマテリアルプリントの追求の重要な部分です。 XJet Carmel AMシステムは現在、ステンレススチールまたはジルコニアの2種類のプリント材料を使用できます。私たちのビジョンは、同じパーツに多数の金属とセラミックスを同時にプリントするプラットフォームです。 AMセンターを使用して、特殊用途の開発やデモンストレーション、世界の顧客にむけたテスト部品のプリント、新しい金属およびセラミック材料のトライとデモンストレーションを行います。」

Xjet 金属 3Dプリンター

Xjet セラミック 3Dプリンター

まとめ

現在、金属3Dプリンターを中心に、モノづくりにおける一貫した3Dプリンターの利用が開始されている。そしてそれを体現したものが3Dプリンターセンターなのだ。金属3Dプリンターであればプロトタイプから最終品まで、一貫して利用することができる。

これにより、製品開発のコストとリードタイムが飛躍的に高まるだけではなく、マスカスタマイズなど、多品種生産にも対応可能だ。3Dプリンターの発展により、モノづくりは次世代への道へと進む。

三菱電機が高精度金属3Dプリンターを発表

開発が進む金属3Dプリンターの分野

3Dプリンターの種類の中で、最も種類が多く、また新たな開発が進んでいる分野が金属3Dプリンターだ。従来のレーザー焼結(SLS、DMLS)から、レーザー溶融法(SLM)、さらにはXJetのような液体金属など、さまざまな種類が登場している。そして今回新たに三菱電機から新たなアプローチによる高精度な金属3Dプリンターが発表された。

三菱電機のレーザーワイヤー 3Dプリントとは

今回三菱電機が開発した金属3Dプリント技術は、レーザーワイヤーDED(Directed Energy Deposition)という手法だ。この仕組みはレーザー技術と、コンピュータ数値制御(CNC)、コンピュータ支援製造CAM技術の三つを融合させたもので、ワイヤー状の金属を直接溶融して体積する仕組みだ。

この技術は、誤解を恐れずに言うと、金属版のFDM(熱溶解積層法)に近いかもしれない。FDMはストラタシスが開発したプラスチックの3Dプリンターで、金型と同様の本物の熱可塑性樹脂が使用できるのが特長だ。しかし、三菱電機が開発したDEDプロセスは似て非なるものだ。

三菱電機 3Dプリント

多軸で動く金属押出ノズルと、レーザーによる制御

まず、第一にDEDのプロセスの材料を押し出すプロセスは、FDMと同様であるが、FDMとは違い、DED 3Dプリントでは、金属ワイヤーを供給するノズルが多軸だという点だ。FDMの場合は、基本的にノズルは、x軸とy軸すなわち平面方向にしか動かず、高さのz軸はプラットフォームが動くことで物体を積層していく。

しかし、三菱電機のDED方式ではアームの方向は特定の軸に固定されておらず、複数の方向に移動することができ、必要に応じて任意の角度から材料をくっつけることができる。3Dモデルの形状は、金属ワイヤーまたは粒子が表面上に堆積される供給速度は、角度を制御することによって制御される。

このDED技術の画期的な点は、高品質な金属パーツを高速で生産することが可能な点にある。そのための仕掛けがレーザー技術の利用だ。従来の手法ではレーザーと堆積した金属の熱によって造形物が歪む傾向にあったが、CNCによってよりレーザーを最適にコントロールすることによって歪みを防止し、高精度な造形を実現した。

三菱電機 3Dプリント

最終形状に近いニアネットシェイプも可能

また、形状精度が従来の連続成形技術と比較して60%向上した。また、高温領域が狭い領域に限定されているため、従来課題であった酸化は20%以上低減することができた。

三菱電機 3Dプリント

改良前の造形物。歪んでしまう

これにより具体的な用途として、航空機や自動車部品の「ニアネットシェイプ」(最終形状に近い仕上げ)成形、ビルドアップ修理、中空形状やオーバーハング形状など、更には構造部品の修理やメンテナンスなど、非常に幅広い用途での使用ができ、金属パーツの製造の分野で飛躍的に生産性を向上することができる。

三菱電機 3Dプリント

まとめ

三菱電機は、2021年3月期に商用化された機種を投入する予定とのことだ。また、三菱電機は、11月1日から2018年11月6日まで東京国際展示場で開催される第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)で6日間のイベントを開催する予定だ。

HPの50倍の生産性を持つ金属3Dプリンター

HPが新たに金属3Dプリンターを開発。その実力とは

高速生産と高強度、高品質の造形がでくるMJF(Multi Jet Fusion)3Dプリンターの登場によって一躍、3Dプリント業界の注目を集めたHP。multi jet fusionの登場が2016年だったが、今回、新たに金属3Dプリンターの分野で注目を集める発表が行われた。それがメタルジェット3Dプリンターだ。

新技術Metal Jet 3Dプリントとは?

HP Metal Jetとはどのような製法なのだろうか?HPによるとこの技術は、金属射出成形(MIM)の3Dプリンター版だという。金属射出成形(MIM)とは、プラスチック加工の射出成形に金属粉末を加えた製法のこと。ダイキャストなどとことなり、金属そのものを使うのではなく、金属粉末にバインダーと言われる添着実材をまぜて射出成形し、焼結して最終製品にする。

HP metl Jet 3Dプリンター

MIM(金属射出成形)のバインダージェッティング3Dプリンター

今回発表されたHPのメタルジェットとは、このMIMと同じように金属粉末とバインダーを使用したバインダージェッティングの一形態である。 HPによるとその凄さは作業領域の1インチあたり1秒間に3,000万滴が噴出されるという。

プラスチックのmulti jet fusionが溶融結合剤であるバインダーインクをプラスチック粉末に噴射し加熱るのに対して、メタルジェットは金属粉末上にバインダーを堆積させる。その後、MIMと同様に炉で焼結する必要がある。

この手法は現在市場に出ているバインダージェット方式の3Dプリンターや造形後に焼結する手法、例えばExOneやMarkForgedの機種とにているが、メタルジェットプロセスは、市場に出ている他のバインダージェッティングやレーザーベースの3Dプリントシステムに比べ50倍の生産性があると言う。

MIMとの違い。50000ロットでコストと生産性を超える

Metal Jetシステムのビルド範囲は、430mm x 320mm x 200mmの広範囲に渡る。HPは、この広さによって、50000ロット以下の稼働率でMIMとコスト競争力があると推定している。実際に金metal jetを使った検証では、車両に使用されているゴルフボールサイズのローラーフィンガーツールで55,000パーツプリントが可能だ。

この metal jetの生産性は従来のMIMに比べて驚異的なスピードだといえよう。例えば、従来のMIMであれば必要なツールを作成し、テストし、修正し、その後生産工程に入るとすれば、およそ3〜6ヶ月かかることがある。しかし、metal jetであれば、設計からプロトタイプ、生産まで、シームレスに飛躍的に早めることが可能だ。

また、metal jetは材料コストの面からも生産数によってはMIMを超えるという。MIMの場合は、部品の約40%の部分をポリエチレンのようなバインダーに依存しるが、Metal Jetは少量のバインダーしか使用しない。

従来のMIMでは射出成形後の大部分が炉で焼結すると、バインダーのすべてが焼失し、部品の最終的なサイズは限られる。しかし、Metal Jetを使用すれば、HPは肉厚の部品を実現することが可能だ。

HP metl Jet 3Dプリンター

バインダージェッティングの応用

HP metl Jet 3Dプリンター

金属粉末とバインダーを混合し体積

metal jet 3Dプリンターの価格

metal jetシステムの価格は399,000ドル以下になる可能性がある。また、部品は水平解像度4〜7ミクロン、層厚25〜40ミクロンでプリントできる。
また、Metal Jetで製作された部品がASTM規格に適合し、等方性を持ったコンポーネント製造ができ、更には業界標準を超える機械的特性を示すコンポーネントも製造できるという。

HP metl Jet 3Dプリンター

HP Metal Jetの狙い。巨大な製造業市場の用途

Metal Jetの開発の先には、巨大な製造業市場を席巻しようというHPの狙いがある。既に、さまざまな分野の製造業でmetal jet 3Dプリンターの利用が始まっている。また、metal jetを導入する前にHPのウェブサイトにアクセスし、3Dプリント用の部品をアップロードすれば、metal jetのプリントを利用可能だ。

医療分野での利用

また、具体的な企業では、Johnson&Johnson、Okay Industries、およびPrimoMedicalなど医療関連の分野が含まれ、患者固有の外科手術ツールを3Dプリントするカスタムインプラントでの利用が始まっている。

自動車用の最終品製造

更に、metal jetは、自動車業界や工業用でも利用が既に開始している。例えば、大型ポンプメーカーのWiloは、Metal Jetを使用して、可変の流体力学のポンプとモーターの製造で細かな微調整を行い、カスタマイズ製品を作っている。

HP metl Jet 3Dプリンター

フォルクスワーゲンでは利用も始まっている

また、フォルクスワーゲンはMetal Jetを使用して、衝突テストを必要としない非クリティカルな金属パーツをカスタマイズ製造している。更に来年以降、同社は大量生産のギアシフトやミラーマウントなど、機能的なパーツの生産に取り組む予定とのことだ。将来、2021年までに、VWは同社の新たな電気自動車製造のためのプラットフォームにMetal Jetの使用を検討するかもしれない。

まとめ

HPは、2016年に発表したmulti jet husionに引き続き、今回のmetal jetの導入によって、製造業における生産に革命を起こそうとしている。プラスチックと金属、両方の材料で、プロトタイプからカスタマイズ生産まで行うことが可能になれば、大量生産を行ってきた業界は更に競争力を増し、時代にあった生産体制を構築することだろう。

シンガポール南洋理工大学(NTU)にHPの3Dプリント研究センターが開設

次世代製造技術に力を注ぐシンガポール

シンガポールは3Dプリント技術に最も力を入れている国家のひとつだ。その理由のひとつがシンガポールのGDPの内およそ20%が製造業で占められているためだ。

そのため次世代製造技術による製造業の競争力強化が、同国にとっての次なる経済成長の鍵となる。具体的には、ロボットや3Dプリント(シンガポールではAdditive Manufacturingの呼びかたを行ている)による自動化と、IoTやAIによるデジタル化だ。

この二つの柱によって、自国の製造業の競争力を強化し、更なる経済成長へとつなげようとしている。その中でも3Dプリンティングは、シンガポールが特に力を入れる分野で、シンガポールの国家戦略であるResearch、Innovation and Enterprise通称RIE2020計画の4つの技術分野の1つ、先進製造技術として取り扱われている。

HPの大規模3Dプリント研究所がNTU(南洋理工大学)に開設

今回ご紹介するNTUにおいても過去に3Dプリント研究所を設けたり、更には政府が支援しているシンガポール進出企業では、ヤマザキマザックなどがアディティブマニュファクチャリングセンターを開設するなど、世界に一歩先駆け3Dプリントの活用が行われていると言っていいだろう。

そして、今回ご紹介するHP(ヒューレット・パッカード)の大規模3Dプリンター研究所は、NTUとNational Research Foundation Singapore(NRF)によって行われる最大規模のものだ。

因みにNTU(南洋理工大学)はシンガポール国立大学(NUS)と共に、アジアで1位、2位にランキングする大学。そしてこのHPの3Dプリント研究所はアジアで初となると言っても過言ではない。

シンガポール 南洋理工大学 HP 3Dプリントセンター

HP-NTUデジタルマニュファクチャリングラボとは

こNTUにあるHP-NTUデジタルマニュファクチャリングラボでは、100人の研究者とスタッフがあつまり、3Dプリントから、人工知能、機械学習、新しい材料とアプリケーション、サイバーセキュリティとカスタマイズを発展させるデジタル製造技術の研究がおこなわれる。スタート時には、3つの分野について15のプロジェクトが行われる。それが以下の通りだ。

シンガポール 南洋理工大学 HP 3Dプリントセンター

  1. 新しい材料とアプリケーション:製造用途向けの高度なポリマー、プリント可能なバイオプリントモデルの開発、温度変化による形状に適応した4Dプリントスマートシステム
  2. 人工知能と機械学習:プリンターが自律的に問題を予測し解決する手段
  3. サイバーセキュリティ:エンドツーエンドのポイントセキュリティインフラストラクチャとマルウェア対策の改善に関する調査

この研究には同時に、データ管理、セキュリティ、ユーザーエクスペリエンス、ビジネスモデルなどの領域まで含んでおり、Additive Manufacturingの設計に関する教育カリキュラムの開発も含まれる。

次世代製造業の導入を加速する核となる研究所

NRTのLow Teck Seng教授は次のように述べている。「本研究所は、シンガポールの産業の成長に直接関連する分野において、大学と企業との共同研究開発パートナーシップを確立することが戦略的に不可欠である」。

現在、世界中の製造業がシンガポールにリージョナルヘッドクオーター(地域統括会社)を設け活動しているが、次世代製造技術を導入することはこうした企業の長期的な競争力にとって重要であり、世界的に急速に発展している第4次産業革命にいち早く対応するものである。

また、NTUのSubra Suresh教授は、次のように語っている。「NTUは機械学習、データサイエンス、アディティブマニュファクチャリングの分野で有名なリーダーです。これらの最先端技術は現在、NTUの教育研究のエコシステムの不可欠な部分であり、NTUスマートキャンパスは、それらのためのテストベッドとして機能しています。これはスマートネーションに変身するというシンガポールのビジョンに沿っています」。

シンガポール 南洋理工大学 HP 3Dプリントセンター

デジタル化の影響は10年で100兆ドル以上とも

またHPのDion WeislerCEOは、「世界経済フォーラムは、今後10年間ですべての業界がデジタル化することによって100兆ドル以上の価値が創出されると予測しています。HPは、 3Dプリンティングのように、この変換の利点を有効にします。シンガポールは、3Dプリント技術の世界的な技術開発拠点、および製造の中心地です。 HP-NTUデジタルマニュファクチャリングラボは、3Dプリントとデジタル製造のエコシステムの核となります。私たちはNTUと協力することを誇りに思っています」。

シンガポール 南洋理工大学 HP 3Dプリントセンター

まとめ AIと3Dプリントの融合で更なる進化の可能性

今回の研究所の発表で最も気になる部分が、人工知能と機械学習、すなわちAIと3Dプリンターの融合だ。例えば、材料特性や設計モデルの形状に応じてAIが自動で最適なプリント方法や設定を行ってくれれば、更に最適なモノが作れるようになったり、ミスプリントなどが圧倒的に少なくなるかもしれない。3DプリンターはAIとの融合によって飛躍的な進化を遂げる可能性がある。

FormWashを使いこなす。機能と使い方

FormWashとは。Form2の洗浄を簡単、手軽にしてくれる

Form2の洗浄は、別売りの自動洗浄機FormWashを使用することで、より簡単に手軽にすることが可能です。付属の仕上げキットを使って洗浄するよりも、より手軽に確実に洗浄することができます。

Form Washの特長

Form Washの最大の機能が全て自動で洗浄を行ってくれる点です。例えば、通常の仕上げキットでは、造形後にビルド・プラットフォームから取り外して洗浄を行いますが、Form Washでは、取りはずしたビルド・プラットフォームをそのまま取り付けるだけで洗浄することができます。

また、Form Washを使えば、時間を気にする必要がありません。通常の仕上げキットでは10分間の洗浄時間を自分で計測して守らなければなりませんでしたが、Form Washを使用すれば、洗浄時間を自由に設定しタイマーをセットすることが可能で、終了すると自動でイソプロピル・アルコール(IPA)から取り出してくれます。

もはや時間を気にすることなく、他の作業を行うことができるのです。またForm Washは洗浄機能も手動よりもはるかに優れています。Form Washの底に取り付けられた回転式のインペラ―によって容器内のイソプロピル・アルコール(IPA)が循環し、より正確にスピーディに余分な樹脂を除去してくれます。

FormWash

Form Washの8大機能

Form Washには、洗浄をより効率的に手軽にしてくれる8つの機能が備わっています。下記がその機能です。この8つの機能によって、付属の仕上げキットよりも正確に、手軽に、汚れが無く、尚且つ確実に洗浄を行ってくれます。

① 洗浄力UP:インペラ―の回転

Form Washの本体は、ボックス状をしています。基本的には仕上げ用キットと同様、イソプロピル・アルコール(IPA)を入れる容器で構成されています。ただし、単なる容器ではなく、本体の底部に取り付けられたインペラ―が回転することで、容器内のイソプロピル・アルコール(IPA)を循環させ、スピーディに余分な樹脂を除去してくれます。

② 自動洗浄で手離れが言い

通常の仕上げキットですと、片方の容器に10分、もう片方の容器に10分と、自分で時間を計測し、終了後、モデルを取り外さなければなりませんが、FormWashをつかえば時間を気にする必要がありません。設定時間が終われば、自動で容器から取り出してくれて、洗浄のし過ぎによるモデルの消耗を防ぐことができます。

③ 汚れ防止機能:最大8.6リットルの容器。内蓋で汚れ防止

このイソプロピル・アルコール(IPA)が入っている容器は、洗浄用バケットといわれ、8.6リットルまで入れることが出来ます。容器には、入れる量までラインが付けられています。取り外し可能で、イソプロピル・アルコール(IPA)が汚れて洗浄力が落ちたら液体を交換します。

また、取りはずす際に、イソプロピル・アルコール(IPA)がこぼれないように内蓋が設けられています。

④プリントからそのまま移行:ビルド・プラットフォームごと取り付けるだけ

また、Form Washが優れている点は、造形後の取り外しも自動化している点です。従来の仕上げ用キットでは、ビルド・プラットフォームを取り外した後は、治具に取り付けて、スクレイパーなどで造形モデルを取り外した後、洗浄を行いますが、Form Washでは、プラットフォームマウントにビルド・プラットフォームごと取り付けることが可能で、手動で造形モデルを取り外す必要はありません。

⑤ 取り外しも容易:バスケットで洗浄後の取り出しも容易

Form Washは、ビルド・プラットフォームごと取り付けて洗浄用バケットに浸けますが、洗浄中にモデルがビルド・プラットフォームからとれる可能性があります。その際、とれた造形モデルが容器の底に落ちないようにバスケットが備え付けられています。このバスケットは洗浄後の取り出しにも最適です。

⑥ わかりやすい表示:ディスプレイと回転ノブ

Form Washの自動洗浄の時間設定と進行状況などの確認をする部分がディスプレイと回転ノブです。回転ノブは、洗浄時間の選択を行います。ディスプレイでは選択時間と洗浄の残り時間が表示されます。

⑦ 収納機能で綺麗に:ツール保管場所

Form Washの本体にはスクレイパーや比重計など工具やツール類を保管する場所が設けられています。作業後はこの保管場所に収納しましょう。

⑧ 比重計でイソプロピルアルコールの交換時期もわかる

Form Washの構成要素で特長的なのが比重計です。イソプロピル・アルコール(IPA)で洗浄を行っていると、溶けだした樹脂が混ざり合い、濁ってきます。この比重計は、溶けだした樹脂の量が増えたことを確認するためのもので、交換の目安ともなるツールです。

FormWashも仕上げ用キットと同様、洗浄を行うForm Wash本体と、ビルド・プラットフォームから造形モデルを取り出す治工具から成り立っています。下記がその正式名称と用途です。

FormWashの構成

FormWashは以下のような構成になっています。

FormWash

  1. プラットフォームマウント:Form2のビルドプラット・フォームをそのまま取り付けることができます。
  2. バスケット:ビルド・プラットフォームから取り外した造形モデルを洗浄する時に置くカゴです。造形モデルが落ちるのを防いでくれます。
  3. バスケットマウント:バスケットの上げ下げを容易に行えるようにするフックです。
  4. 外蓋: イソプロピルアルコール(IPA)が蒸発するのを防いでくれます。この外蓋は、Form Washを使用してしない時は、常に閉じた状態にしておいてください。
  5. 内蓋 :洗浄バケットからパーツを上げ下げする時にイソプロピルアルコール(IPA)がこぼれるのを防いでくれる二番目の蓋です。開閉する丁番が付いています。
  6. 洗浄バケット: イソプロピルアルコール(IPA)を8.6 リットルまで入れることができます。こちらの容器は取り外しが可能なため、IPAの交換時などには取り外して交換します。また、底に付いている回転式のインペラーによってバケット内のIPAが循環し、洗浄効率を高めます。
  7. ディスプレイ:ディスプレイでは、洗浄時間やその他の設定オプションが表示などFormWashの状態が表示されます。
  8. ノブ:ノブを回すことで、洗浄時間の調整、洗浄サイクルの状態(開始、休止、終了)を操作することができます。回転して選択し、押して決定します。
  9. ツール保管場所:仕上げキットにも付属している各ツール・工具類を保管する場所です。
  10. 電源:Form Washの電源です。仕様:24 V, 2 A
  11. イソプロピルアルコール

付属のツール・工具類

Form Washには、仕上げ用キットと同じ工具類が付属しています。基本的には造形モデルを取り外すための工具類です。造形モデルとビルド・プラットフォームの隙間に入れてこそぎ取るヘラの役割をするスクレイパーや、取り外し用ツール、サポート材を除去するために使用するフラッシュカッター、更に細かい部分を取り除くピンセットなどが付属しています。

また、液体樹脂のべたつきや、イソプロピル・アルコール(IPA)が直接触れるのを防ぐため、使い捨て用のニトリル手袋が付属しています。

FormWash

  • A. フラッシュカッター:サポート材の除去に使用するカッターです。
  • B. 取りはずしツール:造形モデルをビルド・プラットフォームから取り除く際に使用するツールです。造形モデルとビルド・プラットフォームの間に差し込み、てこの原理で引きはがすと簡単にモデルが剥がれます。
  • C. 比重計:イソプロピルアルコール(IPA)に浮かせることで、洗浄によって溶けだした樹脂の濃度がわかります。この比重計はイソプロピルアルコールの交換の目安に使用します。
  • D. スクレーパー:スクレイパーも、ビルド・プラットフォームから造形モデルを取り外したり、樹脂タンク内から硬化した樹脂の残留物を取り除くのに使用します。
  • E. ピンセット:微小なパーツを摘まんだり、プリント後のサポートを調整したりする時に使用します。
  • F. サイフォン式ポンプ:イソプロピルアルコール(IPA)を保管容器から洗浄バケットに移したり戻したりする時に使用します。

必要な備品 ※付属品ではありません

FormWashや仕上げキットの洗浄には、追加で以下の備品が必要になります。

イソプロピル・アルコール(IPA)※付属品ではありません

イソプロピル・アルコール(IPA)は、仕上げキットの二つの容器や、ボトルに入れるために使用する洗浄剤です。イソプロピル・アルコール(IPA)は樹脂を溶かし、除去するための溶剤で、自前で用意する必要があります。イソプロピル・アルコール(IPA)は地元の薬局やオンラインストアなどで購入することができます。こちらは濃度90%以上のものを使用します。

IPA イソプロピルアルコール

イソプロピルアルコール(IPA)は樹脂のクリーンに必須です。

※イソプロピル・アルコール(IPA)は可燃性が高く取り扱いには注意が必要です。また廃棄する際には産業廃棄物扱いになるため、専門の業者などをお住まいの自治体にお問い合わせください。

その他の備品 ※付属品ではありません

そのほか、ペーパータオルや、アクリルクリーナー、新しい厚手のクリーニングシート(PEC PAD)などがあると便利です。

novus アクリルクリーナー

Formlabs推奨のアクリルクリーナーです。

pecpad クリーニングシート

PECPAD。厚手のクリーニングシート

FormWashのセットアップ

FormWashのセットアップはとても簡単です。たった3ステップで完了します。第一にイソプロピルアルコール(IPA)を入れ、第二に電源をつなぎ、第三に濃度計で濃度を測ったら完了です。

FormWashの開梱と設置

FormWashは、本体の重さが6.7kg、寸法は 26.2 cm x 29.3 cm x 34.0 cmとコンパクトな大きさで、二次硬化専用のFormCureと同じぐらいの大きさです。FormWashの設置条件としては、洗浄が完了すると蓋が開いて、ビルド・プラットフォームとバスケットが30センチほど上がるため、FormWashの上は30センチほどの高さが必要です。

FormWash

FormWashのセッティング

FormWashを段ボール箱から取り出し、緩衝材を取り外します。梱包材や緩衝材は、FormWashの保証サービスを受ける時に必要になるので、処分せずに保管しておいてください。FormWashサイドの洗浄バケットからサイフォン式ポンプを取り出し、組立指示書に従って、組み立ててください。 サイフォン式ポンプは、洗浄バケットにIPAを足したりする際に使用します。

FormWash

イソプロピルアルコール(IPA)の挿入

FormWashを指定の場所に設置した後は、洗浄バケットにイソプロピル・アルコール(IPA)を注いでください。イソプロピル・アルコール(IPA)は、Form2の洗浄には必須の溶剤です。外蓋を開き、最小(7.8L)から最大(8.6L)の充填ラインまでイソプロピル・アルコール(IPA)を注いでください。

FormWash

電源接続

電源ケーブルをForm Washに装着し電源に接続します。USB挿入口がありますが、通常は使用しません。こちらは将来、FormWashのファームウェアを更新する場合に使用します。

FormWash

濃度計でIPA濃度をキャリブレーション

FormWashのセッティングは最後に付属の濃度計でIPAの濃度を計測して終了です。イソプロピル・アルコール(IPA)は、洗浄をくりかえしていると、溶けだした樹脂によってアルコールの濃度が低下します。アルコールの濃度が低下すると洗浄効果が落ち、造形モデルが綺麗に仕上がりません。そのため、未使用のイソプロピル・アルコール(IPA)を注いだら必ず濃度計で初期設定を行いましょう。

FormWash

濃度計の名称

A:Oリング
B:フロート
C:ハンドル
D:トールウィング
E:ショートウィング
F:重量

濃度計のキャリブレーション

イソプロピル・アルコール(IPA)に濃度計を入れます。入れると浮輪であるフロートが浮きます。浮いた浮輪の部分まで、リングをフロートの羽の付け根の位置まで下ろし設定します。このリングの位置が90%の濃度の位置であり、溶けた樹脂によって濃度が薄まると浮輪の位置が変わります。

濃度計は90%以上のIPAで動作するように設計されています。そのため、90%未満のIPAや代替溶剤では動作しません。必ず構成には濃度90%以上のイソプロピル・アルコールを使用しましょう。

FormWash

濃度系の計測とイソプロピル・アルコール(IPA)交換の目安

FormWashで長期間洗浄を行っていると、イソプロピル・アルコール(IPA)が濁ってきて洗浄力が低下します。その際、校正した濃度計を入れると、フロートよりも上にリングがきます。

交換の目安はリングの位置がフロートの羽の上まで来たら交換のタイミングです。詳しくは、下記のイソプロピル・アルコールの交換の項をご参照ください。

Form Washの使い方

Form Washを使った洗浄の仕方をご紹介します。手順は仕上げ用キットよりも更に簡単です。造形が終了後、ビルド・プラットフォームをForm2から取り外し、ビルド・プラットフォームごとForm Washのプラットフォームマウントに取り付けてスイッチを押すだけです。また、洗浄が終了すると自動でイソプロピル・アルコール(IPA)からあげてくれます。

1.回転ノブで設定

まずはじめに、ディスプレイの隣についている回転ノブを回し操作します。回転ノブは時計回り、反時計回りどちらも回転させることができ、回しながらメニューを選択します。選択した項目を行いたい場合に回転ノブを押します。

FormWash

ディスプレイのメニューは以下の通りです。

  • Open:オープンボタンを押すとマウントとバスケットが上がります。
  • Start:スタートボタンを押すとマウントとバスケットが下がり、洗浄が自動で開始します。
  • 時間:こちらは洗浄する時間を選択します。洗浄時間は分単位で決めることができます。
    樹脂ごとによって洗浄時間は異なります。
  • Sleep:スリープモードのボタンです。このボタンを押すと、マウントとバスケットが下がり、スリープします。洗浄を開始する場合にはStart(スタートボタン)を押してください。

2. Openオープンボタンを押す

まずOpen(オープン)ボタンを押します。Openボタンを押すとマウントとバスケットが上がってきます。

FormWash

3.ビルド・プラットフォームをFormWashに取り付ける

Form2から取り外したビルド・プラットフォームをForm Washのマウント部分に取り付けます。ビルド・プラットフォームの上蓋の位置をマウント部分に合わせて、奥に接触するまでしっかりと押し込みます。

FormWash

3-2. バスケット部で洗浄も可能

ビルド・プラットフォームから先にモデルを剥がして、バスケットの中にモデルを入れて洗浄する方法もありますが、樹脂などを交換する際にはイソプロピル・アルコール(IPA)でビルド・プラットフォームを洗浄しなければならない点や、ビルド・プラットフォームごと洗浄した方が、造形モデルを取り外しやすくなり、スクレイパーなどでキズが付くことを防ぐこともできます。

※FormWashで洗浄できる最大サイズは、14.5cm × 14.5cm × 17.5cm

4. 洗浄時間の設定

次に回転ノブを回して時間の項目に合わせます。回転ノブを押すと、時間の設定を変更することができます。時間は、分単位で設定ができるため、洗浄したい樹脂の種類に合わせて洗浄時間を設定しましょう。また、この設定時間は造形モデルの形状や大きさ、更にはイソプロピル・アルコール(IPA)の汚れ具合などによってことなります。

FormWash

イソプロピル・アルコール(IPA)が綺麗な状態で10分が基本となっています。またタフレジン以外の樹脂は基本10分となっています。タフレジンは20分です。

5. スタート

洗浄時間の設定後、Start(スタート)ボタンを押すと洗浄が開始します。

FormWash

6. 洗浄終了とオープン

洗浄時間が終了すると、自動でマウントとバスケットが上がってきます。

7. 乾燥

マウント部分からビルド・プラットフォームを取り出し、作業用キットのトレイの上でモデルに付着したイソプロピル・アルコール(IPA)が気化するまで十分乾燥させます。Form Washに取り付けたまま乾燥させる方法もありますが、イソプロピル・アルコール(IPA)は揮発しやすい液体なため、取り外した方がいいでしょう。パーツが完全に乾くまでには、少なくとも30分掛かります。

Form2 仕上げ

8. サポート除去

十分乾燥した後はサポート材を取り外し完成。必要に応じて研磨や塗装などの後加工を行います。

Form2 仕上げキット 

※注意点
イソプロピル・アルコール(IPA)は樹脂を溶かす効果があります。そのため、10分間以上浸けるとイソプロピル・アルコール(IPA)がモデルに染み込みすぎてしまい、劣化したり、変形したり、割れてしまう可能性があります。

特に薄い造形モデルだと10分間で柔らかくなったり溶けたりします。モデルの形状やサイズによってイソプロピル・アルコール(IPA)に浸ける時間は短くするなど調整してください。

FormWashの最適な洗浄時間

FormWashの洗浄時間は基本は10分と決まっていますが、レジンの種類によって異なります。

樹脂 洗浄時間 注意
タフ 20分 樹脂濃度が5%以上の場合、洗浄後に部品表面に粘着性が確認された。
リジッド 15分 リジッドレジンでプリントしたパーツは、他の材料とは別のバケツで洗浄する必要あり。
グレープロ 15分
キャスタブル 10分 洗浄後は、すべてのIPAが蒸発してから二次硬化、鋳造を行ってください。
キャスタブルワックス 10分 洗浄後は、全てのIPAが蒸発してから二次硬化、鋳造を行ってください。空洞などが有る場合には、ポンプなどをつかい完全にIPAを除去してください。
ハイテンプ 6分 時間厳守。10分以上洗浄するとIPAを吸収する可能性があります。
歯科用SG樹脂 5分 96%以上のIPAで洗浄してください。洗浄後は完全に乾燥しているか検査し、必要に応じて清潔なIPAで再洗浄します。
歯科用LTクリア樹脂 5分 96%以上のIPAで洗浄してください。最適な機械的特性を得るためには、IPAで10分間以上洗濯しないでください。
セラミック樹脂 5分 別の洗浄バケツを使用してください。セラミック粒子が他の部品に付着する可能性があります。
他のすべての樹脂 10分 樹脂濃度が10%を超えるアルコールで洗浄したときに、部品表面に粘着性が確認された。

洗浄時間を変える場合

洗浄をくりかえしていると、樹脂が溶け出しIPAの濃度が低下します。その場合は、レジンの種類に応じて洗浄時間に5分追加します。Formlabsが行った試験では、溶けだした樹脂の濃度が5〜10%に及ぶと、洗浄後でも十分に樹脂が落ちず部品に粘着性が出始めます。

IPAに含まれる樹脂濃度が約10〜12%になったら交換の目安です。1回のIPAで洗浄できる個数は、部品サイズなどによってことなりますが、約200個まで洗浄することができます。

イソプロピル・アルコール(IPA)の交換方法と目安

洗浄のために用いるイソプロピル・アルコール(IPA)は消耗品です。Form Washでも仕上げ用キットでも、長期間イソプロピル・アルコール(IPA)で洗浄を行っていると、樹脂が溶け出し段々と濁ってきます。この樹脂が混ざり濁ったイソプロピル・アルコール(IPA)で洗浄を行っていると、液体樹脂のべたべたが取れず、洗浄効果が落ちます。

そのため定期的にイソプロピル・アルコール(IPA)の状況を確認し、適切なタイミングで新しいイソプロピル・アルコール(IPA)に変えるか、継ぎ足して濃度を高める必要があります。また、イソプロピル・アルコール(IPA)は気化しやすい物質なため、自然と気化して蒸発すると分量が減少し、更にイソプロピル・アルコール(IPA)の濃度が低下します。

イソプロピル・アルコール(IPA)の濃度チェック

イソプロピル・アルコール(IPA)の交換のタイミングは定期的に濃度をチェックすることで知ることができます。濃度をチェックするためには付属の比重計を使います。

Formlabsが推奨しているイソプロピル・アルコール(IPA)の純度は90%ですが、洗浄や気化によってこの純度がどんどん薄まっていきます。比重計は、この純度がどの程度低下しているのかを調べるためのものです。濃度のチェックはこの比重計をForm Washの洗浄用バケットに入れるだけで簡単に調べることができます。

FormWash

  1. 1. まずは比重計の校正を行います。校正は必ず新しいイソプロピル・アルコール(IPA)で行ってください。Form Washを初めて使用する際か、イソプロピル・アルコール(IPA)を交換するタイミングで行います。
  2.  新しいイソプロピル・アルコール(IPA)が注がれた洗浄用バケットに比重計を入れます。
  3. リングを浮輪が浮いている部分までスライドさせて下げます。これで、90%以上の純度を保っている時の浮輪の位置が固定されました。もし、イソプロピル・アルコール(IPA)の純度が低下した場合、比重が下がりリングの位置が上がることがわかります。
  4. 濃度をチェックする場合には、使用中のイソプロピル・アルコール(IPA)が入った洗浄用バケットに、校正済みの比重計を入れます。
  5. 使用してイソプロピル・アルコール(IPA)の濃度が低下すると、リングがついた位置が上に上がります。この上がったリングの位置が、浮輪についている羽よりも高くなったら交換の時期です。

FormWash

※浮輪の羽の位置

交換の基準となっている浮輪の羽の位置は、イソプロピル・アルコール(IPA)内の液体樹脂の濃度が10%から12%になった場合に設定されています。Formlabsの試験によると、磯プロ内の液体樹脂の濃度が5-10%になると、造形モデルがべたつき、洗浄能力が低下し始めていることがわかりました。校正した比重計のリングの位置が浮輪の羽を超えたら洗浄能力が低下しており交換の適切なタイミングです。

イソプロピル・アルコール(IPA)の廃棄

洗浄能力が低下し、交換したイソプロピル・アルコール(IPA)を廃棄する際には、注意が必要です。イソプロピル・アルコール(IPA)は粘性が低くて難分解性である性質をもち、土壌汚染や地下水汚染を起こすため、産業廃棄物扱いになっており、廃棄は専門業者に依頼しなければなりません。廃棄する際には、お近くの地方自治体などに問合せください。

まとめ

FormWashは、光造形法の課題でもある後処理を飛躍的に効率化してくれる製品です。樹脂の種類ごとに洗浄時間の設定が可能で、終了すると自動でオープンしてくれるため、イソプロピル・アルコール(IPA)へのつけすぎを防いでくれます。

Form2は高精彩、精密な仕上がりが特長ですが、より高品質な造形を実現するためには、正しい洗浄が欠かすことが出来ません。FormWashはそんな洗浄をより正確に、簡単にしてくれる便利ツールです。

レジンタンクが精度を決める、高品質を保つ方法

ミスプリント・造形精度の低下の原因とは?

Form2では、ミスプリントや、造形精度の低下が起きた場合の原因のひとつとして、レジンタンクの状態の悪化があげられます。

レジンタンクが汚れていたり、長期間の使用によって消耗していると、レーザービームが正確に照射されず、ミスプリントや、造形精度が低下します。

つねに高品質で安定した造形を実現するためには、レジンタンクの定期的なチェックが必要です。

まずはレジンタンクの状態を知る

ミスプリントや造形精度の低下が見られたらまずは、レジンタンクの状態をチェックしましょう。

レジンタンクの状態をチェックするには、仕上げキットに含まれているスクレイパーを使用してレジンタンク内の樹脂をこすり状態を確認します。

更に、正確に状態を確認するためには、レジンタンクを取り外して透明アクリル窓に指紋、埃、汚れ、傷、曇りなどがないかチェックします。

クリーニングか交換か

レジンタンクの状態によって、クリーニングか交換か対応を決めます。

汚れている場合は、アクリルクリーナーで透明アクリル窓を綺麗にクリーニングします。

一方、摩耗や傷がついている場合は、その消耗状態を確認し、交換が必要かの判断をします。

レジンタンクの取り外し・交換方法

レジンタンクを確認したい場合や、新しいレジンタンクへ交換を行う場合の取り外し方法についてご紹介します。

※レジンタンクの取り外し、交換を行う前に、必ず綺麗な手袋を装着してから作業してください。レジンタンクに指紋が付着するのを防ぎます。

1.ビルド・プラットフォームを取り外す

まず初めに、ビルド・プラットフォームを取り外します。レジンタンクを先に取りはずしてしまうと、レーザービームが照射される光学窓がむき出しの状態になります。

その状態でビルド・プラットフォームがついていると、ビルド・プラットフォームに付着した余分な樹脂が落ちる可能性があります。

光学窓に余分な樹脂が付着すると、レーザービームが正しく照射されず、正確なプリントが出来なくなります。必ず、ビルド・プラットフォームを取り外してからレジンタンクの交換を行いましょう。

Form2 ビルドプラットフォーム

2. ワイパー(リコーター)を取り外す

まず初めにワイパー(リコーター)を取り外します。ワイパー(リコーター)は正面に向かって引き出し、ワイパーマウントから取り外します。そのままレジンタンクの上においてください。

Form2 ワイパー

3.レジンタンクをとりはずす

次に、レジンタンクに専用のプラスチック製の蓋をかぶせ、レジンタンクを多います。そしてレジンタンクの前面タブを持ち、静かに引っ張ってForm2のタンクキャリアから取り外します。

Form2 レジンタンク

4.残った樹脂を移してろ過する

レジンタンク内に余った余分な樹脂を、別の容器に移します。余った樹脂を再度使用する場合にはろ過して余分なゴミを取り除いたのちに新しいレジンタンクに入れて使用します。

Form2 レジンタンク クリーン

5.古いレジンタンクを捨てる方法

レジンタンクに余った樹脂はペーパータオルを使用して、ふき取ります。更にレジンタンクを交換する場合には、日光やUV光などがあたる場所に置き、硬化させて乾燥しレジンタンクを処分します。

※液体樹脂の状態で排水管に流さないでください。

レジンタンクをクリーニングする

汚れをクリーニングする部分はレジンタンクの裏側のアクリルタンク窓の部分です。

レジンタンクの下(つまり裏側)からレーザービームがあたるため、この部分が埃や指紋などで汚れていると正確な造形が出来ません。

清掃するには別売りのアクリルクリーナーNOVUS No.1 Plastic Clean and Shineやマイクロファイバー布などで綺麗に汚れをぬぐいます。

Form2 クリーン

1.レジンタンクを置く

まずは樹脂などを取り除いたら、レジンタンクを反対にしておきます。その際、下に汚れてもいいようにペーパータオルなどを敷きましょう。

Form2 レジンタンク

2.アクリルタンク窓を清掃する

つぎに、アクリルクリーナーを2~3回吹き付け、マイクロファイバーの布で綺麗に汚れをふき取ります。

レジンタンク クリーン

Form2 レジンタンク クリーン

※注意点

造形モデルを洗浄するIPA(イソプロピルアルコール)を使用しないでください。IPAはアクリルタンクの窓に亀裂を発生させ、樹脂がこぼれたり、タンクやプリンタに損傷を与える可能性があります。

汚れが十分に除去できるまで丁寧にクリーニングします。

レジンタンクが消耗していた場合

まず初めに、Form2のレジンタンクは消耗品です。レジンタンクの下部からレーザービームが照射され紫外線硬化性樹脂が固まります。

そのため、長期間使用することでレーザービームが何度もタンクの底にあたり、摩耗し消耗します。

ここでは、レジンタンクの消耗するパターンをご紹介するとともに、交換の目安や手入れの方法をご紹介します。

レジンタンクの消耗とは

Form2の造形を高品質に保つ方法の一つが、レジンタンクの交換です。

Form2では、レジンタンクの下にある基幹部分から、紫外線レーザービームがガルバノミラーで反射されレジンタンクの液体樹脂に照射され、硬化していきます。

そのため、繰り返し紫外線レーザービームがあたることでレジンタンクの内面を覆っているシリコンコーティングが溶けて白濁してきます。

この白濁は汚れと同じで、その部分だけレーザービームがしっかりと当たらず、ミスプリントが起きる可能性があります。

このレジンタンクの消耗は白濁なためわかりにくく、透明なスタンダードのクリアレジンでは見つけやすいですが、色付きの樹脂ではわかりにくく定期的にチェックしましょう。

レジンタンクの消耗によって、ビルド・プラットフォームへのくっつきが悪くなったり、ミスプリントが起きる場合には、レジンタンクを交換することで、Form2本来の高品質を保つことができます。

2種類のレジンタンク。消耗レベルが異なる

Formlabsでは、Form2専用に2種類のレジンタンクがあります。通常のレジンタンクと、耐久性が強化されたレジンタンクLT(別売り)です。それぞれに応じて、消耗のパターンなどが異なります。

レジンタンク(通常版)

通常のレジンタンクは、紫外線レーザービームが照射される部分はアクリル製と弾性層の二重の層で構成されています。

また、周りの部分は琥珀色のポリカーボネート製です。

通常のレジンタンクは約1000~3000層のレーザービームがあたると摩耗し、交換が必要になります。

※GrayPro、Rigidレジンとは互換性がありません。

Form2 レジンタンク

レジンタンクLT(強化版)

一方レジンタンクLTは、通常のレジンタンクとは違い、レーザービームが照射されるアクリル製の窓に加え、フィルムコーティングされた弾性層で構成されています。

このフィルムコーティングによって、通常のレジンタンクよりも耐久性、耐薬品性が強化10倍近く長持ちします。約10000~30000層分のレーザービームがあたると摩耗し、交換が必要になります。

※この層の数は積層ピッチの数などによっても異なります。

このタンクは大量生産環境での印刷用に設計されており、一部のFormlabs樹脂ではタンク寿命が長くなります。

樹脂タンクLTは、以下の材料と互換性があります:

必須: Grey Pro、Rigid
互換性:スタンダードレジン、歯科用樹脂、タフレジン、デュラブルレジン、フレキシブルレジン、ハイテンプレジン、キャスタブルレジン

Form2 レジンタンクLT

レジンタンクの消耗パターン

レジンタンクの消耗パターンは通常のレジンタンク、強化されたレジンタンクLTでそれぞれ異なります。ここでは交換の目安となる消耗具合についてご紹介します。

レジンタンク(通常版)の消耗パターン

レジンタンク(通常版)の消耗パターンは、使用頻度に応じて見え方が異なります。ここでは代表的な摩耗パターンをご紹介します。

消耗無しの状態

消耗が無い状態では、キズや曇り、穴、くぼみなどはなく、透明で綺麗な状態です。まれに微細なキズなどがあることがあります。

Form2 レジンタンク 曇り

曇り

Form2のレジンタンクは長期間使用していると、紫外線レーザービームによってシリコンコーティングが剥げて、白濁して曇ります。この曇りはレベルに応じて、3段階に分けられます。

① 低レベルの曇り

低レベルの曇りは、弾性層に若干の半透明の曇りです。この低レベルの曇りは、肉眼で見極めるのは難しいです。

また、低レベルの曇りでは積層ピッチの大きいプリントにはあまり影響しませんが、より細かい積層ピッチでのプリントには精度とプリント品質に影響を与えます。

Form2 レジンタンク 曇り

② 中レベルの曇り

中レベルの曇りは、肉眼で容易に確認することが可能です。このレベルで曇りが出現した場合には、プリント精度に影響するためレジンタンクの交換が必要です。

もしくは、摩耗していないエリアでプリントする必要があります。

Form2 レジンタンク 曇り

③ 高レベルの曇り

高レベルの曇りも、容易に肉眼で見ることができます。このレベルの曇りは、プリント精度を著しく低下させ、ミスプリントを引き起こす可能性があります。

この場合は、レジンタンクを交換するか、摩耗していないエリアでプリントする必要があります。

消耗の原因:レーザービームの照射によるシリコンコーティングの剥げ

Form2 レジンタンク 曇り

キズ、凹凸、穴、切れ目

レジンタンクに傷がついたり、くぼみや穴などの凹凸、キズなどがある場合にはレジンタンクの交換が必要です。

紫外線レーザービームが適切に照射されず、弾性層部分に照射されて更に摩耗を早めます。

またビルド・プラットフォームに当たらずに樹脂を硬化させるため、白いカスが樹脂の中にできる可能性があります。

これによりミスプリントや樹脂の劣化、レジンタンクの更なる落下を早める為、レジンタンクの交換が必要です。

消耗の原因:こすり落とすなど弾性層に過度の力が加わる。ミスプリントによる造形モデルの落下

レジンタンクLTの消耗パターン

レジンタンクLTの消耗パターンは、通常のレジンタンクよりも強化されているため、コーティングの消耗による曇りは現れません。

消耗無しの状態

消耗が無い状態では、キズや曇り、穴、くぼみなどはなく、透明で綺麗な状態です。まれに微細なキズなどがあることがあります。

Form2 レジンタンク 曇り

凹凸・穴・くぼみ

レジンタンクLTに傷がついたり、くぼみや穴などの凹凸、キズなどがある場合にはレジンタンクLTの交換が必要です。

紫外線レーザービームが適切に照射されず、弾性層部分に照射されて更に摩耗を早めます。またビルド・プラットフォームに当たらずに樹脂を硬化させるため、白いカスが樹脂の中にできる可能性があります。

これによりミスプリントや樹脂の劣化、レジンタンクLTの更なる落下を早める為、レジンタンクLTの交換が必要です。

消耗の原因:こすり落とすなど弾性層に過度の力が加わる。ミスプリントによる造形モデルの落下

Form2 レジンタンクLT くぼみ

Form2 レジンタンクLT くぼみ

Form2 レジンタンクLT の凹凸

キズ

レジンタンクLTに傷がついた場合には、キズの程度に応じて交換を決めます。わずかなキズであれば、プリント品質や精度に影響を与えないため問題ありません。

しかし、大きな傷などの場合にはレジンタンクを交換する必要があります。

Form2 レジンタンクLT キズ

レジンタンクを長く使用するには

このレジンタンクの摩耗はレーザービームが繰り返しあたることで起きる消耗で、レーザーがあたる回数によって消耗レベルは異なります。

また積層ピッチによってもレーザーを照射する回数が変わるため、レジンタンクの消耗具合が変わります。

例えば、0.1mmの積層ピッチから0.05mmの積層ピッチに変更した場合、レーザーがあたる回数は単純計算で倍になるため、レジンタンクの消耗も早まります。

更に、Fom2は、樹脂の種類によってもレーザーの照射の仕方を変えるため、樹脂の種類によってはレジンタンクの消耗が早まります。このレジンタンクの消耗は作るモデルの形状によっても消耗具合も異なります。

レジンタンクをなるべく長期間使用するためには、プリントする位置をこまめに変更するという方法もあります。

プリントする場所をビルド・プラットフォームの真ん中や左端、右端など、プリントの効率性とレジンタンクの消耗具合を見ながら、バランスよく使用することをおススメします。

まとめ

Form2本体の中において、レジンタンクは直接レーザービームが照射され、樹脂を最適な状態に保ってくれる核ともなる部分です。

そのためこのレジンタンクをいかに最適な状態に保つかによって、造形精度や安定性は大きく異なってきます。

そして定期的にレジンタンクの状態をチェックし、よりクリーンな状態にすることで安定して長く高品質な造形を保つことができます。

ちょっとでも精度がおかしいと感じた場合や、ミスプリントが起きた場合などは、レジンタンクの状態を確認してみましょう。

高品質デスクトップ UP 300 3Dプリンターレビュー

進化するデスクトップタイプのFDM 3Dプリンター

3Dプリンターの進化は日進月歩で行われている。2009年に特許が失効して以来、数多くのデスクトップタイプが登場するFDM® 3Dプリンター。

FDM(熱溶解積層法)はストラタシスが開発した造形技術で、金型で使用される熱可塑性樹脂を使って形にできる3Dプリント技術だ。これまであまた多くのデスクトップタイプが登場してきたが、基本的にはオリジナルであるストラタシスの性能を超えることはできなかった。

熱可塑性樹脂は熱の温度によって柔らかくなったり、硬くなったりする素材だが、その形状変化をコントロールすることは難しく、ノズル詰まりや、“反り”などの不具合を引き起こすケースが多い。

こうしたことから安価なデスクトップ3Dプリンターはその信頼性を失いつつあったが、特許切れからもうすぐ10年を迎えようとするなか、徐々に進化しつつある。

今回ご紹介するTiertime UP300は、デスクトップでありながらプロシューマ―用の性能を備えた新たな新型だ。

UP300 3Dプリンター

高品質デスクトップUP シリーズ

UP300は、これまでUp Box+や、Up mini2などのすぐれたデスクトップ3Dプリンターを提供してきたTiretime社が新たにリリースした新型だ。因みに弊社で販売しているAFINIA H800+AFINIA H400+は、Tiretime社のOEM版でカラーリングが異なるだけである。

UPシリーズは、低価格なデスクトップタイプ3Dプリンターとして、唯一といっても過言ではないほど、造形が綺麗なのが特長である。

通常安価なデスクトップのFDM 3Dプリンターは、対応している材料も1種類(PLA フィラメントがほとんど)で、造形のクオリティも積層跡が残り綺麗ではない。しかし、UPシリーズは、こうした低価格デスクトップの常識を打ち破る性能を誇ってきた。そしてその最新版ともいえる存在がUP 300なのだ。

UP300 3Dプリンター

タッチパネルも搭載

UP 300の特長

それではUP300の特長についてご紹介しよう。プリンターのサイズや造形サイズは、前回のUP BOX+と同じだ。造形サイズは205×255×225mmのプリントボリュームをほこり、UP BOX+同様、かなり大きな造形物をつくることが出来る。しかし、今回は従来のUP BOX+とは一味違う改良点が施されている。

交換可能な3種のプリントヘッド ポリウレタンまで対応

その最大の特長が交換可能な3種類のプリントヘッドだ。従来のUP BOX+は1種類であったが、UP300では、フィラメントの種類に応じて3種類に分けられている。第一がPLAフィラメントのプリントヘッドで、第二がABS専用のプリントヘッドだ。そして第三がTPU、熱可塑性ポリウレタン専用のプリントヘッドである。

これまでの安価なデスクトップタイプのFDM(熱溶解積層法)3Dプリンターの弱点は、ノズルの温度やうごきを細かくコントロールできない点にあった。PLAフィラメントとABSフィラメントではノズルに求められる温度やプリントスピードなどが細かく異なる。

UP300 3Dプリンター ノズル

従来のUP Box+でも温度設定は可能であったが、専用のプリントヘッドを使用することで、ノズル詰まりを防止し、その材料ごとに最適な造形が可能となる。

TPU(熱可塑性ポリウレタン)

TPU(熱可塑性ポリウレタン)の造形が安定して行える

特に、TPU(熱可塑性ポリウレタン)の場合は、素材そのものが柔らかいことから、柔軟性を保った形で、一定の形状を作り上げることは困難であったが、専用プリントヘッドの登場によって、より正確にプリントが可能となった。

また、3種類のプリントヘッドには、フィラメントがノズルに正しく供給されるのを助け、過度に加熱されるのを防ぎ、ノズル詰まりを防止する防止用PTFEチューブの搭載や、空気の流れをコントロールし、モデルを冷却し造形精度を高めるファンダクトスイッチ(PLA用は無し)を搭載し更なる高品質で安定性がある造形を実現している。

0.05mmからの高解像度と高品質にする仕組み

UP300は、従来のUP BOX+から高解像なプリントが可能であったが、今回は、0.05mmから0.4mmまで、なんと8種類の積層ピッチからプリントレベルを選択することが可能。更に造形を安定させるプレート温度は100℃まで対応しており、しっかりと積層間を密着させ美しい仕上がりを実現することが出来る。

また材料の種類ごとに応じて細かくソフトウェアを設定可能で、それに対応してノズルもハードが自動で最適化してくれる。更に活性炭によるHEPAフィルターを搭載、プリント中の樹脂の気になるにおいを防いでくれる機能を持つ。

活性炭フィルター Up300 3Dプリンター

UP300 3Dプリンタースペック

  • 押出機:シングルタイプ 3種類に対応(PLA,ABS,TPU)
  • ノズル径:0.2mm、0.4mm、0.5mm(TPU)、0.6mm
  • 押出機の最高温度:299℃
  • 押し出し機の最大移動速度:200mm /秒
  • XYZ精度 :7,7,1.5ミクロン
  • 接続性:USBケーブル、Wi-Fi、LAN、USBスティック
  • 表示:4.3 “フルカラーLCDタッチスクリーン
  • ビルドボリューム:205×255×225mm(8インチ×10インチ×8.8インチ)(XYZ)
  • 印刷されるオブジェクトの精度:±0.1mm / 100mm
  • レイヤー解像度:0.05 / 0.1 / 0.15 / 0.2 / 0.25 / 0.3 / 0.35 / 0.4mm
  • ビルドプレートの最高温度:100℃
  • キャリブレーションとレベリング:自動
  • ビルドプレートの表面:パーフ(Perf)ガラスまたはフレックスガラス、加熱
  • 対応フィラメント:ABS、ABS +、PLA、TPUなど
  • フィラメントの直径:1.75mm
  • フィラメントスプールの互換性:500〜1000g
  • ソフトウェア    UPスタジオバージョン2.5以上
  • 対応OS:Windows 7(SP1)以降(32ビットおよび64ビット)、Mac OS 10.10
  • ハードウェア要件:OpenGL 2.0
  • 機械寸法:500x523x460 mm
  • 正味重量:30kg
  • 電源入力:110〜240VAC、50〜60Hz、220W

まとめ

低価格のデスクトップ3Dプリンターは、特許切れによって多くの新機種が登場しているがその多くが不具合が多い。ノズル詰まりや失敗など安定性が悪く、精度もいまいちである。

その最大の原因が、熱可塑性樹脂のコントロールのむずかしさだ。熱可塑性樹脂の物性は極めてデリケートであり、微妙な温度やノズルの動き、湿度などの外的環境によって、造形精度が大きく変わる。

そのような中において、最新型のUP300は、ノズルの付けかえによって樹脂ごとに最適なプリント設定を実現している。デスクトップタイプはこれからさらに進化し続けていくことだろう。