Form 3とForm 3 Lが発表。Formlabsの次世代3Dプリンター

全世界4万台以上。4000万以上のプリント実績を誇るForm 2の次世代機

全世界で4万台以上、プリントされたパーツ数は4000万以上、世界最多の販売数を誇る3Dプリンター、Form 2。Formlabsが2015年にForm 2を発表してからおよそ4年の歳月を経て、新たに次世代機ともいえるForm 3と大型造形が可能なForm 3Lを発表された。

プリント成功率を90%以上を誇り、さまざまな分野で利用されているForm 2だが、新たなテクノロジーによって、更に進化することとなる。

Form 3, 3Dプリンター
4年の歳月をへて登場したForm 2の次世代機 Form 3

Form 3へ進化。高品質を更に高めるLFSテクノロジー

Form 2は、デスクトップで高精細な造形が可能なSLA(光造形法)方式の3Dプリンターとして優れたプリント品質を誇っているが、Form 3では、新たにLFSといわれる手法が採用された。

これはLow Force Stereolithographyの略で、均一な高密度のレーザースポットによって、表面仕上げやディティールが更に向上するという。

さらにレジンタンクも進化し、Form 3とForm 3Lでは、フレキシブルタンクによって、レーザーの剥離力を低減し、プリントの表面品質を改善される。また、サポート構造もより取りはずしやすくなる。

Form 3のプリント可能サイズは、現行モデルのForm 2ほぼと同じ145mm×145mm×185mmだ。

From 3, Formlabs,
Form 2からさまざまな面で進化したForm 3

Form 3の特長

1.完璧なプリントを実現:モジュール式コンポーネントの Light Processing Unit(LPU)が、正確で高密度のレーザーを実現。プリント精度がより正確で再現性のあるものに。

2.サポートが更に除去しやすい:サポートのタッチポイントをより小さくすることで、簡単に除去できて、パーツ表面のなめらかさを保ちます。

3.造形安定性の向上:20 以上のセンサーを搭載し、造形を常時監視。安定したプリントパフォーマンスを維持します。

4.稼働時間が向上:アップグレード可能なモジュール式コンポーネントと失敗しにくい設計により、稼働時間の向上を実現。

5.リモートプリント:オンライン Dashboard を通じてどこからでも 3D プリントが可能。

※Formlabsプレスリリースより

Form 3、Formlabs
外観はForm 2のシルバーからブラックに変更。

Form 3, Formlabs
ビルド・プラットフォームやレジンカートリッジはForm 2と互換性がある。

Form 3, Form 3 L
Form 2の次世代機であるForm 3と大型の造形ができるForm 3 L

Form 3L 5倍の造形サイズで高速プリントを実現

今回同時に発表されたのが、大型の造形が可能なForm 3Lだ。Form 3Lは、Form 3と同じ造形クオリティでありながら、200mm×335mm×300mmの大型造形が可能で、Form 3の5倍の造形サイズを実現している。

更にForm 3のレーザーを2基搭載することによって、高速プリントを可能にする。

プロトタイプ専用ドラフトレジン(Draft Resin)もリリース

Formlabsはプロトタイプ作成に特化したドラフトレジンもリリースしている。このドラフトレジン(Draft Resin)は、300ミクロンの層で積層するように設計されており、標準的な樹脂よりも3倍から4倍、高速でプリントが可能。

従来、安価なFDMでプロトタイプ作成が盛んにおこなわれてきたが、ドラフトレジン(Draft Resin)は、X軸Y軸の寸法精度を犠牲にすることなく、高速生産が可能となる。

まさにラピッド・プロトタイピングに特化したレジンとして、重宝しそうだ。このドラフトレジン(Draft Resin)は、Form 3とForm 3LだけではなくForm 2でも利用可能になる。

ドラフトレジン Draft Resin
3倍から4倍の高速プリントができるドラフトレジン。ラピッド・プロトタイピングに最適な性能を発揮する。

Form 2との共通点。レジンカートリッジなどの互換性はあり

今回Form 3とForm 3Lが発表されたが、これまでのレジンカートリッジとは互換性がある。またビルド・プラットフォームやForm WashForm CureはForm 3でもForm 2と同様のものが使用可能。(※Form 3 Lは大型なため、専用のビルド・プラットフォームを搭載)

日本国内は2019年後半に発売予定

Form 3はアメリカで6月に発売予定。価格は単体で3499ドル、二次硬化のFormCureと自動洗浄ツールのFormWashとのセットのコンプリートパッケージとして5999ドルの予定。
また、大型造形が可能なForm 3Lは、アメリカで2019年第四四半期に出荷予定で基本パッケージで9,999ドル予定となっている。
因みに日本での価格は未定で発売開始は2019年後半の予定だ。

Form2事例 竹中工務店のオープンイノベーション「ミライのたてもの工務店」

 一般的に3Dプリンターの役割として注目されているのが、リードタイムの短縮やコスト削減などの、生産プロセスの効率化だ。しかし、それと同時に、大きく期待されているのがオープンイノベーションでの利用である。

竹中工務店は、Form 2とコンピュテーショナル・デザインを使うことで、建築設計の現場にさまざまな活用方法を見出している。今回は二つのデジタル技術で、新たな挑戦を行う竹中工務店の「ミライのたてもの工務店」とForm 2の利用方法について竹中工務店設計本部コンピュテーショナルデザイングループの石津氏にお話しを伺った。

限られたデザインフェーズをスピードアップ

 竹中工務店は2016年に設計本部内にコンピュテーショナル・デザインの導入を支援するチームを設置し、建築設計の分野で新たな試みを始めている。またFormlabsの光造形(SLA)方式3Dプリンター「Form 2」を導入し、さまざまな活用を開始している。

Form 2では、主に設計の意匠や道具づくりでの利用を行っている。特に活躍しているのが、建築では欠かすことができない模型の作成だ。

「現在Form 2は、実プロジェクトでの使用とともに ロボットアームを使ったプロジェクト、エンドエフェクターの自作などで、さまざまな用途で利用されています。特に、建築模型によるデザインの検証で大きな力を発揮しています」。(石津氏)
 建築模型はスタイルフォームやスタイル模型などと言われ、スチレンボードなどの断熱材をカッターで切り手作業で作るのが一般的であった。しかし、Form 2であれば、設計データからダイレクトに作ることができる。

従来は外注によって2週間ほどの期間をかけて作っていたが、Form 2に切り替えることで、さまざまなメリットがあるという。

「これまでは、外注だと模型ができるまで2週間かかっていました。また、模型が上がっても1回目だとうまくいかず、デザインの検証なども限られた時間しか使うことが出来ませんでした。しかしForm 2を導入したことで、デザイン検証の繰り返しを短縮することができ、チーム内での検証もでき、改善がより早くなりました」と石津氏は語る。

  現在、竹中工務店では大阪にもForm 2を導入しており、設計やプロジェクトに向けて使われている。特に、設計・施工の全工程からみると、デザインのフェーズは非常に短くなる。形だけのデザインではわずか1週間から2週間で決めなければならない。

予算と限られた期間の中で、最大限よりよいデザインにするために検証を行わなければならない。この検証を従来の手作業からForm 2の試作に切り替えることで、スピードを圧倒的に早め、最終段階の模型に至るまでの精度をより向上させることができたという。

Form 2とリジッドレジンの高精細モデルがデザインを広げる

 外注する際のコストやリードタイムの短縮も大きいが、3Dプリンターとコンピュテーショナル・デザインが合わさることで、従来では実現できなかったさまざまな可能性が登場している。それがデザインの新たな挑戦だ。

3Dプリンターが登場することで、これまで実現することが難しかった意匠やデザインが可能になる。ちなみにコンピュテーショナル・デザインとは、建築物のデザインを、構造などを踏まえて自動でシミュレーションできる手法のこと。 これによって、これまで作ることが難しかった複雑な形状やディテールをアウトプットすることができる。

「これまで3Dプリンターやレーザーカッターが無かった時代には、複雑なデザインや意匠を検討するために、粘土を手でこねて作っていました。粘土でつくられたものを実際に作ろうとすると、かなりハードルが高い。しかし、3Dプリンターでアウトプットされた物理的なモデルだと、社内も施工者の関係者も、みな作ってみたいと思う。難しいけれど新たなデザインに挑戦したいというマインドになります」。(石津氏)

  実際に、意匠検討を行う際に、Form 2で造形モデルをプリントすることで社内のさまざまな人間がデザインの検討に参加するようになったという。

「3Dの画面ではなく、実物としてデザインを目の当たりにできるため、あらゆる世代の人が、デザインプロセスに参加するようになりました。Form 2は、まさに社内のマインドを変える新たなコミュニケーションツールとして機能しています」。(石津氏)

また、コンピュテーショナル・デザインだと多数のバリエーションを出すことができ、 小さな違いのデザインでも手軽に3Dプリントすることができる。一度に数千パターンものデザインができるが、代表的なものに絞ってForm 2とリジッドレジンで出力している。

もともと建築で作られる模型は白模型であることから、ホワイトで細かくて薄いディテールが出せるには、ガラス繊維が配合されているリジッドならではだと言えよう。Form 2の高精細なモデルがより発展的な議論を生んでいる。

オープンイノベーションのプラットフォーム「ミライのたてもの工房」

これまでご紹介したような、Form 2とコンピュテーショナル・デザインを軸にした取組は、新たなオープンイノベーションのプラットフォームへと動き始めている。それが、竹中工務店が新たに立ち上げた「ミライのたてもの工房」だ。

「ミライのたてもの工房」は、コンピュテーショナル・デザインや3Dプリンター、AIやBIMなど、これからのデジタルテクノロジーによって、今後の建築がどう変わるかということを検証する、新たなオープンイノベーションのプラットフォームだ。ものを作るためのテクノロジーが進化すれば、それによってデザインも新たなカタチに変化していく。

「従来の伝統的な手法に加え、建築の分野ではコンピュテーショナル・デザインが浸透してきています。また、デジタルを基軸にした、BIMや3Dプリンティングなどのテクノロジーも注目されてきました。

作られ方が変われば、これまで合理的であった形が変わり、基準も変わってきます。今は模型で使用していますが、未来は、新たな造形手法が建築自体にも及ぶため、これまで安いとされてきた形自体が変わるかもしれません。将来的には建築のデザインが変わってきます」。

「ミライのたてもの工務店」では、第一弾のプロジェクトとして、石津氏が手がけたコンピュテーショナル・デザインでデザインされたパラメトリックシェルが登場している。

このデザインは自然界の形状をモデルにして、パラメーターを変更することで、形状を変化させる試みだ。このシェルは貝殻の螺旋をベースにして、造形空間設計でどのように活用されるかの取組である。

Form 2とガラス繊維配合のリジッドレジンでプリントされた造形モデル
デザイン・モデリング:石津優子氏
モデル印刷協力:デジタルファクトリー株式会社

まとめ 社外にも広がるオープンイノベーションの開発

 「ミライのたてもの工務店」は、Form 2でプリントしたパラメトリックシェルと、第二弾である「曲げながらつくる強くて軽い構造シェル」が登場している。そして、今後も第三弾、第四弾と未来の建築に関わるプロジェクトが始まるとのことだ。

また、オープンイノベーションの取組としては、社内だけではなく、社外にも広がりを見せつつある。大学間協定によって他の大学と所属を超えた、開発プロジェクトも動き出している。

「Form 2は、新たなアイデア創出のコミュニケーションツールとしての役割を担い始めています。こんなに簡単に使える、ということが、建築に参加する、さまざまな人の意識を変え始めています。『ミライのたてもの工務店』はよりオープンなものとして、今後も建築に関わっているすべての人に、コンピュテーショナル・デザインや3Dプリンターによって簡単に、身近になっているということを感じてもらいたい」と、デジタルが建築に及ぶす影響と、今後の未来について石津氏は語ってくれた。

進化するForm 2。新材料の登場やイージーモールドも展示

デスクトップで圧倒的な存在に

デスクトップタイプの3Dプリンタで圧倒的な人気を誇るForm 2。Form 2の発表によると全世界で導入実績ナンバー1ともいわれている。特許の失効によって多くのデスクトップモデルが登場したが、Form 2ほど後発の3Dプリンタメーカーとして成功している企業はないだろう。

新たに投資を受け、ユニコーン企業にも成長している。そんなForm 2だが、今回のTCT Japanと、次世代3Dプリンタ展におけるForm 2の展示をご紹介しよう。

Form2 ユーザー事例
Form2で作られたさまざまな事例が展示された。

Form 2の実例が拡大。最終品での展開も登場

 Form 2の最大の特長は、高精度な仕上がりに加え、ミスプリントがほぼ起きない優れた安定性にある。一派的に、安価なデスクトップタイプの3Dプリンタの注意点として、安定性が極めて悪いという点があげられる。

さまざまな理由によってプリント中の停止や、造形ミスなどが起きる。特に安価な熱溶解積層法の3Dプリンタではそれが顕著だ。それだけプラスチックの硬化という化学的作用をコントロールするにはノウハウが必要なわけだが、Form 2ではそのノウハウを全て自動的に行ってくれる。

例えば、材料の種類が異なれば、その材料ごとに最適な温度、粘度、レーザーの当て方、プラットフォームの動かし方が必要だが、Form 2ではそのあたりを自動的に行ってくれるため、どの材料も高品質でミスのない造形が手軽にできる。こうしたことから、新たにForm 2で作られたモデルを最終品として販売する展示も登場している。

Form2使い方完全ガイドはこちら

Form2 最終品 事例
最終品しての製造に使用が拡大している。
電動車いすWHILLのパーツ
オートデスクブースのWHILL本体

シリコーンのようなエラストマー材料が登場

 そんな性能から、Form 2では新たな材料が続々と登場している。既に、スタンダードタイプから透明性があるクリアタイプ、エンジニアリング用のタフデュラブルフレキシブル、ハイテンプに加え、鋳造用のワックスモデルが作れるキャスタブルワックスまで、豊富なラインナップを持っている。

そして今回の展示会では、あらたにシリコーンのような透明なエラストマー材料が登場している。こちらの材料は、日本での発売はまだこれからだが、先行して展示が行われた。Form 2では硬い透明レジンと黒いゴムレジンはあるが今回登場したElastic Resinは、より柔軟性が高く、広範なテストに耐え高いストレスにも耐えうる材料だ。

ゴムの弾性を表すショア硬度50A(フレキシブルレジンは80A)の柔らかさで、シリコーンで製造された部品などの試作品に最適である。これまで「シリコーンのような」部品や造形物は、金型で作るか高額な3Dプリンタでしかつくることが出来なかったが、Form 2のラインナップに加わることで、高精度に安価に作ることができる。

このElastic Resinは米国では既に使用が開始され、ウェアラブルデバイスや製造ライン用のロボットグリッパーなど、シリコーン部品の試作が求められる分野で利用されている。

Form2 Elastic Resin ゴム
シリコーンのように柔らかいゴム材料Elastic Resinが登場。

卓上超小型射出成型機 EASYMOLD(イージーモールド)との連携も

今回の展示では、Form 2の使用を拡張する使い方も展示された。デジタルファクトリーが提供するEASYMOLD(イージーモールド)と、Form 2のハイテンプレジンで作られた樹脂型を組み合わせることで、手軽にハンドサイズで射出成形を行うことができる。

小型の射出成形機 イージーモールド。Form2とのハイテンプレジンの組み合わせが可能

ハイテンプレジンは金型のプロトタイプなどにも利用できる高耐熱性に優れる樹脂。このハイテンプレジンで作った小型の金型を使えば、EASYMOLD(イージーモールド)で熱可塑性樹脂の射出成形ができる。使い方はとてもシンプルで、Form 2で樹脂型をつくり、EASYMOLD(イージーモールド)にセットする。そして材料をセットし加熱されて樹脂が柔らかくなったらレバーをひくだけだ。

ハイテンプレジンで作られた樹脂型

ハイテンプレジンは透明性が高いこともあり、射出時の樹脂の流れなども確認できる。手軽に金型の材料が試せるのも大きな強みだ。

LINEアプリと連携する試みも登場

近年、アプリの発展によって、3Dプリントをスマートフォンアプリでコントロールする開発が進んでいる。今回Form 2では、あらたな試験的な試みとして株式会社岩間工業所とともにLINEアプリを用いてForm 2本体をコントロールする取組が発表された。

モバイルアプリとの連携も開発がすすむ。

操作はシンプルでプリントのスタートや停止、更にはカメラでのモニタリングが可能だ。また、複数台のForm 2を管理することができ、分散的に使用することができる。LINEの友達追加のようにForm 2を追加することで利用可能だ。

LINEのサーバーを経由するため、接続性も強い。まだ試験的な試みだが、将来的にモバイルアプリケーションとしてより手軽にコントロールができるかもしれない。

まとめ

Form 2は、高品質とその安定性から高い運用面での性能を誇っている。ミスすることはなく、小型ながらも常に高品質なプリントで造形が滞ることがない。年々拡大する豊富なレジンの種類によって、1台でさまざまな用途に活用ができる。

プロトタイプから治具、鋳造、ゴム、EASYMOLD(イージーモールド)との併用による金型、更には最終品まで、幅広い用途に対応している。またメーカーのFormlabsはユニコーン企業としてスタートをきったばかりであり、今後更なる進化と発展が期待される。今後の開発からも目が離せなさそうだ。

拡大するストラタシスの3Dプリントアプリケーション

拡大するストラタシスのアプリケーション

今年は3Dプリンティングの最新技術が集結する見本一が続けて開催された。2019年1月30日~2月1日にTCT Japanが、その翌週の2月6日~8日に次世代3Dプリンタ展が、東京ビッグサイトで行われた。今回は毎年、最先端のユースケースを紹介するストラタシス・ジャパンの取組をご紹介しよう。

3Dプリンタのアプリケーションは今やあらゆる業界で拡大している。製造業からロボティクス、ファッションから建築まで、またその用途もプロトタイピングから治具、最終品の生産までさまざまだ。

こうしたアプリケーション拡大の背景には、造形技術、材料、ソフトウェアアプリケーションといったテクノロジーの進化が大きいが、ストラタシスはこの3つの領域を年々進化させている。

50万色まで拡大し、更に用途を広げるPolyJet 3Dプリンタ

マテリアルジェッティングの最先端ともいえる3Dプリンタが Stratasys J750だ。CMYKWとクリアの5+1色の液体樹脂を掛け合わせることで、自在なカラー表現と透明度を実現することができる。

また、CMYKのベースカラーを拡大することで、表現力を更に拡大している。現在J750では、最大50万色まで実現が可能だが、今回新たにシアン系のベースカラーを開発し、より多彩な表現を可能にしている。

Stratasys J750 カラーパッド

新たにベースからも追加。質感がより豊かに

下記は、Stratasys J750によって造形されたサンプル。最終品さながらのリアルな質感を実現している。プロトタイプの段階から、最終品レベルでデザインや形状更には質感まで確認が可能だ。

Stratasys J750サンプル
TCTブースにて

例えば、シルバニアファミリーで有名なエポック社では、最終品の金型量産で使用する樹脂のカラーを含む製品開発プロセスに、Stratasys J750を使用することでプロトタイプ段階から合わせることができる。

下記は、シルバニアファミリーの自動車のモデル。上がStratasys J750でプリントしたパーツを組み合わせて作られたもので、下が金型で作られた最終品だ。こちらの自動車は、車体だけではなく、車の内部のパーツ、ホイールを含むタイヤのパーツまでStratasys J750で再現している。

Stratasys J750 サンプル
Stratasys J750でプリントしたパーツを組み合わせて作られたモデル。最終製品と同じ部品点数。
シルバニアファミリー画像
金型による最終品 (次世代 3Dプリンタ展 ストラタシスブースにて)


また、Stratasys J750は、高品質なプロトタイプに加え、カスタマイズ用途でも使用が開始されている。下記は、ロボットベンチャー企業GROOVE X社が開発した家族型ロボット「LOVOT」だ。このLOVOTでは、ロボットがつけるメガネのカスタマイズ製品の検証 をJ750で行っている。

多彩なデザインの検証もStratasys J750なら、1個単位からスピーディにできる。このメガネはアクセサリ感覚でコーディネートしたりすることで、オーナーとの親密性を高めるアイテムとして開発され、その一環としてStratasys J750が利用されている。

このLOVOTでは、試作開発ではストラタシスのFDMシステム、F123シリーズ3Dプリンタが導入されている。F123シリーズは、汎用のコンセプトモデリング向けのPLAをはじめ、ABSやASAなどの工業用プラスチックが使用できる3Dプリンタで、失敗などのリスクを最小限に抑えた高品質な造形が実現できる。

これによりスピーディにプロトタイプの検証が可能になり、製品化を大幅に早めることができた。また専用ソフトウェアであるGrabCAD Printを活用することで、セットアップの時間を大幅に効率化、従来の5分の1まで短縮している。

Stratasys J750サンプル
Stratasys J750 で眼鏡のカスタマイズ検証も

耐候性の実験品も展示。炎天の夏季を含む数か月を経も劣化しない

J750で使用される樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることから、一般的に耐候性に弱いといわれてきた。たとえば外の環境で使用すると黄ばんだり、ひびが入ったりといった劣化がみられ、耐候性が低いとされている。ストラタシスでは、こうした紫外線硬化性樹脂の耐候性でも実証実験を行っている。

Stratasys J750 サンプル
炎天の夏季を含む数か月を経も劣化しない (TCTブースにて)

下記のサンプルは夏季を含む数か月間、屋外で風雨や直射日光に晒される状態で数か月にわたり展示していた造形モデルだが、ほぼ造形当初のままの状態を保っている。J750で造形したモデルを屋外展示パーツとして活用することで、従来のFRPによる展示品と同等のコストで、シルバニア製品の設計データを活用し、はるかにクオリティの高い展示品を作製できるようになった。

Stratasys J750 サンプル

広がるFDM。Pocket Changeの実装部品

ストラタシスのもう一つの造形テクノロジーであるFDM 3Dプリンタ。もともとFDMの開発元として、用途を更に広げている。展示されたPocket changeは余った外貨を電子マネーに交換するサービスだ。

海外旅行などで余ったコインを入れるだけで、電子マネーにチャージが可能。現在空港や駅などに設置され、訪日外国人観光客にも利用が始まっている。このPocket Changeでは、ストラタシスのFDM 3DプリンタとABS樹脂でつくられたパーツが、実装部品として使用されている。

コインを投入する部分の筐体や、スマホにチャージする部分の筐体、更には内部のコインを振り分ける機能パーツも、FDM3Dプリンタで作られている。 しかも機種はストラタシスのFDMシステムの中でも、最も小型でデスクトップタイプのuPrint 3Dプリンタだ。

筐体にもFDMで作られたパーツが使用される。

さらに、Pocket changeでは、「DFAM」というアディティブマニュファクチャリングのための設計ガイドラインに基づいて設計されている。これによりサポートの使用量や、造形時間、コスト、などが最適化される。ストラタシスのFDMとあわさることで、より効率的でユーザービリティの高い3Dプリントが可能となった。

DFAMでサポート材がつかないように最適化される。

小ロットの製品開発を実現する最適なツール

このPocket changeのようにFDM 3Dプリンタでは、試作から最終品まで一貫して使用することができ、非常にスピーディに開発を進めることが出来る。データからすぐにアウトプットすることで、パーツの形状や強度などの検証ができ、機器に導入後の検証と課題解決もスムーズにできる。まさに小ロットの製品開発を実現する最適なツールなのだ。

FDMサンプル
実際に使用されているパーツ。右が最適化されたもの
内部の実装パーツとして使用されている。

新たなゴム(熱可塑性ポリウレタン)材料も登場

ストラタシスのFDMシステムの最大の特長が豊富な材料である。もともと金型と同様、本物の熱可塑性樹脂が使用できるのが最大の強みだが、新たにエラストマー、熱可塑性ポリウレタンの「TPU 92A」が登場した。

これまで安価なデスクトップタイプのFDM 3Dプリンタでは熱可塑性ポリウレタンのフィラメントが登場していたが、造形がデリケートで、安定した造形を実現するのが難しいとされてきた。しかしストラタシスの長年培ってきたFDMテクノロジーで、安定した高品質なゴムパーツの造形が可能になっている。

使用できるプリンタはF123シリーズの3機種、「F170」「F270」「F370」で、ゴム弾性、耐摩耗性、機械的強度を持つパーツを作ることができる。また、従来熱可塑性ポリウレタンはサポート材の取り外しが苦労する材料であったが、ストラタシスのTPU92Aでは、水溶性サポートに対応しており、かんたんに取り外すことができる。

ゴムのパーツは自動車用など、さまざまな分野で使用が大きい材料だが、TPU92Aの追加で、更に日本のものづくりがよりよいものになりそうだ。

FDM 熱可塑性ポリウレタン

カーボンファイバー配合からスーパーエンプラまで使用できる

ストラタシスのFDMの材料では、一般的なABS樹脂などに加え、エンジニアリング用途で使用される高性能な樹脂が使用できるのが特長である。例えば、カーボンファイバー配合のナイロン材料や、スーパーエンジニアリングプラスチックといわれる樹脂も使用することができる。

カーボンファイバーでは高い強度と剛性を持ち、軽量であることから、さまざまな用途での利用が期待されている。下記は、チョコレート工場の包装用機器の差し替えパーツだが、従来の金属パーツから、カーボンファイバー配合ナイロンでのパーツに変更することで、コストを大幅に減らすことが可能となった。

また従来の金属で作られたパーツでは、金属パーツがついている部分が壊れると、同時にそれが取り付けられている機械本体にも影響を受けたが、カーボンファイバー配合ナイロンのパーツであれば機械本体には影響はない。またスーパーエンプラでは、ポリエーテルケトンが使用できる。

ポリエーテルケトンは耐薬品性や低アウトガスの材料で、工場の溶剤や石油タンクなど、従来腐食対策として金属が使用されていた分野での代替として使用が開始されている。

カーボンファイバー配合ナイロンパーツ。金属パーツの代替として使用される

600ショット以上のプラスチック成形を実現したデジタルモールド

ストラタシスと有限会社スワニーによるデジタルモールド®も、更なる進化を遂げている。デジタルモールドは、射出成形から、プレス加工、ブロー成形まで幅広い量産加工への利用が開始されているが、今回エラストマー材料での射出成形では、なんと600ショット以上の生産を実現している。

これまでデジタルモールドでは数十個から100個程度の量産性であったが、今回の展示では熱可塑性ポリウレタンを使い限界まで挑戦、一つの型で600ショット以上という小ロット量産を実現している。また、有限会社スワニーの橋爪氏によると、現在デジタルモールドを大型の射出成型機でトライしているとのことで、近い将来、本格的な量産へ進出するかもしれない。

デジタルモールド
デジタルモールド

まとめ 金属量産も視野にいれた開発で生産領域まで広がる

ストラタシスの3Dプリントの活用事例は例年進化し、さまざまな分野へ利用が開始されている。試作から治具、パーツ製造から、更には生産の分野まで領域を広げつつある。その背景には、FDMとPolyJetという確固たる二大造形テクノロジーと、多彩な用途に対応した幅広い材料、更にはGrabCAD Printのようなソフトウェアによる効率的で安定した運用面が大きい。

また、ストラタシスではレーザー燒結法やバインダーではない、新たなアプローチの金属量産3Dプリンタの開発も進めているという。3Dプリンタのアプリケーションは、まさにこれからが本格的に拡大するだろう。

Desktop Metal アルテック株式会社取材第二弾。MIMを実現した新たな金属3Dプリンター

新たな金属3DプリンターDesktop Metalとは

3Dプリンターの中で、特に開発が注目される分野が金属3Dプリンターだ。豊富な材料とエンドユースパーツが作れる点から、デジタルデータからの直接製造を可能にし、リードタイムの向上やコストの削減、更には製品改良などが期待されている。

Desktop Metal
新たなアプローチで開発された金属3Dプリンター

一般的に金属3Dプリンターでは粉末焼結の分野が広く知られているが、最近では新たなアプローチによって金属造形を実現したメーカーも登場してきている。

今回ご紹介するDesktop Metalも従来には無いコンセプトと製法によって、高精度な金属パーツの造形を可能にしている。

MIMという金属射出成形の3Dプリント版という革新的な3Dプリンターを開発し、2017年の世界経済フォーラムでは、「世界で最も有望なテクノロジー・パイオニア30 社」に選出。

また総額では2億7700万ドルもの資金調達にも成功している。今回はDesktop Metalの販売代理店であるアルテック株式会社からの取材レポート第二弾をお届けしよう。

DesktopMetal 3Dプリンター
デスクトップで手軽に金属3Dプリントを実現したDesktop Metal

MIM(金属粉末射出成形)を体現した3Dプリンター

Desktop Metalは、MIMの手法を応用した3Dプリンターだ。MIMとは、金属粉末射出成形といわれる製造技術で、Metal Injection Moldingの略である。

射出成形はプラスチック加工の王様ともいわれる代表的な手法で金型量産を象徴する加工方法だが、MIMはこのプラスチックの射出成形と金属粉末を焼結して作る粉末冶金を合わせた加工方法だ。

Desktopmetal MIM
MIM(金属粉末射出成形)の原理を3Dプリントに応用。※画像提供:アルテック株式会社

MIMの特長は量産性に優れ、高精度で複雑な金属製品を作ることができる。その製法は金属粉末にバインダーといわれる結合剤を混合した材料を使い、金型に射出成形して生産する。

その後、射出成形したパーツを焼結することで結合剤が焼失し金属部分だけ残るという製法だ。Desktop Metalは、まさにこのMIMの原理を応用した画期的な3Dプリンターなのだ。

Desktopmetal
Desktop Metalで造形されたパーツ。バインダーが含まれた状態。 ※画像提供:アルテック株式会社
Desktopmetal
バインダーを除去し、焼結すると金属パーツになる。(下) ※画像提供:アルテック株式会社

FDMの応用で画期的な金属造形を実現

原理はいたってシンプルで、プラスチック3Dプリンターで一般的なFDMの仕組みを利用することで“MIMの3Dプリント化”を実現している。FDMとは熱溶解積層法ともいわれる製法で、加熱すると柔らかくなる熱可塑性樹脂を糸状にしたフィラメント材料を使い積層していく製法だ。

MIMとFDMを融合させた Desktop Metal ※画像提供:アルテック株式会社

フィラメント材料がノズルを通ることで加熱され柔らかくなり積層されて物体になる。Desktop Metalはこの手法を利用し、バインダーを混合したロッド状の金属材料をノズルで加熱して積層し物体にする手法を開発した。これらの材料を使い、FDMのように積層して造形し、造形後は脱脂を行いバインダーを除去し、焼結して金属モデルを完成させる。

Desktopmetal
金属材料のFDMを実現

Desktop Metalの多彩なメリット

Desktop MetalはMIMの手法とFDMの原理を融合することで、これまでにない画期的な金属造形の手法を実現している。ここではいくつかの手法と比較した場合のDesktop Metalの多彩なメリットについてご紹介しよう。

MIMとの違い。圧倒的なリードタイムの短縮

Desktop MetalとMIMとの最大の違いが圧倒的なリードタイムの違いだ。MIMは射出成形を開始する前にも、金属粉末とバインダーを混合した材料を作るための前工程が必要となる。

金属粉末とバインダーのミキシングを行い、フィードストックといわれる専用材料を作らなければならない。一方、Desktop Metalであれば、あらかじめ混合されたロッド状の材料をそのまま装填するだけで済む。

Desktopmetal MIM
MIMとの違い。専用材料の開発で、MIMに必要な前工程を短縮。金型も不要になる。 ※画像提供:アルテック株式会社

また、Desktop Metalはデータから直接造形できるため、当然のことながら金型は不要だ。射出成形では巨大な注射器のようなポンプで高圧力で金型に材料を流しこむため、金属で頑丈な設計が求められる。

必然的に金型を作るためのコストや期間なども大きなものになる。更に焼結する後処理の工程においてもDesktop Metalの場合は脱脂を自動で行ってくれるデバインド、焼結を行う焼結機にパーツをセットするだけで簡単に完成体まで仕上げることができる。

まさにプロトタイプから多品種少量生産まで一貫して行うことが可能だ。

粉末焼結機との違い。巨大な設備は不要

Desktop Metalは、また従来からの金属3Dプリンターである粉末焼結機とは違い巨大な設備は不要だ。粉末焼結機は材料がパウダー状であることから防塵対策などの設備が求められるがDesktop Metalでは前述のとおりカートリッジ式のロッド状の材料であるため、プリンター本体とデバインド機、焼結機の3台で済む。

これまで金属造形を行うためには従来のMIM、鍛造、鋳造、粉末焼結などいずれも大掛かりな設備が必要であったが、Desktop Metalは最も手軽に金属造形をはじめることが可能なのだ。

Desktopmetal
デスクトップサイズの3Dプリンター本体
Desktopmetal
バインダーを除去するデバインダー
Desktopmetal
焼結を行うファーネス

カートリッジ式スティック材料でノズル詰まりもない

Desktop MetalはFDMの仕組みを使用しているが、材料を独自のロッド状にすることで、プラスチックのFDM 3Dプリンターにあるような、材料切れなどが起きない。

Desktopmetal
独自に開発されたロッド状の材料。FDMのような詰まりや材料切れが起きない

FDMはフィラメントといわれる細い糸状のプラスチック材料を使用するが、造形の過程で樹脂が詰まったり、切れたりすることがある。しかし、Desktop Metalで使用する材料は金属にワックスとポリマーを混合した独自の材料で、短いロッド状の材料となっている。

材料の装填はロッドが入ったカートリッジを3Dプリンター本体にセットするだけ

モデル材料は、高強度ステンレス(17-4PH)がリリースされた。またステンレスであるSUS316Lやクロムモリブデン鋼(4140)、銅(Cu)、インコネル(Inconel 625)、工具鋼(H13)も順次利用可能になる予定だ。

収縮率を自動計算。プリントから焼結まで一元管理できる専用ソフトウェア

MIMと同じようにDesktop Metalで作られた造形モデルも焼結の過程において造形サイズが焼結前の15-20%が収縮することになる。しかしDesktop Metalでは、専用ソフトウェアが焼結後の収縮率を自動で計算し補正してくれるため、完成モデルは設計データと同じサイズで作ることができる。

また、この専用ソフトウェアでは、プリンターでの造形、更にはデバインダーでの脱脂、ファーネスの焼結と3つの各工程を一元管理することが可能で、MIMの知識がなくても造形が完成できるユーザビリティに優れた設計となっている。

Desktop Metalスペック

プリンター本体

  • 造形サイズ:250mm×170mm×170mm(焼結後)
  • プリントヘッド:2ヘッド
  • 最小積層ピッチ:50μm
  • ビルドレート:16㎤/時間
  • 本体サイズ:830mm×530mm×950mm
  • 重量:97kg
  • 供給電源:100-120V 15A 50-60Hz
  • 制御ソフト:Studio System クラウドソフトウェア

デバインダーステーション

  • タンク容量:17.4リットル
  • 本体サイズ:740mm×570mm×1020mm
  • 重量:158kg
  • 供給電源:100-120V 単相20A 50-60Hz

ファーネス

  • ワークスペース:300mm×200mm×200mm
  • 最高温度:1400℃
  • 本体サイズ:1380mm×754mm×1618mm
  • 重量:798kg
  • 供給電源:208V Δ3相30A

※仕様は予定なく変更になる可能性があります。

まとめ 金属造形を手軽に、プロトタイプから多品種少量生産まで

Desktop Metalは従来からある金属3Dプリンターの概念を変える新たな3Dプリンターだ。粉末焼結タイプの3Dプリンターと違いFDMテクノロジーをベースにすることで、より手軽に、金属造形が可能となった。

また、MIMの量産を1個単位から造形可能にすることで、プロトタイプから多品種少量生産まで金属パーツの一貫した造形が可能となる。

Massivit アルテック株式会社取材第一弾。高速大型造形を実現した3Dプリンター

大型造形物を高速3Dプリント。Massivitとは

年々加速する3Dプリンターの開発。単純に失効した特許を利用したものではなく、新たな製法や材料を開発する動きが盛んになりつつある。特に乱立する3Dプリンター開発において存在感を示しつつあるのが、ある特定の機能や用途に特化した3Dプリンターだ。

今回ご紹介するMassivit 3Dプリンターは、イスラエルに本社と製造拠点を置くMassivit 3D Printing Technologies Ltd.によって開発された大型3Dプリンターだ。これまで大型の3Dプリンターはいくつか登場しているが、Massivitはその独自のテクノロジーと材料によって高速生産を実現し、大型造形物が必要とされる市場において急速にその存在感を示しつつある。

今回は、Massivitの販売代理店であるアルテック株式会社からの取材レポート第一弾をお届けしよう。

Massivit 3Dプリンター
高さ1.5メートルと1.8メートルの2機種。大型高速造形を実現したMassivit

1時間で最大35センチのプリントも可能

Massivitは、高さ1800mmのMassivit1800(シングルヘッド、ダブルヘッド)と、高さ1500mmのMassivit1500の3機種のラインナップを持つ(幅1170mm、奥行き1450mmは同じ)。

そしてMassivitの特長の一つである高速生産だが、その生産性は1時間で35センチ(直径1mの円柱を造形した場合の速度)(Massivit1500は高さ30センチ)もの造形物を作ることが出来る。

Massivit
35センチほどの高さを1時間ほどでプリントできる。

この大型造形と圧倒的なスピードにより、サインやディスプレイなどの立体広告や、大型POPなどの広告物、展示会などの造形物、更には照明や建築ブースなど、さまざまな用途での使用が広がりを見せている。

下記はMassivitで作られた造形物の事例だが、ディスプレイ広告やPOP、照明、建築模型、ブースなどは、これまで多くの時間とコストがかかっていた分野だ。しかし1時間当たり30センチ~35センチもの生産性を誇るMassivitであればリードタイムも数週間から1.2ヶ月かかっていたものが最短数時間で構築することができる。

Massivit
Massivitで作られたディスプレイ。高速造形が可能なため、幅広い用途に使える。
※画像提供:アルテック株式会社
Massivit
ルイヴィトンのPOPアップショップ。巨大なブースもスピーディに造形が可能。
※画像提供:アルテック株式会社
真空成型との組み合わせも可能。巨大なディスプレイ広告が素早く製造できる 
※画像提供:アルテック株式会社
Massivit
巨大な造形物をスピーディに作ることができる。※写真は造形後、研摩、塗装を施したモデル

高速&大型を実現した独自テクノロジー

こうしたMassivitの大型造形と生産性を実現するカギとなっているのがその独自のテクノロジーである。第一が特許にもなっている独自材料であり、第二がそれを実現する独自の造形方式である。

Massivit
巨大な押出ノズルを搭載している。

FDMと光造形の仕組みを融合

Massivitの造形方式は、わかりやすく表現すると熱溶解積層法と光造形法の融合のような方式だ。押出ノズルからフォトポリマージェルを糸状にして押出、紫外線を照射しつつ積み上げて硬化させていく。

熱溶解積層法は熱可塑性樹脂を加熱して溶かして押出し、自然に冷やされて積層されるが、Massivitの場合は、ディスペンサーがアルキメデススクリューからの圧力によってジェルを糸状に出し、UV照射によって瞬時に硬化される。

最大の特長が、このジェル状の樹脂で、粘度と瞬間硬化によって熱溶解積層法のようにサポート構造はほとんど必要ない。また、光造形法のように洗浄や二次硬化も不要だ。

Massivit
FDMと光造形を組み合わせた新たな製法。特許取得の独自開発のジェルで高速造形ができる。
※画像提供:アルテック株式会社

空中で水平積層も実現。サポート不要の材料とは

Massivitの性能を発揮する最大の存在が造形材料である“Massivit Dimengel®”だ。アクリルをベースに独自開発された特許取得済みの材料で、特徴ある粘度によって瞬時に固まる脅威の硬化速度を誇る。それによりほぼサポート構造を必要なく、驚くべきことに空中で水平に積層することもできる。

これは従来のFDM方式では不可能であった造形技術で、軽量の中空構造などをスピーディに尚且つ高強度にプリントすることができる。また余分なサポート構造の不要は、造形時間の短縮に加え、材料コストの削減にもつなげられる。

Massivit
瞬時に硬化することから、FDMのようにサポート材はほぼ必要ない。水平にも造形ができる。
※画像提供:アルテック株式会社

柔軟で高い加工性

この“Massivit Dimengel”のすぐれている点はもう一つある。それが幅広い加工性だ。例えば、大型ディスプレイやPOP、建築ブースなどの巨大な造形物では当然のことながら、Massivit 3Dプリンターよりも大きい場合が多い。

また、Massivitで作られたままの造形物は、当然のことながら積層跡が目立つため、研摩や塗装などの後処理が求められる。この後処理工程も非常に柔軟性が高い加工ができる。

接着剤としても使用可能。複数パーツの接着も同じ物性で

その場合には、設計データを分割してプリントし、プリント後に組立を行う必要があるが、Massivit Dimengelは、この場合の接着剤としても使用することができる。これは瞬時に硬化するMassivit Dimengelの特性を利用したもので、造形モデル同士の間にこのジェルを塗り、ハンディタイプのUVライトで照射すれば、簡単に接合でき一つの物体に同化させることができる。

他の3Dプリンターで作られた造形モデルは接着剤が造形材料とは異なるため、物性の違いから破損する可能性などもあるが、Massivitでは造形材料と同じ物性であるため、破損する心配もない。

Massivit
Massivitのジェルは、造形材料以外に、接着剤としても使用できる。UVライトを照射するだけで瞬時に硬化し接続できる。※画像提供:アルテック株式会社

表面処理や塗装で完成度の高い仕上がり

Massivitで作られた造形モデルは積層跡が残っているため、いくつかの後加工を施すことで、完成度が高い造形物にすることができる。第一にモデルの表面に造形材料を塗ることで表面の凹凸などを無くすことが可能だ。

こちらも接着剤で使用するときと同様、UVランプをあてることで簡単に硬化させることができる。硬化後は電動研磨機やサンドペーパーなどで研磨を行い、プライマーなどで下塗りし、塗装を施せば美しい仕上りが可能となる。

Massivit
造形後、研磨や塗装を施すことで、驚くほど美しい仕上がりが可能に。大型工業モデルの造形にも最適。※画像提供:アルテック株式会社

Massivit 3Dプリンターのスペック

  • 機種:Massivit 1800/Massivit 1500
  • 造形サイズ(WxDxH):1170×1450×1800㎜(1800)、1170×1450×1500㎜(1500)
  • 最大造形重量:150kg
  • 造形速度(Z軸):35㎝/時間、300㎜/秒(1800)、30㎝/時間、250㎜/秒(1500)
  • 造形モード:ノーマル/ クオリティー/ ハイレゾリューション
  • ヘッド数:1、2(オプション:スケールにより増設可)
  • 材料:Dimengel 100(遮光缶 19kg)UV硬化樹脂材料(白)
  • 制御システム:Massivit 独自のフロントエンドソフトウェア 
  • OS:Windows®
  • ネットワーク:LAN接続
  • ソフトウェア:Massivit Smart
  • 機能:STL ファイルの読み込み、サイズ変更、回転、スライス、サポート生成
  • 設置状態寸法(WxDxH):3100×2200×2800㎜/重量:2500kg(1800)、3000×2200×2600㎜/重量:2500kg(1500)
  • 梱包状態寸法(WxDxH):3500×2300×2600㎜/重量:3000kg(1800)、3400×2300×2550㎜/重量:3000kg(1500)
  • 開梱状態寸法(WxDxH):3100×2200×2400 ㎜(1800)、3000×2160×2160 ㎜(1500)
  • 適合規制:CE
  • 供給電源:32A ( 三相) 380 – 400VAC±10%, 50/60Hz
  • 電力消費量:( 50Hz)10KW(造形時)、22KW(最大)
  • 空気圧:6-8 bar
  • 動作環境:16 ~ 30℃(1800)、18 ~ 30℃(1500)

まとめ 工業用途の可能性も大きい

Massivitの他の3Dプリンターにはない生産性と高い加工性は、従来からの広告、POP、ディスプレイといった用途以外でも可能性が見られる。例えば自動車や照明など大きい工業製品のプロトタイピングでは最適だ。

例えば、自動車のバンパーのプロトタイプ事例では、外注で1.5カ月かかっていたプロトタイプがMassivitではわずか半日で作ることが可能となった。また、家具やインテリア、住宅設備関連機器、船舶、建築模型など、スピーディで低コストにプロトタイプの作成ができるMassivitは大きな力を発揮する可能性が高い。

EOSの射出成形レベルの生産用3Dプリント「LaserProFusion」

EOSは金型いらずの射出成形となる新たな3Dプリント技術を発表

3Dプリンターの発展は、徐々に大量生産の領域まで踏み込みつつある。HPのMulti Jet FusionMetal JetCarbonのCLIP製法など、大量生産を実現する製法が開発され、マスカスタマイゼーションが実現し、開発から量産という製造プロセスの領域を大きく変えようとしている。 そして新たにまた一つ、3Dプリンターによる生産を実現させようとするテクノロジーが登場した。それはプラスチック加工の王様といわれている射出成形に置き換えることが出来ると言われている新たなテクノロジーだ。今回はドイツのレーザー焼結(SLS)3DプリンターメーカーEOSが開発したLaserProFusionをご紹介しよう。 EOS LaserProFusion 3Dプリンター EOSによるDigital Factoryのコンセプト。EOS経由の画像

レーザー焼結のリーディングカンパニーEOSが新たな発表を行う

EOS 2018年11月13日から16日にかけて開催されるドイツのフランクフルトで開催される3Dプリント展示会、Formnextによって発表される。この展示会はおよそ550社のアディティブマニュファクチャリング関連の企業が出展し、昨年2017年には2万2000人以上が来場した一大展示会だ。そこで発表される予定のLaserProFusionとはどのような技術なのだろうか。

LaserProFusionとは?レーザー燒結法の10倍

開発元であるEOSは、金属3Dプリンターメーカーの代表的存在で、レーザー燒結法であるSLSとDMLSの主要なメーカーで、この分野では世界一の市場シェアを誇っている。 ちなみにレーザー焼結法とは、炭酸ガスレーザーや高出力のイッテルビウムファイバーレーザーを使用し、金属粉末やナイロンパウダーを“焼結”させ形にする技術だ(詳しくは、「金属3Dプリンターの原理と仕組み」をご参照ください)。 この技術は昨年以来、ドイツで最も関心を集めた業界全体の主要テーマとして、注目が集まっていた。このLaserProFusionとはEOSの開発した新たな3Dプリント技術で、従来のレーザー燒結法のように単一のレーザービームで焼結させるのではなく、100万個のダイオードレーザーによって層ごとに一気に溶融して物体を造形する技術とのことだ。 EOS LaserProFusion 3Dプリンター 無数のレーザービームが照射される EOS LaserProFusion 3Dプリンター 従来の1本のレーザービームとは違い10倍のスピードがある。 これにより、従来のレーザー焼結法の10倍のスピードで造形が可能だという。LaserProFusionについてEOSのCTOであるTobias Abeln博士は次のように述べている。「LaserProFusionは、さまざまなアプリケーションに対応でき、射出成形の代替となりうる技術です。いわば、金型フリーの射出成形が可能になります。これは、将来のまったく新しい工業用3Dプリンターです」。

造形モデルのレベルの検証も可能(検証から~シリアル製造まで)

このLaserProFusionは、現在のEOSの3Dプリンターで、4つのレーザーを持つクワッドレーザーシステムを採用しているEOS M 300-4メタル・システムで利用することが出来るという。また、EOSでは、3Dプリンターによる生産を実現させるために、NASAによって開発された生産レベルをチェックするシステムを導入する。 このシステムはレディネスレベル(TRL)といわれるもので、工業用3Dプリントと従来の製造技術や他の3Dプリント技術と比較できるように、情報の可用性と透明性を提供するものだ。材料の状態をレベルによって識別することが可能となる。具体的には二つのカテゴリに分類されており、レベル3~6は、コア製品に分類され、レベル7~9では、シリアル製造に最適なプレミアム製品として使用することが可能となる。 一例をあげるとレベル5では、技術的ソリューションの検証を意味しており、レベル9では最高レベルで完全な生産レベルを意味するという。EOSは従来から3Dプリンターで作られた造形物の“基準”を設けるなど品質を確保する取組にいち早く取り組んできた。このチェックシステムによって本当の3Dプリント生産が可能となる。 EOS LaserProFusion 3Dプリンター 材料の検証もできる。 EOS経由の写真 3Dプリンターの品質基準を作るEOS、信頼性の構築と他社の参入防止

工場と統合し、エンドツーエンドの生産管理に適用

さらに、EOS M 300-4では、EOSPRINT 2、EOSTATE Monitoring Suite、EOSCONNECTなどのソフトウェアソリューションを使い、工場に統合することが可能となる。これにより3Dプリントプロセスのエンドツーエンドな管理が可能となる。

まとめ。インダストリー4.0に組み込まれ真価を発揮

今回のEOSの発表は、長年レーザー燒結法の分野でトップを走り続けてきたメーカーからの発表とのこともあり、大きな期待が集まるテクノロジーだ。HPによるMulti Jet Fusionや、Carbonなどとは異なるアプローチだが、レーザー焼結(溶融というべき)による大量生産を実現することで3Dプリンターによる生産体制の実現が更に広がる。 また、3Dプリンターによる生産は、単体でのみ力を発揮するわけではなく、インダストリー4.0の中に組み込まれてこそ進化を発揮する。3Dプリンター、即ちアディティブマニュファクチャリングは次世代製造技術の中の1分野だ。 これ以外に工場全体の生産体制がセンサー技術とIoTによって完全にモニタリングされ、生産データがモニタリングされることで、データが収集されAIによって解析され更に“未来の工場”へと進化していく。 例えば、造形モデルごとに、なぜこのモデルだとスピードが遅いのか、なぜ失敗したのか、などがビッグデータとして蓄積され、それがAIによって改善され3Dプリンターそのものの機能も進化してくだろう。こうしたIoT、AI、3Dプリンティング、ロボティクスの融合によって、大手企業の生産体制はデジタル化し、更なる競争力を増していく。

金属3Dプリンターで時計ベルトを作るUniform Waresの挑戦

最終品の3Dプリントが盛んな金属3Dプリンター

金属粉末のレーザー焼結3Dプリンターのメリットの一つが、材料特性をそのまま発揮できる点にある。チタンやスチールなど、モノづくりで多用される金属素材の精度を発揮し、航空宇宙産業や、医療などの分野で最終品をつくるのに利用されている。

そんな金属3Dプリンターの利用だが、意外な分野に利用が開始されている。それが今回ご紹介するスイス製のラグジュアリー時計ブランドUniform Waresだ。

Uniform Waresは、2009年設立の時計ブランドで、企画や開発などはロンドンで行われ、最終的にはスイスで仕上げられる。モダンでシンプルなデザインが特長だが、今回は3Dプリントを使用してユニークなチタン製のストラップを作成している。

金属3Dプリンター 時計 UniformWares

3Dプリンターで時計ベルトを作る新たな挑戦

Uniform Waresは、従来からの伝統的な製品開発プロセスによって腕時計をデザインし製造してるいるが、Uniform Waresのクリエイティブディレクター、マイケル・カー氏は、「物事を進化させたい」と語り、今回3Dプリントによる挑戦的な試みを行った。

3Dプリント製造にあたっては、3Dプリント製造企業であるBetatypeと提携して行っている。Uniform WaresとBetatypeのパートナーシップは2012年以来のもので、今回の取り組みでは、チタンの腕時計ベルトストラップのデザインが採用された。

もともとUniform Waresは、既にプラスチックや金属のプロトタイプを開発していたことから、最終品に移行するにはスムーズに行われたとのことで、デザインは、メッシュブレスレットと呼ばれる形状が採用されている。

Uniform Wares

メッシュブレスレットのベルトをレーザー燒結法で製造

このメッシュブレスレットは、以前からUniform Waresの製品として作られていたものだが、切削と溶接によって作られており、その結果多くの材料の無駄が生じていた。それをレーザー焼結法の3Dプリンターで作ることで、より少ない労力で余分な材料の廃棄を削減し、製造プロセス全体を簡素化することに成功している。

わずか10.5グラム。強化と軽量化に成功した新たな構造

これにより、メッシュブレスレットと同様のスタイルで作られた新しいT5チタンストラップは、新しいPreciDrive M-Lineウォッチコレクションに採用されることになった。ストラップは4,000以上のリングで構成されており、より強力で軽量な構造を実現している。その重量はなんとわずか10.5グラムだ。

Uniform Wares

デザインの有り方も変える新たな設計を生み出す

3Dプリンターによって作られるメリットは材料コストだけではなない。アディティブマニュファクチャリングを使用してストラップを作成することにより、デザインの概念も変わってきたという。事前にデザインの段階で、ストラップ自体の織り方と連動する指向性クラスプ設計を組み込むことが可能となった。これは従来の方法では実現できなかったものだという。

「ブレスレットのすべての要素は、機能するように正確に設計されています。曲線の半径、各点の柔軟性と剛性 – リンクごとに微調整が組み込まれています。これは、あらゆる点で特注のエンジニアリングを表しています。」と Carr氏はデザインの概念の変化について説明している。

Uniform Wares

まとめ。材料廃棄を削減し受注生産の形も確立

また、3Dプリントでは、材料廃棄物の量が削減されるだけでなく、何千ものオーダーを事前に注文するのではなく、必要に応じて時計を製造することができるのも大きい。

同社は今回のコラボレーションが成功した後、両すでに次のプロジェクトについて動き出している。今回の3Dプリンターの利用方法は、コストを削減し、効率化を図るだけではなく、デザインのあり方や、生産体制にいたるまで変えつつある。

Form2とジレットの3Dプリントカスタムシェーバー

髭剃り・シェーバーのジレットの新たな挑戦

シェーピングメーカーの代表でもあるジレット。日本でも有名なマサチューセッツ州の企業だ。ジレットが急成長したストーリーの背景には、カミソリの刃を付け替えられて、刃を使い捨てにするというビジネスモデルがあげられる。そんなジレットが新たに3Dプリンターを使った画期的なマスカスタマイズの取り組みを発表している。それがForm2によるオンデマンド製造だ。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2の生産システムFormCellを使ったオンデマンド生産

Form2は、Formlabsが提供する高性能な光造形3Dプリンターだ。昨年、Formlabsは、Form2の3Dプリンタの生産性と製造能力を向上させた自動生産システムであるForm Cellを発表した。

このエンドツーエンドのソリューションは、多数のForm2を配備し、ソフトウェアにおいて一元管理することで、3Dプリンターによるオンデマンドな少量生産を実現するものである。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

シェーバーのハンドルをカスタマイズ。48種類のデザインが登場

そして、今回行われた3Dプリントプロジェクトは、新たなRazor Makerコンセプトのパイロットモデルだ。エンドユーザーからのパーソナライズしたオーダーに対して、持ち手の部分をForm2で個別に製造する取り組みだ。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

7種類の素材から選べる

顧客は、Razor Makerウェブサイト上で独自のハンドルを作成できるようになり、デザインとカラーを選んで購入することができる。そこでは、Form2でのみ製造可能な非常に複雑な48のデザインを選択することができる。カラーはブラック、ホワイト、レッド、ブルー、グリーン、グレイ、クロムの7種類だ。

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

Form2 Formlabs Gillet 3Dプリントシェーバー

エンドユーザー向け商品の3Dプリントカスタムメイドの幕開け

FormlabsのDávidLakatos最高財務責任者は次のように述べている。「3Dプリンターによる大規模なカスタマイズは、消費者がプリントされた最終品を使用するのが現実になりつつあります。歴史的に、3Dプリンターは、製品開発のプロセスや、製造プロセスに関わってきましたが、消費者は3Dプリントそのものとの関わりはほとんどありませんでした。我々はジレットと提携することに興奮しています。これらの新たなカスタムカミソリハンドルは、そのダイナミックを変え、3Dプリントされた製品を直接消費者の手に渡すための次のステップです」。

オンラインストアでカスタマイズし、Formlabsで生産

ジレットのRazor Makerハンドルは、注文を受けるとFormlabsのボストン本社にあるForm2、およびFormCellで3Dプリントされ納品される。ちなみにこのカミソリハンドルは、同社のMACH3およびFusion5 ProGlideカミソリカートリッジと互換性があるため、刃を付けかえれば何度も使用可能だ。現時点では、カスタマイズ3Dプリント剃刀ハンドルは、米国内のお客様のみ利用可能となっている。

まとめ

Razor Makerコレクションの価格は、部分的に3Dプリントされたハンドルの場合は19ドルから、完全に3Dプリントされたハンドルの場合は25ドルで利用可能。更に注文されたすべてのハンドルには、カミソリカートリッジが付属する。7種の素材のうち、クロムの場合のみ39ドルと45ドルで提供している。納期は注文から2〜3週間かかるとのこと。

Form2の完全使い方ガイドはこちらです

金属3DプリンターのXJetがイスラエルで世界最大の3Dプリントセンターを開設

3Dプリントセンターを開設する世界的な動き

現在、世界中で新たに3Dプリントセンターを開設する動きか盛んだ。特に金属3Dプリンターの分野でその動きが顕著だ。レーザー焼結方(SLS、DMLS)などの金属3Dプリンターは、プラスチックの3Dプリンターと違い、材料特性をそのまま再現することが可能で、最終品の製造にも利用できるためだ。

プロトタイプから最終品まで一貫して製造できれば、製造業の競争力は飛躍的に向上する。今回ご紹介するXJetは、液体金属のインクジェット製法により、金属やセラミックを作る3Dプリンターのメーカーだ。そして今回新たにイスラエルに大規模なアディティブマニュファクチャリングの3Dプリントセンターを開設した。

Xjet 金属 セラミック 3Dプリンター

Xjetの記事はこちら「液体金属のインクジェット3DプリンターXjet。滑らかさと高速生産を実現

液体金属とセラミックによる巨大3Dプリントセンター

今回新たに開設されたXJetの3Dプリントセンターは、その投資額が1000万ドルを超え、Rehovot Science Parkに8,000平方フィートの広さで作られたものだ。このセンター施設にはXJet の3Dプリンター、Carmel AMシステムで構成された世界最大の金属、セラミックの3Dプリンタコレクションが設置されている。

XJetの3Dプリンター、CarmelラインAMシステムとは、XJetの特許取得済み技術、ナノパーティクル・ジェッティング(NPJ)技術を利用したものた。

この造形方式は、インクジェット製法の一種で、材料をナノレベルの粒子のインクにして噴霧し使用して物体を構築する。材料は液体状で、液体中にナノレベルの金属粒子、もしくはセラミック粒子が配合されており、これらが3Dプリンタに装填されビルドトレイ上に造形モデルとサポート材が噴霧され超微粒子滴が堆積される。

ビルドトレイの内部では高温で加熱されインキの液体懸濁液を蒸発させる。あとは体積されたセラミックまたは金属の部分が残る仕組みだ。最後に、プリント工程が完了したあと、部品を焼結させることで、サポート材料を除去し完成となる。

この手法は、HPのmulti jet husionなどににているが、XJet独自に開発されたもので、造形物の特長としては細かいディテール、滑らかな表面、正確な精度で非常に複雑な部品を生産することができる点だ。今回登場したThe AM Centerは、更に新たな3Dプリント材料やアプリケーションの開発も行われるとのこと。

金属とセラミックによる最終品生産の道

XJetのHanan Gotha最高経営責任者(CEO)は、次のように述べている「新しいAMセンターは、幅広いマルチマテリアルプリントの追求の重要な部分です。 XJet Carmel AMシステムは現在、ステンレススチールまたはジルコニアの2種類のプリント材料を使用できます。私たちのビジョンは、同じパーツに多数の金属とセラミックスを同時にプリントするプラットフォームです。 AMセンターを使用して、特殊用途の開発やデモンストレーション、世界の顧客にむけたテスト部品のプリント、新しい金属およびセラミック材料のトライとデモンストレーションを行います。」

Xjet 金属 3Dプリンター

Xjet セラミック 3Dプリンター

まとめ

現在、金属3Dプリンターを中心に、モノづくりにおける一貫した3Dプリンターの利用が開始されている。そしてそれを体現したものが3Dプリンターセンターなのだ。金属3Dプリンターであればプロトタイプから最終品まで、一貫して利用することができる。

これにより、製品開発のコストとリードタイムが飛躍的に高まるだけではなく、マスカスタマイズなど、多品種生産にも対応可能だ。3Dプリンターの発展により、モノづくりは次世代への道へと進む。