CIAの投資機関In-Q-Telが電子機器の3DプリンターVoxel8に投資

電子回路と筐体を同時に作れる3Dプリンター

今年の1月に発表されたVoxel8、樹脂素材に導電性インクの電子回路を内蔵しプロトタイプを作ることができる3Dプリンターだ。通常、従来の製造技術では全ての電子機器、電化製品は外面をおおう筐体と内部の電子回路は別々のラインで製造するのが当たり前で、今の3Dプリンターでさえも既存の射出成形などの樹脂成形の代替手段に過ぎない。

しかし、Voxel8は、筐体と電子回路を同時に製造してしまおうという画期的な新技術になる。Voxel8の詳しい内容は、以前ご紹介した記事「導電性インクの電子回路を内蔵できる3DプリンターVoxel8」をご参照いただければと思うが、この新たな時代の製造マシーンに対して、アメリカの投資機関In-Q-Telが出資を行ったという。

CIAの投資機関In-Q-Telとは

In-Q-Telは、過去にも有名になったアメリカ中央情報局、通称CIAの専門ベンチャーキャピタルで、以前から自らの諜報能力や情報技術を工場させるようなハイテク企業に投資している。In-Q-Telが過去に投資してきた企業の数は200社以上とも言われており、その分野は多岐に渡る。今では私たちのコミュニケーションツールとして普及しているFacebookもそのうちの一つだ。

CIAと聞くと、諜報機関のイメージが強いが、インテリジェンスや安全保障とは一見すると関係の無い分野にも投資している(厳密に言うと何らかの形で関係があるのだが)。それは彼らが独立した非営利の組織として存在しており、1999年に発足して以来、投資の目的が米国インテリジェンスコミュニティ(IC)や新興商業革新の技術ニーズとの間のギャップを埋めるためのものであるからであろう。

複合材料のプリント技術の開発

今回Voxel8がIn-Q-Telから投資された金額は非公開だが、少なくとも彼らの3Dプリンターをマスマーケットにもたらすだけの資金調達になっているという。現在Voxel8の製法はFDM(熱溶解積層法)をベースにしており、押し出しノズルからPLA樹脂が積層される。

それと同時に10個の導電性インクカートリッジが付属しており、PLA樹脂の間に回路が組み込まれるというわけだ。また使用されるソフトウェアも通常のCADソフトではなく、オートデスクのプロジェクトワイヤーと呼ばれる新たなソフトウェアが使用される。これを使えば、物体の内部に電子回路や電子部品を設計できるというわけだ。

今回の資金調達では、更なる複合材料のマルチプリント開発も視野に入れているとのこと。確かに耐熱性が低いPLA樹脂では作られるものも限定されてしまうが、さまざまな性能をもつプラスチック素材を組み合わせることができれば、現代の多くの電化製品に近づけることができるわけだ。

まとめ 世界中どこにいても電子機器をダイレクト製造

In-Q-TelがVoxel8に投資する一番の理由として、データを送信することができれば地球上いかなる場所に置いても、カスタマイズされた電子機器が製造することができるといったことが挙げられる。現状のVoxel8の精度ではプロトタイプをつくるレベルに過ぎないが、この投資によって研究開発が進み、さまざまな材料を複合したクオリティの高い電子機器をつくることができれば、製造の概念がますます変わって来る事になる。3Dプリント技術の開発と発展は億深く、そしてさまざまな範囲に拡大していく可能性を秘めている。

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