4色フルカラーの光造形3Dプリンターの開発

フルカラー3Dプリンターの開発状況

3Dプリンターの開発で最も注目を集めるものがフルカラープリントの実現化だ。現在フルカラーで登場しているモデルは高性能なハイエンドモデルで製法もインクジェット3Dプリント技術を利用したものや、石膏素材に限定されたもの。樹脂を溶かして積層するFDMタイプや、液体のエポキシ樹脂アクリル樹脂、更にはポリウレタンをベースにした紫外線硬化性樹脂に紫外線を当てて硬化する光造形タイプでは単色でのプリントが現状だ。FDMタイプの3Dプリンターでは積層ごとにノズルを変えるグラデーションプリントであれば実現しているが、これは色を自由に再現するフルカラーとは言えない。現状では、この二つの技術でフルカラーを可能にするモデルはいまだ登場していないと言えるだろう。

そのような中新たに4色のインクカートリッジを使った光造形3Dプリンターの開発が進んでいる。この新たな光造形3Dプリンターの開発を行なう企業はキプロスベースのIlios Rayという企業だ。造形モデルや動画は公開されていないが、スペックやプリンターの構造が公開されている。本日は注目が集まるフルカラー3Dプリンターの開発状況についてご紹介。

キプロスベースの企業Ilios Rayが開発状況を公開

キプロスは伝統的にロシアと関係が最も深い地域だ。キプロスに別荘を持つロシア人やロシア人観光客はものすごく多い。もともとロシアや旧ソ連、ベラルーシやアルメニアといった国々は、レーザー技術で世界的に最も進んだ国だ。科学技術や製品開発では我々日本人とは全く異なる思考法や製品コンセプトを持つ人種だ。例えば放射能測定器の分野では、目に見えない放射線を光に変更するシンチレーション技術の利用で最も優れた製品を開発している。

ちなみにキプロスのIlios RayのRayとは光線という意味で、光技術やレーザー技術を専門とする企業。上記は余談だがこのIlios Rayがリリースしている光造形3Dプリンターは何と4色の樹脂カートリッジを使って、インクジェットプリンターのように4色フルカラーのモデルを作ることができるという。下記はIlios Rayのフルカラー光造形3Dプリンターのスペックだ。

内部構造の図
樹脂にインクを混ぜる技術か

Ilios Ray光造形3Dプリンタースペック

  • プリント解像度:22ミクロン(0.022mm)
  • レイヤー層:6ミクロン(0.006mm)
  • プリントスピード:1層/10秒~15秒
  • 造形サイズ:297mm×211mm×300mm
  • プリンターサイズ:892mm×512mm×200mm
  • 繰り返し精度:300mmあたり0.01mm
  • カートリッジ:4×220ml

まとめ

ちなみにこのIlios Rayが開発する光造形3Dプリンターは価格は14995ユーロ、約220万円と非常に高い。出荷予定は2015年3月予定だが、フルカラーで実際に作られたモデルや、造形中の動画が無いため実際に作れるかどうかは疑問。製造技術は図面が公開されているが、光造形にインクをミックスさせるような製法にも見て取れる。いずれにせよ今後の発表に期待したい。

光造形の原理と仕組み、種類についてはこちらをどうぞ

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