電池を3Dプリントできる超導電性素材グラフェンのフィラメント登場

グラフェン配合の3Dプリントフィラメントの開発

過去1年間にわたり未来の新素材と言われるグラフェンの、3Dプリント開発についてその開発状況を追ってきたが、とうとう3Dプリンター用のフィラメント材料が公開された。

開発を発表したのはグラフェンの研究開発を行なうグラファイト・テクノロジー社のスピンオフ企業グラフェン3Dラボだ。グラフェンは今世界中の最先端企業や、国の研究機関が開発を進める次世代型の新素材。

このグラフェン3Dラボ以外にも3Dプリンターメーカーのストラタシスや、ウクライナの国家機関と共同研究を進めるアメリカングラファイト社、中国の国策企業などでも開発が行われている。グラフェン3Dラボはこうした各国や各社に先駆けて、いち早くグラフェンの3Dフィラメントの開発に成功したと言える。

ここでグラフェンの3Dプリントフィラメントをご紹介する前に、再度グラフェンの特長と何に利用できるのかをご紹介しよう。まずグラフェンとは炭素原子で作られたシート状の素材になる。

その特長だが、簡単に言うと世界で最も薄く、世界で最も強靭で、最も堅く、高い導電性を持つ素材といえるだろう。その薄さは1mmの厚さを達成するために300万枚のグラフェンシートが必要であり、鉄の100倍丈夫で、ダイヤモンドよりも硬い。

そしてきわめて高い導電性を持つ素材だ。その利用可能性はさまざまな分野に及んでおり、例えばグラフェンを使えばその柔軟性と強靭性、導電性を活かし、折り曲げできる電化製品などが作れると言われている。

グラフェン 形状

炭素原子で構成されるグラフェン

グラフェン3Dラボ

グラフェン3Dラボと最高経営責任者(CEO)、ダニエルストリャロフ ​​氏

空気亜鉛電池からリチウムイオン電池まで3Dプリントする

今回グラフェン3Dラボが発表したグラフェン配合の3Dプリント材料は、FDM(熱溶解積層法)で使用することができるフィラメントだ。熱可塑性樹脂にグラフェンが10%配合されたこの特殊フィラメントは電池を3Dプリントするために使用される素材。

下記の動画では、このグラフェンフィラメントを使って3Dプリントし、それがバッテリーとして機能していることを示している。この最初のプロトタイプは空気亜鉛電池のプリントで使用されたもの。

空気亜鉛電池は現在は補聴器用のボタン型乾電池に使用されるもの。今回のプロトタイプでは5つの異なるグラフェン複合材料をプリントしそれを重ねることで構成されている。

グラフェンフィラメントと電池のプロトタイプ動画

グラフェン粉末

グラフェンの粉末、熱可塑性プラスチックと混ぜる

グラフェン ペレット

熱可塑性プラスチックと混ぜ合わせたペレット

グラフェン 3Dプリント フィラメント

グラフェンが10%配合された3Dプリント用フィラメント

グラフェン 3Dプリント 電池

グラフェンフィラメントでつくられた電池のプロトタイプ

グラフェン 3Dプリント 電池 テスト

プロトタイプの導電性テスト

今回のプロトタイプ製作では空気亜鉛電池のプリントにとどまったが、将来的にリチウムイオン電池の3Dプリントも行うようにするとのことだ。リチウムイオン電池は軽量小型で高電圧という特長を持ち、パソコンや自動車、スペースシャトルまで幅広く現代の電子機器に使用されている電池。負極にグラファイトなどの炭素材を使用していることからグラフェンの使用は大いに期待できる。

レーザー焼結用のグラフェン粉末も開発する

今回開発されたグラフェンの3Dプリントフィラメントは、FDM(熱溶解積層法)という糸状のプラスチックを溶かして積層する3Dプリンターに対応している。これは現在市販されている多くのFDM3Dプリンター、MakerBotsやUltimakerなどでも使用が可能で、ABSフィラメントPLAフィラメントと同じように使用することが可能だ。

また、グラフェン3Dラボは、現在レーザー焼結法の材料に対応させるため、グラフェン配合の粉末素材の開発も行っている。レーザー焼結法も今年の2月に特許が切れることで、既に低価格帯の3Dプリンターが登場し始めている。

熱溶解積層法とレーザー焼結両方の製法でグラフェンが3Dプリントできれば、まさに未来の電化製品の開発が一気に加速するかもしれない。

グラフェン 塊

グラフェンは花の上に乗るぐらい軽い

まとめ グラフェン3Dプリントの潜在的可能性とは

それでは具体的にグラフェンの3Dプリントはどのような製品開発に利用することができるのだろうか。

例えば、プロトタイプで示された電池の3Dプリントでいうと、デバイスの設計に合わせて任意の形状に電池を3Dプリントすることができるようになる。

また、ヒートシンクでの利用も期待できる。ヒートシンクは放熱器と言われ、電子機器には必須の部品だ。

電子機器は電気で発熱し、温度が上がってしまうので、熱の放散で温度を下げる必要がある。このヒートシンクはあらゆる電子機器に使用されており、形状や大きさもさまざま。小さいものでは数mmレベルで、大きいと数メートルに及ぶものもある。現在は金型による押出成形が一般的だが、これが3Dプリントで作ることができれば電子機器の機能やデザインに合わせた製造が可能だ。

こうしたグラフェンの利用は高い導電性と強度、薄さ、柔軟性によるものだが、その最大の潜在的用途は、電子回路製造の圧倒的効率化だと言える。

通常、電子回路はプリント基板状に多くの電子部品をはんだ付けして作られるが、形状はボード状と決まっている。しかしグラフェンの3Dプリントであれば薄くても高い導電性を発揮でき、なおかつ物体自体に電子回路を組み込むことができるかもしれない。

こうした機能は、自由に折り曲げできるスマートフォンや、薄いペラペラのパソコンなどが作られる可能性があるだろう。グラフェンの3Dプリント材料はまだ開発されたばかりだが、将来のデジタル家電の製品開発を大きく拡大させてくれる。

電子機器のクオリティを決める、はんだの重要性に関する記事はこちらをどうぞ

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2014.10.24 投稿者:i-maker

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