グラフェンの3Dプリント材料を商業化する巨大生産設備がオープン

続々と始まるグラフェンの3Dプリント利用

次世代素材として最も期待される素材がグラフェンだ。グラフェンは未来の電子機器を構成するための素材として多くの企業が研究開発を行っている。

以前もたびたびご紹介させていただいたが簡単にその特長を整理すると、世界で最も薄く、最も軽く、最も丈夫で、自由に折り曲げることが可能で、世界で最も伝導性が高い素材だ。

ポストイットで有名な世界的メーカー3Mも、もともとは電気・電子分野の素材を取り扱うメーカーであることからこのグラフェン素材の開発に大いに期待を寄せている。そのグラフェンの実用化と製造開発が2014年度に入り着々と進展している状況だ。

各社が実用化に向けて動いている中、新たに巨大な生産設備を開設する動きが登場した。その生産設備ではグラフェンの3Dプリント材料の生産も開始されるという。Grafoid社の新たな3Dプリントグラフェン設備をご紹介。

3Mのグラフェンイメージ動画

透明導電性フィルムや柔軟性のある電子機器が作れる素材

本格的なグラフェンの商業材を生産開始

グラフェンの3Dプリント研究開発を行う企業が続々と登場している。この分野で最も有名なのが、アメリカのグラファイトテクノロジー社だが、3Dプリンターメーカーとしてトップを走るストラタシスもこの分野に参入している。

各社が続々とこの分野に参入する中、本日ご紹介するGrafoid社は新たな巨大生産設備の開設でいち早く市場に参入しようとしている。

Grafoid社は2011年設立のグラフェンの研究開発企業で、世界有数のグラフェンの研究開発機関であるシンガポール国立大学のグラフェン研究センター、フォーカスグラファイト社、グラファイトゼロ社などと提携し、他社に先んじて本格的な商業材を市場に投下する予定だ。

その中心となるのが今回立ち上がった巨大生産設備。その面積は21000平方メートルにも及び生産だけではなく、研究開発、材料試験なども行う。

グラフェンの専門企業と国立大学の協力体制

Gradoid社動画

まとめ

Grafoid社はこのグラフェンの3Dプリント材料の商業化に向け、5000万ドルおよそ50億円の予算を投入している。具体的にグラフェンの3Dプリントフィラメントと粉末材を開発するために、金属・合金および複合材料の材料プロセス工学の専門知識を持つ企業Altamat株式会社と提携している。

Grafoid社によると次の1年から2年の間で、この分野の高い技術力を持つ専門化を160名増員し、グローバル規模でグラフェン3Dプリント材料の商業化に結び付けたいとのことだ。3Dプリンターの技術はここ1年間で驚く程進んでいるが、あと1年から2年経過すればその精度や、クオリティは更に向上するに違いない。

3Dプリント技術のレベルが上がれば上がるほど、新たに登場する材料の価値もどんどん向上していくことになる。とりわけグラフェンはその物性から、柔軟性がある電化製品や透明導電性フィルムなど、これまで実現不可能であった商品をつくることが可能になる。

それが3Dプリント技術が持つカスタマイズ性とオンデマンド生産という二つの特長で利用できれば、世界を変える革命的商品やサービスが登場するかもしれない。今後のものづくりには目が離せない分野だといえよう。

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