3Dプリンター最大の課題 スピードの向上
3Dプリンターの市場規模は今後10年で急速に拡大していくと予測されている。
その背景にあるのは3Dプリント技術の大幅な向上だ。しかし、現在の3Dプリンターの性能には様々な課題が残る。
課題として最も大きいのが造形スピードだろう。現在の3Dプリンターは造形スピードが遅く、物体の形状や大きさ、解像度によって異なるが、大体1cm積層するのに1時間程度の時間はかかる。
そのため、物にもよるが1つの3Dプリンターで1日1個作るのが正直なところ現在の生産キャパシティだろう。
欧米の一部の製造メーカーなどでは特定のパーツ製造を3Dプリンターでの生産体制に切り替えるとの計画があるが、従来と同様の生産数を満たすためにはある程度まとまった台数を導入する必要がある。
そのため造形スピードの向上はそのまま生産性につながるため、ある意味最大の急務と言えるのではないだろうか。
従来1台の3Dプリンターで1日1個しか生産できなかったものが、1日2個作れるようになれば、初期の設備投資にかかる資金は半分で済むからだ。
今回新たに、3Dプリンターの造形スピードの研究開発は各社が推し進めているところだが、新たに世界最大のIT起業グーグルと、3Dプリンターメーカーのリーディングカンパニー3Dsystemsが3Dプリンターの高速化で共同研究を推し進めていることが分かった。
スマートフォンのモジュール生産用の高速3Dプリンター
グーグルと3Dsystemsが共同で取り組む目的の先には、スマートフォンのモジュールを3Dプリンターで生産するという計画がある。
その根本にもなっているのがモトローラが進めるProject Araだ。
グーグルはモトローラを2014年1月に中国のレノボに売却しているが、Project Araを推し進めるモトローラの研究開発部門のATAP(Advanced Technology and Projects)だけは手放していない。
このATAPはアメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)の元ディレクターレジーナ・デューガン氏が率いる先端技術のプロジェクトでグーグルグラスの開発などにもその技術が応用されている。
Project Araはスマートフォンをユーザーの好みやライフスタイルに合わせて3Dプリンターで自由に作れるオープンプラットフォームだが、現在の3Dプリント技術では限界がある。
最終的にはグーグルは、消費者が自由に好きなデザインのモジュールを選択し、高速で3Dプリントされ提供されるようにしたい方向だ。
また、モジュールやディスプレイ、キーボードといったパーツだけではなく、電子素子の3Dプリントもできるようにしたいとのことだ。
これにより消費者の完全なカスタマイズに応えることができるうえに、全てのパーツを3Dプリントすることで、部品交換を可能にし、携帯電話の長寿が可能になるとしている。
Project Araで提供される3Dプリントモジュールのプロトタイプ
電子素子のテストプリント
画像元:グーグルATAP
まとめ
Googleと3Dsystemsによって、3Dプリントが高速化がされことで、さらに3Dプリンターの普及が加速するだろう。
また、高速化が一般化されれば更なる低価格化を実現し、高性能で速い3Dプリンターが製造可能になるかもしれない。二次元プリンターと同じように一家に1台ということが現実化する可能性がある。
このプロジェクトでも取り組まれているが、モジュールやディスプレイ、キーボードといったパーツ類以外に、電子素子の3Dプリントも研究されている点が興味深い。
最近では電子回路を3Dプリントする動きや、基盤を3Dプリントする研究開発も盛んにおこなわれている。
これにより、現在のProject Araはスマートフォンのカスタマイズプロジェクトだが、それ以外の様々な電子機器のカスタマイズ製造に結び付くようになるだろう。
既にグーグルはここ数年で、様々なメーカーの買収を行っており、単なるIT企業としてではなく、モノの分野にまでその技術と創造性を拡大しつつある。今後の動きが気になるところだ。
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