わずか6分で高性能な物体をつくるDLP 3DプリンターGIZMO 3D

光造形3Dプリンターの進化

3Dプリンターの進化が止まらない。先日新たな光造形3Dプリンターとして射出成形並みの滑らかな仕上がりが出来るプリンターCarbon3Dをご紹介したが、同じような高精細な仕上がり、尚且つ高速に造形することが出来る新機種が登場している。今回ご紹介するのはオーストラリアのメーカーGIZMO 3Dプリンターだ。

このGIZMO 3DプリンターもCarbon3Dと同様、光造形技術を使用しているが、DLP(ダイレクトライトプロセッシング)法を使用している。しかし、DLPは一般的な光造形法として多くのメーカーが導入している技術。光造形で代表的な3DプリンターはB9Creatorや、1台5万円から購入出来るとして注目を集めたLittleRPなど、多くのメーカーが存在する。

今回登場するGIZMO 3Dプリンターは、こうした従来からのDLPによる3Dプリンターと比べ、圧倒的に速く、高性能で造形出来る性能を持つ。その性能はわずか6分で大きな物体を50ミクロンの精度で造形できるという。Carbon3Dプリンターが従来の光造形の25倍から100倍の速度でプリントすることが可能だが、このGIZMO 3Dも同様の高速性を持っているようだ。

因みに光造形とは、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂や、アクリル樹脂をベースにした紫外線硬化性樹脂に、紫外線を照射して硬化させていく技術。最近では材料も拡大し、ポリウレタンのゴムライク材料なども登場してきている。デスクトップタイプではFormlabs社のForm2などが人気だ。

50ミクロンの精度の物体をわずか6分でプリント

それではこのGIZMO 3Dプリンターは、一般的なDLP 3Dプリンターと比べてどのような点が異なるのだろうか。一般的なDLP製法と最も異なる点は、プラットフォームすなわちビルドプレートの動きが異なる。

通常のDLPの3Dプリンターはボトムアップ、すなわち下から上にプレートが上がり、吸引しながら液体のエポキシ樹脂に赤外線を照射し積層して固めていく方法が取られる。しかし、GIZMO 3Dプリンターのプラットフォームは全く逆のトップダウン方式をとっており、上から下にビルドプレートが下がっていく方法になる。

この方法の最大の利点は、液体樹脂を吸引する必要がなく、綺麗で積層のむらがない仕上がりが可能だ。通常のボトムアップ方式だと、吸引による課題、層ごとにプレートを停止させ吸引・照射して固めるという動きがなくなり、積層の継ぎ目が必ず出てしまう。

しかし、GIZMO 3Dプリンターはスムーズにトップダウンの動きを取るため、層ごとにプレートを停止する必要がなく、滑らかな仕上がりができるというわけだ。ちなみにこのトップダウン方式に関する技術は公開されておらず、企業秘密。これによってアニメーションのような「連続印刷」が可能になるとのこと。

また、下記の動画にも見られるとおり、印刷スピードも高速化が実現されており、なんと、わずか6分で150mm×80mm×26mmの大きさの物体を50ミクロンのZ軸解像度で造形可能。従来のDLP3Dプリンターをはるかに凌ぐ性能だ。

GIZMO 3Dプリンター動画

ちなみにこのGIZMO 3Dプリンターは3種類のラインナップを揃えており、GiziMate、GiziPro、GiziMaxの3種類でそれぞれに、ベーシックモデル、HDモデル、HD+モデルがあり、合計9種類。価格はGizeMateのラインが2500ドル、2900ドル、3200ドルとなっており、ProとMaxは未定。また、従来のDLP3Dプリンターとは異なり、マルチカラーパッドを使用して異なる色の複数の物体を造形すること出来る機能を持つ。正式な注文はキックスターターで受付が開始され今年の9月から。

GIZMO3Dプリンタースペック

  • 最大造形サイズ:400mm×250mm
  • 最大造形高さ:200mm(GiziMate)、380mm(GiziPro)、850mm(GiziMax)
  • 解像度(XY):50ミクロン(通常バージョン3種共通)、35ミクロン(HDバージョン3種共通)
  • プロジェクタールーメン:3000(通常・HD)3500(HD+)
  • 最大Z解像度:1ミクロン

まとめ 高速マルチカラーの物体を複数プリント

光造形3Dプリンターが着々と進化している。今回のGIZMO3Dプリンターや、Carbon3Dのように、継ぎ目がないなめらかな仕上がりの造形が可能になり、さらに製造スピードも高速化していくことで、3Dプリンターの幅を大幅に拡大していくことになるだろう。最終的に行き着く先はダイレクトな最終品の製造である。

そうした点から言うと、GIZMO3Dプリンターはなめらかな仕上がりで尚且つ高速につくることができる。また今回公開はされなかったが、マルチカラーパッドを使用することで異なる色の物体を同時に複数つくることが可能だという。今後の開発状況から目が離せなさそうだ。

光造形の原理と仕組み、種類についてはこちらをどうぞ

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