ディズニーからスターウォーズまで
3Dsystemsは2013年度3Dプリントに関する様々な企業を買収してきたが、2014年度も最初の買収を発表した。
今回新たに買収されたのは映画キャラクターの3DモデリングのリーディングカンパニーGentle Giant Studios。
Gentle Giant Studiosはディズニーキャラクターから始まり、ハリーポッター、スターウォーズ、アイアンマンやハルクなどのマーベルシリーズ、ロード・オブ・ザ・リング、アバタ―など、大ヒット映画のキャラクターフィギュアの3Dモデリングデータを制作する企業だ。
Gentle Giant Studiosはこうした有名映画のキャラクター製造のライセンスを持ち、多くのフィギュア製造を行っている。
また、フィギュアに限らずおもちゃとエンターテイメント分野のグッズ製造で20年以上の歴史を持ち、3Dスキャニングとモデリングといった最新技術を駆使することでいち早く時代の先を言っている企業。
3Dsystemsは今回の買収によって、消費者をターゲットにしたプラットフォームにGentle Giant Studiosの技術と膨大な量のデジタルコンテンツを格納し、3Dプリントできるサービスを整える見通し。
また3Dプリント技術はオンデマンド対応によるカスタマイズが可能であるため、欲しい映画キャラクターが簡単にカスタマイズして購入することができるかもしれない。
スターウォーズシリーズのフィギュア
アイアンマン
スパイダーマン
消費者向け製品を可能にする3Dプリント技術の向上
映画キャラクターのフィギュアを3Dプリントして消費者に提供する場合に最も気になる部分がフィギュアの精密さやリアル感だ。
3Dプリント技術によってカスタマイズが可能になるとはいえ、仕上がりが良くなかったら決して購入には結びつかないだろう。
しかし3Dsystemsは今回のGentle Giant Studiosの買収発表前に、新たな新製品の発表も行っている。
第一に昨年末に発表された世界で初となる高性能なフルカラープラスチック3Dプリンターー「ProJet® 4500」の発表だ。
フルカラー3Dプリントは今までは石膏での出力のみになっていたが、「ProJet® 4500」の登場で高性能なフルカラーのプラスチック製品の出力が可能になる。
また、2014年1月の頭に、デスクトップタイプのフルカラー3Dプリンターの計画を発表した。性能等の詳細なスペックはいまだ不明だが、2014年下半期にわずか5000ドル(約50万円)の価格で提供することを計画している。
こうした3Dプリント技術の向上はフィギュアやキャラクターグッズといったエンターテイメント分野に莫大な利益をもたらすと考えられる。
例えば映画キャラクターのポーズや服装、アイテムなどをウェブ上で自分の好きなように自由にカスタマイズし、高性能の3Dプリンターで出力することができれば利用者の拡大が一気に見込まれるのではないだろうか。
3Dプリントサービスを提供する大型小売店との提携可能性
しかし、デスクトップタイプのフルカラー3Dプリンターが登場したとはいえ、1台50万円近い金額のものをわざわざ購入してまで、自宅で製品を作るという動きにはなかなかならないのではないだろうか。
そのような状況の中動きが注目されるのが大型小売店の動きだ。以前本サイトでも紹介させていただいたがアメリカやイギリスの大型小売チェーンでは3Dプリントをサービスとして取り入れる動きが検討されている。
世界最大の小売りチェーンウォルマートは子会社であるイギリスの小売チェーンアズダのニューヨーク支店で3Dスキャニングサービスを開始している。また、イギリスのスーパーマーケットチェーンテスコでも3Dプリントサービスの導入を検討しているようだ。
こうした巨大小売チェーンが今回の3Dsystemsの買収によって、映画キャラクターの3Dプリントをウェブ上で可能にするシステムを作り上げれば、何らかの形で提携を行うことが予測される。
まとめ -3Dsystemsの3Dプリント2.0-
3Dsysstemsが行っている一連の買収はある事業戦略に基づいて行われているものだ。
3Dsystemsはこの一連のプロジェクトを3Dプリント2.0と呼んでいる。
一言で言うと3Dプリント技術は第二段階に入っており、それは消費者製品と最終製品の製造を可能にすることを意味している。
そのため自社で進める高性能プラスチック3Dプリンターや消費者向け製品の製造を行う企業の買収はこの3Dプリント2.0に基づいて行われているものだ。
まさに各専門企業が予測している3Dプリント市場の成長とこれからの時代を体現した取り組みと言える。
一方でこの3Dプリント2.0の加速によって各製造シーンや流通、小売り、はてはサービスを享受する消費者にとってどのような影響があるのか今後も注視していく必要がある。
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