イタリアのハイテクニュースサイトLineaEDPがインタビュー
以前も本サイトで何度もご紹介させていただいたが、GEは自社製品の開発にクラウド上でデザインを募集して効果を発揮している企業だ。
次世代型ジェットエンジンのブラケットのデザインを、プロダクトデザイナーやエンジニアが登録するサイトGrabCADで募集し、インドネシアのデザイナーの製品が選ばれている。
このジェットエンジンブラケットの応募者は結局、全世界56カ国、700名近いデザイナーから応募があり、2回に分けて審査されたものだ。1次審査では10人のデザイナーが選出されたが、イタリアのテック系ニュースサイトが、7位に入賞を果たした自国のプロダクトデザイナーのインタビューを行っている。
製造業の中に置いてITと3Dプリントという二つのデジタル技術が主流となりつつある中、これからのモノづくりの中心となるであろうデザイナーの意見を知る参考になるためご紹介したい。
ちなみに7位に入賞したイタリアのデザイナーアンドレアスさんはミラノ工科大学の学生で、専門分野はプロダクトデザイン。
GEとGrabCADのジェットエンジンブラケットの記事はこちらをどうぞ
7位に入賞しインタビューをうけるアンドレアさん
アンドレアさんのデザインしたジェットエンジンブラケット
Q-1 このコンテストに参加するのは初めてですか?
私にとってこの種類のコンテストは初めてでした。特に3Dプリントを使ってデザインするということも始めてでした。
Q-2 あなたは海外でデザインを勉強されていますが、海外のデザイン教育はイタリアと比べてどうですか?
私は幸運なことにフランスの学校で3年間学ぶ機会を得ましたし、また半年間ロンドンに住んでいました。ミラノ工科大学は私に素晴らしい教育を与えてくれました。工業デザインの分野では国際的なレベルにあると考えています。しかし、それはイタリアの大学の平均的なレベルではありません。
イタリアの学生や起業家が事業を行うためにはある奇跡が必要です。(筆者注:起業家や学生がビジネスを立ち上げるには、企業支援や資金的な面での援助が必要とのことだと思われる)
しかし海外の企業は起業家の事業を促進し育てるために企業が直接起業家や学生を支援し教育します。
Q-3あなたがGEの行ったコンテストで入賞したことは、私たちの国に革新的な若者がいることを示しました。今回GEが行ったようなチャレンジコンテストは、才能のある優秀な若者を企業が見つけることの助けになり、ひいてはイタリア経済を復活させると考えますか?
私は間違いなくそう思っています。GEは今回の不思議なチャレンジコンテストの入賞者を全世界に対して発表しメディアキャンペーンを行いました。私はこのGEの発表は私と同じようにモノづくりの世界に入ろうとする若者にとって非常に重要な意味を持っていると考えています。
Q-4結果を出すには勉強ももちろん大切ですが、勉強に加えてどんなことが重要ですか?
それは情熱です。自分の作品を作ることや改良することに対して多くの時間を割くのも情熱があるためです。情熱があれば、多くの時間を割くことは負担ではなく喜びになりますし、その分結果も出しやすくなります。
Q-5 3Dプリント技術はビジネスをどのように変えると思いますか?また、イタリアのレベルは他のどの国のレベルと同等だと考えますか?
3Dプリント技術はここ数年はまるでSF小説の世界のように感じました。しかしそれは間違いなく未来への扉を開く技術です。また小ロット生産のデザインの世界においてはパーツや部品の試作を可能な限り早くする能力があります。
3Dプリンターはプロトタイプを作るためのコストと時間を大幅に削減します。
私は自宅のパソコンから接続して自分の必要なものをプリントする日を楽しみにしています。まさに製造革命だと思います。現在でも3Dプリント技術は非常に専門的な知識を要求される開発途上の分野だと思います。
今二次元のレーザープリンターは当たり前ですが20年前は誰も持っていませんでした。それと同じで数年で私の机の上にも3Dプリンターが配備されるようになると思います。
また、イタリアは技術的に遅れていません。3Dプリンターはイタリアの製造業にはよくしられた技術です。また、イタリアの「Makers」にも3Dプリンターを有効に利用し、製造業を推進していこうという幅広い動きが巻き起こっています。
まとめ
行間に潜むニュアンスはなんとなく加えて意訳した内容になるが、特徴的なのが、インタビューをするLineaEDP側も、答えるアンドレアスさんの側も常に、自分たちの国のデザインのレベルや、技術レベルがどうなのか、ということを念頭に入れている。
また、それがどのように自分たちの国に影響するのかということを考えているインタビューだ。そのためGEが行ったコンテストが単に一企業が「製品開発をクラウドを使ってやりましたよー」みたいな表面的な上面でとらえていない点が面白い。
常に自国の経済や自国の教育にどう影響し、イタリアが当変わらなければいけないのかという、本来の意味でいう純粋な愛国心のようなものを当たり前のように持っている点がわかる。
3Dプリント技術一つみてもそうだが、メディアの報道も、魔法の箱のような3Dプリント技術の何の本質もとらえていない伝え方をするのではなく、どういう影響があり、製造業やひいてはそこに参画するデザイナーやエンジニアがどのような役割を担っていくのかという点をもっと伝えるべきだ。
GEとローカル・モーターズのオープンコミュニティのモノづくりの記事はこちらもどうぞ
i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1、Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。