GEとGrabCADのジェットエンジンブラケット受賞者が発表 56カ国700以上のデザインが集まる!

GrabCADとのコラボで88万人のエンジニアのアイデアを利用できる

以前紹介させていただいたGEとGrabCADのコラボレーションプロジェクトの結果が発表された。

2回の審査に見事パスし、賞金を手にしたのはインドネシアのエンジニアM Arie Kurniawan氏だ。

このプロジェクトはGEが製造するジェットエンジンに使用される部品-ブラケット-の次世代デザインを3DCADデータの共有サイトGrabCAD上で募集するというもの。

GEはジェットエンジン用のパーツ製造を3Dプリンターでの製造に切り替えつつあるが、今回のプロジェクトはまさに次世代パーツとしてGEに採用されるものだ。

簡単にこのプロジェクトの概要をまとめると、97万人(12月現在)のデザイナーとエンジニアが登録しているGrabCADから募集を募る。

審査は2次審査まであり1次審査で10個のデザインに絞られ、2次審査では3Dプリントされた部品をテストされる。

審査にあたってはGEとGrabCADの専門家があたり、1次審査の賞金は1000ドルで、2次審査で最終的に採用されたデザイナーには7,000ドルの賞金を得ることができる。

詳しい内容についてはこちらの記事を参照ください。

56 カ国700以上のデザインが応募

結局累計で56カ国700以上のブラケットデザインの応募があり、1次審査で10個のデザインが選出。

2次審査では10個のデザインを全て金属レーザー焼結の3Dプリンターで出力し、チタン合金で作り試験を行ったとのことだ。

実際に生成されたチタン合金のブラケットはGEグローバルリサーチに送られMTSサーボ油圧式試験機で実験を行い判断を行った。

試験の結果M Arie Kurniawan氏が設計したブラケットが最も剛性と軽量の最適なバランスを保っており採用されることとなった。

M Arie Kurniawan氏のブラケットにより既存で使われているエンジンブラケットよりも327グラム重量を削減することができた。

これは既存品の重量2033グラムに比べ84%の重量になり、エンジンブラケットとしては大幅な削減につながるという。

優勝したM Arie Kurniawan氏のブラケットデザイン

二次審査で実際に3Dプリントされたジェットエンジンブラケット

1次審査で応募された様々なブラケットデザイン

GEが今回行ったプロジェクトのポイント

  • GEはジェットエンジンの各パーツの製造を3Dプリンターに切り替える計画がある
  • 3Dプリンターで製造した場合にクオリティが上がる
  • 3Dプリンターで製造した場合にコストが削減できる。(材料、人員、時間)
  • GrabCADに登録している約88万人(プロジェクト開始時)のデザインエンジニアからアイデア、設計図を集めることができる
  • そのため自社のエンジニアを使うよりも効率的に多くのアイデアを集められる
  • 結果として55カ国から700以上ものデザインが集まり、最終品で大幅に性能を向上させられた

まとめ

GEは3Dプリンターと3DCADデータを製造プロセスに導入することのメリットを最大限生かそうと試みている企業だ。

GEは添加剤製造すなわち3Dプリント技術の研究では20年以上の実績をもち、既に自社生産の10%は3Dプリンターで製造しているが、将来的にはこの比率をもっと向上させ50%近い部分まで高めることを目指している。

また、ジェットエンジン用のパーツでは燃料ノズルの製造に3Dプリンターを使用することを決めており、従来品よりも品質を向上させ、コスト削減をすることが可能とのことだ

。また3Dプリンター製造だけではなく、最先端のIT技術を取り入れることにも余念がない。

クラウド技術が確立されることによって、ハードディスクではなくサーバー上に膨大なデータを管理することが可能になり膨大な3DCADデータを保管することが可能になった。現にGEがコラボレーションしたGrabCADには33万点の3DCADデータが蓄積されている。

こうしたデータは全てオープンに利用することできるのが特徴だ。IT化の真の強みは、データを秘密にするのではなく、データをオープンにすることにより他者と共有することで新たな改良、新たな発見がされ元のデータがどんどん改良されていくことにある。

GEはGrabCADとのプロジェクト以外に一般消費者向けの製品についてもQuirky上に設計データと特許を公開している。

また今回のジェットエンジンブラケットの募集も自社で行うよりもはるかに短い時間とコストで700以上ものデザインを募集することができた。

こうしたGEの取組は全部が全部当てはまるものではないが今後のモノづくりを考えるうえで大いに参考になると思われる。

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