3Dプリンターでパーツの量産を行う時代
たびたびご紹介させていただいたが、GEは3Dプリント技術で20年以上の歴史を持つ企業だ。 主に航空宇宙産業のジェットエンジンのパーツ製造でその技術を利用しようと考えている。
そのGEがインドで2億ドル、約200億円規模の3Dプリント工場を開放すると発表した。 本格的な3Dプリンターの生産工場としてはこのGEの工場が世界初となる。イギリス政府が今年の頭に1500万ポンド(約25億円)規模の3Dプリントセンターを開設する旨を発表しているが、まだ稼働には至っていない状況だ。
このGEの工場は今年の半ばには正式オープンの状況だ。それにしても驚きなのがその投資金額の大きさだ。イギリス政府が投資する金額のおよそ8倍近い資金が投じられていることから、生産体制は本格的な量産を目的としたものであることがうかがえる。
GEは昨年以降、ジェットエンジンの燃料ノズルや、ブラケット等を従来の機械加工から3Dプリント生産に切り替える方向で動いていたが、本工場で本格的に稼働すると思われる。
このインド最初の工場はインドのマハーラーシュトラ州の西部に位置し、ジェットエンジンやガスタービンに使用されるさまざまなパーツの生産が行われる。3Dプリンターで量産されるパーツ類はプラスチック部品と金属部品の両方だ。
今回発表されたインドの工場は68エーカー(約275㎡)という広大な敷地で、約2000名近い現地の人を雇用する予定だという。
下記はGEが発表している3Dプリント生産の動画
ジェットエンジンなどに使用される複数のパーツ類が生産される
3Dプリンターで量産するメリット
GEは既に自社製造の10%は3Dプリンターを使用して製造しているが、3Dプリンターによる生産比率を50%まで拡大する方向で動いている。
今回のインド工場の本格始動は、かねてからの計画に則ったものだ。 こうした3Dプリンターの大量導入は、従来の金型でパーツを製造し、製造された複数パーツを組み立て加工する方法に比べ多くのメリットをもたらす。
その基本的な大前提としてパーツの性能向上があげられる。今回のインド工場で生産される予定のジェットエンジン用のブラケットも3Dプリンターで生産されることで重量が軽量化され耐久性がアップすることが証明されている。
また、性能向上だけではなく、大幅なコスト削減をもたらすことが可能になる。それは材料費、金型製造費、製造に要するエネルギー費、人件費、時間といったすべての面が削減される。
さらには余分な在庫を持つ必要が無いため在庫管理に要するコストも不要だ。
まとめ
3Dプリント技術は多くのフィールドで様々なメリットをもたらすことになるが、とりわけすぐに効果が見られるのが大量生産体制を敷いているGEのような企業だ。従来の金型製造による量産と異なり、多くのメリットを大量生産企業にもたらす。
そうしたメリットはコスト削減といった単純な経済効果だけではない。例えば余った人材と時間を更なる製品改良や製品企画に回すことが可能になるなど、企業の競争力の源泉にもなる商品開発の分野に投資することができるからだ。
今後多くの大量生産メーカーが3Dプリンターを量産機器として導入することが予測されるが、GEの使用事例は多くの示唆を与えてくれる。 例えばそれは3Dプリンターに切り替えるパーツの開発などにも見て取れる。
そこには単純にデータ化するという方法をとるのではなく、3Dデータという特性からクラウド技術を生かして世界中のエンジニアから開発のアイデアを集めるやり方などにもみられる。
そこには3Dプリント技術がもたらす二つの面、量産化によるコスト削減と製品開発の幅の拡大という二つのメリットを余すところなく利用している。こうしたGEの3Dプリント技術の導入事例は、企業の大小にかかわりなく製造と製品開発に関わるものにとっては、大いに参考になるのではないだろうか。
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