GE&GrabCADのコラボレーション!3Dプリントできるジェットエンジンデザイン

GEのGrabCADとクラウドを使ったパーツ開発プロジェクトを実施

GEは従業員が全世界で30万人を超え、事業の範囲は重工業や軍需産業、航空宇宙産業にはじまり、電気製品、ヘルスケア用品など非常に幅広い分野に及んでいる超巨大企業だ。

一般的な印象として企業は巨大になればなるほど身動きが遅く、社内や関係者への調整に時間がかかり、事業展開に対して腰が重く、新しい世の中の動きに鈍感になっていくイメージが強い。

しかしGEはそうした巨大企業がもつイメージには縛られない企業だ。GEは製品開発に関して非常に柔軟に新しい動きを取り入れる傾向がある。

クラウド技術や3Dプリント技術など最先端の技術や動向を導入する傾向が強く、全く異なるフィールドで活躍する企業とジョイントベンチャーを立ち上げ取り組むことが好きだ。

GEがクラウド上で製品開発を行うサービスを展開するQuirkyと提携し自社の製品開発をおこなっていることは有名だが、今回はGrabCADとのコラボレーションを開始した。

GrabCADは3DプリントできるCADデータの無料ダウンロードサービスを提供する会社で、登録者は世界中で88万9千人にも上りCADデータは30万点にも及んでいる(2013年10月現在)。

3Dプリンターは宇宙航空産業分野での利用が開始されパーツ製造として使用することで従来よりも製造コストと時間短縮が期待されているが、今回GEがGrabCADと組む目的は、ジェットエンジンブラケットのアイデアやコンセプトをGrabCAD上で求めるというものだ。

GrabCAD

パーツ類の3Dプリント製造を切り替えを図るGE

実際にGEは既にパーツ類の製造と試作品の製造に3Dプリンターを導入しており製造の10%は3Dプリンターで製造を行っている。今後10年間でこの比率を20%から25%近くまで拡大し20年で50%は3Dプリンターで製造する計画をたてているようだ。

ジェットエンジンブラケットとはジェットエンジンのサポート用パーツで、ジェットエンジンがそのままの形状とクオリティを保ち続けるために必要とされるものだ。

このジェットエンジンブラケットの製造が3Dプリントで行うことができれば、従来の製造に比べてかなりの金額が節約することが可能になる。GEにアイデアが採用されるまでの基本的なプロセスとして二つの段階を経ることになる。

最初のステップではGEとGrabCADの専門家が特定の試験条件のもとで要件を満たすことを基準に審査を行い、10個のデザインに絞り込む。第一段階をパスしたデザイナーは1,000ドルの賞金を得ることになる。

そして第二ステップとして実際に3Dプリントされた部品を実際の世界でテストすることになる。この第二ステップをパスした勝者は賞金として7,000ドルを得ることになる。11月15日に第二ステップの最終勝者が発表されるという。

まとめ

GEはIT化とデジタル化の最先端の動きを余すところなく自社に取り入れているようだ。

今回のGrabCADのコラボレーションは部品・パーツ類の製造にクラウド技術を取り入れた事例だが、コンシュマー向けの製品開発ではQuirkyという製品開発サイトに自社製品の設計図を公開し、それをもとに改良するといったプロジェクトを進めている。

GrabCADもQuirkyも外部の会社とのコラボレーションだが、こうした外部サイトと提携することの強みは、そのサイトに集まる不特定多数の人間のアイデアや考えを自社製品に反映させることだ。

例えば、今回のコラボレーションを見てみるとGrabCADとの連携によってGEは88万9千人のCADデザイナーからアイデアを募集することができる。これは自社の研究開発分野で製品開発や部品開発を行うよりもはるかに早くはるかに多くのアイデアを集めることが可能だ。

また、Quirkyの場合にはコンシュマー向け製品の販売という分野で、より精度の高いマーケティングも可能となる。というのもアイデア投稿、デザイン、キャッチコピー、販売予約と、製品企画から販売までの一連の流れを審査として経ることでより消費者のニーズに合致した製品企画と販売が可能になる。

同時にGEは自社で提供するオープンイノベーションのプロジェクトも展開している。エコマジネーション・チャレンジといわれるものでこちらはGEの製品化アイデアをサイト上で募り、GEの技術チームの審査を経たうえで製品開発から製造、販売まで、一貫した協力を行うというプロジェクトだ。

このプロジェクトでは2億ドルの投資で250億ドルの利益が経常されているという。

こうした一連のGEの取組を見るとインターネットという不特定多数の人間が集まる仕組みを上手に自社のモノづくりに取り入れていると考えられる。

こうしたモノづくりの形は従来の自社で製品企画を立ち上げ試作、マーケティング、製造、販売というモノづくりのプロセスに比べてより早くより品質が高いものを提供でき、そして消費者にマッチした、新しいプロセスなのかもしれない。

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