「未来の製造」見本市開催。巨大な製造ソリューション企業へ変貌を遂げるストラタシス

未来の製造に関する一大見本市 FormNext2015が開催

3Dプリンターの発展は、単なる製品開発レベルだけではなく、製造プロセス全体に影響を与え始めている。とりわけ、ストラタシスのFDMテクノロジーのように、デジタルデータから直接、最終品を製造できるようになることで、製造体制やサプライチェーン全体が大きく変わろうとしている。

言い換えれば、3Dプリンターは単なるそれのみで完結する製造マシーンではなく、製造ソリューション全体を管理運営する役割を担い始めているといっても過言ではない。

そんな未来の製造が期待される中、今ドイツで最新の製造技術がそろう一大見本市が開催されている。FormNext 2015と言われるこの展示会は、3Dプリント技術だけに関わらず、最新の金型技術やその他の製造技術が一堂に介する展示会。いわば「未来の製造」に関する最新動向が伺える見本市だ。

世界中から数多くの企業が参加し、3Dプリンターメーカーや、3Dソフトウェア関連の企業など、業界の最新動向が分かる場所でもある。2014年以降、新たに多くの3Dプリンターメーカーが登場し、キヤノンやリコー、HPといった二次元プリンターの大手が参入を発表する中、単なる3Dプリンターメーカーとしての地位を脱し、巨大な製造ソリューションを提供する企業へ変貌を遂げようとしている企業が存在する。

本日は11月17日から20日まで開催するFormNext 2015におけるストラタシスの展開をご紹介しよう。

FormNext 2015 ストラタシスブース

3Dプリンターメーカーから製造ソリューション企業へ変貌を遂げる

今回、FormNext2015の開催にあたり、ストラタシスはなんと500平方メートルにも及ぶブースで出展している。また、開催2日目となる18日において、デビッド・ライス最高経営責任者(CEO)によるプレス発表会も行われた。今回のストラタシスの展示とプレス発表会で明らかになったことは、もはや同社は単なる3Dプリンターメーカーではないということだ。

もともと特許切れによって3Dプリンターが爆発的に広がるきっかけともなった技術FDM テクノロジーを開発したのはストラタシスだが、同社はここに来てメーカーという枠組みを超える3Dプリンティングソリューションカンパニーへと変貌を遂げている。

プレス発表を行うデビッド・ライス最高経営責任者(CEO)

未来はインダストリー4.0の核となる

今回のプレス発表では2015年は3Dプリント産業にとってまさに変革の年であったとされ、現在の市場と今後のストラタシスの方向性が指し示されるものとなった。現在3Dプリンターの利用は試作品、プロトタイピングでの利用が中心だが、プロトタイプにおけるグローバルマーケットにおいても、3Dプリンターが利用されている比率は23%で、残りの77%はCNC加工機や金型による加工で占められている。

ちなみにその金額はおよそ100億ドルから150億ドルの市場規模と見られており、プロトタイプ市場で見ても、3Dプリンターはまだまだ未開拓である。こうした現状の認識があった上で、ストラタシスの3Dプリント技術が、プロトタイプを超える新たな製造ツールとして利用に広がりを見せていることを発表。

また、デジタルデータに基盤を置く3Dプリンターがインダストリー4.0の中心となり、サプライチェーン構造を変革する核にもなるとしている。このような製造の変革期においてストラタシスの役割は、従来の3Dプリンターメーカーから、新たな製造ソリューションを提供する企業へと変貌しようとしている。

プロトタイプのグローバル市場。3Dプリンターは23%
インダストリー4.0の核になる
現在のサプライチェーンの仕組み
インダストリー4.0のサプライチェーンの仕組み
3Dプリンティングソリューションカンパニーへの道

既に開始されている製造ソリューション。ダイレクト・マニュファクチャリングとは

このデジタルデータに基盤を置く製造ソリューション企業への変貌は、実は水面下で着々と進行している。ストラタシスは「3Dプリンティングソリューションカンパニー」というメッセージを打ち出しているが、彼らが展開するダイレクト・マニュファクチャリングというサービスでは、3Dプリンターに限らず、さまざまな製造マシーンが配備されている。

アメリカのテキサス州オースティンに設けられているダイレクト・マニュファクチャリングの施設では、自社で開発するFDMやPolyJetの3Dプリンターはもとより、金属加工のレーザー焼結システムや、光造形、CNC加工機、ウレタン鋳造まで配備。更には量産可能な射出成形機まで備え、表面仕上げからアッセンブリーといった最終品への仕上げまで行われるのだ。

いわば開発から最終品の生産に至るまで一貫したクラウド製造サービスを提供しており、完全に機械を製造して導入するといったメーカーの範疇を超えた事業展開を行っている。そのレベルは品質管理マネジメントシステムのISO9001と、航空宇宙産業でも対応できる品質管理のAS9001も取得するほどで、既にあらゆる業界で利用が始まっている状況だ。

その範囲は航空宇宙産業や医療産業、コンシューマ向けプロダクト、輸送業界、エネルギー産業、など多岐に及び、製品開発から生産に至るあらゆるシーンで高品質なものづくりが行われている。今回のストラタシスブースではそんな3Dプリンティングっソリューションの一端を垣間見ることができる。

ストラタシスブースで展示されるObjet1000Plus。
ダイレクト・マニュファクチャリングではさまざまな製造設備が揃う

コンセプトモデルから最終品の生産まで高品質に行う

一般的にプロダクトデザインや製品開発では、まず「誰のために、どんな価値を提供するか」という製品のコンセプトを構築するところから始まり、その後プロダクトデザインを行い、プロトタイプの製造と検証、修正を経て最終品が作られるが、製品開発の工程ごとに、実際に物体になったアウトプットが必要になる。

コンセプトの部分ではコンセプトモデルが、プロダクトデザインの部分ではプロトタイプが、そして最終品では生産された量産品がといったカタチで、大きく分類すると3種類。検証や修正なども含めると数十種類から数百、それ以上ものアウトプットが必要だ。ストラタシスのダイレクト・マニュファクチャリングでは、いわば製品開発から生産までに至る、全てのアウトプットを高品質に製造し、提供することができるのである。

ちなみに今回のFormNext2015における500平方メートルにも及ぶストラタシスブースでは、製品開発の最初に必要なコンセプトモデルのアウトプットから、最終品の造形品に至るまで、同社が目指す製造ソリューションで提供されるさまざまなアウトプットが展示されている。その展示内容からは分野や業界は多岐にわたり、各産業における深い理解と、高品質なものづくりが感じられる。

500平方メートルの巨大ブース
製造ソリューションで提供されるさまざまなアウトプットが展示
プロダクト開発のはじめに必要なコンセプトモデル
さまざまなプロダクトのコンセプトモデルが展示
建築分野でも活躍
医療分野でも使用。業界は多岐に渡る
デジタルABSを活用したシートフォーミングの活用事例
ブロー成形の簡易金型も作れるデジタルABS
一方、プロダクションレベルも展示
エンジニアリングレベルのプラスチックが使用可能

まとめ 新たな段階に入る3Dプリンターの役割

3Dプリンター市場は、まさにこれからが勃興の時代と言ってもいいだろう。FDM テクノロジーも、光造形も、レーザー焼結も、特許切れによって、続々と新興メーカーが登場してきている。その規模もベンチャー企業から、二次元プリンターの大手まで多岐にわたっており、特長や機能もさまざまだ。

しかし、このように続々と新機種が登場する現状において、これからのものづくりに求められる3Dプリンターはより厳選されていくだろう。単純に機械のみの性能だけでは勝ち抜くことは難しく、より一歩進んだ部分、ソリューションの部分が求められるに違いない。また、ソリューションと一言で言ってもさまざまで、機械のノウハウから、3Dデータの設計、クラウドでの管理など多岐に渡る。

例えば、素材に関する深い知識や、特定の業種に関する製造技術や知識なども今後はさらに求められることになるだろう。いわば機械を開発しただけではダメで、より高度で高品質のものづくりを可能にする付加価値がなければ、ユーザーに新たな価値を提供することは難しい。

そのような中において、ストラタシスは、唯一複合的なソリューションを提供できる3Dプリンターメーカーである。例えば、素材一つとってみてもさまざまな種類を用意しており、物性や機能に応じて最適な使用方法を提案している。こうした高品質なものづくりが、色々なプロダクトの開発に最適な方法を提供するという製造ソリューションに繋り、さまざまな業界に拡大をしている。

更に、この多角的な製造ソリューションは、クラウドと結びつくことで新たな時代の製造体制として機能しはじめている。3Dプリント市場は新たなフェーズに入りつつある。

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