光造形プリンターForm3レビュー【機能編 ナット : グレイレジン】

Form3で機能性のある造形を3Dプリントするとどのような仕上がりになるのか?
造形の機能性はどこまで表現されるのか?

今回の機能編は、「ナット」です。前回のレビュー ボルトの続きになります。前回3Dプリントしたボルトと今回3Dプリントするナットをセットで検証していきます。ナットもボルト同様に様々な種類とサイズ、素材があります。一般的に外表面にねじ山があるおねじと、ナットのように内表面にねじ山のあるめねじの組み合わせで使用される物をボルトと呼んでいます。ものづくりや建設の現場では欠かすことのできない部品になっています。今回はナットに注目して、数種類のナットの形状を3Dプリントしていきます。
表面の仕上がりのディティール以外にもナットの機能性についても見ていきたいと思います。前回のレビューのボルトとの相性も含めて検証していきましょう。

プリントする形状とサイズ

3Dプリントするナットの3Dデータです。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。 
全部で3種類のナットとワッシャーを3Dプリントしていきます。

1.六角ナット

正六角形の一般的な形状のナット。六角形の部分をスパナや六角レンチで締め付けて使われます。

サイズ : 13.8mm(縦)×12mm(横)×6mm(高さ)

2.平ワッシャー

ボルトやネジが緩まないようにする為に使用するもの。ボルトを締める際には、ワッシャーを噛ませて使うというのが一般的です。

サイズ : 13.9mm(縦)×13.9mm(横)×1mm(高さ)

3.高ナット

六角ナットに比べ、全長の長いナット。長ナット、ジョイントナットとも呼ばれる。

サイズ : 13.8mm(縦)×12mm(横)×18mm(高さ)

4.ウイングナット

頭に蝶のような取手の付いたボルト。蝶ナットとも呼ばれる。工具を使わなくても手で締め付けることが可能。

サイズ : 34mm(縦)×12mm(横)×10mm(高さ)

使用する光造形3Dプリンターと材料

今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。

ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。

光造形3Dプリンター用の材料はForm3専用スタンダードレジンのグレイレジンを使用します。

3Dプリンター用 硬質スタンダードレジン

硬質スタンダードレジンは、光造形3Dプリンターにおいて最も一般的に使用されるレジンです。多様な用途に対応できる汎用性が高く、プロトタイピングから模型、フィギュアまで幅広い分野で活用されています。このタイプのレジンは、適度な強度と耐久性を持っており、扱いやすさとコスト面でも手頃な価格であるため、初心者から熟練者まで幅広く利用されています。

3Dプリントで検証したい内容

検証したい内容は、機能性のある造形を3Dプリントした場合の表面ディティールと機能性です。
3Dデータで作成した造形を3Dプリントした後に、実際にどのくらいの機能を表現できているのかも見ていきましょう。

Preformでのプリント設定

サポート設定は、直付プリント(サポート設定なし)
積層ピッチは、50ミクロン
でプリントしていきます。

こちらがPreFormでのプリント画面になります。
この内容で3Dプリントをしていきます。

青い表示が今回検証するになります
※一部今回の検証ではない造形も含まれています。
プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
10h00m 1997層 12.47ml 9個=234円 1個=26円

プリント結果

Form3で3Dプリントが終了した所

それでは、ナットの種類別にプリント結果を見ていきましょう。

1.六角ナット

3Dデータ通りにプリントできている
側面も滑らかにプリントできている
内側のねじ山の凹凸部分も高精細にプリントできている
直付表面が少し広がっている

[寸法結果
サイズ : 13.8mm(縦)×12mm(横)×6mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.2mm
横 : 寸法通り
高さ : +0.1mm

縦と高さがほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできました。

2.平ワッシャー

3Dデータ通りにプリントできている
裏面表面も滑らか
直付表面部分
とても薄い造形でもきれいにプリントできている

[寸法結果
サイズ : 13.9mm(縦)×13.9mm(横)×1mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.6mm
横 : +0.6mm
高さ : 寸法通り

縦がほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできました。

3.高ナット

3Dデータ通りにプリントできている
ネジ部分も奥まで高精細に仕上がっている
角の精度も良く出ている
内側ネジ穴部分
表面の仕上がり 積層跡が出ている
直付部分

[寸法結果
サイズ : 13.8mm(縦)×12mm(横)×18mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.2mm
横 : +0.2mm
高さ : +0.1mm

全体的にほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできました。

4.ウイングナット

3Dデータ通りにプリントできている
全体的に滑らか
ウイング部分に積層跡が見える
直付部分が少し広がっている
直付部分表面
ネジ穴内側部分も滑らかにプリントできている

[寸法結果
サイズ : 34mm(縦)×12mm(横)×10mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.2mm
横 : +0.4mm
高さ : 寸法通り

縦と横にほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできました。

機能性の結果

3Dプリントでできたナットの機能性を検証してみました。
実際にきちんと部品としてボルトにはまるのかどうかを試してみました。前回のレビューで3Dプリントしたボルトを使用して検証しています。

六角ナットとワッシャーをはめてみた所
長ナットをはめてみた所
ウイングナットをはめてみた所、下までスムーズに回転します

機能編ナット3Dプリントまとめ

●見た目の仕上がり
どのナットも3Dデータ通りにとても高精細で滑らかな造形に仕上がった。
表面以外に、内側のねじ山部分の凹凸もきれいで滑らかににプリントできていた。

●プリント設定の結果
直付でプリントしましたが、特に造形に影響も無く滑らかにプリントできた。
形状がとても薄い平ワッシャーを3Dプリントしましたが、きれいに仕上がった。

●機能性に関して
どの種類のナットもぴったりはまった。
ナットの回転も下までスムーズに回すことができた。
今回3Dプリントしたボルトとナットは相性良く機能した。

3Dプリントの結果は、グレイレジンの持つ滑らかで美しい表面と、高精細なディティール表現が良く出ている結果になりました。
前回のレビューで検証した、ボルトとセットで参考にして頂けたらと思います。

またForm3は、スタンダード樹脂以外にABSの強度を再現したTough 2000 Resinやポリプロピレンの靭性を再現したTough 1500、その中間で適度な曲げ強度があるデュラブルなど、曲がりにくく硬くて頑丈な部品の3Dプリントに最適な材料もあります。プロトタイプ用としての使用に向いている材料であるスタンダード樹脂との機能性や強度の比較検証もしていけたらと思います。

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