光造形3DプリンターForm3レビュー【機能編 ボルト : グレイレジン】

光造形3DプリンターForm3レビューの機能編です。
Form3で機能性のある造形を3Dプリントするとどのような仕上がりになるのか?
造形の機能性はどこまで表現されるのか?
を検証していきます。

今回の機能編は、「ボルト」です。ボルトと言っても様々な種類とサイズ、素材があります。一般的に外表面にねじ山があるおねじと、ナットのように内表面にねじ山のあるめねじの組み合わせで使用される物をボルトと呼んでいます。ものづくりや建設の現場では欠かすことのできない部品になっています。
今回はこのボルトに注目して、数種類のボルトの形状を3Dプリント検証していきます。表面の仕上がりのディティール以外にもボルトの機能性についても見ていきたいと思います。
次回のレビューでは、今回のボルトに合うナットの3Dプリント検証もしていきます。ボルトとナットの3Dプリントをセットで参考にして頂けたらと思います。

プリントする形状とサイズ

3Dプリントするボルトの3Dデータになります。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。 
全部で5種類のボルトを3Dプリントしていきます。

1.六角形ボルト

頭部形状が六角柱形のボルト。 一般的な形状のボルト。

サイズ : 12.1mm(縦)×13.8mm(横)×30mm(高さ)

2.六角穴付 ボルト

頭部形状が円形で六角形の穴が開いているボルト。

サイズ : 11.5mm(縦)×11.5mm(横)×31mm(高さ)

3.六角穴付 皿ボルト

頭部上面が平坦で、座面は円錐の形をしている。上部に六角形の穴が開いているボルト。

サイズ : 13.0mm(縦)×13.0mm(横)×30mm(高さ)

4.六角穴付 チーズボルト

頭部上面が平坦で、側面にわずかに傾斜のついた形をしている。上部に六角形の穴が開いているボルト。

サイズ : 13.0mm(縦)×13.0mm(横)×30mm(高さ)

5.寸切りボルト

別名長ねじや全ねじと呼ばれている頭部の無いねじ。

サイズ : 7.8mm(幅)×7.8mm(縦)×100mm(高さ)

使用する光造形3Dプリンターと材料

今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。
ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。
光造形3Dプリンター用の材料はForm3専用スタンダードレジンのグレイレジンを使用します。

3Dプリントで検証したい内容

検証したい内容は、機能性のある造形を3Dプリントした場合の表面ディティールと機能性です。
3Dデータで作成した造形を3Dプリントした後に、実際にどのくらいの機能を表現できているのかも見ていきましょう。

Preformでのプリント設定

サポート設定と積層ピッチ

サポート設定は、直付プリント(サポート設定なし)
積層ピッチは、50ミクロン
でプリントしていきます。

こちらがPreFormでのプリント画面になります。
この内容で3Dプリントをしていきます。

青い表示が今回検証するボルト5種類になります
※一部今回の検証ではない造形も含まれています。
プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
10h00m 1997層 12.47ml 9個=234円 1個=26円

プリント結果

それでは、ボルトの種類別にプリント結果を見ていきましょう。

Form3で3Dプリントが終了した所

1.六角形ボルト

3Dデータ通りにプリントできている
頭部の六角形も滑らか
頭部の六角形部分
全体的にとても滑らかできれい
側面
ねじ山部分の凹凸も高精細にプリントできている
頭部の六角形の表面も滑らか
直付始まり部分の表面が少し広がっている

[寸法結果
サイズ : 12.1mm(縦)×13.8mm(横)×30mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.2mm
横 : 寸法通り
高さ : 寸法通り

縦にがほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできた。

2.六角穴付 ボルト

3Dデータ通りにプリントできている
頭部の円形部分も滑らかできれい
頭部の六角形の穴部分
全体的にとても滑らかできれい
ねじ山部分の凹凸も高精細にプリントできている
直付始まり部分の表面が少し広がっている
直付部分の表面が滑らかにプリントできている

[寸法結果
サイズ : 11.5mm(縦)×11.5mm(横)×31mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.2mm
横 : +0.2mm
高さ : −0.1mm

縦と横にがほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできた。

3.六角穴付 皿ボルト

3Dデータ通りにプリントできている
頭部の六角形の穴部分
全体的にとても滑らかできれい
側面
ねじ山部分の凹凸も高精細にプリントできている
頭部部分が滑らかに
直付表面が滑らか

[寸法結果
サイズ : 13.0mm(縦)×13.0mm(横)×30mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.1mm
横 : +0.1mm
高さ : 寸法通り

縦と横にがほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできた。

4.六角穴付 チーズボルト

3Dデータ通りにプリントできている
頭部部分が滑らかにプリントできている
全体的にとても滑らかできれい
側面
ねじ山部分の凹凸も高精細にプリントできている
直付始まり部分が少し広がっている

[寸法結果
サイズ : 13.0mm(縦)×13.0mm(横)×30mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.1mm
横 : +0.1mm
高さ : 寸法通り

縦と横にがほんの少し歪みましたが、寸法通りにプリントできた。

5.寸切りボルト

3Dデータ通りにプリントできている
側面
ねじ山部分の凹凸も高精細にプリントできている
直付表面もとても滑らかにプリントできている

[寸法結果
サイズ : 7.8mm(幅)×7.8mm(縦)×100mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 :  寸法通り
横 :  寸法通り
高さ : 寸法通り

ほとんど寸法通りにプリントできた。今回のボルトの中で一番長さがある直付プリントでしたが、寸法通りにきれいにプリントできた。

機能性の結果

3Dプリントでできたボルトの機能性を検証してみました。
実際にきちんと部品としてナットにはまるのかどうかを試してみました。次回のレビューで3Dプリントするナットを使用して検証しています。

ぴったり入りました。ナットの回転もとてもスムーズです。
長めのナットもぴったり入りました。回転もとてもスムーズです。

機能編ボルト3Dプリントまとめ

今回は、機能編ということでボルトをテーマに光造形3Dプリンターで3Dプリントしてみました。
結果をまとめると、

●見た目の仕上がり
どのボルトも3Dデータ通りにとても高精細で滑らかな造形に仕上がった。
表面以外に、ねじ山部分の凹凸もきれいで滑らかににプリントできていた。

●プリント設定の結果
細長い形状を立てた状態で直付でプリントしましたが、特に造形に影響も無く滑らかにプリントできた。
一番長い形状の寸切りボルトが一番きれいに造形できた。

●機能性に関して
どの種類のボルトもナットにぴったりはまった。
ナットの回転も下までスムーズに回すことができた。
機能性に問題無くプリントできた。

3Dプリントの結果は、グレイレジンの持つ滑らかで美しい表面と、高精細なディティール表現が良く出ている結果になりました。
次回のレビューでは、ボルトに続いてナットに注目して比較検証していきます。セットで参考にして頂けたらと思います。

またForm3は、スタンダード樹脂以外にABSの強度を再現したTough 2000 Resinやポリプロピレンの靭性を再現したTough 1500、その中間で適度な曲げ強度があるデュラブルなど、曲がりにくく硬くて頑丈な部品の3Dプリントに最適な材料もあります。プロトタイプ用としての使用に向いている材料であるスタンダード樹脂との機能性や強度の比較検証もしていけたらと思います。