Form2の仕組みと科学。大型3Dプリンタに匹敵する性能

Form2の仕組み。基本的な構造と仕組み

Form2は、光造形という製法の3Dプリンターです。光造形法とは、紫外線を当てると固まる特性をもつ紫外線硬化性樹脂に、紫外線を当てて一層ずつ物体にしていく造形技術です。

そして、この光造形法は、SLAとDLPという二つの製法に分類されます。
Form2は、SLAを採用しており、SLAは、正式名称をステレオリソグラフィ(Stereolithography)といい、紫外線をビーム状にして照射し固めていきます。

Form2はSLA(光造形法)採用している。

Form2の科学。SLAの造形プロセスとは

Form2は、光造形法のなかでもSLAという手法を採用しています。3DデータがFomr2本体に送られると、専用ソフトウェアPreFormで設定された通りに造形します。

基本的にどの3Dプリンターも同じですが、スライス状にされた3Dデータをベースに、1層ずつ形にしていきます。Form2の場合は、以下の方法で積層します。

Form2 SLA方式の造形プロセス

  1. まず専用ソフトウェアPreFormからデータ送られるとレジンタンクを加熱します。レジンタンク内の樹脂の温度が最適な温度(31度~35度 ※樹脂の種類によって異なる)に達するとスタートです。Form2 造形プロセス 加熱
  2. ビルド・プラットフォームがレジンタンクまで下がり液体樹脂につかる。Form2 造形プロセス 
  3. スライスデータの第1層目の形状にレーザービームが照射され固められる。Form2 造形プロセス
  4. 1層目が固まるとレジンタンクが横にスライドして、余分な樹脂を剥がす。Form2 造形プロセス レジンタンクスライド
  5. ビルド・プラットフォームが一上に上がり、余計な樹脂も落とす。Form2 造形プロセス
  6. ワイパーが動き、レジンタンク内の液体樹脂を攪拌する。Form2 造形プロセス ワイパー
  7. 再びビルド・プラットフォームが降りてきて2層目の造形に入る。Form2 造形プロセス
  8. 以後、1から7を繰り返し、最終形状まで形にしていく。

例えば、下記のモデルは0.1mmの層を165回積み重ねることで、1個の物体になるが、3から8の動作を165回行います。

この造形プロセスでは、Form2が高品質な造形を実現するための機能が、盛り込まれています。

この部分については「Form2の多彩な機能」で、各部分の機能について詳しくご紹介します。

SLA方式の後処理。洗浄と二次硬化

Form2では、造形後の後処理が必要です。それは完成した造形モデルに余分な液体樹脂がこびりついているためです。

そのためイソプロピルアルコール(IPA 濃度90%以上)を使って洗浄する必要があります。洗浄は付属の仕上げキットか自動洗浄システムFormWashを使い約20分ほどイソプロピルアルコール(IPA)に浸します。

Form2の造形後の後処理。仕上げキットは手動、FormWashは自動で洗浄

洗浄後は、エンジニアリング用レジンなど二次硬化が必要なレジンはFormCureで二次硬化を行うことで、レジン本来の機能が再現できます。

二次硬化はFormCureで行います。

その後、パッキンを使ってサポート材を取り除き、必要に応じて研磨や塗装を施すこともできます。

サポートの除去をおこないます。

2種類のSLA方式

SLA方式の光造形3Dプリンターには2種類の方式があります。それが上からレーザービームを照射するパターンと、下からレーザービームを照射するパターンです。

Form2をはじめ、多くのデスクトップタイプのSLA 3Dプリンターは、後者の下からレーザービームを照射する方式を採用しています。

右サイドアップSLA方式

多くの産業用の光造形SLA 3Dプリンターで採用されている方式が右サイドアップSLA方式です。

この右サイドアップSLA方式とは、右上からレーザービームを照射し、下にレジンタンクとビルド・プラットフォームがあります。

下記の図のようにレジンタンクの中に、液体の光硬化性樹脂が入っており、ビルド・プラットフォームに一層ずつ硬化させ、下がっていきます。

右サイドアップSLA方式のメリット・デメリット

この手法は、従来大規模なSLA方式に採用されていたもので、大型で、高精度な仕上がりが可能です。

ただし、その分コストも高く、繊細な側面もあります。

欠点としては、液体樹脂を攪拌するリコータ機能が、造形途中のモデルに当たり、モデルを転覆させミスプリントを引き起こす可能性があります。

反転SLA方式

Form2が採用している方式が反転、上下逆のSLA方式です。

この方式では、右サイドアップとは逆で、下からレーザービームを照射する方式です。

レジンタンクがありレジンタンクの下部からレーザーが照射されます。またビルド・プラットフォームが上から降りてきて、レジンタンクにつかり、プラットフォームの底部に一層ずつ造形されます。

ビルド・プラットフォームは一層ごとに上に上がります。

反転SLA方式のメリット・デメリット

この反転SLA方式の利点は、ビルド・プラットフォームとレジンタンクが別々であることから、造形に必要な分だけレジンタンクに液体樹脂を充填すればよく、3Dプリンターのサイズを小型化することが可能です。

また液体樹脂を攪拌し、半硬化によるごみを取り除くリコータが造形モデルに当たる心配もありません。

その一方で、ビルド・プラットフォームが、レジンタンクから離れる際に、剥離する力が造形モデルに影響を及ぼすため、造形できるサイズは限定されます。

更に、造形モデルが反転してぶら下がる形でプリントされるため、それを支えるサポート材が多くなります。

またこの剥離力の影響により、使用できるマテリアルの材質もショア硬度は〜70A以下に制限され、フレキシブルレジンなどの柔軟性のある材料は使用できる硬さに限界があります。

SLA方式の比較表

  デスクトップSLA 産業用SLA:右サイドアップ
価格 $ 3,500から $ 80,000〜$ 1,000,000以上
造形サイズ 最大145 × 145 × 175 mm 最大1500 × 750 × 550 mm
長所 手ごろな価格
使いやすさ
低メンテナンス
小型フットプリント
簡単な材料交換
大量
生産高生産率
広範囲の材料オプション
短所 中規模ビルドボリューム 高価な機械
高メンテナンス
オペレータが必要

※比較は、Form2フォームページ、FormlabsデスクトップSLAプリンタと3D SystemsのインダストリアルSLAシステムに基づいています。

まとめ

Form2の最大の特長は、これまで高額でハイエンドであったSLA方式の3Dプリンターを、安価なデスクトップで同等のクオリティを実現するだけではなく、新機能の搭載によって更に高品質で安定した性能に仕上げえている点です。

SLA方式の高精彩をデスクトップで利用できるだけではなく、優れた安定性と豊富な材料によって、さまざまな用途を実現しています。

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