Form2のマテリアル材料。特長と概要 

Form2の多彩なマテリアル材料。レジンとは

高精彩で精密な造形が特長のForm2のもう一つの特長が、多彩なマテリアル材料です。

レジンといわれるForm2のマテリアル材料は、どの種類も“滑らかな仕上がり”と“精密な造形”が特長的ですが、さまざまな特性を持っており、いろいろな用途に利用することができます。

3Dプリンターの一般的な使い方であるプロトタイプ造形にはじまり、フィギュアやアート、また優れた機械的特性を使い機能性プロトタイプや治具、ジュエリー鋳造用のワックスモデルまで、Form2が1台あれば多様な材料を使いこなすことができるのです。

Form2の素材。光硬化性樹脂とは

一般的にプラスチックの造形が出来る3Dプリンターの素材は大きく分けて2つの種類に分類することができます。

第一が、もともと硬くて、加熱すると柔らかくなり成形でき、温度が下がると固まるタイプの樹脂。これが熱可塑性樹脂といわれる種類で、現代の多くの工業製品はこの熱可塑性樹脂で作られています。

紫外線硬化性樹脂は液体状です。

第二が、もともと液体状で、光(紫外線)が照射されると固くなるタイプの樹脂。これが光硬化性樹脂といわれる種類です。

第一の熱可塑性樹脂は“フィラメント”といわれる材料で、FDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターで使用されます。

一方、Form2は、SLA(ステレオリソグラフィ)といわれる光造形法の3Dプリンターで、光硬化性樹脂という素材です。

光硬化性樹脂は一般的にアクリルやポリウレタン、エポキシ樹脂といったプラスチック素材をベースに作られていて、最近ではさまざまな種類の光硬化性樹脂が開発されています。

中でもForm2の専用樹脂レジンは、多彩な特性を持っています。

Form2の光硬化性樹脂(レジン)の成り立ち

プラスチックは炭素の鎖がつながって構成されていますが、レジンといわれる光硬化性樹脂は、はじめは液体状で、短い鎖の状態で十分に連結されていません。

しかし、そこに光(紫外線)が照射されることによって、長い鎖がつながりさらには固体にまでなるのです。

Form2のレジンはさまざまな製剤を光硬化性樹脂(レジン)に配合することで、樹脂(レジン)を構成する鎖の単位をさまざまな状態にしています。

長い鎖、短い鎖、添加剤など、分子レベルの構成要素を多彩にすることで、透明から不透明、カラーバリエーション、柔軟性、剛性、耐久性、耐熱性など幅広い特性を備えた樹脂(レジン)材料を開発しているのです。

Form2レジンの特長。等方性によって物性が方向で変わらない

光造形法と液体状である紫外線硬化性樹脂によって作られた物体は、等方性があるとされています。

※等方性とは、その物質の強度や耐久性といった物理的特性に影響する要素で、方向によって物体の性質が変わらない力のことです。

特にこの等方性は3Dプリントで課題とされる部分で、糸状のフィラメント材料を溶かして積み上げるFDM(熱溶解積層法)では議論されることがあります。

しかし、液体状のレジンを一層一層平面に積み上げて造形するForm2のSLA方式では、各層ごとの間に半重合の層ができ次の層が密着する際に、共有結合することでしっかりと重合し一つの物体になるとされています。

光造形法での造形物は、どんな方向でも物性が変わらない

この部分は専門的な言葉で理解しずらい部分ですが、誤解を恐れずにわかりやすく表現すれば、糸状のフィラメント材料を溶かして積み上げるFDM(熱溶解積層法)では、糸状で積み上げる際に、既に固まってしまった部分に積み上げるため、層と層が分子レベルで完全に密着しません。

その一方で、面で液体樹脂を1層ずつ固めていくSLA(光造形法)では、一層が完全に固まらない状態で次の層を固めるため、それぞれの層ごとの間の密着性が高いということです。

それによって、方向によってはFDM(熱溶解積層法)では弱い部分も出るが、SLA光造形法では完全に固まっているため、どの方向でも物質の特性は変わらないということが言えます。それが等方性があるということになります。

実際、Form2では、この「等方性」に関する理論と、実験データを公開しており、下記はその記事になります。

Formlabs公式サイトの等方性

二次硬化によって物性が強化

Form2の樹脂(レジン)材料には、さまざまな物性の材料があります。

なかには二次硬化することによって、物性本来の力が発揮されるものがあります。

エンジニアリングの分野に分類されるレジン材料で、ABS樹脂のような耐久性や耐熱性を持つタフや、ゴムのように柔軟性があるフレキシブル、ポリプロピレンのような強度と透明性があるデュラブル、高温でも耐久性があるハイテンプ、機械的特性を高めたグレイプロ、インベストメント鋳造に使用できるキャスタブルなどがあります。

スタンダードレジン以外の樹脂は二次硬化が必要です。

こうした樹脂(レジン)材料は、Form2で造形後、更に専用のForm Cureなどによって二次硬化させることで、本来の物性が再現することができます。例えば、タフなどは二次硬化後だとその耐久性はおよそ2倍になります。

Form2のレジンの種類

Form2のレジンは大きく分類してスタンダード、エンジニアリング、キャスタブル、歯科用の4種類に分類することができます。

タイプ 種類
スタンダード ホワイト、ブラック、グレイ、クリア(透明)、カラーキット
エンジニアリング タフ、デュラブル、ハイテンプ、フレキシブル、リジッド
鋳造用 キャスタブル×2種類
歯科用 デンタル

スタンダードは、最も標準的なレジンで、美しい滑らかな表面と優れた強度が特長です。カラーはブラック、ホワイト、グレイ、クリアの4色で、クリアは研磨を施すことで驚くほど透明性を出すことができます。

エンジニアリングは、その名の通り、特殊なエンジニアリング用途に最適なマテリアルです。耐久性に優れるタフ、ポリプロピレンを再現したデュラブル、ゴムの性質のフレキシブル、高耐熱のハイテンプ、耐衝撃性に強いリジッドなどがあります。

キャスタブルは、ジュエリー製造などに使用されるインベストメント鋳造に使用されるレジンです。ロストワックスのワックスモデルの代替品として効果を発揮します。

歯科用レジンは、歯科の専門家用に調剤された樹脂です。

まとめ

Form2のマテリアル材料は、スタンダードからエンジニアリング、特殊なジュエリー鋳造用や歯科用まで幅広いラインナップをそろえています。

同時に、滑らかな仕上がりと、精密な造形によって、1台でさまざまな用途に利用することが可能です。より高品質なものづくりを実現することができます。

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