フォードが生産工場を次世代化
アメリカの自動車メーカーの代表であるフォードが、新たにSUVの生産現場を大きく変えようとしている。対象となっている車種は、同社の高級車種であるリンカーン・ナビゲーターと、Ford Expedition SUVの生産現場だ。今回、この2車種の生産現場に2500万ドルもの資金が投資されているという。
そこで注目となるのが400台のロボットと3Dプリンター、高度なデータ解析システムの導入だ。
IIOTの鍵は“自動化”と“デジタル化”
現在、アメリカやイギリス、シンガポール、日本、中国など、世界各国が力を入れているのが、生産現場の自動化とデジタル化である。主にインダストリー4.0や、日本だとソサイティー5.0という言葉に象徴される次世代製造技術だが、その中心となるのが自動化とデジタル化の二つだ。
全ての製造工程を自動化し、また各製造機械をクラウドに統合することで、一元管理し、生産工程を大きく向上させようというものだ。こうした動きを一言で表すと工場のスマート化や、IIOT(Industrial Internet of things)と呼ぶが、その柱となる“自動化”と“デジタル化”この二つにフォードは大きな投資を行おう。
9億2500万ドルの投資が目指すもの
今回投資されるのはケンタッキー工場をはじめ、総投資額は9憶2500万ドルにのぼるとされている。この一大投資は、同社最大のプロジェクトの一つともいえるだろう。
そしてその投資の目指す先には何があるのだろうか。ここでは具体的な投資される対象をはじめ、その影響力を考察してみよう。冒頭でご紹介した通り、今回の投資の目玉は400台のSUV生産用のロボットだ。このロボットは、工場の自動化を行うだけではなく、同時に高度なデータ解析機能が含まれるという。
工場のスマート化で、リアルタイムの“カイゼン”
IIOT化された工場では、全ての生産工程がデジタルデータによって“見える化”され、そしてクラウドにそのデータが集約され、うまくいっていないところ、作業効率が遅れている場所などが一目瞭然となる。
IIOT化のカギは、まずこのデータ収集といってもいいだろう。そしてIIOT化の第二弾が、このデータを使用した改善策の立案だ。
高度なデータ解析ソフトの導入は、言うなれば生産工程の改善に結びつけるためのもので、トヨタの代表的な“カイゼン”がリアルタイムで行うことが可能となる。こうしたスマート化された工場では、生産工程の無駄がなくなり、少ない人員と資源により生産性を大きく向上させることができる。
3Dプリンタの導入でプロトタイプから治工具を完全内製化
フォードは更に、設計&試作現場にストラタシスのFortus 380mc 3Dプリンターを使用していることです。フォード自身の言葉で言えば、アディティブマニュファクチャリングは「作業員がパーツや工具をより迅速かつ安価に作れるようにする」ためのもので、工場で使用する工具や治具などのツールを作ることを目指している。
いわば治工具の完全な内製化だ。また、プロトタイプの製造にも大きな力を発揮しつつある。従来は、切削加工などの伝統的な方法でプロトタイプを製造していたが、この方法では8〜16週間もの期間がかかる。
更に金型のコストで、250,000ドル以上もかかっていたという。しかし3Dプリンターを使用すれば、そのコストは数百ドルから数千ドルで抑えることが可能だ。またリードタイムも数時間から2週間ぐらいまで短縮することができる。
まとめ 将来はAIによる解析&改善か
これ以外にもフォードは製造の“デジタル化”を続々と行っている。以前もご紹介したストラタシスの新たなソリューションである、Infinite Build 3Dプリントシステムで、大型車部品を製造している。
また、今回の投資によって、自動化とデジタル化は更に進むことになる。この二つの要素は別々のものではなく、一つのテクノロジーに統合されていくだろう。
それが“AI人工知能”だ。フォードは今回自動化のための投資を行うと同時に高度なデータ解析にも投資しているが、このデータ解析が近い将来AIが担うようになり、生産レベルの工場は更に進化していくことになるだろう。
i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1、Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。