3Dプリンターの課題 製造時間の長さ
3Dプリンターの一番の特長はオンデマンドに対応した製造ができる点だ。
最近では消費者製品のダイレクト製造に使用される取組が行われ始めているが、クオリティや仕上がりなどはまだまだの状況にある。いろいろな課題が残る3Dプリント技術だが、最大の課題の一つとして挙げられるのが造形スピードだ。
3Dプリントのスピードは生成するモノの形状や精密さによって異なってくるが、1cm積層するのに約1時間程度が一つの目安になる。そのため、大きいモノであればあるほど生成に時間がかかるのが課題の一つと言える。
そんな3Dプリント技術のもつスピードをカバーするためにレゴブロックと組み合わせることで試作品をつくるソフトウェアが登場している。
3Dプリントとレゴブロックの組み合わせで時間短縮
レゴブロックと3Dプリント技術を組み合わせて設計図ができるソフトウェアはfaBrickatorと言われるも。
簡単に言うと、試作品を製造する際に、レゴブロックで置き換えられる部分を示してくれる機能を持っている。
例えば、ここまでのパーツはレゴブロックで組み立て、ここの部分のパーツは3Dプリントで生成するという処理を正確に行ってくれるソフトウェアだ。
このソフトウェアは今での試作、ラビットプロトタイピングに要する時間を短縮する目的で作られたもの。
従来は試作品の製造に長時間待たなければならなかったが、faBrickatorを使用することではるかに試作品の時間を短縮することができる。
下記はfaBrickatorを使用した動画だ。
プロダクトの特性に応じて必要部分のみ3Dプリント
faBrickatorの最大の目的は、プロダクトの特性に合わせて3Dプリントで製造すべき部分と、レゴブロックで製造しても問題ない部分を判別してくれる点にある。
例えば、動画の事例で示されているスマートフォン用カメラの試作では光の入ってくる光路の調整やレンズの強度が重要になってくるため、レンズ部分を最も重要な部分と判断し、3Dプリント製造の指示がなされる。
これにより3Dプリントで製造が必要な部分を最小限にとどめることで、試作品の製造時間を圧倒的に短縮してくれるというメリットがある。
また、ブロックで組み立てた後でも、部分ごとに3Dプリントに切り替えることが可能であるため試作品のブラッシュアップも簡単にできる。
例えば顔にフィットする部分はRをつけて滑らかにしたい場合などはその部分をレゴブロックから3Dプリントに切り替え可能だ。
faBrickatorと3Dプリントによる試作品製造の手順
事例1スマホ用カメラ 3Dプリンターでの試作:14時間30分 faBrickatorでの試作:67分
事例2石鹸削り 3Dプリンターでの試作:6時間30分 faBrickatorでの試作:2時間30分
事例3 コイン飛ばし 3Dプリンターでの試作:3時間03分 faBrickatorでの試作:2時間06分
まとめ
プリント時間の長さによるデメリットは、単純に時間がかかるという点以外に、ミスプリントを引き起こすという可能性を高める。
3Dプリンター、特にデスクトップタイプの3Dプリンターは温度依存性や湿度、対象物の形状などによって調子が変わるデリケートな機械だ。
そのため長時間印刷をしている間に、何かの拍子でプリントが停止したり、材料が出なくなるケースも多々ある。
3Dプリンターをセットして帰宅、次の日出社したら、試作品ができるどころか、半分で停止しているなんて状況もざらにあるといっていい。
こうした3Dプリンターの課題の一つであるプリント時間の長さは徐々に向上してきているが、不安定性を加味した場合、今の性能ならば3Dプリントによって生成される部分は少ない方に越したことがない。
生成時間も短く済み、またミスプリントを引き起こす可能性も極端に低くなるためだ。
faBrickatorはそうした現在の3Dプリントの機能性を考慮に入れたストレスなく試作品製造ができるソフトウェアだと考えられる。ただし、3Dプリンター以外にレゴブロックを購入しなければならないが。
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