3Dプリント技術の利用が進むF1レース コスト削減と品質向上で競争力UP

高コスト材料の使用メーカーのコスト削減につながる

自動車製造で利用が高まっている3Dプリント技術だが、F1での使用が最も顕著になっている。

F1はレースに勝つためには機体の軽量化と耐久性向上が欠かすことができない分野だ。

基本的にF1レースの機体製造においては、生産性やコスト面によって素材を選定することはなく、素材そのものの重量や強度といった特性を重要視して作るため、どうしても生産性が悪く、高コストになってしまう。

特に最先端素材であるカーボンファイバーやチタン合金を使用するケースが多いが、最近はコスト削減を推進する流が強く、使用素材に制限が加えられるケースもあるのが現状だ。

そんな中、3Dプリント技術が注目を集め、続々と各チームがパーツ製造や試作品の開発に取り入れている。

3Dプリント技術の最大のメリットはコスト削減、時間短縮、品質向上の3つをもたらすことだ。特に品質の部分においては、軽量化と耐久性向上という二つのメリットをもたらすと注目されている。

まさにF1の製造においてはぴったりの特長を持っている。

既に多くのチームがパーツ製造と試作品製造に3Dプリンターを取り入れており、大規模な生産設備まで整えているチームも存在する。

F1の開発・パーツ製造で効果を発揮

特にイギリスに本拠を置くF1チームが盛んで、例えばウィリアムズは年間で27000ものパーツを3Dプリンターで製造している。

また代表的なチームの一つでもあるフォースインディアは3Dプリンターメーカーの3Dsystemsの3Dプリントプラットフォームを利用してより耐久性に優れ軽量化されたパーツの製造を行っている。

さらには小規模メーカーであるケーターハムも3Dプリント技術を取り入れはじめ、月間で800パーツを3Dプリンターで製造し、試作品を60%の大きさで出力し開発に取り組んでいる。

このほか、レッドブルレーシングやロータスなどといった有名チームも以前から3Dプリント技術を取り入れ自社製品の開発と強化に大きな力を発揮している状況だ。下記はウィリアムズの3Dプリント技術に関する動画だ。

ケーターハムのF1カー

フォースインディアのF1カー

まとめ –素材の多角化で更なる競争力強化-

3Dプリンターで使用できる素材は、従来から存在する石膏やプラスチックだけではなく様々な素材が登場してきている。

特にF1の製造には欠かすことのできないチタン素材も3Dプリント可能だ。

チタン粉末を焼結して生成する技術だが、最近では使用されるチタン粉末材料も3Dプリント技術の普及に合わせて低価格化したチタン粉末が登場している。

また、つい最近発表されたところでは先端素材として注目をあつめる炭素繊維の3Dプリントだ。

炭素繊維のもつ耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性といった軽くて強力な素材が3Dプリント製造できるようになればコスト面での競争力はますます強化されるに違いない。

ただし炭素繊維は短所として加工のむずかしさがあげられるため、3Dプリントでの実用にはもう少しかかりそうだ。

F1のように高コストな材料素材を使用する製造現場にとって3Dプリンターは従来とは比較にならないほどのコスト削減とリードタイムの短縮というメリットをもたらすことになる。

F1だけではなく軽量化という面から燃費向上という恩恵もうけられる自動車製造には効果的だが、それ以外の高コスト素材を使用するメーカーにとっても3Dプリント材料の多角化は今後更なる期待が持てそうだ。

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