様々な用途に利用される金属素材インコネル
3Dプリンターの材料として最近利用が拡大し始めているのが金属粉末だ。チタンやステンレス、アルミニウム、金など、様々な金属が3Dプリンターで作られるようになっている。
金属の造形物は基本的に粉末をレーザーで焼き固める方法で生成されるが、金属材料のパーツ製造において多くのメリットをもたらすと言われている。
そんな金属粉末の3Dプリントだが、3Dプリンターメーカーとして有名なのがExOneだ。
ExOneは主にステンレスや銅、ブロンズなどの素材を使用した3Dプリンターで定評があり、BMWなどにも導入されている。この分野では40年近い研究実績があるが、今回新たにニッケルベースの金属材料インコネルの導入を発表した。
インコネルはニッケルをベースに、鉄、クロム、ニオブ、モリブデンなどの配合率によって種類が異なる。今回ExOneが導入したインコネル(R)合金625はニッケル、クロム、モリブデン、ニオブ合金。
優れた耐腐食性を持ち、耐熱性、耐酸化性、耐クリープ性などの高温特性に優れている。こうした優れた特性から様々な用途で使用されており、原子力産業やスペースシャトル、航空宇宙産業、産業用タービン、化学産業、と非常に広範にわたって使用されている。
特に高温状態を維持するパーツ製造には必須の素材であり、身近なものでは航空機のジェットエンジンのパーツや、自動車のマフラーに使用されている。
インコネルは優れた特性から多くの産業で使用されているが、その反面加工が難しいという問題が存在していた。材質そのものが削りにくく加工しにくくコストがかかるためだ。
しかし、今回のExOneの発表では99%以上の高密度のインコネルが3Dプリント可能であるとしており、従来の鍛造や鋳造による製法に比べはるかに容易に、コストを抑えてパーツ類の製造が可能になるとしている。
ちなみにインコネルが使用できる3DプリンターはM-FlexとX1-Labの2機種だ。正式な発売は6月1日から。
インコネルに対応するM-FlexとX1-Lab


M-Flex スペック
- 造形サイズ: 400 x 250 x 250 mm (15.7 x 9.8 x 9.8 in.)
- 造形速度: 30 秒/層
- 層厚さ: 最小 0.15 mm、変更可能
- 造形分解能: X/Y 0.0635mm、Z 0.100mm (層厚さにより設定)
- 外形寸法: 1675 x 1400 x 1855 mm (66 x 55 x 73 in.)
- 電気的要件: 208V~240V / 3 相
- データ インターフェイス: SLC、CLI、STL
X1-Labスペック
- 造形サイズ (WxDxH): 40 x 60 x 35 mm (1.5 x 2.3 x 1.3 in.)
- 外形寸法 (WxDxH): 965 x 711 x 1066 mm (3.2 x 2.3 x 3.5 ft.)
- ExOne 提供の粉末金属およびガラスはすべて使用可能
- 造形速度:1分/層、層厚さ最小 0.050 mm (0.002 インチ)変更可能
- データ インターフェイス: STL
- 電圧: 120VAC
- 周波数: 60Hz
- 電力要件: 4.1 A
まとめ
これまで加工に苦労し、多くのコストをかけてきたインコネルのパーツ。しかしこれが3Dプリンターでデータからダイレクトに作られるようになれば、コストを抑えるだけではなくこれまで作ることができなかった複雑な形状のパーツや新しい機能性を備えたパーツの製造が可能になるかもしれない。
3Dプリンターの材料が多角化し、これまでの加工方法では困難であった素材が使用できるようになれば、商品開発の幅を一気に拡大することが可能になるだろう。
こうした面からも3Dプリンターの技術向上と素材の多角化は、製造業にとって多くの可能性を指し示してくれる。過去には試作品を作るための一技術に過ぎなかった3Dプリントが、様々な分野に大きな影響を与える時代の流れになりつつある。
今後も新素材の3Dプリント対応は見逃すことができない情報だ。
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