オランダ政府がデザインコンテストを実施 国がデザイナー育成を後押し

オランダ政府がデザインコンテストを実施

オランダは代表的なデザイン先進国だ。

ユニークで革新的なプロダクトデザインが多く、同時にシンプル、明快、質素という三つの要素が特長的である。デザイン先進国といってもいいオランダが新たにデザインコンテストを開始した。

実施に当たってはワシントンD.Cのオランダ大使館とニューヨーク総領事館が提携して行うとのことだ。

デザインコンテストの基準は機能性、持続可能性、およびオランダのデザインの特長である「ユーモアの微妙な感覚」を持っていることになる。また受賞されるデザインは市場性と適合したものでなければならないとしている。

審査にあたっては、著名なデザイナーやオランダ大使、オランダ総領事文化部長などが審査を行うとのことで3月7日まで募集を行っている。

Shapewaysで試作&KIKKERLANDで製造販売

ちなみにオランダ政府はデザインコンテストの実施にあたりShapeways、KIKKERLANDと提携を行っている。

Shapewaysはデザイナーが登録し3Dプリント出力して販売するサービスを提供している企業で、3Dプリント業界では超有名企業だ。ニューヨークに本社を構えているが、もともとオランダで創立された企業。

今回のデザインコンテストではトップ10までのプロダクトをShapewaysが3Dプリントしニューヨークの表彰に置かれるというものだ。

一方でKIKKERLANDは1992年にアメリカのニューヨークで設立された企業で、オランダをはじめとする世界中のデザイナーの作品を販売する企業で、独創性やデザイン性、ユーモアを持つプロダクトの販売を行っている。

KIKKERLANDももともとはオランダ人が作った企業で、花瓶をデザインし製造販売する事業から開始した企業。

今回入賞した10作品はいずれも試作展示後、KIKKERLANDで製造販売され、500個がオランダ政府によって購入されアメリカで景品として配布される予定だ。

独特なデザイン製品を3Dプリント販売するShapeways

Shapewaysで販売する鉢植え

Shapewaysで販売するスプーン

オランダをはじめ世界のデザイナーの製品が販売するKIKKERLAND

政府レベルでデザインを後押しするオランダ

オランダは伝統的にデザインを国の主要分野として後押ししてきた経緯がある。政府はこれまでにもさまざまなデザインに対する取組を行っており、教育への注力もそのうちの一つだ。

例えばオランダのデザインアカデミーであるDesign Academy Eindhoven(アイントホーフェン)は1947年に設立されたデザイン専門の大学だが、ニューヨーク·タイムズによって「世界で現在最高のデザイン·アカデミー」と評され、多くの有名デザイナーを輩出している。

またアムステルダムにあるデザイン学校Gerrit Rietveld Academie(ヘリットリートアカデミー)もデザインと美術の総合大学で、なんと全学生の45%以上が世界60カ国からの留学生で占めている。

こうした高度なデザイン教育は、国を挙げて優れたデザイナーを育成することを目標としており、それに付随する政府支援も行っている。

政府が行っている支援策の一つがデザイン基金である。デザイナーは政府が設立したBKVB基金(視覚、芸術、デザイン、建築基金)からの財政支援を受けることが可能で、デザイン学校で学んだ学生がすぐに独立して事業活動が開始できるような社会システムがとられている。

さらにはオランダの企業は従来からデザインの企業価値における位置を非常に重要視しており、製品開発の主要な役割を占めている。

例えばオランダで代表的なエレクトロニクス企業であるフィリップスは全世界に12のオフィスを持ち累計で450名のデザイナーを抱えている企業だ。

ユニークなオランダのデザイン製品1

ユニークなオランダのデザイン製品2

ユニークなオランダのデザイン製品3

ユニークなオランダのデザイン製品4

まとめ -比例するデザイン力と国際競争力-

デザインは国の国際競争力と比例するという。

世界経済フォーラムが主催する世界各国の国際競争力ランキングで2012年オランダは5位で相当高い地位を保っている。

昨年の2013年度にはランクが少し後退し8位となっているが、それでも相当な競争力を保っている。

ちなみに2013年度日本の国際競争力は9位だ。以前本サイトでもご紹介させていただいたが国の国際競争力とデザイン力は相関関係にあると言われている。

そのため、高い国際競争力を持つ国は優れたデザイン力を持ち、デザイン教育に国を挙げて取り組んでいる。

北欧諸国などもその典型的な例だが、オランダはかなり顕著にデザインに力を入れていることがわかる。一般的にデザインというと、単純にモノの側だけを形作り作業のように思われがちだが、それは全くデザインの本質を見ない間違ったとらえ方だ。

デザインは言うまでもなくすべての製品力と販売力を決定する本質的な力をもつものだ。

一例として代表的なのが、アップル社のiPhoneの例だ、iPhoneはまさに総合的な本来の意味であるデザインを具現化した製品と言える。

単純な製品デザインからパッケージ、インターフェース、店舗設計、CMにいたるまですべての細部までデザインが透徹されており、使用する人に様々な体験や経験を与えてくれるプロダクトだ。

オランダのようなデザインに力を入れる政府は、国の競争力の源である経済力を引っ張るのが企業で、企業の経済活動を根底から支える製品力やサービス力を形づくるものがデザインなのだということを熟知しているのだろう。

日本のデザイン力と国際競争力も相当高いレベルにあることは間違いないが、より上を行くデザイン先進国の政策とその国のデザイン製品はより学ぶ必要があるのではないだろうか。

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