3Dプリンターで高い付加価値をつけることが可能
3Dプリンターを使ったサービスが続々と登場しているが、カスタマイズ性を活かしたその人だけのオリジナルな商品を提供するサービスが最も多いのではないだろうか。
日本でも3Dスキャンと3Dプリンターを組み合わせて、結婚式の写真からフィギュアをつくるものや、ペットの写真からフィギュアを作るサービスが登場している。
このようなサービスは思い出を残す記念サービスやギフトとしても利用することができるが、3Dプリンターの力が生かされるのは既存の商品や既に多くのファンがついている商品こそその威力を発揮するのではないだろうか。
そんな3Dプリンターを使った高い付加価値をつけるサービスで代表的なのがディズニーだ。ディズニーは徹底した高いサービスで知られている企業だが、いち早く3Dプリンターを取り入れることで、夢の国に参加できる新たなサービスを提供している。
スターウォーズのキャラクターになれるサービス
ディズニーが提供している3Dプリントサービスはスターウォーズの世界に自分もフィギュアとして参加できるというものだ。
以前は帝国軍兵士の顔が自分の顔に変えてフィギュアにしてくれるというサービスだけであったが、今回はバリエーションが2種類追加して復活するようだ。
従来と異なる点は、男性だけではなく女性もこのサービスに参加できるという点にある。以前は帝国軍兵士オンリーだったため、男性しか自分のフィギュアを持てなかったが、今回はスターウォーズのヒロイン、レイア姫がバリエーションとして加わったため、女性も自分がレイア姫になったフィギュアを持つことができる。
また、もう一つ追加されたのは、ハンソロ船長の冷凍凍結されたフィギュアだ。こちらは男女ともにカーボン凍結されるフィギュアになることが可能。これらのサービスで提供されるフィギュアは高品質なフィギュアなため、スキャンには約10分の時間がかかる。
帝国軍兵士
レイア姫
カーボン凍結フィギュア
スターウォーズの3Dフィギュアサービスの動画
自分が帝国軍兵士の一員になれる
3Dプリンターはコアな要求を満たす
動画にものっていて面白いのが、スキャニングの最中の音だ。ハンソロ船長がカーボン凍結されるときの冷気の音がスキャンされるたびに上がる仕組みになっている。
ちなみにこの3Dプリントフィギュアの値段は7.5インチ19.05㎝の大きさで99.95ドル、約1万円、16インチ40.64㎝の大きさで1,499.95ドル、約15万円と非常に高価だ。注文から約1週間程度で納品されるという仕組みになっている。値段もかなり高い設定になっているが、購入する人はいるのだろうか。
以前の帝国軍兵士の3Dプリントサービスのときは大反響で、かなりの購入者がいたと言われている。
こうした映画やアニメの世界に代表されるいわゆる「オタク」市場は高くても購入する、いわば、自分だけのオンリーワンの商品を欲しがるヘビーユーザーが多いためだろう。そのためフィギュアなどのおもちゃ市場は3Dプリンターが持つカスタマイズ性やオンデマンド生産という特性が最も発揮しやすい市場だと言えよう。
ちなみに日本でも「オタク」市場は年々成長をつづけており、フィギュア市場は2012年度に312億円、プラモデル市場は268億円の規模を持つ市場だ。ここ数年では「オタク」市場がコアなファン層だけではなく、一般の消費者、「非オタク」層も巻き込む傾向にあり、拡大傾向にある。
また、こうした3Dプリンターのカスタム生産は世界中のフィギュアやおもちゃ製造に利用できることから、既に海外でも開始しようとする動きがでてきている。大手3Dプリンターメーカーの3Dsystemsなどは、フィギュアやおもちゃの企業と資本提携を行っており、本格サービスを開始する予定だ。
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まとめ 3Dプリンターで企業価値を高め競争力を強化
日本やアメリカ、ヨーロッパなど、経済力が高く、国民の経済水準も一定のレベルまで達した国々ではモノを購入する価値観が明らかに異なってきている。企業の技術レベルや製品開発力がどこも一定のレベルまで達しているため、商品に競争力を見出しにくいのが現状。
ましてやインターネットの普及により、消費者は自分たちで商品やサービスを調べ、比較することが当たり前の時代ではなおさらだ。市場には同じような商品、同じような価格、同じような品質、同じようなデザインの商品が並んでいる中、どのように差別化するべきなのだろうか。
そこにはこれまでの時代とは比べ物にならないくらい厳しい競争が待っている。単純にいいモノを作っただけでは売れることはなく、以下に顧客に価値を感じてもらうか、認識してもらうかといった付加価値をつけることが非常に重要だ。
また同時に今の消費者は既にこれまで登場してきた様々な商品やサービスに満足しつくしてきていることから、自分だけのモノ、自分だけの価値観を満たしてくれるステージまで登ってきている。
そこには単純な付加価値をつけるだけではなく、その人のみのオンリーワンを実現するカスタマイズ性が求められることになるだろう。こうした時代背景からも3Dプリント技術は、目の肥えた様々な消費者の欲求を満たし、高付加価値の商品やサービスを提供するツールとしても利用ができる機能が備わってきている。
ディズニーの3Dプリンターのフィギュアサービスはこのような時代背景を的確にとらえた事業展開なのだと思われる。
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