デジタルをモノづくりに取り入れたスウェーデン企業、製造プロセスが高速化!

3Dモデルと試作のスペシャルカンパニー

Unnaryd Modell社は30年以上の歴史をもつスウェーデンの企業で、自動車業界においてモデリングと試作製造に特化した会社だ。もともとこの会社は創業者であるラース氏が自宅のガレージで始めた会社だが、いまでは年々業績が拡大し、スウェーデンの国境を越えて海外まで販路を拡大しているという。スウェーデンの自動車業界とエンジニアリング業界の中に置いて、モデリングと試作という分野に特化することによって十分な地位を確立している。

Unnaryd Modell社は3Dモデルを使用することによって、メーカーが再加工や仕上げをすることなく、試作品を高速に製造することが売りだ。3Dモデリングと試作製造の利点はある製品を作る場合、その製品が持っている欠陥等が試作段階で効率的にすばやく検出できるため、製造に関する余分なコストと時間を大幅に抑えることができるのだ。

最も特徴的なのは、製造プロセスの簡素化だ。これはデータから生産に至るまでの一連のプロセスの中において、デザイナーや機械オペレーターがインタラクティブにやり取りをすることができることを意味している。また、3Dモデル化された全ての設計データはデータベースに登録されており、デザイナーやオペレーターといった専門家だけではなく、製造に関する全ての従業員が製造に関するデータにアクセスすることが可能となっている。

Unnaryd Modell社は3Dモデリングを行う際、データ設計にはtebis社のソフトウェアを使用している。Tebis社は金型製造用CADやCADシステムを開発する専門企業であり、CAD環境において多くのオプションを提供しているという。このオプションは3Dデータを作るに当たり、パスと曲線の平滑用など多数の機能を提供し、複雑な表面構造を簡単に設計することができる。

製造工程を飛躍的に加速させる仕組み

Tebis社のCADシステムとCADソフトは主に、自動車や航空機産業の業界で使用されている。具体的にはスタイリングやモデル作り、工具と金型製造において使用されている。そのシステムはアウディやダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン、オペル、フォード、セアト、ボルボ、サーブ、ホンダ、トヨタ、ヒュンダイなどの世界的な自動車メーカーたちの現場で使用されており、世界中の1,950の場所にインストールされてる。

このtebis社が提供するCADシステム”TEBISジョブマネージャを使用するとどういうメリットがあるのだろうか?

それはCADソフト上においてデータの変更を非常に簡単に行えるということで、製造に関するスピードを飛躍的に高めているという。このことは試作品を生成したのち、修正や加工を加える際、パーツ類の変更などを簡単に行うことができるのが最大の特徴だ。

このシステムの導入によりUnnaryd Modell社は設計からテストプロトタイプまで一連のオペレーションを効率的に動かしている。具体的な効果としては10%から15%まで3Dモデリングの仕事が増え、20から25%試作品の製造が拡大しているという。

まとめ

スウェーデンのUnnaryd Modell社は部品の3Dモデリングと試作品製造に特化している専門企業だ。事業の拡大背景には3Dプリンターで出力するための大本にある3DCADシステム自体の進化がうかがえる典型的な事例だ。

CADシステム自体の簡単な修正変更ができるシステム、またシステム自体をデータベースに統合することによって製造にかかわるすべての人間がアクセスし一元管理することで業務の効率化を図っている。3Dプリンターの技術レベルの向上と普及が加速することで大本データを製造する3Dモデリングと試作品製造の需要はさらに拡大することが予測される。3Dプリンターの性能はパーツ類の製造や精工な試作品の製造が行えるレベルまで向上しているが、出力時間がかなりかかることや、素材が限定されていることなどから、パーツ類の製造にとどまっている。

しかし、こうした部分がさらに進化し生成時間が短縮され、素材が多角化され、クオリティの向上がさらに精密性が再現できるようになれば3Dモデリングで表現できる範囲がさらに広がりを見せると考えられる。

一方で、2013年度以降、にわかに3Dプリントと3Dモデルが注目され始めているが、デザインの現場において3Dモデリング作業はデザインの分野には含まれないとする考え方も存在する。本来、プロダクトデザインの分野において、デザイナーがデザインしたものを図面に落とし込む作業が3Dモデリング作業であり、大本のデザインがあって初めてモデル化されるのであり、3Dモデルはデザインではないとする考え方が支配的だ。デザインの定義の問題にもよると思うが、本来のプロダクトデザインの在り方は、その製品をどう表現するかという点が重要であるため上記の考え方は至極当然の考え方と思える。

こうした3DCADデータの簡単な使用のようにデジタル化が進み。テクノロジーを使用することで誰でも同じようなレベルの能力を使用できるようになる社会において、モノづくりの価値がどのように変化するのか今後注目に値する。

参考記事:develop3d

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