Desktop Metal アルテック株式会社取材第二弾。MIMを実現した新たな金属3Dプリンター

新たな金属3DプリンターDesktop Metalとは

3Dプリンターの中で、特に開発が注目される分野が金属3Dプリンターだ。豊富な材料とエンドユースパーツが作れる点から、デジタルデータからの直接製造を可能にし、リードタイムの向上やコストの削減、更には製品改良などが期待されている。

Desktop Metal
新たなアプローチで開発された金属3Dプリンター

一般的に金属3Dプリンターでは粉末焼結の分野が広く知られているが、最近では新たなアプローチによって金属造形を実現したメーカーも登場してきている。

今回ご紹介するDesktop Metalも従来には無いコンセプトと製法によって、高精度な金属パーツの造形を可能にしている。

MIMという金属射出成形の3Dプリント版という革新的な3Dプリンターを開発し、2017年の世界経済フォーラムでは、「世界で最も有望なテクノロジー・パイオニア30 社」に選出。

また総額では2億7700万ドルもの資金調達にも成功している。今回はDesktop Metalの販売代理店であるアルテック株式会社からの取材レポート第二弾をお届けしよう。

DesktopMetal 3Dプリンター
デスクトップで手軽に金属3Dプリントを実現したDesktop Metal

MIM(金属粉末射出成形)を体現した3Dプリンター

Desktop Metalは、MIMの手法を応用した3Dプリンターだ。MIMとは、金属粉末射出成形といわれる製造技術で、Metal Injection Moldingの略である。

射出成形はプラスチック加工の王様ともいわれる代表的な手法で金型量産を象徴する加工方法だが、MIMはこのプラスチックの射出成形と金属粉末を焼結して作る粉末冶金を合わせた加工方法だ。

Desktopmetal MIM
MIM(金属粉末射出成形)の原理を3Dプリントに応用。※画像提供:アルテック株式会社

MIMの特長は量産性に優れ、高精度で複雑な金属製品を作ることができる。その製法は金属粉末にバインダーといわれる結合剤を混合した材料を使い、金型に射出成形して生産する。

その後、射出成形したパーツを焼結することで結合剤が焼失し金属部分だけ残るという製法だ。Desktop Metalは、まさにこのMIMの原理を応用した画期的な3Dプリンターなのだ。

Desktopmetal
Desktop Metalで造形されたパーツ。バインダーが含まれた状態。 ※画像提供:アルテック株式会社

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バインダーを除去し、焼結すると金属パーツになる。(下) ※画像提供:アルテック株式会社

FDMの応用で画期的な金属造形を実現

原理はいたってシンプルで、プラスチック3Dプリンターで一般的なFDMの仕組みを利用することで“MIMの3Dプリント化”を実現している。FDMとは熱溶解積層法ともいわれる製法で、加熱すると柔らかくなる熱可塑性樹脂を糸状にしたフィラメント材料を使い積層していく製法だ。

MIMとFDMを融合させた Desktop Metal ※画像提供:アルテック株式会社

フィラメント材料がノズルを通ることで加熱され柔らかくなり積層されて物体になる。Desktop Metalはこの手法を利用し、バインダーを混合したロッド状の金属材料をノズルで加熱して積層し物体にする手法を開発した。これらの材料を使い、FDMのように積層して造形し、造形後は脱脂を行いバインダーを除去し、焼結して金属モデルを完成させる。

Desktopmetal
金属材料のFDMを実現

Desktop Metalの多彩なメリット

Desktop MetalはMIMの手法とFDMの原理を融合することで、これまでにない画期的な金属造形の手法を実現している。ここではいくつかの手法と比較した場合のDesktop Metalの多彩なメリットについてご紹介しよう。

MIMとの違い。圧倒的なリードタイムの短縮

Desktop MetalとMIMとの最大の違いが圧倒的なリードタイムの違いだ。MIMは射出成形を開始する前にも、金属粉末とバインダーを混合した材料を作るための前工程が必要となる。

金属粉末とバインダーのミキシングを行い、フィードストックといわれる専用材料を作らなければならない。一方、Desktop Metalであれば、あらかじめ混合されたロッド状の材料をそのまま装填するだけで済む。

Desktopmetal MIM
MIMとの違い。専用材料の開発で、MIMに必要な前工程を短縮。金型も不要になる。
※画像提供:アルテック株式会社

また、Desktop Metalはデータから直接造形できるため、当然のことながら金型は不要だ。射出成形では巨大な注射器のようなポンプで高圧力で金型に材料を流しこむため、金属で頑丈な設計が求められる。

必然的に金型を作るためのコストや期間なども大きなものになる。更に焼結する後処理の工程においてもDesktop Metalの場合は脱脂を自動で行ってくれるデバインド、焼結を行う焼結機にパーツをセットするだけで簡単に完成体まで仕上げることができる。

まさにプロトタイプから多品種少量生産まで一貫して行うことが可能だ。

粉末焼結機との違い。巨大な設備は不要

Desktop Metalは、また従来からの金属3Dプリンターである粉末焼結機とは違い巨大な設備は不要だ。粉末焼結機は材料がパウダー状であることから防塵対策などの設備が求められるがDesktop Metalでは前述のとおりカートリッジ式のロッド状の材料であるため、プリンター本体とデバインド機、焼結機の3台で済む。

これまで金属造形を行うためには従来のMIM、鍛造、鋳造、粉末焼結などいずれも大掛かりな設備が必要であったが、Desktop Metalは最も手軽に金属造形をはじめることが可能なのだ。

Desktopmetal
デスクトップサイズの3Dプリンター本体

Desktopmetal
バインダーを除去するデバインダー

Desktopmetal
焼結を行うファーネス

カートリッジ式スティック材料でノズル詰まりもない

Desktop MetalはFDMの仕組みを使用しているが、材料を独自のロッド状にすることで、プラスチックのFDM 3Dプリンターにあるような、材料切れなどが起きない。

Desktopmetal
独自に開発されたロッド状の材料。FDMのような詰まりや材料切れが起きない

FDMはフィラメントといわれる細い糸状のプラスチック材料を使用するが、造形の過程で樹脂が詰まったり、切れたりすることがある。しかし、Desktop Metalで使用する材料は金属にワックスとポリマーを混合した独自の材料で、短いロッド状の材料となっている。

材料の装填はロッドが入ったカートリッジを3Dプリンター本体にセットするだけ

モデル材料は、高強度ステンレス(17-4PH)がリリースされた。またステンレスであるSUS316Lやクロムモリブデン鋼(4140)、銅(Cu)、インコネル(Inconel 625)、工具鋼(H13)も順次利用可能になる予定だ。

収縮率を自動計算。プリントから焼結まで一元管理できる専用ソフトウェア

MIMと同じようにDesktop Metalで作られた造形モデルも焼結の過程において造形サイズが焼結前の15-20%が収縮することになる。しかしDesktop Metalでは、専用ソフトウェアが焼結後の収縮率を自動で計算し補正してくれるため、完成モデルは設計データと同じサイズで作ることができる。

また、この専用ソフトウェアでは、プリンターでの造形、更にはデバインダーでの脱脂、ファーネスの焼結と3つの各工程を一元管理することが可能で、MIMの知識がなくても造形が完成できるユーザビリティに優れた設計となっている。

Desktop Metalスペック

プリンター本体

  • 造形サイズ:250mm×170mm×170mm(焼結後)
  • プリントヘッド:2ヘッド
  • 最小積層ピッチ:50μm
  • ビルドレート:16㎤/時間
  • 本体サイズ:830mm×530mm×950mm
  • 重量:97kg
  • 供給電源:100-120V 15A 50-60Hz
  • 制御ソフト:Studio System クラウドソフトウェア

デバインダーステーション

  • タンク容量:17.4リットル
  • 本体サイズ:740mm×570mm×1020mm
  • 重量:158kg
  • 供給電源:100-120V 単相20A 50-60Hz

ファーネス

  • ワークスペース:300mm×200mm×200mm
  • 最高温度:1400℃
  • 本体サイズ:1380mm×754mm×1618mm
  • 重量:798kg
  • 供給電源:208V Δ3相30A

※仕様は予定なく変更になる可能性があります。

まとめ 金属造形を手軽に、プロトタイプから多品種少量生産まで

Desktop Metalは従来からある金属3Dプリンターの概念を変える新たな3Dプリンターだ。粉末焼結タイプの3Dプリンターと違いFDMテクノロジーをベースにすることで、より手軽に、金属造形が可能となった。

また、MIMの量産を1個単位から造形可能にすることで、プロトタイプから多品種少量生産まで金属パーツの一貫した造形が可能となる。

2019.1.23 投稿者:i-maker

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