最速700㎜/秒の造形スピード
3Dプリンターの開発にとって、最も重要な課題の一つが造形スピードの向上だ。
昨年以降、様々な改良がおこなわれているが、中でも低価格モデルのスピードの向上は目を見張るものがある。現在流通しているほとんどの低価格モデルの造形スピードは遅く、物体の大きさにもよるが大体1cm積層するのに1時間程度かかると言われている。
このレベルのスピードをどのように向上させているのだろうか。スピードが遅いという課題は3Dプリンター自体の電子部品の性能に依存しているケースが多い。そのため、3Dプリンターの内部の電子部品を改良することで大幅なスピードアップがなされるという事例が増えているようだ。
本日ご紹介すイタリアの会社Dynamo3Dが開発した低価格タイプの3DプリンターD3D One Evoもそのうちの一つ。
内部の電子部品を改良することで、なんと最速で秒速700㎜まで出すことが可能になっている。この機種は、今年の9月にはロンドンで、10月中旬にはパリで開催される3Dプリントショーでの展示が決定しているが、一足先にその驚異的なスピードをご紹介しよう。
高速3Dプリント用プロセッサーを取り付けるだけ
この世界最速を誇る3DプリンターD3D One Evoの改良は、デンマークの3Dプリンター用電子部品メーカーCreate it REALと協力して行われたものだ。Create it REALは以前にもご紹介させていただいたが、3Dプリンターの造形スピードを大幅に向上させることができる様々な改良を行っている。
Create it REALの記事はこちらをどうぞ
中でも高速化するために開発された3D RTPというリアルタイムプロセッサーでは、既に発売されている様々な低価格モデルのスピードを大幅に向上させている。
D3D One Evoも今回Create it REALのプロセッサー3D RTPを使用することで、秒速400㎜、最高時で秒速700㎜を実現している。それでは下記の動画を見てみよう。右側が一般的なオープンソースのRepRapをベースにしたこれまでのD3D oneだ。左側が新たにCreate it REALのプロセッサー3D RTPを搭載した改良モデルD3D One Evoだ。
高速プロセッサーを取り付けた比較動画
同じ時間での比較
Create it REALのプロセッサー3D RTP
動画を見ていただくと一目瞭然だが、スピードが従来のモノとは圧倒的に異なる。ちなみにこの2機種の違いはただ1点、Create it REALのプロセッサー3D RTPしているかどうかの違いだという。
D3D one Evo
D3D One Evoスペック
- プリンターサイズ:38cm×44cm×4cm
- 重量:13kg
- フィラメント径:2.85㎜
- ノズル径:0.4㎜
- 造形サイズ:24cm×24cm×25cm
- 造形スピード:400㎜/秒~700㎜/秒
- フィラメントタイプ:ABS / PLA / ゴム(エラストマー)
- プリンターカラー:6色
- 専用ソフトウェア付属
- 価格:1900ユーロ(約26万円)
まとめ
今回のD3D One EvoはオープンソースのReprapがベースになっている。そのためReprapベースで開発を進める3Dプリンターにはこの高速プロセッサーはとても役に立つのではないだろうか。
また、Create it REALは、MakerbotのReplicatorやUltimaker等でも取り付け実験を行い、大幅なスピード向上を果たしている。今後こうした低価格モデルの3Dプリンターの高速化は当たり前になっていくに違いない。スピードが大幅に向上し、なおかつ造形精度も向上すれば、更なる普及につながることが予測される。
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