光造形3DプリンターForm3レビュー【四角編 : クリアレジン】

光造形3DプリンターForm3レビュー 四角編です。
光造形3Dプリンターで、透明な四角を3Dプリントするとどうなるのか?
表面のディティールやどこまできれいで滑らかに仕上がるのか?
を検証していきます。

以前、光造形3DプリンターForm3レビュー【四角編:グレイレジン】でグレイレジンを使用した四角をレビューしましたが、今回はクリアレジンを使用して透明な四角を3Dプリントしていきます。
ぜひグレイレジンのレビューも参考にして下さい。

3Dプリントする四角の内容とサイズ

こちらが、今回3Dプリントをする四角(立方体)になります。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。

[サイズ]
25mm(縦)×25mm(横)×25mm(高さ)の立方体

こちらのサイズの四角(立方体)で検証をしていきます。

使用する光造形3Dプリンターと材料

今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。
ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。
光造形3Dプリンター用の材料はForm3専用スタンダードレジンのクリアレジンを使用します。

3Dプリントで検証したい内容

【検証1】表面ディティールの仕上がり

検証一つ目は、四角を3Dプリントした場合の表面ディティールの仕上がりです。どこまできれいな立方体ができるのかを検証していきます。クリアレジンの透明な仕上がりも検証していきたいと思います。

【検証2】積層ピッチの違いによる造形表面の影響は出るのか?

検証二つ目は、積層ピッチの違いによる造形表面の影響です。
積層ピッチの違いが、表面の滑らかさにどの程度影響を与えるのかを検証していきます。
積層ピッチは、樹脂の種類によって選択できるサイズが異なります。
今回使用する材料のクリアレジンの場合は、
100ミクロン、50ミクロン、25ミクロンという3種類の積層ピッチが選択可能です。
積層ピッチが小さくなる程、1層毎の厚みが薄くなり表面がより滑らかに仕上がります。
その分、プリントの積層レイヤー数、プリント時間、材料のボリュームが増えていきます。
今回は、この3種類で造形表面の影響を検証していきます。

Pre Formのプリント設定

サポート設定と積層ピッチ

[ サポート設定 ]

サポート設定なし 直付プリント
※サポート設定をしないで立方体を直接ビルドプラットフォームに配置します。
※サポートを減らす場合の注意点 : サポートを下手に少なくすると造形物がビルドプラットフォームに張り付かずに落下する危険性が、あリます。

[ 積層ピッチ ]

100ミクロン、50ミクロン、25ミクロン の3種類で3Dプリントします。

こちらがPreFormでのプリント画面になります。

PreFormのプリント画面 (100 ミクロンの場合)

※一部今回のプリントではない造形も含まれています。

積層ピッチ毎のプリント内容になります。全部で3回、3Dプリントしていきます。

100ミクロンのプリント内容

プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
2h30m 340層 27.96ml 2個=526円 1個=263円
※一部今回のプリントではない造形も含まれています。

50ミクロンのプリント内容

プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
4h00m 676層 27.80ml 2個=523円 1個=262円
※一部今回のプリントではない造形も含まれています。

25ミクロンのプリント内容

プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
8h30m 1349層 27.85ml 2個=524円 1個=262円
※一部今回のプリントではない造形も含まれています。

プリント結果

それでは、3Dプリントの結果を見ていきましょう。

プリントが終了した所
この後洗浄をしていきます

【検証1】表面ディティールの仕上がり 結果

100ミクロン

●3Dデータ通りにプリントできている。
●きれいな立方体に仕上がっている。
●表面全体の仕上がりは、滑らか。
●角の精度が高い。

[寸法結果]

サイズ : 25mm(縦)×25mm(横)×25mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
+0.06mm
寸歩通りにプリントできた。

50ミクロン

●3Dデータ通りにプリントできている。
●きれいな立方体に仕上がっている。
●表面全体の仕上がりは、とても滑らか。
●角の精度が高い。

[寸法結果]

サイズ : 25mm(縦)×25mm(横)×25mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
−0.0mm
寸歩通りにプリントできた。

25ミクロン

●3Dデータ通りにプリントできている。
●きれいな立方体に仕上がっている。
●表面全体の仕上がりは、ツルツルしていてとても滑らか。
●角の精度が高い。

[寸法結果]

サイズ : 25mm(縦)×25mm(横)×25mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
+0.1mm
寸歩通りにプリントできた。

【検証2】積層ピッチの違いによる造形表面の影響 結果

それでは、積層ピッチの違いを見ていきましょう。

100ミクロン

●積層跡が少し見える。
●直付表面もきれいに仕上がっている。
●直付部分の造形がほんの少し広がっている。

50ミクロン

●積層跡が少し見える。
●直付表面もきれいに仕上がっている。
●直付部分の造形がほんの少し広がっている。

25ミクロン

●積層跡がほんの少し見える。
●直付表面もきれいに仕上がっている。
●直付部分の造形がほんの少し広がっている。

積層ピッチの違いで比較すると、造形としては100ミクロンでもとても高精細な立方体に仕上がっています。25ミクロンとの違いを比較すると、積層跡はそこまで変化は無いですが、表面がツルツルでとても滑らかに3Dプリントできています。

[透明度の違い]

積層ピッチの違いによる透明度の違いを見ていきましょう。

写真の左から100ミクロン50ミクロン25ミクロン

積層のレイヤー数が増えるにつれてより透明に仕上がりました。
25ミクロンが一番クリアに仕上がっています。

四角編 クリアレジン 3Dプリントまとめ

今回は、四角編をテーマにクリアレジンを使用して立方体を光造形3Dプリンターで3Dプリントしてみました。
検証結果をまとめると、

表面ディティールの仕上がり
3種類の積層ピッチの違いで立方体を検証しましたが、どれも3Dデータ通りにとてもきれいに3Dプリントできました。表面の仕上がりは、3種類共とても滑らかにプリントできましたが、特に25ミクロンの表面が高精細で滑らかな造形に仕上がりました。立方体を3Dプリントする場合のポイントとして、角の精度が重要になりますが今回の3種類の立方体の場合では、角の精度の差は無く精度の高い造形となりました。

積層ピッチの違いの影響
積層ピッチの違いの影響は、積層が細かくなるにつれてクリアに仕上がりました。クリアレジンでのプリントだったので造形の内側部分が透けています。透明度で言うと、25ミクロンが一番透明に仕上がりました。

●材料の違い
今回は、材料をグレイレジンからクリアレジンに変更して同じ3Dデータの立方体を3Dプリントしてみました。透明になったことで、グレイレジンに比べて表面がより鮮明に見える造形になりました。
ただ、造形自体の仕上がりや表面のディティール、積層ピッチの違いに関してはグレイレジンとほとんど変わらない結果になりました。今回した検証造形の場合には、材料の違いはそこまで感じられませんでした。

クリアな材料できれいな立方体を3Dプリントしたい場合は、25ミクロンで直付での3Dプリントをおすすめします。今回の検証の場合は、こちらの設定でのプリント方法をおすすめします。より速い3Dプリントで造形の確認をしたい場合には、100ミクロンでも十分な仕上がりの3Dプリントができます。

100万円以下の光造形プリンンターで、ここまで高精細でクリアな3DプリントができるのはForm3だけでしょう。
Form2やForm3のスタンダードレジンには、クリアの他にもホワイト、グレイ、ブラックがあります。表現に合うカラーを選べます。
引き続きクリアレジンを使用した3Dプリントをレビューしていきます。