デスクトップ3Dプリンターの次期主力材料。コポリエステルのフィラメントNGENシリーズ

コポリエステル素材の3Dプリントフィラメント登場

プラスチック素材の3Dプリンターへの対応が徐々に拡大してきている。とりわけFDM(熱溶解積層法)で使用するフィラメント素材の開発が著しい状況だ。FDM(熱溶解積層法)のプラスチック材料は、加熱すると柔らかくなり、温度が下がると固まって物体になる熱可塑性樹脂が主流だが、さまざまな3Dプリントフィラメントが登場してきている。

なかでもオランダのフィラメントメーカーであるColorFabbは、PLA樹脂をベースにしたさまざまな3Dプリントフィラメントや、炭素繊維配合のフィラメントなど、FDM(熱溶解積層法)の使用の幅を拡大する素材を開発している。またそのフィラメント開発も近年では、プラスチックや化学品メーカーとともに開発を進めている。

本日ご紹介するコポリエステル素材の3Dプリントフィラメント、NGENと言われるシリーズを新たに発売している。ちなみに、コポリエステルのシリーズでは、既に食品基準にも合致したXTアンフォラシリーズも発売している。今回のNGENシリーズはこのXTアンフォラフィラメントの別ラインナップとして開発されたもので、XTアンフォラフィラメントの開発と同様、コポリエステルのメーカーであるイーストマンケミカル社と共同開発されたものだ。

コポリエステル 3Dプリントフィラメント ColorFabb 

食品用容器600種類以上で使用。コポリエステルメーカーのイーストマンケミカル社と共同開発

今回ColorFabbが共同開発したイーストマンケミカル社はアメリカテネシー州に本拠を置く企業で、全世界100カ国以上にプラスチック製品を展開するグローバル企業だ。もともと写真やフィルムで有名なコダック社の創業者、ジョージ・イーストマンが写真用の原材料の提供を目的に作られた企業で、現在は完全に分離独立している。

コポリエステルはイーストマンケミカルが開発したプラスチック素材で、食器や水筒、哺乳瓶といった食品用容器のために作られた素材だ。ちなみにペットボトルなどでお馴染みのポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルの中においても最も多く生産されている種類で、コポリエステルはポリエチレンテレフタレート(PET)とともに同じポリエステルをベースにした食品用の優れた素材となっている。

とりわけイーストマンケミカル社のコポリエステルは600種類以上もの食品接触器具類に使用されており、いわば食品用器具類のプラスチック素材で最も信頼性が高い素材だといえよう。今回ColorFabbのNGEN 3Dプリントフィラメントは、このイーストマンケミカル社と共同で開発されたコポリエステル素材の画期的な3Dプリント材料だといえよう。

コポリエステル 3Dプリントフィラメント ColorFabb 

コポリエステルの専門メーカーと共同開発。

低コストで優れた耐久性に耐熱性、耐破損性を再現。カラーは17色

コポリエステルの素材としての機能は、食器や保存容器などでの使用を目的としていることから食品安全性に適合しているという点以外にも、実用性を伴う優れた性能を持っている。例えば、水筒や哺乳瓶などの容器は、内部に保存されている食品や飲料を守らなければならないため、破損を防がなければならない。

コポリエステルはこうした長期間使用することができる優れた耐久性と、耐破損性といった特性を持っている。また、現代では食器洗い機が普及していることから、高温洗浄時に耐えうる耐熱性を備えている必要がある。こうした基本的なコポリエステルの機能は、今回開発されたNGEN 3Dプリントフィラメントにも再現されている。

こうした耐熱性や耐久性、耐破損性という機能は素材テストを経て複数のアプリケーションに最適化されており、家電製品、家電、玩具、モデリング、キャラクターデザイン、照明、医療補綴といったプロダクトに使用することができる。もちろん、XTアンフォラフィラメント同様、低臭気、スチレンフリーで、食品接触用途のための特定の米国食品医薬品局(FDA)の規制に準拠しているフィラメントだ。

コポリエステル 3Dプリントフィラメント ColorFabb 

17色のラインナップを揃え、耐久性、耐熱性、耐破損性に優れる新素材。

コポリエステルの3Dプリントフィラメント、NGENスペック

  • 3Dプリント温度:220度~240度
  • 3Dプリント速度:40mm~70mm/秒
  • フィラメント径:1.75mm、2.85mm
  • スプール重量:2200グラム、750グラム
  • フィラメント径公差:±0.05mm
  • 密度:1.35〜1.37グラム/ cm 3
  • ガラス板への適切な接着のため温度:75度~85度
  • カラー:全17色(ブラック、ホワイト、シルバー、レッド、パープル、ピンク、オレンジ、グリーン、ライトグレイ、ライトブルー、グレーメタリック、ゴールド、ダークグリーン
  • ダークグレイ、ダークブルー、透明、イエロー)
  • 対応3Dプリンタ:Ultimaker Original、Ultimaker Original Dual Extrusion、Ultimaker2、
  • Makerbot Replicator 2s、Delta Tower (E3D hot-end)、Felix 20、Leapfrog Creator、Beethefirst、Mass Portal Pharaoh ED、Prusa i3 HEPHESTOS
  • 価格:35.95ユーロ(PLAやPHAと同様)
  • 冷たいベッドの上に印刷可能だが、反りを最小限にするため接着ツールが必要
コポリエステル 3Dプリントフィラメント ColorFabb 

プリントの安定性と汎用性を目的に開発

デスクトップ3Dプリンターの質を高め、3Dプリントの品質を向上させる

コポリエステルによって作られたNGEN 3Dプリントフィラメントは、高度な耐久性と耐熱性、耐破損性を持っているが、その目的は単に食品用容器の試作製造のためではない。ColorFabbの目的としているところは、デスクトップ3Dプリンターの品質向上である。現在、デスクトップタイプの3Dプリンターは、特許切れによってさまざまなラインナップが登場してきているが、ハイエンドモデルに比べれば、その印刷精度は見劣りするのが現状である。

また、印刷クオリティ以前に、プリント動作の安定性がはるかに劣ると言える。今回開発されたNGEN 3Dプリントフィラメントは、こうしたデスクトップ3Dプリンターの課題を解決し、デスクトップ3Dプリンターに先進工業品質の3Dプリントをもたらすことを目的としている。

コポリエステル 3Dプリントフィラメント ColorFabb 

デスクトップ3Dプリンターで優れた精度のプロトタイプを目指す

XTアンフォラフィラメントとの違い。柔軟な処理温度と安定性、再現性を実現

今回のNGEN 3Dプリントフィラメントと同様、コポリエステルで作られたXTアンフォラシリーズは、もともとFDM(熱溶解積層法)のデスクトップタイプで主流の材料であったABS樹脂PLA樹脂のそれぞれの弱点を克服することを目的に開発されたが、その行き着くところは、デスクトップ3Dプリンターでも高品質なプリントを可能にする所にある。

いわば、今回のNGEN 3Dプリントフィラメントは、このXTアンフォラフィラメントが目指すデスクトップ3Dプリンターの精度向上を、「プリントの安定性」の部分から担保したものだといえる。XTアンフォラフィラメントが、プリント温度が240度から260度の高温を要する一方、今回のNGEN 3Dプリントフィラメントでは、多種多様な部品やオブジェクトのプリントに最適な220度から240度という柔軟な処理温度を実現した。

また非常に優れた溶融安定性を有しており、一貫性のある3Dデータからの再現性が実現されている。つまり、XTアンフォラフィラメントが高品質な物性に特化したフィラメントであれば、NGEN 3Dプリントフィラメントは、プリントの安定性とデータからの再現性に重点が置かれている素材ということができる。

コポリエステル 3Dプリントフィラメント ColorFabb 

安定した性能で、幅広いオブジェクトを生産。価格もリーズナブル

まとめ PLAやPHAと同価格。高品質で汎用性高く、手頃な価格

NGEN 3Dプリントフィラメントは、高品質な物性と同時に、3Dプリントが安定して使用できるように開発された、汎用性が高い3Dプリント材料だといえよう。価格もPLAやPHAのフィラメントと同様で高品質で汎用性が高くと手頃な価格のフィラメントだ。従来の耐熱性などで心配があったPLAの2倍の耐熱性を有し、耐久性や耐破損性などもコポリエステルの機能が十分生かされており、プロトタイプのための新たな3Dプリントフィラメントとして有用なのではないだろうか。

流石に、工業用で使用するハイエンドモデルのように最終品の製造に使用することはできないが、それでもこれまでの単純なABSやPLAのフィラメントに比べて、格段に高機能な造形がデスクトップ3Dプリンターで実現できるだろう。3Dプリンター自体の性能も開発競争で向上してきているが、それを材料の面からアプローチする取り組みが徐々に登場してきている。3Dプリンターの進化は材料がカギを握っているのかもしれない。

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2016.3.1 投稿者:i-maker

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