複雑で超精密な高性能セラミックが作れる3DプリンターにEOSが出資

デジタル家電の素材として需要が高いセラミック

皆さんはセラミックというとどのような素材を思い浮かべるだろうか。セラミックは狭い意味では陶器を指すが、広い意味では焼き物のことをさす。

陶器と訳してしまえばアナログなイメージしか浮かんでこないが実は、現代には欠かすことができないハイテク素材だ。

金属より軽く、プラスチックよりも重い素材で、傷がつきにくいという特性からさまざまなものに使用されている。代表的なプロダクトではデジタルカメラや高級腕時計などだ。こうした商品はほとんど傷がつくことなく長年愛用されている。

素材の開発はさまざまな分野に及んでいるが、セラミックこそ次世代素材の代表格といってもいいだろう。

そのセラミックだが3Dプリントの材料としても注目が集まっている。以前もセラミック素材の3Dプリンターの記事はご紹介したが、本日ご紹介するセラミックの3Dプリンターは従来の機種とは全く異なるタイプのもの。

次世代素材としての力を発揮する高性能セラミックの3Dプリンターだ。

複雑で超精密な高性能セラミックパーツの製造

本日ご紹介する高性能セラミックの3Dプリンターを手掛ける企業はLithozという企業だ。

わずか3年前に立ち上がったばかりのドイツ企業だが、金属の3Dプリンターでトップを行くEOSと資本提携を結んだことを発表している。

ドイツはEOSをはじめ金属の3Dプリンターで世界シェアトップを走るが、今回の高性能セラミック3Dプリンターの登場で、製造業におけるドイツ企業のシェアをさらに高めそうだ。

それではこのLithozが手掛ける高性能セラミックの3Dプリントをご紹介しよう。

最大の特長はセラミックの光造形ともいえるLCM(リソグラフィー系セラミックス製法)と言われる独自の製造技術によって、これまでの製法では再現することができない複雑で超精密微細加工を可能にしている点だ。

これまでも過去にご紹介したとおりセラミックの3Dプリンターは登場しているが、あくまでも陶器レベルの加工に適したものであった。今回のLithozの高性能セラミック3Dプリンターは、現代のさまざまな産業用用途で使用が期待される新たな機種だと言える。

EOSが出資したLithozの高性能セラミック成形

複雑なセラミックパーツが作れる

微細なセラミックパーツも成形可能

軽量の中空構造も成形できる

多孔質構造も再現可能

セラミックの光造形と言えるLCM製法

これまでセラミックの製法は用途に応じてさまざまな方法がとられてきた。一般的には金型を用いて成形する加圧成形や、押出成形、射出成形という方法がとられている。

例えば加圧成形では、量産性は高いが、複雑な形状のセラミックパーツを作るのには適していない。一方押出し成形は連続生産が可能でパイプ状などのセラミックパーツを作るのには適しているが、結晶体である配向が残るという欠点がある。

また射出成形は複雑なパーツが成形可能で精度も高いが、プラスチックの射出成形とは異なり、エネルギー効率が悪く環境に悪い成形方法とされている。

他にもさまざまな成形方法が存在するが、今回のLithozの高性能セラミック3Dプリンターでは、圧倒的な低コストで、従来の製法では作れなかったセラミックパーツを作れるようになる。

高品質、小ロットの高性能セラミックパーツの製造が低コストで利用できるようになれば、さまざまなデジタル製品の試作開発やオンデマンド製造が利用可能になるのだ。

Lithoz高性能セラミック3Dプリンター

セラミックの光造形ともいえるLCM製法

LCM製法の動画

複雑な形状も再現できる

デジタル製品の拡大で高まるセラミック素材の需要

高性能なセラミックパーツのオンデマンド製造がもたらす影響は非常に大きいのではないだろうか。金属パーツと同様セラミックの高性能パーツはさまざまな産業で使用されている。

例えば、これは一例だが京セラが開発したファインセラミックの一種であるジルコニアは多くのメーカーのデジタルカメラや、デジタル家電製品に使用されている。

また、それ以外にもセラミックは高い耐食性、耐摩耗性、低密度、高い硬度、優れた生体適合性、高耐熱性、低熱膨張といった性能を持っていることから、医療、自動車、電気工学産業などでの利用が盛んだ。

こうした現代の未来の産業用素材として需要が拡大していくセラミック素材が、3Dプリンターで1個単位から生産できるようになれば、多くの製品やパーツに利用されるようになるだろう。

また、新たに商品開発を行なう起業家やデザイナーなども試作製造の段階からセラミック素材を試すことができるようになる。このように見ると3Dプリント技術と素材の拡大は多くの新商品や新技術を世に送り出すという上で極めて重要な役割を果たしているといっていい。

試作、小ロット生産、複雑なパーツ製造に最適

まとめ 工業用3Dプリンターではドイツがトップ

こうしたところからも金属用3Dプリンターで世界シェア1位のEOSが投資するのもうなづける。EOSは金属粉末の3Dプリンターで41%と圧倒的なシェアを持っているが、今回のLithozへの出資によって、今後さらに需要が拡大するセラミック部門でも先鞭をつけ市場獲得に乗り出す構えだろう。

3Dプリンターの競争はプラスチックがアメリカ、金属やセラミックはドイツが主導的地位を占め、ますますそれを強めようとしている。

3Dプリンター本体のシェアの差は、単なるデバイスとしての販売数という側面ではなく、至るところに影響を与えるだろう。それはその国の新商品開発や、企業競争力強化という側面に如実に現れると言える。

我が国はこの技術分野で圧倒的に遅れた立場にあるが今後の開発競争と、日本人の火のついた時の驚異的なスピード感に期待したい。

セラミック3Dプリンターの記事はこちらもどうぞ

EOSの記事はこちらもどうぞ

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。